見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー - ブランスリー電子版


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お店拝見/2026年9月号

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見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
店主の持田直輝さん
チョコレート色の「アリマベーカリー」の外観
入り口正面の奥に厨房がある。レジの支払いは自動精算機で行う
カスタードクリーム入りのデニッシュにシャインマスカットをトッピングした「シャインマスカットデニッシュ」(税込550円、サークルカットは「シャインマスカットデニッシュ」の断面)
ホイップクリームとヨーグルトがたっぷりのったデニッシュに皮をむいた半割のフレッシュな桃をのせた「桃デニッシュ」(税込650円、サークルカットは「桃デニッシュ」の断面)
自家製ハニーマスタードが好評の「ハニーベーコン」(税込300円)(サークルカットは「ハニーベーコン」の断面)
地域の人たちが誇れる店になりたい

 東京・渋谷と神奈川県大和市を結ぶ東急田園都市線の鷺沼駅から1・3キロ、バス停からすぐの場所に2021年に開業した「アリマベーカリー」はある。角地に建つ3階建て新築マンション一階部分に入居。隣にドラッグストアがあり、両店共用の駐車場が建物の裏手にある。
 店主は、開業の地に自身の出身地であるここ有馬を選んだという持田直輝さん。
 「地域の皆様に寄り添えるパン屋になりたいと思っています。店名は見やすくて読みやすいカタカナ表記にして、覚えてもらいやすいようにしました。有馬と言えば『アリマベーカリー』と言ってもらえるよう、地域の誇りになるような店にしていきたいと思っています」(持田さん)
 外壁はミルクチョコレートを思わせるようなブラウンで、店名が書かれている上部分は赤。アンティークなデザインのランプと、持田さん手製のクロワッサンが描かれた木製の看板が外壁に取り付けられており、高級感漂うブティックのような佇まいだ。入り口前のテラスには、ゆったり座れる椅子とガラス天板のテーブルのセットが4席分設置されている。
 店内は黒と赤、木目が基調で、天井は高くすっきりとした空間だ。壁面上方には、外壁と同様に金色で店名が書かれており、店内でひと際目を引く。
 パンは、黒い作り付けの3段ある棚に、約50種類が並ぶ。棚は背板がない作りとなっているため、パンの補充や陳列の作業を、売り場に出ることなくレジ側から行うことができる仕組みだ。
 持田さんは「『カレーパン』(税込330円)ただいま揚げたてです。いかがでしょうか」と言いながら、すでに並んでいた3つと入れ替えて、揚げたての4つを客の手前にくるように並べた。
 「焼きたてだと聞いて買って触ったときに温かくなかったらがっかりしますよね。焼きたてをうたうからには、お客様の取りやすい場所に並べるようにしています。そのときにしかない焼きたての温かさとおいしさを楽しんでもらいたいですね」(持田さん)
 菓子パンや総菜パンなどは、多くが一種類につき6つくらいずつ並ぶ。向きや間隔などが揃っていて、整然とした印象を受ける。
 「棚の高さや並べる台、入れ物などに変化を付けた方が、ボリューム感は出ると思うのですが、そうした見た目のダイナミックさよりも、商品一つひとつの見やすさを優先しました。一番下の棚は若干低めにして、子どもにも見やすい高さにしています」(持田さん)

旬ならではのフレッシュなデニッシュ

 同店のSNSは、主に季節商品の画像が投稿されている。中でも多い旬の果物を使ったデニッシュは、その果物の使い方の豪快さに思わず目が奪われる。
 取材当日、売り場に並んだ季節のデニッシュは「シャインマスカットデニッシュ」(税込550円)と「桃デニッシュ」(税込650円)。「シャインマスカットデニッシュ」は、カスタード入りのデニッシュの上に4つの大粒をトッピング。「桃デニッシュ」はホイップクリームとヨーグルトがたっぷりのったデニッシュに皮をむいた半割のフレッシュな桃をのせた。
 「旬の果物は2〜3週間で切り替えていきます。カットして食べやすくというより、旬ならではのフレッシュな食感を引き立てるために、できるだけ丸のまま使いたいと思って商品作りをしています」(持田さん)
 果物だけでなく、新タマネギやカボチャなどの野菜も、食感を楽しめる大きさにスライスしてデニッシュに使用している。
 「新タマネギはファンになってくれたお客様もいて、毎年時期がくると2カ月は販売しています。デニッシュは、私自身が好きなのと、見た目からも季節感を出しやすいので、季節商品はデニッシュにして出すことが多いですね」(持田さん)



