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| 連載/2015年9月号 |
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| パン用国産小麦の普及に取り組む動き - 一粒の麦から27(文・本行恵子) | |
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北海道ツアーで小麦の種蒔き
小麦畑を実際に見たことがあるパン職人さんは、どれくらいいるでしょうか。 私は2009年に発足した有志の会「国産小麦を考える会」の北海道ツアーに参加し、日本の小麦農家の現状を知る機会に恵まれました。 札幌に到着した参加者たちはパン屋さん巡りの後、江別製粉の工場を見学し、小麦が粒から粉になるまでの何段階もの工程と、高性能の精密機械による製粉技術に感動しました。翌日は十勝平野にある前田農産の畑で、生まれて初めて小麦の種蒔きをした後、農作業に使うトラクターや機械を動かし小麦農家の体験です。ランチタイムは帯広の「はるこまベーカリー」特製のサンドイッチが用意され、十勝の大自然の中で仲間と共にパンを食べる楽しさを味わいました。その後帯広市内にあるベーカリー、満寿屋が経営する敷地面積8千平方メートルの店「麦音」を訪問しました。風車の力で石臼が動き粉を挽く様子や、木質ペレットを燃料にしている石窯など、自然エネルギーを最大限生かすシステムに、参加者たちから拍手が沸き起こりました。広い敷地内には小麦を身近に感じてもらえる小麦畑があり、地元の高校生たちが「ハルユタカ」の種蒔きから収穫までを体験したりしているそうです。 満寿屋は杉山雅則社長の祖父が、まだ戦後の食糧が乏しかった1950年に開業したパン店。2代目の杉山健治さんは十勝産の小麦「ハルユタカ」をパンに使い、地産地消の先駆けとして尽力しました。しかし国産小麦を普及させるこころざし半ばで急逝されました。父の遺志を継いだ杉山社長は、念願であった十勝産小麦100%使用のベーカリー「麦音」を、2012年に開店することができたのです。こうした歴史と小麦の研究者、農家、製粉会社、パン職人の努力の積み重ねでパン用小麦が改良され、製パンに向いた「キタノカオリ」や超強力粉「ゆめちから」が誕生しました。 小麦の旬を楽しむ「新麦コレクション」 国産小麦は北海道から九州まで様々な種類が生産されていますが、麺用粉が中心で製パン用小麦の自給率を上げるには不十分な量です。しかし本誌2015年7月号の特集記事「国産小麦粉のパン」で紹介があったように、徐々に国産小麦粉を使うパン屋さんは増え、同号の消費者アンケートによるとパンの原材料の小麦粉が国産かどうかを意識する人は回答者の30%と関心の高さを示しています。 今年の6月15日に国産小麦の新麦のおいしさをみんなで楽しむプロジェクト「新麦コレクション」が発足し、その説明会が東京・渋谷で開催されました。このグループが目指すのは、新米や新蕎麦の旬を楽しむように、収穫されたばかりの国産小麦をできるだけ早く製粉し、取れたて、挽きたての小麦を使っておいしいパンを作ること、そして全国の農家、製粉会社、問屋、パン屋、パンを食べる人たちが一緒になって、新麦の収穫体験や新麦パンを食べるイベントを通じ喜びを分かち合うことです。 発起人は、パンについての様々な著作がある池田浩明さんのほか、「365日」の杉窪章匡さん、「カタネベーカリー」の片根大輔さん、「パーラー江古田」の原田浩次さん、「ブーランジェリーレカン」の割田健一さん、「ブラフベーカリー」の栄徳剛さん、「ガーデンハウスクラフツ」の村口絵理さん、「ル・ルソール」の清水宣光さん、「ムールアラムール」の本杉正和さんたちを中心としたパン職人の仲間たち。そして全国の大小様々な製粉会社や農家さんたちです。 会場には発起人が作った国産小麦粉のパンが並び、説明と試食が行われました。新麦粉のパンとしては、熊本県にある小麦農家「ろのわ」の「ミナミノカオリ」を使って杉窪章匡さんが作った「ミナミノクロマメ365日」が紹介されました。杉窪さんはまず新麦粉の香り、味、口どけをテイスティングしてから、それぞれの粉が持つ特徴に合わせたパン作りを考えるそうです。会場で自作のパンのプレゼンテーションをしたシェフたちは、大地から収穫される自然の恵みに感謝し、命の源であるパンを作っていきたいと語っていました。 「新麦コレクション」は、会員を募集しています。詳細は公式ホームページ(http://www.mugikore.net)に掲載。 |




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