「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー - ブランスリー電子版


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お店拝見/2026年8月号

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「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
「ちいかわベーカリー」のエントランス
入り口から向かって右側奥にあるパンが並ぶガラスのショーケース
煙突付きのかまどの前で、パンをつまみ食いするうさぎや、つまづいて顔から地面に転倒してほっぺが変形しているハチワレ
入り口から向かって左側奥にあるレジカウンターではグッズとパンの会計を行う。カウンター奥にある液晶ディスプレイではちいかわたちがパンを作る様子を描いた動画を上映
「ハチワレパン」(税込590円)や「ちいかわパン」(税込590円)、「くまさんポシェットパン」(税込590円)などが並ぶ
ショーケースは上からも中を見ることができる
事前予約制での優先入場で満足度を高める

 SNS発信から誕生した漫画作品「ちいかわ」の世界観が楽しめる、パンのテイクアウトとグッズの販売を行う「ちいかわベーカリー」は2024年10月、東京・渋谷区の東京メトロ明治神宮前駅すぐのショッピングビル、東急プラザ表参道「オモカド」3階に開業した。
 店内に並ぶちいかわのキャラクターたちをモチーフにしたパンは、今年1月にフランスで開催された、パンの世界大会飾りパン部門で4位を受賞した澤田淳一さんが開発に携わっている。こうした話題性もあり、ちいかわのファンのみならず多くの人が訪れており、開業時から入店は事前予約制をとっている。
 同店の企画運営元、エルティーアールの西愛歩さんは入店方法について「事前予約制は、現在も必要性を感じて続けております。店内の混雑具合をコントロールすることで、来店されたお客様に高い満足感を提供していきたいからです。また、インバウンドのお客様も多くご来店されていることが分かったので、来日前から事前予約できるように予約サイトを多言語化しました」と話す。
 店舗入口は、ちいかわの顔形になっており、入店前から気分が高まる。淡いピンク、茶、白を基調にした店内には、グッズが並ぶ陳列台とともに、キャラクターたちの立体造形が、あちらこちらに飾られている。入り口付近で最初に目に留まるのは、たくさんのパンが焼かれた煙突付きのかまどの横で、パン屋さんになった、「ちいかわ」「ハチワレ」「うさぎ」たちがいる風景。ちいかわは転んで泣いてしまい、うさぎはパンをつまみ食いし、ハチワレはつまづいて顔から地面に転倒してほっぺが変形しているというユニークなシーンだ。
 販売員の田中みなみさんは「買い物と一緒に、ほとんどのお客様が撮影を楽しまれていますね。客層は老若男女幅広く、1人でいらっしゃる方もいます。土日など休みの日はご家族連れが多く、事前予約が不要の平日午後3時以降は、スーツ姿の方も見られます」と話す。

撮影を楽しみながら買い物ができる店づくり

 入り口から向かって左側奥はレジカウンター、右側奥はパンが並ぶガラスのショーケースが設置されている。パンは20種類ほどあり、そのうち14種類が2段に分かれたショーケースに並び、ライトアップされている。14種類は約2メートル幅の間に並べられ、それが横並びに3カ所あるため、一度に3組の客がパンを見て選べる仕組みになっている。
 「ショーケースの中の様子や、注文したパンをトレイにのせたところなどの撮影を、多くの方が楽しまれています。陳列箇所が3カ所あるので、順番待ちを気にしたり、時間に追われるようなこともなく楽しんでいただけていると思います」(田中さん)
 パンのほか、ドリンク類の販売も行っている。ちいかわのイラスト入りボトルに入ったパインジュース「ドリンクボトル」(税込1500円)や「コーヒー」(税込590円)、同店オリジナルイラストのラテアート付き「カフェラテ」(税込690円)などと充実したラインナップだが、テイクアウト専門でカフェスペースは設けないことにこだわった。
 「カフェも喜んでいただけるとは思うのですが、ベーカリー以外の要素をできるだけ省くことで、パン屋さんらしさをより感じていただけるようにしました。また、カフェがないことで、撮影や買い物に集中してお楽しみいただけているのではないかと思います」(西さん)



