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| 特集／2021年1月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| どうしてますか？ レジ袋有料化
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| レジでの声かけを研究。客単価などで課題も - ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり | |||||||
東京・八王子市のベーカリー「ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり」は、７月のレジ袋有料義務化後は、大小２種類のプラスチック製レジ袋のほか、布製のエコバッグも販売している。レジ袋は店の名前とマークが入っている大きめのものは10円、何も印刷されていない小さめの袋は５円で販売。エコバッグはちょうどバゲットが１本すっぽり入る位のＢ４サイズに近い大きさで店のロゴを入れており、価格は１０００円となっている。 「スーパーなどで広く周知してくれたので、導入自体は問題なくスムーズにいきましたね」と同店のオーナーシェフである草野武さんは話す。 導入により売り上げに大きく影響が出たり、レジが詰まるようなオペレーション上のトラブルも生じてはいないという。今は約８割の客がマイバッグを持ってくるようになった。 「マイバッグをお持ちのお客様に対しては、持参されたマイバッグにこちら側が商品を詰めてあげるまでするのが、サービスの観点からは良いとは思うのですが、今コロナ渦なのでそれを拒否する方もいらっしゃいます。こちらで詰めてあげた方が良いのか、ご自分で詰めてもらった方が良いのか、それは個々のお客様の様子を見て見計って対応している感じです」（草野さん） 同店では、レジでの声かけや会話をどう進めていくかの研究をある程度したという。 声かけの流れとしては、まず、常連の客であれば大抵マイバッグを早目に出してくれるので、そのタイミングを見計ってスタッフがマイバッグに商品を詰めるか、客に詰めてもらうかしてもらう。 新規の客で、マイバッグを持ってきているかどうかわからない感じであれば「レジ袋はご入用ですか」と聞き、必要であれば、レジ袋の価格の案内などに進むという流れだ。 マイバッグへの移行 草野さんは今回の有料レジ袋導入の意義に関しては「意識としてこういった事をするのは大事ではないかと思います。ただそれであれば、バイオマス素材25％以上使用の袋は無料配布が可能などといった制度上の抜け道を作るのは逆に矛盾してしまう気がします」と話す。 草野さんは、身近でのプラスチックごみの量自体は、ここ数年で特別増えてきているとは思っていないという。店で発生するプラスチックごみといえば業務用で仕入れている冷凍フルーツピューレの個包装の保存袋くらいだ。 コロナ禍により売り場での商品を個別包装するために使った包材もあるが、一つの商品を覆うくらいの面積しかない薄いビニール袋なので実際それほど量はない。むしろ店のロゴをしっかり入れた厚手のレジ袋のほうが量的には多かったので、マイバッグへ移行した人が増えたのは結果的に良い事だったのではないかと思っている。マイバックに個包装した商品をそのまま入れていく形で持ち帰れるので、抵抗なく受け入れられた感じだ。 「売り上げに関しても問題にするほど大きな影響はありませんでしたが、客単価は若干減った気がします。マイバッグだと袋に入らない分の購入は控えてしまうという心理が影響した可能性もありますが、コロナの影響もあるので不透明です」（草野さん） さらに各個人がマイバッグを衛生的に使っているかどうかは、表面化していない問題だが、店側には把握しづらい事だ。草野さんは次の問題としては、春に控えている「ＨＡＣＣＰ」（ハサップ＝危害分析重要管理点）の義務化があると考えている。 「衛生管理の問題は顧客対応に繋がる事なので、コロナ禍が続く中でどう対応していくべきか、今後の課題になっていくのではと思っています」（草野さん） SHOP DATA 店名：ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり 住所：〒１９２‐００８１ 東京都八王子市横山町１６‐５ 電話：０４２‐６２６‐８８０６ 営業時間：午前10時〜午後７時 定休日：月曜（祝日は営業）、火曜 品揃え：80品目 スタッフ：製造5人、販売6人 店舗面積：売り場８坪、厨房２０坪 日商：25万円 | |||||||
