先達の精神を生かすたねやグループ - 一粒の麦から53(文・本行恵子) - ブランスリー電子版


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連載/2020年1月号

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先達の精神を生かすたねやグループ - 一粒の麦から53(文・本行恵子)
芝に覆われた屋根が特徴のメインショップ
シトロエンHトラックを配置したギフトショップ
ディスプレイに使われているお菓子の型
 滋賀県近江八幡市にあるたねやグループ(山本昌仁CEO)は、明治5年創業の和菓子・洋菓子製造販売、喫茶・食事の事業を展開する企業です。和菓子の「たねや」、洋菓子の「クラブハリエ」のブランドで展開し、手作り最中の「ふくみ天平」や新食感の「バウムクーヘン」は、贈答品として人気が高く行列ができるほどです。また2010年には彦根市の琵琶湖畔に、パン工房&カフェ「 ジュブリルタン」をオープンしました。パン売り場にはスペイン製の石窯で焼く多品種のパンを揃え、2階のカフェでは近江牛や新鮮な野菜を使ったメニューを提供しています。そのたねやグループのフラッグショップ店「ラ コリーナ近江八幡」が、業界内外から注目を集めています。
 150年近い歴史を持つたねやグループは、農作物を自分たちの手で育てるというプランを、専門家たちの協力を得てこの場所でスタートさせました。きっかけは原材料に使うヨモギの葉を、自家栽培したいと考えたことからでした。

豊かな自然環境の中で育む菓子作り

 京都からJR琵琶湖線に乗り、近江八幡駅からバスで10分の場所にある「ラ コリーナ近江八幡」は、週末や休日には約1万人が訪れ賑わいます。
ここはかつて厚生年金休暇センター「ウェルサンピア」があり、プールやテニスコート、ホテルやゴルフ場が揃っていました。この跡地を2008年にたねやグループが買い取り、この場所を生かす構想を練ってきました。そこで見えてきたのは、自然と共生しながらお菓子を創造することでした。
 今世界中で次世代のために、自分たちの暮らしを改善することが求められています。たねやグループは2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」という理念に賛同し、会社を挙げて取り組んでいます。
 活動の一つ、地元の八幡山からどんぐりの実を拾ってきて苗を育てる「どんぐりプロジェクト」は、2009年から社員とその家族たちが一緒にはじめています。現在3万1276本を植えることができました。木が成長するまで時間はかかりますが、目標は10万本です。どんぐりがこの土地に根を張り実をつける頃には、新しい風景が広がっていることでしょう。
 甲子園球場3つ分の敷地がある「ラ コリーナ近江八幡」は、まだ完成したわけではありません。メインショップからスタートし、本社、カステラショップ、カフェ、フードコート、ギフトショップが徐々にオープンしています。敷地の中央には田んぼや畑もあり、田園風景が広がります。将来は小川を作り、ホタルが飛び交うのも夢ではありません。また地域の伝統文化を体験するしめ縄作りや松明作りのイベントには、家族連れも参加し世代を超えた交流の場になっています。
 メインショップは吹き抜けの広々とした空間の中に、一面ガラス張りの工房「バウムクーヘン専門店B‐studio」と「たねや」があります。どちらもお客様の目の前でバウムクーヘンやどら焼きを作り提供しています。2階にはお菓子を楽しむカフェもあり、周辺に広がる里山の景色を見ながらゆったりとした時間を過ごせる贅沢な空間です。お菓子の木型のディスプレイは、創業当時使われていたのものもあり老舗ならではの歴史を感じます。

ラ コリーヌ近江八幡の社会貢献

 たねやグループは創業者の教えを守ってきました。目先の利益を追うのではなくまず相手が喜ぶことを考え、ビジネスの相手だけでなく、それ以外の世間や人々の利益も考えます。そして生まれ育った地元に還元します。長い歴史の間には紆余曲折もあり、決して平坦な道ばかりではなかったと思います。
 しかし「ラ コリーヌ近江八幡」が目指す地域に貢献する活動は、八幡山や西の湖の整備などにも積極的に協力し、企業の社会的責任(CSR)を果たすのにも役立っています。持続可能な社会を作るためにも、たねやグループの活動がますます発展してほしいと願っています。







原価計算女王
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