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| 特集/2022年5月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| レーズンパン特集
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| 多加水の生地に大量のレーズンを練り込む技を極秘に開発 | |||||||||||||
実は「究極のレーズン食パン」は最初に生地をミキシングする時以外はほぼ手作業で、とてつもなく手間をかけて作られていると言ってもいい。 中でもレーズンを練り込む作業は、ミキサーで一気に混ぜるとレーズンが潰れてしまうため、できた生地1本1本に対して手作業でレーズンを混入していく。そのため、とても手間がかかるのだ。さらにその際に生地の外側にレーズンが出てくると焼成の際に焦げ付いて苦味が出てしまうため、薄いプレーンの生地くるむなど工夫も施している。 そのため、「究極のレーズン食パン」を完璧に作れるスタッフは同店の中でも同商品の製造担当者である4人しかいないという。その何人かは奈良さんが苦労して同商品の開発をしていた頃、一緒に試作を手伝っていた人達だ。 「他のスタッフもある程度までは作れるかも知れませんが、微妙な匙加減が難しくて、完璧に作れる人を増やすのは時間がかかるかもしれません」(奈良さん) 加えて使用しているレーズン自体も高価なものばかり。最終的に2斤サイズの1本が「究極」というフレーズにふさわしく税込3780円という高価なものになってしまう事もうなずける。 「私としては、間口は狭くなりますが、『レーズンがたまらなく好き』という人に食べてもらいたいと考えています。限られた範囲のユーザーを対象にしながらも、普遍的に愛され続けていくようなものを深掘りして商品開発をしていきたいと考えています」(奈良さん) 製造された当日はそのまま食べて、生地のもっちり感とレーズンのまるで果物のような瑞々しさをそのまま味わうのが、おすすめの食べ方だという。 2日目は軽く焼いてバターをのせて食べれば、「絶妙でたまらないバターとの驚くような相性の良さを知る事ができる」(奈良さん)という。 「本店オープン時からずっと出したかった『幻のレーズン食パン』だったので、完成し販売する事ができるようになったのは本当に嬉しいことです。手作業でレーズンを入れるため、たまに生地中のレーズンの位置が偏ってしまう点などの課題もありますが、克服しつつ長く愛される商品に育てていきたいですね」(奈良さん) セントルザ・ベーカリー青山店 住所:〒150−0001 東京都渋谷区神宮前5−52−2青山オーバルビル1階 電話番号:03‐6451‐1067 営業時間:午前10時〜午後7時 定休日:1月1日、2月と8月の第2日曜日 品揃え:食パン5品目、バター、ジャムなど7品目 スタッフ:製造常時3人、販売常時2人 店舗面積:厨房20坪、売り場4坪 | |||||||||||||

| 定番レーズンパンの定着に貢献。コロナ禍で高付加価値商品が求められる - カリフォルニア·レーズン協会 | |||||||||||||||||||
日本での米国カリフォルニア産レーズンの普及啓蒙活動を担うカリフォルニア·レーズン協会駐日務所の富山斎シニアマーケティングマネージャーによると、日本のベーカリー業界では今や定番商品として一定の地位を確立した感がある「レーズンパン」も、最近はコロナ禍で、新たな付加価値を求める消費者の動きが目立ってきているという。 近年のコロナ禍では「おうち時間」を楽しむため随所で高価格帯の商品を楽しむ動きが見られ、高価格帯ではなくても何らかの付加価値を商品に対して求める動きはより強くなってきているという。 「例えば最近のトレンドとしてラム酒づけのレーズンを取り入れたパンや洋菓子が増えてきているように思います。大人向けの付加価値商品として一定の地位を確立してきていますね」(富山マネージャー) 今年で30回目を迎えるカリフォルニア·レーズンベーカリー新製品開発コンテストでも、ラム酒漬けのレーズンを使用した作品の応募が目立つようになり、さらに連動して、ラム酒漬け以外のレーズンの下処理を施したレシピの応募も全般的に目立ってきているという。 その多くは水洗いしたのちワインなどに漬け込むといったものだが、ブドウやオレンジなどの果汁、梅肉や出汁といったこれまでの枠に留まらないものも現れてきている。 前回の第29回新製品開発コンテストで「オールスクラッチ部門」の大賞を受賞した「Splendide raisins」という製品(神戸屋レストランの中村剛和さんが出品)は、赤ワインで仕込んだハード系の生地に、果汁やフランボワーズピューレなどを使用し漬け込み方を変えた3種類のレーズンを合わせ、さらにチョコレートやマカダミアナッツも調整役として配合していた。組み合わせを重視し、ハード系だが甘くて食べやすいパンになっていた。 このようにレーズンの漬け込み時間を微妙に変えたり、素材との組み合わせを工夫したりする事で、以前はレーズンに水分が吸収され硬くなりがちだったレーズンパンが、しっとりしたものに変化しているという。商品開発の現場では、「レーズンパンはしっとりした製品」と認識されている。 