テクノロジーの進歩が可能にした心と心の触れ合い。購入者のコメント掲載欄は、ありがとうの声を届ける場にする - ロスパン通販サイト「rebake(リベイク)」 / - ブランスリー電子版


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レポート/2020年2月号

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テクノロジーの進歩が可能にした心と心の触れ合い。購入者のコメント掲載欄は、ありがとうの声を届ける場にする - ロスパン通販サイト「rebake(リベイク)」

クアッガ代表の斉藤優也さん
パンのお取り寄せ・通販サイト「rebake(リベイク)」のトップページ
「rebake(リベイク)」では、ロスパンにかぎらず、北海道から沖縄まで全国のベーカリーのパンを取り寄せる事ができる
クアッガのイメージキャラクター。かつて存在した動物「クアッガ」がモデル。社名も動物の名前からつけた
 東京・中野区の会社、クアッガが運営する、2018年12月にスタートしたパンのお取り寄せサイト「rebake(リベイク)」に注目が集まっている。同サイトの大きな特徴は、ベーカリーの売れ残ったパンでまだ日持ちのするものを、「ロスパン」として割安に販売している点だ。このサービスはパン廃棄の削減に貢献し、新たな視点からベーカリーと消費者を繋ぎ直し、実績を伸ばしている。現在登録店舗数は約300店舗、登録者数は約2万5000人。

こだわりのパンを新たな方法で消費者へ

 ロスパン通販サービスを始めたきっかけについて、同社代表の斉藤優也さんは「子供の頃から自然や動物が好きでした。大学と大学院で有機農業や生態学を研究するうちに、廃棄物削減が自分の主題になり、興味の対象である食の分野のフードロスへの関心が強くなりました」と話す。
 食の分野の中でもパンに焦点を当てたのは、好物のひとつである事以上に、製パン職人達の強い思い入れが詰まった個性豊かなパンに、心を動かされたため。
 「パンは製パン職人の方々の大事にしている点がよく現れやすい商品ではないでしょうか。私は材料の生産者にも関心が強いので、農作物を重要視してよく選び、その良さをそれぞれに生かして使っているパン屋さんに魅力を感じています」(斉藤さん)
 「rebake」はパンのロス削減のお取り寄せプラットフォームとして、全国から集まる登録ベーカリーのまだ数日食べられる期間のあるパンを、登録会員へ販売している。
 斉藤さんの中には、こうしたまだ食べられるパンを美味しく食べて喜んでくれる人のところへ届けることが、食品ロスの削減になり、自然にも良く、かかわる人々すべてが幸せになれる、という思いがあった。
 各ベーカリーで複数のパンを組み合わせてセット売り商品とし、主な価格帯は1000〜3000円程度。予約制をとり、ロスが出たら予約した登録会員へ発送される仕組みだ。
 値引きの割合はさまざまだが、おおよそ2割程度の設定。商品は各ベーカリーから直接消費者に配送される。商品購入者は、クアッガの口座に代金を振り込み、クアッガは各ベーカリーに、手数料を差し引いた額を支払う。
 同社は昨年2月に、世界自然遺産の知床の自然を管理する団体、知床財団への寄付を行った。同社は今後も、自然環境の保全や調査に取り組む団体など、環境問題や食糧問題の解決にかかわる団体への継続的な支援を予定しているという。

