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| インタビュー/2016年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 日々の積み上げこそが財産 - 喜福堂の金子幾雄社長 | |
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「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨の地蔵通り商店街に、今年で創業100年を迎えた老舗ベーカリーの喜福堂がある。看板商品のあんぱんを毎日500個も販売する。今年2月に4代目社長に就任した金子幾雄さん(43歳)は、毎朝祖父の代から伝わるあんを練る。金子さんには製パン技術者の経験は無いが、17年間の会社勤めで得た多くの経験を活かして、新たな店づくりと人づくりに取り組む。次の100年への意気込みを聞いた。
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3割の商品から8割の売上
―――本当にあんぱんは人気なんですね。 金子 売り上げの確保は軸になる商品があれば十分可能だと思うんです。例えば、菓子パンで考えてみます。まず、つぶとこしのあんぱん2種とクリームパンそれに季節商品2種類の計5種類。これらで、売り上げアップに挑戦することも考えられます。販売する全商品の30%で売り上げ全体の80%の確保を目指したいのです。 ―――商品の絞り込みが来店客数や消費者の購買意欲に影響を与えませんか。 金子 来店してくださったお客様にとって、圧倒的に必要なのは技術力だと思います。私どもの味をしっかりと継承しているのは、2月から店長を任せている義弟の水嶋です。製造経験10年のベテランですので、信頼しています。 燃料費等の下落があるものの材料費の高騰があります。お客様のことを考えたら、現在使用している材料を変えたくありません。材料費を安定させるには、取引先を絞り込んだ上に、各企業への仕入れ量を増やすなどすれば、可能かもしれません。材料費を安定できれば、販売価格を維持できますし、お客様に負担をかけずにすみます。 ―――売り上げに影響はないと。 金子 何もしなければ売り上げは落ちます。考えられることを実行し、その成果を積み上げていくことしかありません。 ―――一つひとつ積み上げていくには何が必要なのでしょうか。 金子 祖父が練り上げたあんと父が完成させたパン生地で作られたあんぱんを1人のお客様に届けられるのは、それに携わった従業員のお蔭なのです。私自身も含めて、人を育てていくしかありません。 ―――何かお考えが。 金子 会社員時代のある時、幹部にこう問われました。「お前が明日からメシを食えるのは何故だ」と。答えられずにいると「セールスマンが日々持ってくる5円、10円の大切さを忘れなければ良いリーダーになれる。自分の成果は皆が持ってきてくれたものだ。そのことを忘れるな」 これは、仕事仲間に対する心配りです。愛情が無ければ出せませんね。 大切な良いリーダーの存在 ―――心づかいがリーダーを育てると。 金子 良い店には良いリーダーがいると思います。そして、それが継承されていくわけです。 ―――人づくりに向けて動き出しているのですね。 金子 今は、個人の持っている能力に依存しています。既に後任の育成を任せている人もいますが、まだ理想とは開きがあります。しかし、どのように優れた指導力のある人材を育てるかは、社長である私の仕事です。これまでの経験を生かせます。 ―――丁度次の100年に向かう時期にトップに就任しました。 金子 私に次の100年へのビジョンがあるわけではありません。6か月、1年、3年と一歩一歩進むことでしか未来は作れません。主力商品のあんぱんを大切にしつつ、調理パンやサンドイッチの充実を図るつもりです。それと、将来は都内だけでなく他県への出店も発展の1つと考えています。 ―――店舗展開ですか。 金子 切っ掛けは祖母の存在です。母は大阪出身です。大阪に90歳を過ぎた祖母がいます。あんぱんは宅配便でしか届けられません。近くに店があれば出来たてを食べてもらえます。 ―――多くの人の近くに喜福堂のあんぱんを届けたいとお考えなんですね。 金子 ええ。福島や福岡からインターネットを通じて注文を下さるお客様もいます。そうした方々にも気軽に足を運んでいただきたいのです。 ―――一つずつ考えていることを実行していければ。 金子 そうですね。日々の積み上げこそが、人にも店にも財産を生むのだと思います。将来的には、あんぱんで5本の指に入ると言われる店を目指します。 |


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