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| 連載／2022年5月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ポンパドウルと消費者を繋ぐ｢Ｐ＆Ｃ｣の極意 - 私の販売集大成ノート(20) | ||||
販売マネージャーが作成するオーダーは、製造部門にその日に作るパンの種類と数を伝えるものであり、利益に直結する最も重要なものの一つである。オーダーが少なければお客様の期待に応える事が出来ず売上は伸びない。多過ぎれば廃棄ロスとなり収益を圧迫する。ポンパドウル在職中は事ある毎に「オーダーに始まりオーダーに終わる」と指導されたものだ。 ５年間のマネージャー時代に毎日オーダーを作成して少なくとも１５００回ほど作成した計算になる。しかし満足出来たオーダーは１％にも満たない。オーダーの満足とは売上げが一日の目標を上回り、廃棄ロスが規定の１・５％以内で、且つチャンスロスが無い状態と自分で決めていた。 中間チャンスロスを無くす事が課題だった オーダーには売上アップとロス低減のバランスが必要である。売上だけを上げるなら製造能力限界までのオーダーを出せばいいし、ロスを下げるならオーダーを少なくすればいい。しかしそれらはいずれも望ましいオーダーではない。ロスには廃棄ロスと中間チャンスロスがある。中間チャンスロスは営業時間中の欠品による売り逃しである。売れる製品が無いのは一番もったいない事だ。マネージャーから管理職に至るまでの販売に携わった間、中間チャンスロスを無くす事が常に課題であった。 満足出来るオーダーを作成する為には現状を正確に把握する必要があった。その為にデータを取り、売れ方の傾向を数値化する事にした。手始めに毎日営業時間中の一時間毎の売上を一覧表に記録した。表は販売員全員が観易い場所に貼った。一カ月ほど経ち「前日の同じ時間より一万円多い」「前週の同じ時間を二万円上回った」と販売員から声が上がった。一覧表にした事で比較が出来るようになり、点が線となり、今どこをどのように進んでいるかを知ることが出来た。この事はその後の大きな糸口となった。 チャンスロスが発生している製品をチェック ３カ月後のある日、パートさんから「昼のピーク過ぎにアンパンが無かった」「サンドイッチが品切れだった」と製品の動きについての声が次々に聞かれた。中間チャンスロスがあることに私は全く気付いてなかった。 そこで次に中間チャンスロスが発生している製品をチェックする事にした。その方法は一回目の品出しとしてオーダーした製品が全て売り場に出された事を確認した後、昼のピーク後の午後１時に欠品している製品と２個以下の製品全てをチェックして一覧表に一週間記録した。この時チェックする時間を常に同じ時間にすることが要点である。次に記録した中から中間チャンスロスが著しい５品を選定して重点的に一週間チェックを続けた。その間にオーダーをアップしながら、ほぼ中間チャンスロスが無くなったと判断出来たら、次に別の５品を選定して同じ作業を繰り返した。 プライスカードに小さな赤のシールを貼った チェックの方法は、誰もが分かり易く簡単に出来る遣り方にした。対象製品のプライスカードに小さな赤のシールを貼って目印にした。その製品がいくつあるかをチェックして表に記入する。これならば今日入ったばかりの販売員でも直ぐ出来る。時間も３分もあれば終わった。 販売員の目視による積み重ねの努力により貴重なデータとなって、オーダー作成時に大変有効な資料となった。当時は今ほどコンピューターが普及しておらず、手仕事で一つ一つ積み重ねて行く仕事のスタイルであった。以上の方法は実験店で実施の結果５％の売上アップの効果をみた。 中間チャンスロスのチェック方法を 「Ｐ＆Ｃ」と称して、販売課長時代に説明会を実施した。ＰはポンパドウルのＰを、Ｃはお客様のカスタマーのＣからとった。両者を繋ぐのが製品であると言う意味で名付けた。オーダーはそれを取り繋ぐ役割があり、「販売とは製品とお客様を仲介する仕事である」という結論も得た。売れる時間帯に売れるチャンスを逸すのは販売の怠慢である。 望月 康男 販売アドバイザー。1946年神奈川県川崎市生まれ。東京都町田市在住。趣味は、ドライブ、登山、ビデオ撮影、映画鑑賞。1978年9月、株式会社ポンパドウル入社後、町田店、六本木店、伊勢佐木町店の販売マネージャー。1985年1月販売課長。1989年6月販売部長。1996年12月取締役販売促進部長。2001年10月取締役広報宣伝部長。2007年2月〜2010年1月顧問。全店の接客、品質、クレンリネス、品揃えの改善点をアドバイス。株式会社ポンパドウルの成長期、成熟期に販売関連業務に携わる。 | ||||
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