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| 特集/2014年11月号 |
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| 2号店を出した時
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2号店の「ラ タヴォラ ディ オーヴェルニュ」のコンセプトは、イタリアだ。店の外壁は、南イタリアをイメージさせる黄色と淡い赤色の明るい色合いで、通りがかりでもイタリアの雰囲気が見て取れる。内装も、その2色を基調にしたインテリアで、BGMもイタリアの音楽だ。イタリアの太陽の光を感じられるような店をイメージしたという。提供するパンは、1割ほどがイタリアをイメージしたパンだ。 「イタリアで行われるパンの大会に出場することになったことをきっかけに、イタリアのパンに興味を持ちました。食事と一緒に食べる、シンプルなパンや、イタリアの食材を使ったパン、菓子などです」(井上さん) セモリナ粉100%の生地に、モッツァレラチーズを包んで焼いた、もちもちした食感の「セモリナモッツァレラ」(税込87円)や、フォカッチャ生地にトマトとバジルソース、モッツァレラチーズをトッピングした「トマトとモッツァレラのジェノベーゼ」(税込184円)、ザクザクした食感の生地に、イチヂク入りクリームチーズを包み、焼き上げた「スフォリテッラ」(税込195円)などが、ほかの商品と区別することなく一緒に陳列されている。 これらのイタリアをイメージしたパンは、実は本店でも販売していた人気商品だ。現在も、そのほとんどを本店でも販売している。 一方、2号店だけの商品もある。「ティラミス」(税込207円)は、開業を機にスタッフが開発した。ブリオッシュ生地に、エスプレッソを染み込ませたケーキクラムとクリームチーズをのせて焼き上げ、ココアを振りかけた、ジューシーでふんわりとしていて、風味の良い商品。 「エスプレッソマシンを導入したので、スタッフが、そのエスプレッソを使った商品を作れないかということで、考案しました。本店と同じお客様もいらっしゃるので、こちらにしかない商品もあった方が、違いを楽しんでいただけると思います」(井上さん) 本店にはない新しいことに挑戦 「『新しいことに挑戦したい』という思いも、2号店を開く目的のひとつでした」と井上さん。 同店には、パンの他にも、イタリアの商品がある。注文後に生地をのばして具をのせ、専用窯(ツジ・キカイ製)で焼き上げるナポリピッツァだ。 「展示会で見たのがきっかけです。食べたらおいしくて、焼きたてをすぐにお客様に提供できるというところに魅力を感じました。そのためにも、カフェスペースは必要でした」(井上さん) 本店にはない、カフェスペースを設けた。車で来てもくつろいでもらえるよう、駐車場も完備した。 ピッツァは、「マルゲリータ」(税込500円)と「マリナーラ」(税込475円)の2種類で、それぞれ、税込650円と税込600円で、お得感のあるドリンクセットも設けた。 「オープンから半年経って落ち着いてきたので、9月から『季節のピザ』をメニューに加えました。でも、あくまでパンが主体なので、メニューはあまり増やさないようにと思っています」(井上さん) パンは現在180種類揃う。オープン時から30種類ほど増えた。スタッフの体制を整えながら、本店と同じ200種類を目指す。 また、2号店ができたことで、イベントに積極的に参加できるようになった。「製造できる量が増え、百貨店の催事などの商品が用意しやすくなりました。こうした催事の時以外にも、本店は春、特に桜が咲く時期、大変込み合って製造が追いつかないのですが、2号店で製造して運ぶことができるので、チャンスロスを防ぐことができるかなと思っています」と井上さん。 SHOP DATA 店名:ラ タヴォラ ディ オーヴェルニュ 住所:〒124‐0021東京都葛飾区細田5‐9‐15 電話:03‐6657‐8688 営業時間:午前7時〜午後7時(カフェのラストオーダーは午後5時半) 定休日:なし 品揃え:180品目 スタッフ:製造、販売11人 店舗面積:厨房20坪、売り場約10坪、カフェスペース約12坪 日商:7万円 | |||||||||||||

| それぞれの雰囲気の違いを、大切にしたい - 児玉圭介さん | |
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2004年に「ボンヴィボン」を出店し、2009年に2号店の「ボンヴィボン新百合ヶ丘店」を出店。
店主の想いが結晶した2店 ベーカリー「ボンヴィボン」は神奈川県横浜市に本店の青葉台店を、本店から車で10分ほどの同県川崎市内に2号店の新百合ヶ丘店を構える。 こだわりのあるハード系などが売れる本店と、高齢者や家族層向けに食べやすいスイーツ系や料理系のパンなどが売れる新百合ヶ丘店。各店で若干客層や店の特色は異なるが、どちらも20年以上パン職人としての道を歩んできた店主の児玉圭介さんの想いが結集した店だ。 店内には、自家製酵母で仕込んだライ麦入りカンパーニュやバゲットなどのハード系から、国産原料にこだわった食事パン、デニッシュやクリームパンなどのスイーツ系、ハード系の生地を使用した総菜パン、マフィンなどの焼き菓子といったあらゆる種類の商品が揃う。そしてそれらは全て同店の技術力や素材へのこだわりの強さを感じさせるものとなっている。 実は児玉さんの父親は埼玉県川口市を中心に7店舗のベーカリーを運営している「デイジイ」のシェフだった児玉幸生さん。子供の頃からパンを作る父親の背中を見て育ち、時たま手伝いをすることもあった児玉さんだが、本格的にベーカリー業界に足を踏み入れたのは21歳の時だ。