| 袋詰め指導が難しい。ごみ削減には協力したい - ベーカーズプレイス | |||||||
千葉県市川市のベーカリー「ベーカーズプレイス」は、神戸の老舗ドイツパン店や横浜のホテルレストランなどで修業を積んだ番匠賀夫さんが２００７年にオープンしたベーカリーだ。地元住民の日常に密着した商品を揃える一方で、パンをギフトセットにした商品の販売にも力を入れるなど、新しい事にも挑戦。地元の枠を超えた販売網を広げつつある。 そんな同店では７月のレジ袋有料化以降、プラスチック製と紙製の双方でそれぞれ３種類ある袋を有料で販売するようになった。 プラスチック製はＳサイズを２円、Ｍサイズを３円、Ｌサイズを５円で販売。紙袋はＳサイズを20円、Ｍサイズを30円、Ｌサイズを40円で販売している。紙袋は今回の有料化の対象外だが、もともとコストがかかっていたので、この際、一緒に有料にした。 またギフト用商品に関しては、ギフト包装でラッピングや箱詰めされた商品を持ち歩くために入れる取手のついた紙袋やプラスチック袋も別途有料とした。ただしギフト商品の購入額の合計額が１０００円以上の場合は無料でつける場合もあるなど、ケースバイケースで決めているという。 その結果、レジ袋を購入してまで利用する客は、全体の10〜15％位に留まるようになった。残りは「マイバッグ」の持参者だが、少し厚みのある布製や紙製のマイバックのほか、スーパーのレジ袋などを再利用して「マイバッグ」として持参してくる人も多い印象だ。個包装された商品をそのまま手で持ち帰る人もいるという。 ただし、マイバッグを持参してきた人には商品の袋詰めを本人にお願いするようにした。 「それでも、その事をこちらがアナウンスするのはまだ大変だと思う事も多いですね」と番匠さんの妻で販売の業務を担当する元美さんは話す。 レジの流れとしてはまず会計の前に「ビニール袋を購入しますか」と単刀直入に聞く。その時点で購入しない旨を伝えてきたら、「それではマイバッグへの袋詰めをお願いします」とアナウンスするというものだ。ただ、まだマイバッグへの袋詰めに慣れていない客もいるので、その際には硬めの商品は先に詰めた方が良いなど、商品を崩さずうまく持ち帰れるような袋詰めのアドバイスを行なっている。 「常連の方が多いので、いつもきてくださっている方は、マイバッグへパンを詰めるのもだいぶ手慣れてきてくれた感じです。ただそうでない人もいるので、うまく詰めて頂けるよう誘導するのは難しいと思う事もありますね」（元美さん） そのほか、実は同店のレジは８％の軽減税率でしか会計できないようにしているので、レジ袋を購入する人がいたら、レジ袋の分だけを10％の税率で打ち直して会計しなくてはならないので、それも少し面倒だという。 資源回収には協力 元美さんは、今回レジ袋が有料化した事では、店からも各家庭からもそれほどプラスチックごみの排出量が減ったとは思えないという。 「マイバッグを使う事で地球環境が少しでも良くなるならそれで良いとは考えていますし、できる事があれば協力はしたいですね。日常でも例えばペットボトルのラベルを剥がしたり、発泡スチールトレイや牛乳パックなどスーパーで資源回収しているようなゴミに関しては直接持っていって出したりはしています」（元美さん） 店から出てくるロスパンの問題に関しては、ロスパンをネット上で購入してもらうサイト「リベイク」の活動に参加している。ただし、そのロスパンの配達の際にリサイクルして使用していた古いダンボールはコロナ対策のため使用をやめ、購入した新しい箱を使っての配達となった。そのためダンボール代金を加算した請求をしているという。 「今後は無料配布可能なバイオマスのレジ袋の採用も考えています。ただコストもかかる上、慣れ親しんだデザインのレジ袋を変える事になるので、もう少し様子を見てから考えたいですね」（元美さん） SHOP DATA 店名：ベーカーズプレイス 住所：〒２７２-０１３６千葉県市川市新浜１丁目１−１ アビタシオン薮崎１階 電話：０４７‐３９９‐８８８３ 営業時間：午前９時30分〜午後７時 定休日：火曜、第３水曜、その他不定休 品揃え：平日60品目、週末100品目 スタッフ：製造常時１人、製造補助常時１人、販売常時１人 店舗面積：売場７・５坪、厨房７・５坪 | |||||||
