街と向き合っていくことで成長していく店 - BAKERY LAS COLINAS - ブランスリー電子版

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お店拝見/2026年10月号

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街と向き合っていくことで成長していく店 - BAKERY LAS COLINAS
店主の村井祐介さん
入り口から入ると奥に厨房が見える。右側の3段の棚とショーケースにパンが並ぶ
「パンドロデヴ」(中央、税込420円)や「パンドカンパーニュ」(右、税込600円)などが並ぶ
「バゲット ラスコリナス」(左、税込260円)と「バゲット カンパーニュ」(右、税込280円)の2種類のバゲット
「リングドーナツダブルチョコ」(左上、税込220円)や「THEカレードーナツ」(左下、税込210円)、「昔ながらのあんドーナツ」(右上、税込190円)など懐かしみのあるパンも並ぶ(切り抜き写真は、左から「リングドーナツダブルチョコ」「THEカレードーナツ」の各断面)
人気の「クロワッサン」(税込180円、切り抜き写真は「クロワッサン」の断面)
一人で60〜70種類のパンを作る

 「パン好きの方だけでなく、普段パンをスーパーで買っている方とか、男性が一人でとか、街の色々な人に買いに来てもらえる、街のパン屋になりたいと思っています」
 こう話すのは、昨年6月に開業した神奈川県川崎市の「BAKERY LAS COLINAS(ベーカリー ラスコリナス)」の店主、村井祐介さんだ。白で統一された売り場には、村井さんが一人で製造したパンが、60種類以上、多いときには70種類ほどが並ぶ。
 「パンドロデヴ」(税込420円)や「パンドカンパーニュ」(税込600円)のほか、「バゲット ラスコリナス」(税込260円)と「バゲット カンパーニュ」(税込280円)の2種類のバゲットなどハード系が充実している傍ら、「昔ながらのあんドーナツ」(税込190円)や「あげパン」(税込120円)などといった見た目にも懐かしさを感じる商品もあって、品揃えが幅広い。
 「かたいパンばかりとか、店側の主張が先行するような品揃えにはしたくないですね。どんなお客様にも手に取ってもらえる商品がある店でありたいので、必然的に品揃えは多くなります。価格は抑えて、これなら買えると思える程度に設定するようにしています。物価高の影響が大きく出てしまう商品もありますが、原価の低いものや当店の一押しなどは100円台に設定しています。気軽に買って食べてみて、パンっておいしいなと、パンの価値を認めてもらえたら嬉しいですね」(村井さん)
 一番人気は九州の乳業メーカーの発酵バターを使った「クロワッサン」で、価格は税込180円とお値打ち感がある。
 「『クロワッサン』は皆さんに食べてもらいたいと思える発酵バターに出合ったことがきっかけで開発しました。100円台でこの品質のクロワッサンは今の時代珍しいと思います」(村井さん)
 日替わり商品を2、3品出すのも欠かせないという。取材時の日替わり商品は「柚子胡椒のベーコンフランス」(税込320円)など。
 「パン屋は毎日行くものであって欲しいという思いから、日替わり商品が来店動機の一つになればと思っています。それにパンの種類は多い方が楽しみがありますからね。一人で製造していても、手間と思える作業は複数の作業を組み合わせたり、やり方を変えてみたりしていくうちに、慣れて時間も短縮できるようになってきます。開業当初からアイテム数は維持していますが、感覚としてはかなり楽になってきました」(村井さん)
 同店は最寄りのJR南武線武蔵新城駅から徒歩6分の立地だが、川崎市内の物件の中では家賃が安いという。
 「一人で作って回していける規模を想定すると、最も重視すべきは家賃を安く抑えることでした。また、販売はパートで一人入ってもらっていますが、午後2時30分以降は私が入ります。固定費を上げるとその分の売り上げを上げなくてはならず、結果的にお客様の満足度を下げることになり兼ねないので、今の体制で続けていきたいですね」(村井さん)