当時「デイジイ」の草加店に手伝いに入ったことががきっかけでパン作りの魅力に引き込まれていくこととなった。 そしてほどなくして大阪のベーカリー「青い麦」の福盛幸一氏に弟子入り。きっかけは同店のハード系のパンを食したことで、そのあまりのおいしさに感動してしまったからだという。当時はまだ日本にハード系のパンがそれほど普及していない頃だった。 4年間の修業後に父親が経営するベーカリーで勤務した。独立し自分らしいパンを作りたいと「ボンヴィボン」を開店したのはその4年後の2004年だ。そしてその5年後の2009年に2号店の新百合ヶ丘店を開店することとなる。 2号店出店は違和感のない選択 多くのリテールベーカリー経営者にとって2号店出店は勇気と決断のいる行為だが、児玉さんにとっては違和感のない事だった。実は児玉さんが2号店を出した当時「ボンヴィボン」を経営しながらも、埼玉県越谷市にあった父親のベーカリーの運営も任されていた。「越谷と青葉台の両方を行き来しながら2店を同時に見ていたのですが、距離が遠くて体力的にはとても大変でした」と児玉さんは当時を振り返る。父親のベーカリーの建物の老朽化もあり、費用をかけて改装してもその分を利益で取り戻すのは厳しい状況だった。そのため結局同店を閉店することに決めたという。代わりに父親のベーカリーを売却した分のお金をもとに「ボンヴィボン」の2号店を出すことにした。機械は父親のベーカリーで使っていたものをそのまま持ってくることにし、場所は本店からそう離れていない新百合ヶ丘の地に決まった。予算内の良い物件が見つかり、開店は比較的スムーズに進んだ。 「もともと2店を併行して運営していたわけですし、距離が近くなった分体力的に楽になりました。2号店での新たな客層に馴染めるかどうか、売れるかどうかなどの心配はありましたが、もともと売上を伸ばすためにもある程度手広くやりたいとは思っていましたので、出店は自分にとって無理のないことでしたね」(児玉さん) |
現在、児玉さんは、本店を中心に活動しながらも週に2回ほど新百合ヶ丘店へ通っている。 職人としての仕事のほか、店を管理する経営者として、毎日午後は事務処理に追われる。そのため事務所のある本店での業務が必然的に多くなる。信頼できるチーフを2人2号店に常駐させているが、「本当は今よりもっと現場に頻繁に見に行きたいのです」と児玉さんは話す。「何個売れたかは報告ですぐわかります。でも同じ個数でも何時に売れたかで状況はだいぶ異なります。そういった細かいところを知るためにもできれば頻繁に行き来したいのです」(児玉さん) 中でも最も気になるのは人材育成に関することだという。「スタッフの指導は、各人それぞれに合わせた対応が必要です。いずれ独立したいなど目標を持って入ってきても、現場や経営の厳しさを目の当たりにして辞めてしまう新人もいます。自分がいつも見ることができない中で、人を育てる難しさも感じています」(児玉さん) 皆で商品開発などの意見を出し合ったり、目標を決めたり、全体の士気を高める努力もしているが、児玉さんによると一昔前と比べ、ベーカリーの職場環境もだいぶ変化したという。「自分が子供の頃ですが、業界には怖い親方みたいな職人が一杯いました。昔の職人は頑固で何事にも厳しい人が多かったのです。今、新人の人達にも厳しい中で育っていって欲しいと思っています。自分がいつも見る事ができない分、考えて行動してくれるようになってくれればとも思いますね」(児玉さん) 2号店を出すメリット 児玉さんの話を聞くと、店舗を増やすということは、人材育成の課題を抱えることになることを意味することがわかる。また勿論、家賃や人件費なども倍増することも確かだ。売上自体は拡大するが、十分な利益が出るとも限らない。しかし児玉さんによると、その大変さを乗り越えてでも、2号店を出すメリットはあるという。 「各店ごとに特に強く意識して商品づくりや販促の方針を変えているわけではありません。ただしそれでも本店と2号店、それぞれの雰囲気の違いを大切にしています。訪れる人も、地域の需要も各店で異なるため、役割がそれぞれ変わってくるからです」(児玉さん) 例えば本店ではなかなか売れない焼きそばパンも2号店では1日100個ほど売れる。どちらも「ボンヴィボン」としてこだわりのある商品を作っていきたいという思いは共通しているが、同じものを提供しても各店で売れ方や反応が違い、自然と生まれてくる個性がある。そこに大きな意義を感じると児玉さんはいう。 加えて2店あることで、双方がアンテナ的な役割を果たし相乗効果で売上が増えるということもメリットだ。「本店の常連の方が2号店に来ることもあります」と話す児玉さん。本店、2号店とも「ボンヴィボン」が地域の人に愛されている姿が伺える。今はまだ具体的な話ではないが、条件が揃えばいずれは3号店を出す可能性もあるという。新店を育てるのは大変で大きな責任感がついてまわるが、その個性の成長を見届けることで得る喜びはひとしおだ。 現在の新百合ヶ丘店は、幹線道路沿いで10台分の駐車スペースもあるため家族連れの姿も目立つ。売上は本店より多いという。「色々苦労もありましたが、ある程度信頼して任せていたら徐々に成長してくれたという感じですね」と児玉さんは最後に2号店の新百合ヶ丘店についてこう語った。 SHOP DATA 店名:ボン ヴィボン 新百合ヶ丘店 住所:〒215–0013神奈川県川崎市麻生区王禅寺東1–1–25 電話:044-712-0455 営業時間:午前8時〜午後7時 定休日:月曜日 品揃え:80品目 スタッフ:製造4人、販売2人、調理2人 店舗面積:売場8坪、厨房27坪、テラスイートイン8席 日商:平日30万円 土日40〜50万円 | |||||||||||||
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