「職人の技術力が向上する事で様々な製品が作れるようになれば、原材料高騰による値上げの中でも、付加価値の高い商品づくりによって、消費者の理解を得られると思います。パン業界を活性化するためにも必要な事ですね」(富山マネージャー) 健康面での価値を消費者に訴求する 一方で、レーズンには味だけではない価値があるという。同協会はこれまで長い間、レーズンの栄養価の高さや健康効果などの普及啓蒙にも力を入れてきた。 中でも消費者に向けたPR活動はここ数年でさらに強化してきており、テレビCMなども投入。レーズンは栄養価が高く、鉄分、カリウム、食物繊維が豊富に含まれるが、コレステロールはゼロで脂質は低い事なども広く訴求している。 コロナ禍に入ってからはインフルエンサーも起用する形で啓蒙活動を継続。 「カリフォルニア·レーズンが健康志向に対応した食材であるというイメージは、以前と比べてだいぶ高まっていると思います。カリフォルニア·レーズンを使ったパンや洋菓子などの販売促進につながるのではないでしょうか」(富山マネージャー) リテールベーカリーの現場でも、例えば全粒粉や雑穀、ナッツ類などの素材とレーズンを組み合わせた商品も散見されるようになってきている。 コンテストの受賞作品を見ても、レーズンの味のみならず、その機能性や栄養価の高さに着目したレシピの応募も見られるようになってきた。 例えば第29回コンテストの「オールスクラッチ製品部門」で特別賞を受賞した「botanical stollen〜ローズヒップの香り〜」(グルマンマルセの小出塁さんが出品)では、乳製品、卵の代わりにアーモンドミルクやココナッツオイルを使用したシュトーレン生地に、レーズン餡、葡萄果汁に漬け込んだレーズン、ビタミンCが豊富なローズヒップティーに漬け込んだフルーツナッツなどを入れた。健康、美容面での価値を感じられる製品となっている。 「我々としてはレーズン自体のイメージを上げて消費者に興味を持ってもらえるようにする事が、今後ベーカリーの売り上げアップに貢献することにもつながると思っています」(富山マネージャー) | |||||||||||||||||||

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カリフォルニア産の良さを伝える
昨年から様々な原材料が高騰。リテールベーカリーでも今春から、レーズンパンも含め、思い切った値上げをせざるを得ないところが増えてきているが、富山マネージャーによると、原料高騰によりカリフォルニア·レーズンの価格も多少は上がってきているが、小麦やナッツ類など他の原材料と比べると上げ幅は軽微だという。 2017年には、カリフォルニアで一度不作の年があり、その時の供給不安で日本でのカリフォルニア産レーズンのシェアが数%縮小。現在でもその影響が多少なりとも残るが、それでもまだ日本のレーズン市場の約8割がカリフォルニア産のものだ。また、日本のレーズン市場全体の規模、は総輸入量を見ても安定した推移を見せている。 そのため、今後は、トレーサビリティーが100%可能であることや、残留農薬の検査などを含めた品質管理体制が徹底している点、日本との60年近い取引の歴史の中で培った日本向け仕様への理解がある事なども伝えながら、カリフォルニア産ならではの品質の良さを伝え差別化をはかっていきたいという。 「パン用のみならず、お菓子向けや料理向けなど、様々な用途提案も進めていますが、適度な甘みがありながら栄養価があり、好みがあまりわかれず、どんな食材とも合わせやすく、汎用性が高いといった多くの利点を持ち併せた素材としての可能性の高さは常に感じています。業界に向けた活動も引き続き力を入れていきます。しかし、パン業界に元気になってもらいたいという思いはことのほか強いので、パン業界向けの様々な企画は、さらに強化していく予定です」(富山マネージャー) 対日輸出の7割がベーカリー向け カリフォルニア·レーズン協会は米国農務省の監督下にあり、本部を生産地の中心部であるカリフォルニア州フレズノに構える。日本ではこれまで、ベーカリー業界向けのセミナーや新製品開発コンテストなどの活動に対する評価が高く、協会としても力を入れてきた。カリフォルニア産レーズンは1960年代初頭に日本への輸出が開始され、小麦とパンの普及と共に消費が拡大。今でも日本のレーズン市場の約8割がカリフォルニア産で占められ、また生産国である米国から見れば輸出国の中では日本は最も大きな市場であり、年間総生産量の約1割が日本向けという。 富山マネージャーは「最重要輸出国である日本での活動は業界向け、消費者向けともにかなり力を入れていますが、日本で使用されるレーズンの7割がベーカリー向けであるため、ベーカリー業界関係者に向けた技術指導や研修などには早くから最も力を入れてきました」と話す。 日本でレーズンパンが広まったのは、60年代初頭にアメリカ小麦連合会が日本でパンや菓子の普及促進活動を行った際、レーズン協会がパンの素材の一つとしてレーズンを啓蒙するよう小麦連合会に働きかけたからだという。 「今やレーズンロールやレーズンブレッドといった商品はほとんどのリテールベーカリーで定番商品として置かれ定着しています。そしてこれらの商品にはコアなファンがいて、各店の売り上げに大きく寄与してくれているのです」(富山マネージャー) |
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