記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 特集/2014年5月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 特集 クロワッサン、変身(トレンドの現場)
|


|
||||||||||
|
ニューヨークのトレンドを輸入
現在、クロワッサン生地を使った新感覚の商品として人気を伸ばしている「クロワッサンドーナツ」。日本でのブームの火付け役のひとつとなったのは、関東と中部地区に多店舗展開するベーカリー、バンデロールが営む新ブランド「アンジェリークニューヨーク」の「ニューヨーククロワッサンドーナツ」だ。 「元々、2013年7月に弊社の各ベーカリーで試験的に売り出したのがクロワッサンドーナツのスタートでした。最初はニューヨークの流行を追うタイプの方に注目されていましたが、瞬く間に評判が広がって人気商品になりました」と、同社クロワッサンドーナツ販売担当の神埼哲也課長は話す。 同社のクロワッサンドーナツは、バンデロールの社長が2013年4月にニューヨークで人気のアンセルベーカリーで新発売され、大流行している「クロナッツ」(1個5ドル=約500円)という商品に着目したところから開発が始まった。クロナッツは、現在アンセルベーカリーの人気商品で、開店後2〜3時間で売り切れるため、朝5時から並ぶ人もいるという。クロナッツは、ビッグサイズの高カロリー製品で、5ドルで買えるという点が、ニューヨークで受けている理由のひとつだ。それに対し、バンデロール社長は「日本人向けにアレンジして、ニューヨークテイストの商品を日本に導入しよう」と発案した。 アンジェリークニューヨークのクロワッサンドーナツの特徴は、直径約6センチ、高さ約3センチと小さめで、カロリーも控えめだということ。製法もフライのみではなく、揚げる前に生地を焼き、クロワッサンの折込生地への油脂の吸収を抑えている。また、クロナッツは内部にクリームが注入されており、トッピングもとても甘い味わいだが、アンジェリークニューヨークでは、クロワッサン生地を2枚重ねて焼き上げており、間にクリームやチョコを挟んでいる。甘さは抑え目で、表面をかりっとさせ、中をさくさくとした食感に仕上げている。「さくさくで甘さ控えめの小ぶりな商品」が同ベーカリーの提供する日本人向けのクロワッサンドーナツだ。 「当店のクロワッサンドーナツは、手作業で生地を抜き、発酵をとり、焼いて、揚げ、チョコやクリームで仕上げています。大量につくることは難しいですが、手間をかけることで独自の味わいを出しているんです」(神崎課長) バンデロール社長のこの見込みと、アレンジは大当たり。1個165円のクロワッサンドーナツは、瞬く間に人気を博し、現在、平日約700個、休日は1000個程度が売れる。最大1日1600個を販売したこともあるという。フレーバーは現在7種類。ダントツの人気3種は「クリスピーチョコレート」「塩キャラメルチョコレート」「スマイルホワイトチョコレート」だ。 また、クロワッサンドーナツに対する日本の消費者の動向について、神崎課長は、「クロワッサンドーナツの日本上陸を楽しみにしていた一部のファンが、ネットで情報を拡散した一面もあったようです」と話す。クロワッサンドーナツの発売日に、無料チャットアプリのLINEや短文のコミュニケーションツール、Twitterに「買いました!」という声と共に反響が投稿されていた。商品の断面図の画像もアップロードされ、情報が広がっていくのが見て取れたという。 現在も、毎週のように購入するリピーターが多く、高速道路を使って週末に買いに来る熱心なファンも付いている。 あっさりした甘さとさくさくした食感 クロワッサンドーナツの客層は若い女性からシニア層まで幅広く、夜には20代の会社帰りのサラリーマンの姿も珍しくないそうだ。「会社帰りに買って行かれます。スイーツ男子という言葉も一般化しましたが、ベーカリーだと甘いものを買いやすいのかもしれません。まとめていくつも買っていかれる方も目立ちます」(神崎課長) 販売量が多くなるのは午後2時〜4時といったおやつ時。お昼はサンドイッチとともに、デザートとして追加で選ばれるケースも多いようだ。 チョコなどのトッピングがたっぷりかかっているが、「思ったよりも甘くなく、さくさくとした軽い食感なので、1つのつもりが、つい2〜3個食べてしまう」という声も多いという。ボリューム感と甘さが特徴のクロナッツから、日本人好みの人気アイテムとして見事に生まれ変わったようだ。 