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| 特集/2004年10月号 |
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| 移動販売ってどんな具合ですか?
「移動販売ってどんな具合ですか?」のテーマで、
ベーカリーを取材した。全体からするとかなり少数派のパンの移動販売だが、特有のノウハウとメリットがある。「固定の路面店より、顧客との密着度が高い」といえるかも知れない。 |

| 決められた場所と時間に必ず出向くことが重要 - ママンキムラヤ | |
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4時から作って9時に2台で出発
千葉県木更津市にあるママンキムラヤは、移動販売専門のベーカリーだ。 週6日、2台の移動販売車にパンを満載し、販売に出る。ドライバー兼販売員は、オーナーの藤浪康男さんと、女性パートの2人。 移動販売車が廻るコースは曜日ごとに完全に決まっている。車が2台あるので、販売コースが合計で12通りあることになる。一つのコースには約30の販売スポットがあって、回る順番も決まっている。 パンの製造は、午前4時に藤浪さんが厨房に入って始まる。製造スタッフはこのほかに女性パートが2人。まずフランスパンと食パンを仕込む。これが焼き上がるのが出発30分前の午前8時半ごろ。 フランスパンと食パンの製造と並行して、冷蔵保存しておいた生地玉を成形し、菓子パンや調理パンなどをどんどん作っていく。 午前8時半には、100品目以上のパンが焼き上がる。売価に換算すると、平均して約15万円分だ。これを2台に積み込む。 各販売場所での滞留時間は極めて短い 車が廻る場所は、企業の工場やガソリンスタンド、病院、クリーニング店の前、住宅地などさまざま。販売スポット間の移動時間は10分程度の場合が多い。いずれの販売コースも練りに練られたものだ。 販売スポットに着くと、多くの場合、ドライバーが「焼きたてパンはいかがですか。いつもの場所に停車しております」とアナウンスをする。 1つの販売スポットでは大体5〜10人が集まってくる。ほぼすべてが固定客。各販売スポットには週に1回出向いていくわけだが、そのたびに必ず買いに来る人がほとんどだという。 1つの販売スポットでの滞留時間は短い。5〜10分程度だ。来たことをアナウンスすると、固定客らはすぐに集まってくる。 「あまり1つの場所に長くいると、『いつまでもいてくれるんだな』と思われてしまいます。一通り販売したらすぐに切り上げ、次の場所に移動します」と藤浪さんは説明する。 各販売スポットを廻る順番も大事 各販売スポットを廻る順番も大事だ。最も多く固定客がいるところは正午に割り当てる。「いつもの時間にいつもの場所」が基本だが、道路事情などにより、遅れてしまう場合に備えて、廻る時間が前後してもいい販売スポットも用意しておく。「決められた時間にぴったり行かなければならないところと、そうでないところがありますから」(藤浪さん)。 しかし、すべての販売スポットに必ずその日のうちに行くことは絶対に怠らない。 「例えパンが売れてしまって残り少なくても、極埠な場合はパンが全くなくなってしまった状態でも、必ず決められた販売場所には行きます。とにかく行くことが大事なんです。商品がなくなってしまって行かないより、『すみません。今日は全部売れてしまいました』と言って行った方がいいんです。つまりは謝りに行くわけです」(藤浪さん)。 台風の時でも休むことはない。必ずパンを作って車に積み、決められたコースを廻る。「かなり売れ残ることもありますが、『台風でも来てくれた』ということで、お客様の信用が深まります」。 リーダー的な存在の人 現在の12の販売コースは藤浪さんが1から開拓したものだ。 「初めて行って売らしてくださいとお願いし、その場はだめでも、『食べてみてください』と言ってパンを置いてきたりします。パンが気に入ってもらえれば、たいていは販売させてもらえます」。 また「どんな職場にも役職とは関係なくリーダー的な存在の人がいます。その人に好かれればまず大丈夫です」とも。 藤浪さんが運転する以外のもう一台の販売コースも藤浪さんが開拓したもの。 「当然最初は1台でした。2台目を導入するときに、すでにあった6つの販売コースを、雇ったドライバーとともに1カ月以上かけて廻りました。そして、完全にマスターしてもらってから、任せました。そして私はまた新たに販売コースを開拓していきました」(藤浪さん)。 ちょっとした販促のツール 客と接しているとちょっとしたことがつながりを深めるツールになる。例えば、パンの耳や飴やキャンデイーなど。こうしたものは客や客の子供に無料で提供する。 「こんなパンを作ってほしい」「カップラーメンも持ってきてほしい」「弁当も売ってほしい」などと客からの要望も多い。藤浪さんは出来る限り応えるようにしている。 「『こんなライ麦パンがほしい』などといわれると、パン職人の名にかけて意地でも作りたくなってしまいます。さすがに弁当は販売しませんけど」(藤浪さん)。 |