ラーメン屋台をイメージした特設コーナーでは「朗パン」(税込2380円)の見本が並ぶ。注文を受けてから準備する商品だ
直径12センチほどのラーメンどんぶりに、カットした丸パンを入れ、その上に麺やチャーシュー、もやしなどを盛り付けた「朗パン」
写真左上から時計回りに、「くまさんポシェットパン」、「カブトムシワッフル」(税込480円)、「ちいかわコロッケバーガー」(税込670円)、「うさぎパン」(税込590円)、「ちいかわパン」、「ハチワレパン」
写真左から順に「さすまたスティックパイ(ちいかわ)」(税込620円)、「さすまたスティックパイ(ハチワレ)」(税込620円)、「討伐棒チーズパン」(税込570円)など
パンの世界大会飾りパン部門で4位を受賞した澤田淳一さんが、パンの開発や技術指導などを行った
原作に登場するものをモチーフにした商品

 ショーケースに並ぶパンは一つひとつが大きめに作られており、税込み400〜600円の価格帯だ。最も人気があるのは、ちいかわ、ハチワレ、うさぎの顔がそれぞれモチーフになったクリーム入りの菓子パン「ちいかわパン」「ハチワレパン」「うさぎパン」で、いずれも価格は税込590円。幅11センチほど、高さ4センチほどの大きさだ。
 「パンを手に持ってご自分の顔の横に並べて撮影されるお客様が多くいらっしゃるのですが、その際パンの大きさがある程度ある方が映える効果があると思います」(西さん)
 成形はキャラクターの顔をモチーフにした形の抜き型を使用。抜き型で作った2枚の生地の間にクリームを入れて貼り合わせ、焼成する。焼成後チョコやチョコペンなどで顔のパーツのトッピングをする。

キャラクターとパンのそれぞれの魅力を融合

 商品開発や技術指導などを行った澤田さんは「世界観の表現と、お客様のニーズに応えること、この二点を特に重視して、考えを整理したり試作を重ねていきました」と語る。
 「生地の発酵や焼成、チョコペンを使用して表情を描くなどの手作業によって、キャラクターたちの魅力が最大に発揮されたものになるか否かが決まります。どんな手法を使うか、作業はどのようにしたら一定の品質を維持していけるかなどを考えて、製造の技術指導も併せて進めていきました。また、ちいかわベーカリー特有のニーズは撮影やギフトの用途ですので、クリームはサンドして入れるという成形の仕方にすることで、形崩れが起きにくいようにしました」(澤田さん)
 パンの見た目のデザインについては、愛知県でベーカリーのシェフを務めている澤田さんのパン職人としての観点が盛り込まれている。
 「子どもたちのために行ったパン教室で、作ったパンを見て子どもたちが『かわいい』と目を輝かせて言うんですよね。パン職人の自分も感じる、パンの見た目のかわいらしさやおいしそうに見えるといった特徴と、キャラクターたちの魅力をつなげることができたらという思いが、開発の根底にあります。ですから、キャラクターそのものの色にするのではなく、パンの香ばしさが伝わる色に焼き上げていたりします。パンの価値ってなんだろうと、改めて考えさせられましたね。また、パンを作る技術をこうした形で、世の中に貢献させてもらえるいい機会をいただけたと思っています」(澤田さん)
 「ちいかわベーカリー」は大阪府のJR大阪駅直結の商業ビルに6月26日、関西初の国内2店舗目がオープンした。同店限定のパンは「ちいかわたこせんバーガー」で、ちいかわをモチーフとしたバンズの間から、たこ焼きが顔を出している見た目にも独自性の高い商品となっている。

SHOP DATA
店名:ちいかわベーカリー
住所:〒150-0001東京都渋谷区神宮前4-30-3東急プラザ表参道「オモカド」3F
電話:03-6721-1515
営業時間:午前11時〜午後8時(最終入店6時)
定休日:なし
品揃え:パン約20品目
スタッフ:非公開
店舗面積:非公開
日商:非公開



この記事の読みどころ

●予約制を導入し、混雑を抑えながら来店満足度の向上につなげる。
●写真映えする売場と商品で、自然なSNS拡散を促す。
●見た目だけでなく、持ち帰りやすさまで考えて商品設計をする。
●「ちいかわ」の世界観を守りつつ、パン本来のおいしさを追求する。



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