自家製肉みそがたっぷり入った「肉みそナス」(税込380円)と「キャベツとウインナードック」(税込380円)は端まで具が入っていて満足感ある商品(サークルカットは「肉みそナス」の断面)
焼き菓子で人気の「チョコアーモンドタルト」
「チーズケーキタルト」(420円)や「レモンタルト」(税込430円)が並ぶ
黒い作り付けの棚に約50種類のパンが並ぶ
売り場奥の窓から見えるテラス席
素材の香りと食感を追求した独自の製法

 同店の一番人気は発酵バターの香りが引き立つ「クロワッサン」(税込300円)で、デニッシュの生地とは別に仕込んでいる。
 「『クロワッサン』はどうしたらもっとサクサクになるかを考えて、粉も色々と試すなどして開発しました。今はフランスパン用粉を100%使って、生地は硬めに、グルテンをあまり出さないように作っています」(持田さん)
 次に人気なのは「ベーコンチーズエピ」(税込300円)。ストレート法で仕込むフランスパン生地を使った香ばしさとパリっとした食感が特徴の製品だ。
 「フランス生地は小麦の香りを最大に活かしたいのと、酸味を抑えたいのでストレート法にこだわっています」(持田さん)
 「チョコアーモンドタルト」(税込480円)や「チーズケーキタルト」(420円)、「レモンタルト」(税込430円)などの焼き菓子も人気だ。アーモンドクリームやチーズクリームなどのフィリングは自家製で、ずっしりと重量感がある。
 「ベーカリーならではの、力強さを感じるような香ばしさや食感、ボリューム感、甘味と酸味のバランスを意識して作っています」(持田さん)

商圏が重なる人気店の存在が刺激に

 持田さんはインストアベーカリーで約10年、その後市内の個人店にも勤めた。
 「インストアベーカリーでは、社員が1〜2人、パートが3〜4人という体制で営業していたので、それを一回り小さくした規模を想定して開業しました。製造は私一人、調理補助とレジは一人パートで入ってもらっています」(持田さん)
 同店から徒歩5〜6分のところに、40年近い歴史のある人気ベーカリー「パンメゾンもあ小麦館」がある。持田さんにとって、パン職人を志したきっかけの一つで、開業後の現在も大きな存在となっているという。
 「子どもの時から食べていました。ほかのパンを食べてどう思うかも、もあさんのパンが基準になっていましたね。商圏が重なる場所での開業は、まさにもあさんの胸を借りる思いです。目標にしながらも意識しすぎず、当店らしさを追求していきたいと思っています。もあさんの袋を持ったお客様が来店されると、使い分けてくれているんだなと嬉しく思います」(持田さん)

SHOP DATA
店名:アリマベーカリー
住所:〒216-0003神奈川県川崎市宮前区有馬6-3-15
電話:044-386-3942
営業時間:午前9時〜午後7時
定休日:水曜、木曜
品揃え:パン約50品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約6坪、厨房約7坪
日商:平日約8万円、土日約13万円



この記事の読みどころ

●商品の見やすさを最優先し、子供の目線まで配慮した売り場を作る。
●焼きたての温かさを直接伝え、客の手に届きやすい場所に置く。
●旬の素材の大胆にカットして、大きな塊のまま使用する。
●地域の誇りを目指し、近隣店を目標にしながら自店の個性を磨く。





原価計算女王
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