| レジ袋有料化後もサービスの質は維持する - ボー・スィエル | |||||||
伝統的なレシピで本場のフランスパンや菓子、惣菜などを提供する千葉県四街道市のベーカリー「ボー・スィエル」では、７月の有料レジ袋導入を境に、約７割の客がマイバックを持参するようになった。残りの３割はプラスチック製の袋、もしくは紙とプラスチックが２種類ずつあるギフト用の袋の中からいずれかを購入していく。 価格は、通常のプラスチック製のレジ袋については、大が４円、中が３円、小が２円。ギフト用は紙でもプラスチック製でも大は10円、小は５円となっている。導入以降これまでのところ、大きなトラブルはなかったが、レジでの対応は試行錯誤を続けてきたという。 同店の創業者である故ジャン・デリニオンさんの妻で現在代表を務める弘美デリニオンさんは「商品の衛生状態が原因でお客様に何かあれば、こちら側の責任になります。そう考えるといくらマイバックでも、袋詰めに関しては店側がやってあげざるを得ないというのが、今のところ考え抜いた結論ですね」と話す。 今のレジの流れとしてはまず、客が商品をレジカウンターに置いた時点で「マイバックをお持ちですか」と聞いて、持っている場合は、マイバッグを出してもらい、会計をしながら販売スタッフが袋詰めする。一方、客がレジ袋の購入を希望した場合は、販売スタッフが会計しながら有料レジ袋を取り出して商品を袋詰めするという形だ。基本的な流れはマイバッグも有料レジ袋も変わらないと言える。 ただ今はコロナ対策で、列の後ろのほうは外で待ってもらっているので、外で待ってもらっている間に「マイバックをお持ちの方はマイバックを外に出してご準備ください」と客に声かけしておく。こうして客側に協力してもらう事でレジが詰まるのを防いでいるという。 「お客様は商品を袋詰めする事に関してはプロではないですし、店側としては丹精込めて作った商品をできれば最高の状態で食べて欲しいと思います。コロナ対策としても、お客様に対するサービスとしても、商品を袋詰めして渡すまでは店側が行った方が良いのではないかと考えました」（弘美さん） コロナ対策と併行 同店では、毎週末にフランスの伝統的な惣菜をプラスチックの弁当容器に入れて販売している。ただ、最近ではプラスチック容器が貴重なものになってきたと弘美さんは感じている。コロナ対策で売り場の商品を個包装するなどもしており、レジ袋の件を除けば店側が消費するプラスチック容器類は増えてきた。 「惣菜に関しては中身を十分に包み込める厚みの紙容器を使うとなるとコストは大きく増えますし、中の様子を見せるためにも蓋は透明にしなければならないという問題もありますから、どうしてもプラスチック容器は必要になります」（弘美さん） 一方で、業務用として仕入れている様々な原材料は一般販売のものと比べて過剰包装されている事が少ない。ダンボールやプラスチックトレーなど必要な資源回収には協力している。 「確かに省プラ、省ゴミは地球環境にとって大切な事とは考えています。ただし、コロナ対策や徹底した衛生管理をさらに進めていく必要がある今の時点では、店側とお客様側の双方にとって負担のない範囲にとどめざるを得ないかも知れません」（弘美さん） SHOP DATA 店名：ボー・スィエル 住所：〒２８４‐００１６ 千葉県四街道市もねの里６‐１６‐３ 電話：０４３‐３１０‐６０２０ 営業時間：午前９時〜午後７時 定休日：日曜、祝日（2021年1月11日から月曜、祝日へ変更） 品揃え：パン１５０〜２００品目、菓子約３０品目 スタッフ：製造常時５人、販売常時３人 店舗面積：厨房２０坪、売り場１５坪 日商：平日２２万円、土曜５５万円 | |||||||