食パンは2種類。「ホワイトブレッド」(左、税込360円)と「イギリスパン」(右、税込320円)
「ルヴァンノワールショコラ」(税込250円)や「カカオフリュイ」(税込280円)など、ドライフルーツやチョコの具をたっぷり練り込んだ商品が並ぶ
「カカオフリュイ」の断面
「クロワッサン」の生地を使った「ショコラバナーヌ」(税込290円)など
薬局などが入居する2階建ての建物の1階にある「BAKERY LAS COLINAS」の外観
パン業界で30年、様々な業務に就いた

 村井さんは製パンの専門学校を卒業後、パン業界で30年間働いてきた。初めて就職したのは、現在の幅広い品揃えの同店とは対照的に、デニッシュ食パンを専門に製造販売する会社。デニッシュ食パンがブームになっているときだった。
 「一つのパンから学べることはたくさんあるということに気付きましたね。例えば、先輩方がやるデニッシュの折り込みがおおざっぱに見えるんですけど、必要があってやっていたんですね。反対に細かく均等にやると、部分的な味の強弱がなくなって、デニッシュ食パン一本を味わう楽しさが減ってしまうんです。もっと勉強すべきことがあると思っていましたが、それと同時に、ブームは去るのが早く専門店では難しいという考えも抱き始めました。その頃直属の社長から新しく会社を作る話をもらったんです」(村井さん)
 専門店を退職して新会社へ。日本の和をテーマにしたベーカリーを運営する会社で、2001年に1号店を都内に出した。村井さんは店舗での製造と、商品開発を主に行った。
 「当時開発した豆パンはロングセラーとなり、日本国内に当時あった5店舗の合計で、一日に2000個売れました。実は豆パンの開発のヒントとなったのはお客様のリクエストなんです。ベーカリー的なパンの見方と、お客様のパンの見方は違いますからね。今も売り場に立ってお客様の声をどんどん聞いていきたいと思っています」(村井さん)
 その後店舗展開は国内に留まらず、アメリカでも複数の店舗を出店した。
 「アメリカの店舗で、当時最先端だと考えた商品や店づくりをしたのですが受けませんでした。日系人が多く住む場所だったのですが、私たちに求められていたものは、日本の定番で、懐かしさのある商品だったんですね。しっかりとお客様と向き合っていかないといけないということを学びました」(村井さん)
 それからベーカリーカフェなど新業態の出店や各店舗の経営業務などを行って退社した後、神奈川県内の個人店で、立ち上げから3年間、商品開発や製造指導などを行った。ロードサイドにあるカフェスペースを備えた約100種類のパンを揃える大きな規模の店だ。
 「スタッフが技術を覚えたり店が安定するのに3年はかかると思っています。自分の店に関しては、いつかは開業したいという思いはずっとありましたので、3年勤め上げた後、このタイミングを逃したらできなくなるという思いで、開業に踏み切ったんです」(村井さん)
 同店は開業当初、日曜と月曜の週休二日だったが、客の要望を受けて今年3月から、日曜日も営業することとなった。
 「日曜営業は様子見だったので、販売も一人で始めましたが、好評で今も続けています。土曜と日曜は、平日とは客層が全然違って、色々なお客様と出会えるのが面白いなと思っています。これまでパン業界で、様々な業務に就かせてもらいました。開業して自分の店を続けていくというのが、唯一できていなかったことでした。目の前のお客様とこの街としっかり向き合って、街のパン屋になるべく励んでいきたいと思っています」(村井さん)

SHOP DATA
店名 BAKERY LAS COLINAS
住所 〒211−0044 神奈川県川崎市中原区新城2−5−9 佐藤ビル102
電話 044−948−6263
営業時間 午前9時〜午後5時(売り切れ次第閉店)
定休日 月曜
品揃え 約60〜70品目
スタッフ 製造常時1人、販売常時1人
店舗面積 売り場約2・5坪、厨房約9坪(バックヤード含む)
日商 平日約5万円、土日約8万円



この記事の読みどころ

●一人で60〜70種類を作り分け、価格を抑えて街に届ける。
●一番人気は発酵バターのクロワッサン。税込180円。
●日替わり商品2〜3品が来店動機。種類の多さが楽しみを生む。
●専門店、海外出店、個人店での30年の経験が店の土台に。



原価計算女王
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