| パンの移動販売は快調に進む。 - ママンキムラヤ1日密着同乗取材 | |
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9月14日、ブランスリー報道社記者が藤浪さんの車に同乗した。
午前8時半に訪ねると、パンはほぼ焼き上がり、車に積み込まれていた。 藤浪さんは、調理パンなどの最後の仕上げや次の日以降に焼き上げる菓子パンなどの仕込みに追われていた。 9時ちょうどに出発。最初の販売スポットはある行政団体事務所の玄関前。出発から約10分ほどで到着した。 アナウンスをしながら、玄関前に車を止めると、すぐに4〜5人のOLが出てきた。OLらはパンを選び、順番に清算して、社屋に消えていった。 この間約5分。いつもの曜日のいつもの時間につものベーカリーが来て、いつもの会話を交わし、いつものパンを買っていった――そんな感じの光景だった。 すぐにその会社をあとにして、次の販売スポットの生コン工場へ向かう。ここでも同じような光景が展開された。 午前中の販売は、このほかに企業の駐車場の一角、クリーニング店の前、診療所、畑の中の民家、駅の近く、などとテンポよく続く。 クリーニング店の前で販売しているときに買いに来た女性は「今日はお茶受けの甘いパンを買いました。いつもは調理パンが多いですね。お昼に食べるんです」と嬉しそうに話していた。 そして正午の販売スポットへ時間通り到着。農協の出張所だ。「今日はすこし時間がおしていたので午前中の販売場所を1か所省きました。でも午後から必ず行きますけど」(藤浪さん)。 午後からの移動販売も快調に進み、午後3時前、もう一台の販売車と落ち合う。 藤浪さんの車はこの時点で9割方売れていた。もう一台の女性販売員が担当する車は7割程度が売れた状態。その日のパンの売れ行きを互いに携帯電話で確認しながら、パンを積み替えたりするのだという。 この日は女性販売員が担当する車から藤浪さんの車にパンを全部積み替えた。女性販売員が担当する車はこの時点で店仕舞い。 藤浪さんはこのあと、数軒の販売スポットを廻り、いったん帰社する。 このあとさらに第2便があって、パンが少なければ、事前に工場に連絡し、追加の準備をしてもらうのだ。 ◇ 藤浪さんが移動販売に注目したのは、「投資効率」という理由からだった。 「手作りのパン屋という業種は労働生産性がかなり低いんです。投下資本に対してどれくらいの利益があるかを示すROIという指数が重要視されているじゃないですか。手作りのパン屋の場合は、ROIを上げるには初期投資を抑えるしかないと思ったんです」 藤浪さんはある銀座のクラブの女性オーナーにこんな本音の話を聞いた。 「私は昔、おでんを屋台で売っていました。昔に比べたら考えられないような店のオーナーになって、売上も比べものにならないくらい多いけれど、出て行くお金も比べものにならないくらい多い。多分昔の方が良かったかも知れない」。 |


| 基本は、おいしいパンを焼き上げ、すぐにお客様に販売すること - ポンデザール | |
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移動販売車を16台展開
埼玉県春日部市のポンデザールは、移動販売車を16台展開している。 パンは、本店近くの工場で生産。ドライバーにパンを卸すケースと、ポンデザールのスタッフが運転して販売するケースの2通りがある。 しかし、いずれの場合も、移動販売車のドライバー兼販売員を募集し、販売コースを割り当てて、最低で1カ月の徹底的な研修を行い、ある一定の売上が上がることが確認できてから任せるというシステムは同じだ。 パンを仕入れて販売する形のドライバーの中には、1カ月で600万円以上売り上げる人もいるという。 基本的に移動販売車1台につき、3つの販売コースがあり、1つの販売コースには平均して約50の販売ポイントが設定されているという。 顧客のそばまで出向いていける ポンデザールの橋本行正専務は「移動販売のいいところは、お客様のそばまで出向いていけることです。いろいろなところから『来てほしい』という要望がたくさんあります」と話す。 さらに、「商売の基本は、おいしいパンを焼き上げて、すぐにお客様に販売するということです。パンの移動販売はその延長上にあるわけです。お客様の顔を見ながらパンを販売するという意味では、固定の店舗での販売と車での移動販売は同じだと思っています」という。 一方で、移動販売特有の問題もある。不当な請求があることもあって、そうした場合はかなり慎重な対応が要求される。 また、販売のポイント近くの住人から、騒音の苦情があることもあるという。いろいろな状況に対処しながら、現在までに培ってきた移動販売のノウハウは、同ベーカリーの最強の武器になっている。 優良店を閉めざるを得なくなって・・・ ポンデザールは、およそ30年前に現在の本店の場所で創業した。当時はパンがよく売れた時代で、オープンからほどなくして、店舗の製造スペースだけでは製造が追いつかなくなり、近くに新たに工場を作った。春日部駅前にも店舗を出し、売上がどんどん伸びていった。 しかし、あるとき駅前の店舗が、区画整理のために、閉めざるを得なくなった。 ポンデザールにとって売上の大きな柱になっていた駅前の店舗がなくなることはかなりの痛手だった。そこで登場したのが移動販売だった。 現在は、移動販売車16台で販売するほか、固定の路面店も本店の他に、本店近くのロビンソン百貨店内などに3店舗を展開している。 |
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