また、同店では、クロワッサンドーナツ定番の6種が1個ずつすべて入るサイズのテイクアウト用の赤い箱を用意している。6個で990円と1000円以内に収まる価格も手が出しやすく、高級感のある赤い箱はお土産品としてぴったりだ。 「クロワッサンドーナツは、クロワッサン生地を使った商品ですが、基本的に菓子パンです。食事系のクロワッサンとは重ならないので、当店では本来のクロワッサンもよく売れています」と神崎課長。「クロワッサンオランジュ」(税込み150円=3月までの価格)のような、クロワッサンのレパートリーも好調だという。 高級感をテーマにした戦略 アンジェリークニューヨークは、専門店を集めた神奈川のショッピングモール「アリオ橋本」にある。同店を営むバンデロールにとって、初の高級志向の専門店街出店のベーカリーとなった。クロワッサンドーナツというアイテムの品質が、お店自体をニューヨークテイストの本格ベーカリーというブランドに導いたのだ。クロワッサンドーナツのヒットを受け、現在、銀座松屋、大丸などの有名デパートの催事への出店も行っている。催事ではフレーバーが8種類と本店よりも増え、生地もグレードアップさせて、「プレミアムクロワッサンドーナツ」として販売している。 価格帯も280円〜300円程度と、通常の165円より高く設定している。 「本店よりもグレードの高いチョコレートやトッピングを使って、手間を尽くした高級品として仕上げています。本店と催事は同じクロワッサンドーナツでも別物として分けて考えます。催事限定品も出します。この区分けによって催事も好評を得て、銀座松屋では1日2000個の売上を記録することができました」(神崎課長) クロワッサンという定番の品をアレンジすることで、新ブランドを設立し、従来と違った客層の心を掴むことにも成功したようだ。 アンジェリークニューヨーク 住所:神奈川県相模原市緑区大山町1−22 アリオ橋本1F 電話:042−779−0233 営業時間:午前10時〜午後10時 定休日:なし(アリオ橋本に順ずる) 品揃え:110品目 スタッフ:販売10人、製造12人 店舗面積:売場20坪、厨房17坪 月商:800万円 |
||||||||||

| クロワッサンの材料でプレッツェルを作る感じ - ザシティベーカリー | ||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||
|
かりかりともちもちの好相性
1口食べ、かりかり、もちもち、そして次の瞬間、「わっプレッツェルですね。でもクロワッサンです」と驚きの声を上げずにはいられなかった。 かりかり感ともちもち感が融合したとても不思議なこのプレッツェル風味のクロワッサンは、20年以上ニューヨーカーから愛されたアメリカンフード「プレッツェルクロワッサン」だ。ドイツの岩塩をかけた表面のクラストは塩辛い味わいのままこんがりと焼けているが、中はクロワッサン特有の薄い層がいくつも重なった状態だ。ただし1つ1つの層自体は、通常のクロワッサンよりもちもちとしていて、腹持ちが良く、食べると1つだけでも十分満腹になる感じだ。食べるとほんのり甘く感じるが、実際はかなり甘めに作っているという。プレッツェル風の塩味との絶妙なバランスで、控えめな甘さに感じるのだそうだ。とても不思議なクロワッサンだが、その「プレッツェルクロワッサン」を販売するのはニューヨーク発のカフェベーカリー「ザシティベーカリー」だ。母体はニューヨークだが、その日本法人を運営するフォンス(長野県軽井沢町)でベーカリーシェフを務める千葉大介さんは製法について「クロワッサンの材料でプレッツェルを作る感じ」と説明する。 「基本的な材料はクロワッサンと同じですが、生地はプレッツェルと同じように長くこねて伸縮性のあるものを作ります」(千葉さん)。その生地でバターを使って層を作るクロワッサンの方法通りに成形。それ以降焼成までの一連の製造過程はほぼプレッツェルと同じで、焼成は白ごまとドイツ製のプレッツェル専用の塩をバランス良くのせて焼くことで、プレッツェルの風味に近づけるという。 ニューヨーカーのお洒落な愛用食 「ザシティベーカリー」は、米ニューヨークのユニオンスクエアで、現在もオーナーであるモーリー・ルービン氏が1990年に開業。以来20年以上にわたり、ニューヨーカーから愛され続けているベーカリーだ。ニューヨークを舞台にした人気ドラマ「SEX and the CITY」にも登場。ドラマ内では、同店がお洒落なニューヨーカー達の日常の一部にある粋なベーカリーカフェとして描かれている。