焼きたてパンへの目線の違いに着目する

 「rebake」に登録するベーカリーはリテールベーカリーだ。湯気の立つような焼きたてのパンが、香りとともに売り場に現れるライブ感を、リテールの大きな魅力になっていることから、まだ食べられるパンが売り場から下げられ、廃棄されることも多くなる。焼き上がりの後の、ピークの状態パンの提供を重視するほど、下げ時の基準も厳しくなる。
 リテールのパンは通販に不向きではないかという点について、斉藤さんは「『rebake』はパンを冷凍して通販する仕組みです。冷凍は衛生面の解消でもあるのですが、消費者のパンの食べ方を追っていくと、多くの人が当日食べきれない分を冷凍しています。そして翌日以降も自分の選んだ好きなパンを食べています。消費者は焼きたての味だけを求めているとは限らなかったのです」と話す。
 斉藤さんは冷凍通販にあたって、ベーカリーに自分の店のパンを冷凍して食べることを勧めた。その結果、ベーカリー側から製品によってはパンの状態が許容範囲と判断され、冷凍通販への理解が得られていったという。
 また、日頃ベーカリーや消費者からの聞き取りに熱心な斉藤さんは、「パン屋さんは『美味しいものを作れば売れる』とお考えの方が多いのですが、売れないとそれが自己否定を引き起こしてしまいます。実際は、そこに美味しいパンがあると知られていない、遠くて行けないなどの事情もあるものです。商品を廃棄するのは職人の方々もオーナーの方々も心を痛めるでしょう。しかしロスパン通販の利用で、パンが求められ美味しく食べられているとわかって、安心したというパン屋さんの声も聞いています。マルシェへの出店などで消費者の実際の感触を見ても、ロスパンに好印象を持つ人達は本当に多いですよ」と話す。
 ドイツパンのように、焼きたてが食べ頃とは限らない商品などもあり、冷凍通販の活用は、そうした商品を求める人に、それを必要としている人に届けることに大きく貢献している。。他にもベーカリーからは「ロスが劇的に減った」「廃棄に心を痛めていたので、それがなくなって良かった」「売れ残りを心配せず、より製造に集中できるようになった」「人気がないから売れない、と考えなくてよくなった」といった声を聞くそうだ。
 また、ロスパン通販という手段が残ることで、売り切りを目指した品揃えから、閉店間際の来店者を品薄でがっかりさせない売り場作りに変えていけるなど、販売方法に幅を持たせる事にも繋がっているという。
「廃棄がなくなることで、パン屋さんのモチベーションは保たれますし、消費者も自分が食べたかったパンを遠くのお店からも買えるようになります。『rebake』ではロスという言葉は大きく扱わず、お得感よりも、ここでパンを買うことがお互いによく、自然にも良いことであるという価値観の共有に向かえるよう工夫しています。かかわった人が全員幸せになることが大事だと私は考えているんです。未来に向けて持続可能な方法で経済活動をして、登録店も登録会員も自然環境もすべて良くなっていく事を目指していきたいですね」と斉藤さん。
 こうした斉藤さんの考えに賛同するベーカリーからの支持が、ロスパン通販サービスのスタートの支えにもなっていたという。

テクノロジーが繋げる人と人の対面の関係

 「rebake」のトップページを開くと、商品紹介欄の次に「購入者のコメント」が複数掲載されている。斉藤さんはこのコメントを「ありがとうの声を届ける場」と位置づけしている。
 「飲食店情報が掲載されたサイトでは、消費者がお店に寄せるコメントが評価の言葉になっている事はよく見かけますよね。我々は消費者とお店を、評価する側と評価される側の力の関係にしたくないんです。評価がコメントの目的になると、否定的意見を持った人ほど書き込む傾向になりがちです。自分が同じお店を利用して美味しいと思っていても、『接客が悪かった』というコメントを読むと、そうだったのか、と、気持ちが左右される事にもなり得ます。しかし、購入者のコメントは感謝を伝える場とすれば、パン屋さんの喜びになりますし、やる気にもなるでしょう。それはいずれ美味しいパンとなって消費者に提供されるかも知れません。評価するコメントで話が一方通行になってしまうのは、顔の見えないインターネットのよくないところです」(斉藤さん)
 商品に対する評価が届いた場合、それらはインターネット上でオープンにはされず、「rebake」の運営側に集まる。評価の言葉はフィードバックとして「rebake」が各店ごとに整理し、個別に伝えている。ひとりひとりへの細やかな気配りについて、斉藤さんは言う。
 「パン屋さんはお客さんと対面するお互い顔の見える仕事です。インターネットを介するときに、顔が見えないことで起きる配慮のなさを、我々は出来る限り解消していきたいと思っています」
 「rebake」はクアッガにとって、登録店と会員を増やせばほぼ自動的にパンの売買が進むシステムに見える。しかし同社の目標はサービスの自動化によるコスト削減ではない。同社は積極的に時間と足を使い、全国の登録店を訪ね、消費者に会い、生産者の声を聞き、イベントに出店し、人々と顔を合わせている。
 「東京のような都会で暮らしていると、毎日食べているものを誰が生産しているのか知らずに過ごさざるを得ません。安い品物を求めるのは当然ですし私自身もそういう選択をしますが、一方で、目の前の食事は、誰がどんな思いで作ったパンで、そこに使われている材料はどんな人が丹精込めて作っているか、それも知られていってほしいんですね。地方の方々からは消費者との距離を気にする声を聞きます。思いを共有する方々と、顔の見えるコミュニティーをつくっていく事で、買い物をするときに何を選ぶかという基準に、安さ以外も加わっていくといいですね」
 テクノロジーを使うことで、遠い距離の人と人を、顔の見える関係でつないでいきたいと、斉藤さんは考えている。「全員が幸福感を得られるように」という同社の理念が、ロス廃棄を減らし、製パン職人のモチベーションを上げ、よりよい未来に向かう循環を作る。最新技術も、どのような理念の元に使用するかで現れる効果が変化するのだ。
 これからの目標について斉藤さんは語る。
 「今年は登録店舗数700店を目指しています。そこに到達すると日本のパン屋さんの約10パーセントに参加してもらえた事になりますから。ベーカリーの実店舗を持つのも夢です。ロスパン通販を行いたくても、発送する時間の余裕のないパン屋さんのお話も聞いています。パン屋さんの力になりながら、環境にも皆にとっても幸せなサービスを目指していきたいですね」







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