| 導入自体は無事終了も、レジ対応には課題残る - ベーカリー カルテット | |||||||
東京・大田区のベーカリー「ベーカリー カルテット」は、レジ袋の有料化がスタートした７月以降、プラスチック製のレジ袋を大小２種類販売している。 価格は大が５円、小が３円。それ以前は、ほとんどの客が黙って無料の袋に詰められた商品を受け取っていったが、今は購入してまで有料のレジ袋を使用する客は全体の２割位しかおらず、あとはほとんどの客が買い物専用のマイバックを持ってくるようになった。 「事前告知の効果もあり、導入自体は大きなトラブルもなく、比較的スムーズに進みましたね」と店長の高崎俊介さんは話す。 高崎さん自身の考えとしては、地球環境の問題に関する皆の意識が変わってきたという点では有料レジ袋の導入の意義を感じるという。 「脱プラとまではいかなくても、少しでもゴミになるプラスチックは減らしていくべきだと思いますね。ただ、実務的には、レジで毎回レジ袋を購入するかどうかを尋ねるようになった現状は、前より少々面倒にはなった感じではあります」（高崎さん） 同店では毎回レジで会計後に「レジ袋が有料になってしまいますがご入用ですか」と尋ねる形で、有料レジ袋の案内をしている。それでレジ袋を購入してくれた場合は、客がお金を財布から出してもらっている間に、スタッフがサッと袋に商品を詰めることができるが、マイバックの場合、客が会計に備えて先に袋を出してくれない事もある。その場合、会計後にマイバッグを出してもらい、そこから袋詰するので少々レジが遅れてしまうという。 そのため混雑時には客自身に袋詰めしてもらう事もあるが、その場合、パンの柔らかさに関係なく上から詰め込む人もいる。 「お節介かもしれませんが、折角買ってくださったので、少々残念に思う事です。できれば綺麗に詰めて持ち帰って頂いて最高の状態で食べてもらいたいという店側の思いはありますね」（高崎さん） また、少々不衛生な袋を持参する人もいるので扱いに困る場合もある。感染症対策としては、汚れた部分に直接触れないようゴム手袋をしたり、袋詰めする場所を売り場から少し離すなどして店側が気をつけるしかないという。 「レジ袋を無料で配布していた時の方が、ある程度店側が誘導できる形でサービスを提供する事ができたので、やりやすかったですね」（高崎さん） ゴミは意識的に削減 同店の場合、実は、紙や段ボール類などのゴミは所属する商店街の方で一括しまとめて回収してくれるという。その他のゴミは事業者向けの回収業者に定期的に来てもらっているが、ペットボトルについているラベルはしっかり剥がすなど、最終的に分別やリサイクルがしやすいよう、ゴミの出し方には最大限気を遣っている。 「昔はビンだったオリーブオイルの容器も今はペットボトルになるなど、ここ10年でプラスチック使用の製品は増え、プラごみの量も増えてきた印象はあります。レジ袋の有料化により、プラごみが大きく減る事はないかも知れませんが、リサイクルにはなるべく貢献し、プラごみに限らずゴミはなるべく減らしていけるよう意識はしっかり持っておきたいですね」（高崎さん） また、多少心配していた店の売り上げへの影響に関しては、以前と比べて大きな変動はなかった。ただ来客数が増えてきている一方で、客単価が若干減っている印象があるという。 「最近通販に力を入れるようになった影響も考えられるかもしれません。自分もそうですが、大量に買う場合は通販で、小さな買い物は実店舗でという流れが、多少できてきているのかもしれません。正確なところはわかりませんが、マイバッグに全て入らないから一度の購入量を減らすという人がいる可能性も全くないとは言えないかも知れません」（高崎さん） SHOP DATA 店名：ベーカリーカルテット 住所：〒１４４-００４７ 東京都大田区萩中２−７−12 ＳＴ萩中１０１ 電話：０３-６７１５-１３７０ 営業時間：午前８時〜午後７時 定休日：火曜 品揃え：約60品目 スタッフ：製造常時1〜2人、販売常時1〜2人 店舗面積：売場６坪、厨房20坪 日商：平日10万円 土日14万円 | |||||||
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
