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| 特集/2010年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 引き継がれる技術を追う
時代が変わり、環境が変わっても、引き継がれていく技術と味。
上野にあった「永藤パン店」の玉子パンは、店がなくなった今でも、その味だけは生き続けている。 巣鴨にあるベーカリー「個性パン創造アルル」は世代交代で商品の多くが新しくなったが、変わらず引き継がれている商品がある。 引き継がれ、守られていく商品や技術の背景には、作り手の思いだけでなくその味を求めるファンの存在があった。 |


| 復活した玉子パンは、永藤パン店を知らない人にも人気 | |||||||||||||
「ようやく販売までこぎつけましたが、それでも当時と比べると玉子パンは80%、甘食は40%の出来」と飯塚さんの評価は厳しい。職人の腕を磨いていくことで完成されていく玉子パンと甘食を作る技術は、数カ月では習得できない。「これから先ずっと、玉子パンと甘食を作り続けたいという意思のある職人に限って指導した」と飯塚さん。 現在玉子パンと甘食を販売している石窯パン工房ル・マタン稲毛小中台店の店長、障沂エ康裕さんも、永藤パン店で販売されていた玉子パンのファンだったという。 「あの玉子パンの味をまた提供できるのはうれしいです。昔のファンの方が尋ねてくることもありますが、近所の幼稚園から注文があったり、子どもたちにも受けています。永藤パン店を知らない世代からもおいしいと好評です」(障沂エさん) 時代が変わり、食べる人が変わっても、揺るがない人気の玉子パンと甘食。この変わらぬ味を守っていくのは、職人の努力と、その味を求めるファンの存在だ。 | |||||||||||||

| 父は「健康」、息子は「おいしさ」がそれぞれの出発点‐個性パン創造アルル | ||||||||||||||||
「父親は、健康・安全が第一。一方自分は、おいしさを第一としています」と太郎さん。 現在店頭に並ぶパンの8割が太郎さんが考案した商品。太郎さんは、「自分がおいしいと思える、自分の好きなパンを作りたい」と、今までのアルルの商品にこだわっていない。 父、春二さんも「お客さんに喜んでもらえればいいと思っています」と、太郎さんの姿を見守っている。春二さんは、縄文時代に食べられていた食材を入れたパン「縄文焼き」をはじめ、健康志向でユニークなネーミングのパンを作り、テレビや雑誌などで多数取り上げられてきた。 国産のものや、安全で安心な素材を使うこだわりは変わりがないが、春二さんと違うのは「考えるときの出発点」だと太郎さんは語る。 「食べ歩くのが好きなので、色々なお店に行きますが、また行きたくなる店はおいしいと思ったお店。ネーミングの面白さで話題性を呼んだとしても、それは初めて行くときのきっかけにすぎません。また何回も来てもらうためにはやっぱり、おいしいと思ってもらえることが一番大事」と太郎さん。 | ||||||||||||||||
「『これが本物の味』というのは、ないと思っています。おいしいと思えば、それが商品になる。だから、これが本物、これが本当、ということにはこだわらないようにして、新しい考えを生み出すようにしています」 健康を第一と考える春二さんに対し、太郎さんは「おいしいと思えるものを作る」との思いを出発点に、商品開発に取り組む。 こうして店頭のほとんどの商品が新しくなったが、常連客は離れていない。その理由として、春二さんのときから変わらず、受け継がれていることがある。国産の小麦やトランスファットフリーにこだわっていることや、「かぼちゃパン」(250円)や「オマメパン」(220円)、「あずき桜あんぱん」(180円)など、春二さんのときからの、人気商品の存在だ。 さらに菓子店としてオープンした同店で、当初から販売され続けている品がある。ジャムを巻き込んだロールケーキだ。杏ジャムを巻いた「杏ジャムロール」(140円)と、コーヒー生地をマーブル状にしてマーマレードを巻いた「コーヒーロールケーキ」(140円)。どちらも懐かしい味わいだ。 | ||||||||||||||||
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