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| 連載/2013年11月号 |
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| 御茶ノ水にあった紅茶専門店 - 一粒の麦から16(文・本行恵子) | |
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思い出の駿河台を散策
1980年代後半から2年くらい働いていた、「紅茶専門店TEA ROOM ASSAM」周辺の駿河台を散策してきました。JR御茶ノ水駅から文化学院に向かうマロニエ通りを左折したマンションの半地下にあった店は、創業が1966年という当時都内でも珍しい紅茶専門店の老舗として人気を集めていました。 このあたりは都心とは思えないほど緑の豊かな場所で、山の上ホテルや文化学院などが点在する古き良き時代を感じさせる街です。 かつて紅茶専門店「TEA ROOM ASSAM」で作っていた「ケシの実パン」と「食パン」を作ることになり、ネットで店のその後を検索していたら、いろいろなことが分かってきました。 当時の常連客や働いていた方のホームページに、店のことが詳しく書かれていたのです。札幌にも支店をオープンしていたのですが、1998年に店主の江本美容子さんが亡くなり、お茶の水店を閉店。2000年には、札幌店も閉めていました。紅茶の種類、料理のメニュー、パンやお菓子のことに加え、スコーンのレシピまで紹介されていました。 私が作っていたケシの実パンは「ポピーシードのパン」という名前で登場し、予約しないと食べられなかったようです。お店で働いていた石原充子さんは店主の江本さんの影響を受け、現在自宅で紅茶教室&ケーキ教室&アフタヌーンティー教室「Tea Room Anne」を主宰されています。そして偶然にも紅茶専門店「TEA ROOM ASSAM」の跡に開業した「ギャラリーF分の1」からパーティー用にお菓子の注文を受け、不思議なつながりに驚かれたそうです。 また2003年5月15日の苫小牧民報には苫小牧に移り住んでいた江本さんのご主人が、妻の美容子さんが遺したスコーンのレシピを復活させようと、紅茶と洋菓子の講習会を開くという記事が残されていました。 紅茶と自家製のパン・菓子が評判 店主の江本美容子さんが淹れる紅茶は、厳選された茶葉を使い、茶器にまで気配りした本格的な味と香りを楽しめるもので、固定客も付いていました。またセットメニューに使われるパンやお菓子は、すべて自家製。江本さんの特製キーマカレーや豚ヒレ肉のグラタンは、今でも思い出の料理として我が家の食卓にも登場します。 私と同店との出合いは、新聞の求人広告「求む、パン・菓子製造スタッフ。午前10時から午後4時。週3日から時給900円。御茶ノ水・紅茶専門店アッサム」。この数行の求人広告が目にとまり、すぐに自分で焼いたパンを持参し面接を受け、採用が決まりました。 当時の私はパン教室主宰しつつ、外で働く仕事を探していました。フルタイムは無理でも、これくらいの時間帯ならこなせると思ったのです。 モーニングとランチメニューに登場するパンは、同店オリジナルのレシピで作る食パンとバターロールの2品。軽くトーストした食パンやバターロールを紅茶と一緒に出すメニューや、サンドイッチは、他店では味わえないおいしさがあり、人気を集めていました。食パンは高蛋白小麦粉を使い、卵と牛乳とバターが入ったリッチな配合で、トーストしてもそのままでもおいしく食べられました。 パンの需要に製造が追いつかず、製パンスタッフが必要になり、求人広告を出したのです。店で焼くだけでは間に合わず、私が自宅で焼いて運んだこともありました。 その後パンのアイテムに加わったのが、黒ケシの実を表面に付けバターをトッピングしたケシの実パン。これは私が友人から教わったレシピで、評判が良く人気のあるパンでした。 またこの店で学んだケーキで、現在も作り続けているのが「カボチャプリン」。今でこそどこの店でも作られていますが、この「カボチャプリン」も絶品です。特別なレシピというわけではないのですが、子供から大人まで幅広い人から喜ばれています。 同店で働いたのは短い期間でしたが、いろいろなことを学ぶ貴重な体験をすることができました。 時は流れ、人も街も変わりゆく中、紅茶専門店「TEA ROOM ASSAM」の思い出は語り継がれ、江本美容子さんが残したレシピは受け継がれています。 本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。 |



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