オーナーのルービン氏は、テレビ局のプロデューサーとしてエミー賞を2度受賞するなど異色の経歴の持ち主としても知られ、今でも「現場で働く社長」と言われるほど現場を巡りながら社長業を行なっていることもニューヨークでは有名だ。 そんなルービン氏は、開業20周年を迎えた2010年に米国以外での初出店の地を日本に決定。何社か提携先候補があった中で、もともと「ベーカリー&レストラン沢村」(長野県軽井沢町)などを展開していたフォンスが選ばれた。そして昨年2013年4月に大阪の新鋭複合商業施設であるグランフロント大阪内に日本第1号店をオープン。また同年11月には東京に進出し品川店を出店、12月には同じく東京で広尾店を出した。 大阪の1号店オープン時には、海外ドラマでお馴染みの店で売られ、伝統的なクロワッサンに一石を投じたカフェフードでもあったことから、プレッツェルクロワッサンは話題を呼び、長蛇の列ができるほどの来店客が殺到。朝10時から売り始め、午後2時前には品切れする状態が、オープンから1年経った今でも続いている。そのため大阪店では現在でも1人2個の限定販売を継続。東京の店も連日盛況が続いている。 ニューヨークの味をそのまま再現 そんな日本法人で商品の製造指揮に携わるベーカリーシェフの千葉さんは外資系の高級ホテルであるザ・ペニンシュラ東京でベーカリースーシェフをしていたが、事業の新規立ち上げに携わりたいと、昨年の1月にフォンスに入社。4月の大阪店の初オープン前には、現地のセントラルキッチンで修行し、本場の味を修得した。日本での製造に当たっては「なるべく現地の味そのままを再現できるよう、作り方は基本的には変えていない」(千葉さん)という。ただし材料は調達の問題があるため、全て現地と同じものにするわけにもいかず、その場合は、「なるべく近いものを日本で仕入れられるようにした」(千葉さん)という。 例えば、小麦粉は日本国内の取引先メーカーに、プレッツェルクロワッサン専用の小麦粉を作ってもらったが、砂糖は普段使っているグラニュー糖では向こうの味わいが再現できなかった。そこで取引先の商社に頼み込んで倉庫の中を片っ端から見せてもらったという。 「向こうで使っているものと、ほぼ変わらないスペックの砂糖を見つけたかったんです」(千葉さん) シェフの千葉さん自らが足を運び、必死になって探しまわった結果、ようやくぴったりくるものを見つけ採用した。同社の「本店の味」に対する敬意の強さを感じるが、そもそも日本進出にあたっては、「日本人好みに仕立てるというよりも、現地で愛されてきたおいしさそのままを伝えることに重点をおいた」(フォンス広報)という。製品の大きさも重量を同じにする形で米国本店と揃え、値段も本店で3ドルの商品を税別310(税込334円)で販売。また、ちぎってホットチョコレートにつけて食べるニューヨーカーと同じ食べ方の提案も行なっている。 ブームを超えて定着させたい 「ザシティベーカリー」は「プレッツェルクロワッサン」のみならず、「チョコレートブラウニー」(税込399円)や各種スコーン、マフィンなどの商品も人気だ。どれも本店の味をそのまま再現し、サイズも「ジャパンサイズ」の一部商品以外は米国サイズで展開。また日本オリジナル商品の食パン「CBブレッド」(2分の1サイズ、税込464円)なども販売している。それでも大阪で1日1200個、東京で1日1000個(品川店と広尾店の合計)売れるというプレッツェルクロワッサンの売上が全体の4分の1を占め、同店の最大の看板商品だ。 今後は、材料の安定調達と品質の安定をさらに強化していくが、「今年はクロワッサンスイーツというような流れがでてきて、その相乗効果もあり盛り上げてもらっていますが、一過性のスイーツブームにのるのではなく、できれば定着して欲しいですね。大阪でプレッツェルクロワッサンを使ったサンドイッチの提案もしていますが、主食としての提案もちょっとずつ進めていければと思います」(千葉さん) 長いクロワッサンとプレッツェルの伝統の中では、革命か異端か。今後どう受け入れられていくのかが、必見だ。 ザシティベーカリー梅田 住所:〒530-0011 大阪市北区大深町4-1グランフロント大阪うめきた広場B1F 電話:06-6359-2010 営業時間:午前7時30分〜午後10時 定休日:なし(グランフロント休館日に準ずる) 品揃え:38品目 スタッフ:製造13人、販売8人、カフェ4人 店舗面積:厨房17坪、売場16坪、カフェ23坪(50席) |
||||||||||
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。






















