7割から8割は問屋の品揃えの中から選び、残りの2割から3割は自ら探して自ら調達する - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(57) - ブランスリー電子版


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連載/2022年3月号

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7割から8割は問屋の品揃えの中から選び、残りの2割から3割は自ら探して自ら調達する - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(57)
 ベーカリーにとって、パンを作るための原材料の仕入れ管理は、非常に重要だと思います。手作りを売り物にする小規模リテールベーカリーの場合は、製パン製菓の原材料を専門に扱う問屋が、こまめに車で店まで届けてくれるので、パンの原材料の調達に苦労することは少ないのではないかと思います。しかも、ただ単に原材料を届けてくれるだけではなく、売れそうな商品をそのレシピと原材料と共に紹介してくれたり、原材料の価格動向や、ほかのベーカリーの様子などを、数多くのベーカリーを回って歩くのが仕事になっている担当者が、生の情報として伝えてくれることが多いので、小規模リテールベーカリーの経営者にとっては、この上なく有難いのではないかと思います。
 長年修業を積んだ後に、いよいよ自分の店を開こうという時にも、修業していた店に出入りしていた問屋に頼めば、必要な原材料を瞬時に理解して、毎日作るパンの量や、原材料をストックしておける場所の広さなどを考えて、最適な頻度で、必要な原材料を店のバックヤードまで届けてくれることでしょう。
 また、多くの問屋は、ユーザーであるリテールベーカリーを招待して、定期的に展示会を開いていて、リテールベーカリーが繁盛していくための様々な情報を提供しています。本誌も、問屋が開くこうした展示会を取材させていただきますが、問屋を通してリテールベーカリーにパンや菓子の原材料を販売する多くのメーカーが出展して、それぞれが、売れる商品作りのための様々な原材料を積極的に提案してくれるので、訪れたリテールベーカリー関係者の商品開発意欲は限りなく高まっていきます。
 このように、現状では、原材料の値上げの問題などは別として、リテールベーカリーが原材料の調達自体に困るということはまずありません。
 ただ、ここに一つの落とし穴があります。それは、問屋はあなた専属ではないということです。あなたの店に届ける原材料は、同じ地域の他の店にも届けます。すなわち、ある一つの問屋からパンの原材料を仕入れているリテールベーカリーは、すべてその問屋の同じ品揃えの中から原材料を選んでいるということになります。
 「他では買えないパン」を作ることがリテールベーカリーの至上命令だとしたら、製法や技術での差別化は十分に可能だとしても、「他では使えない原材料」で差別化を図ることも大きな課題となってくるのではないかと思います。
 私がこれまでに取材させて頂いた繁盛ベーカリーの中には、「他では使えない原材料」を製品のポイントになる部分に使用して好結果を得ているところが、数多くありました。例えば、実家が畑をやっていて、そこで採れた野菜を調理パンに使うとか、地元の豆腐店で出たおからを譲り受けて「おからパン」を作るとか、全粒粉だけは、地元の小さな製粉会社のパン用にはほとんど使われないものを使うとか、いろいろなケースがありました。
 「地産地消」の価値が深く認識される現在においては、地元産の食材を積極的に使用してパンを作るリテールベーカリーも数多くあります。
 ところで、このように、それぞれのリテールベーカリーが独自の原材料調達を行うことにも、製パン製菓原材料問屋の至れり尽くせりのサービスが大いに役立っています。
 もし問屋が定期的に、パン作りに必要な原材料を店まで運んでくれずに、店で使うすべての原材料を一から独自に調達しなければならないとしたらどうでしょう。おそらく、店を回していくのはかなり難しいのではないでしょうか。
 私がこれまで取材してきた繁盛べーカリーのオーナーの方々の話を総合すると、店で使う原材料の7割から8割は問屋の品揃えの中から選んで、残りの2割から3割は、自らの価値観に厳密に従って、自分が目指すパンを実現するために本当に必要な原材料を一から自分で地道に探して自ら調達する、というのが、ひとつの理想形のように思います。(RO)









原価計算女王
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