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| 店主の日比谷友美さん。手にしているのは日比谷さんが製作した同店のマスコット「たぬー」 |
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| パンの並ぶ店内。窓から山の景色が見渡せる |
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| ヤッホーパン」の外観。空き家だった建物を改装した。デザインや塗装などは日比谷さんが手掛けた |
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| クラムがふわふわで大き目の気泡が特徴的な「キタノカオリの食パン」(税込380円) |
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| ホールで購入する人が多い「パンオルヴァン」(税込730円) |
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| マスカットレーズンがみずみずしく風味の良い「レーズンとクルミ」(税込450円) |
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買いやすい価格で売る店を目指す 埼玉県西部、秩父山地などの山々に360度囲まれた横瀬町にある「ヤッホーパン」。店内の売り場の窓からも、その山々の広がる景色が見渡せる。
店主の日比谷友美さんはこの地に開業した理由について「景色がいいんですよ。山も好きだし、自然が多くて、私自身が健やかに過ごせそうだなと思って」と話す。
同店は昨年11月、開業2年目に入った。冬の時期も雪が積もることはほぼなく、周辺に芝桜の名所やキャンプ場など四季折々の自然が楽しめる場所があることから、一年を通して観光客も訪れる。特に土曜日は遠方からの客も多く、昼過ぎに完売してしまうこともある。
「役場の裏に当たるので場所は伝えやすいのですが、路地の行き止まりなので、通りすがりに寄ってくれるようなことはないですね。今日はお客様が多いなと思っていたら、夕方にはぴたっと止まってしまうこともあります。ですが、ロスは出したくないので、少数多品種を心がけて作っています」(日比谷さん)
製造は日比谷さんがほぼ一人で行い、一日に約35種類のパンを並べる。「パンオルヴァン」(税込730円)や「レーズンとクルミ」(税込450円)などのハード系の割合が多く、クラムがふわふわで大き目の気泡が特徴的な「キタノカオリの食パン」(税込380円)や「クリームパン」(税込190円)、「こしあんぱん」(税込190円)などソフトな食感のものも揃える。
日比谷さんは東京・吉祥寺の「ダンディゾン」で約6年間修業。その後同店のシェフを長年務めた木村昌之さんの新天地、長野県上田市の製パン所に勤めるなどし、開業に至った。縁あって横瀬町での開業となったが、同町で好まれているパンと、日比谷さんがこれまで作ってきたパンとの違いは明らかだった。
「この辺では、パンは大きくて安く買えるものとして捉えられている印象を受けました。対して私の作るパンは、大きさの割に高いってなるだろうなと。直にお客様の値段の感覚を知りたかったのと宣伝効果も兼ねて、店舗を構える前に月2回のペースで約一年間、テスト販売をしました。そうして価格設定をしたのですが、早くもオープン直後に40円値下げした商品があります。周りのお店との差が気になって、自分でもどうしても高いと思ってしまうんです」(日比谷さん)
しかし、本格的なハード系のパンが買える店として熱心に通ってくれる客も増えてきた。
「『今までハード系のパンが買えるところがなかったから嬉しい』って言ってくれるお客様の存在がありがたいですね。おかげさまで、安さが魅力の店にはできないけど、おいしそうな商品を買いやすい値段で揃える店でいこうと思えるようになってきました」(日比谷さん)
サンドする楽しさに気付いてもらえた 「パンオルヴァン」は直径20センチ以上ある大型のパン。当初は土曜日限定で1個販売していたが、毎回完売だったため、平日も試しに1個販売するようにした。すると平日も土曜と変わらず完売できることが分かった。
「ちょっと驚いているんですが、売り場に出したら割とすぐなくなるんです。カット売りもしていますが、ホールで購入される方の方が多いのも嬉しいです。今は1日1個なので、それを2個に増やすのが、次の目標になっています」(日比谷さん)
同店のハード系のパンは、着実に客に浸透してきている。それは客のハード系の楽しみ方の変化から見て取れる。今までは、バゲットに生ハムとバターをサンドした「ジャンボンブール」(税込450円)を買っていた客が、最近はバゲットを買って自宅でサンドイッチを作るようになったという。
「『家で好きなものを挟めばいいのよね』って言われたとき、気付いてくれたんだって嬉しくなりました。サンドしたら意外と何でも合うし、楽しいし、こうした体験を通して、パンをもっと身近に感じてもらえたらと思っています」(日比谷さん)
日比谷さんもハード系パンを食べて感動した体験がある。よりパンを好きになり、後に職業として意識するに至ったきっかけとなった。そのきかっけとは、大学の卒業旅行で北欧を旅行した際に黒パンを食べたことだ。
「スライスしてそのままとか、シンプルにバターを塗ったり、キュウリを挟んだりしただけだったんですがおいしくて。それまでもパンはいろいろ食べていましたが、黒パンは初めてで、『酸っぱくておいしい。パンって面白いな』って感動したんです」(日比谷さん)
美大を卒業後、店舗デザイン会社に就職し設計業務に従事。その間パン教室に通うなどパンは趣味に留めていた。
「設計をしても、実際に作るのは職人さんなのでジレンマがありました。ものづくりをするのに、自分で手を動かして形にしていきたいという思いがあったからです。考えた末、それができるパン作りを仕事にしようと、転職を決めました」(日比谷さん)