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キー・パーソン/2004年7月号

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パンの屋敷に招待する - パン工房クーロンヌ・田島浩太さん





石窯で焼いたハースブレッドの数々。右から「フルーツライ」(320円)、「クランベリーナッツ」(180円)、「レザン」(300円)
買い物をしている時の空気みたいなものを大事にしたかった。
問 クーロンヌつくば店は、門を入って、庭を通って、玄関のドアを開けるとパンがたくさんあって、石窯があって、スタッフの元気な声が響いていて・・・まるで、地域の人たちを集めてパーティーをしているように感じました。
田島 温かい家庭にお客様を招いてもてなしているような雰囲気の店を作りたかったんです。
ただ単にパン売り場を作るのではなくて、買い物をしているときの空気みたいなものを大事にしたいと思いました。
玄関があって、庭があって、建物の中にはパンがあって、庭でパンを食べながらくつろいでいただく・・・そんな家庭的な空気を作り出したかったんですよ。そのためにも、店の周りを柵で囲み、外の世界とは遮断しました。
この辺は周りに何もないので、「パンを買い終わってさあどうしよう」というときに、それじゃ庭でくつろいでいただこう、コーヒーを無料でサービスして、ちょっとした時間をすごしていただこう、そういう発想からこんな店になりました。

「そこまでやるか」というくらいやらないと、支持は得られない。
問 ずばりお聞きします。繁盛店を作るにはどうしたらいいのでしょうか。
田島 お客様が何を求めているかを追求し、お客様に喜んでもらうための非効率をどれだけできるか、ということに尽きると思います。
自分の都合を優先させるか、お客様の都合を優先させるかで決定的に結果が違ってきます。利益率と生産効率がいいものを売っていこうと考えるのか、それともお客様が望むものであれば、たとえ利益率や生産効率が悪くても、できる限り対応しようと考えるのか、の違いだと思います。
問 お客様のための非効率とは具体的にはどんなことですか。
田島 あるとき常連客のご老人から「今日は雨でパンがほしくても買いにいけない」と店に電話がありました。そういう時は、たとえわずかな量でも「それじゃ、届けますよ」といって、パンを届けます。
また、あるとき近所の主婦が、「幼稚園のバザーに参加して、パンを売りたいので作ってほしい」と相談してきました。「子供が喜んでくれて、しかも値段が安いパン」という条件でした。バザーなので利益も出さなくてはなりません。そうするとウチからはかなりの低価格で出荷しなくてはなりません。しかも、作るのは一番忙しい日曜日で、店のパンの製造と並行して作らなくてはなりませんでした。でも、なんとかやりくりして対応しました。
その主婦の方といろいろ相談して、パンでできた籠を作って、その中にキャラクターパンなど子供が喜びそうなパンを入れようということになりました。当日、できた商品を届けて番重を開けたら、みんなから歓声があがりました。飛ぶように売れて大成功でした。その主婦の方からは本当に感謝されました。
それが評判になって、別の幼稚園からも依頼が来ました。もちろん同じように対応しました。
問 そうしたことを続けていれば、「パンを買うならクーロンヌで」といっていただける人たちが自ずと増えてきますよね。
田島 「そこまでやるか」というぐらいやらないとお客様の支持は得られません。これは実感です。
お客様が多くて、店の前の道路が混雑してしまうときなどは、製造スタッフが交通整理をします。
ある寒い雨の日、スタッフの1人が店の前で、交通整理をしていると、あるお客様が、「ご苦労様」といって、温かい缶コーヒーを手渡してくれました。

店に行ったら元気な声であいさつ、スタッフ一人一人に謝意を伝える。
問 スタッフの方々がてきぱきと楽しそうにのびのびと仕事をされているのが印象に残りました。
田島 昔、使用人だった頃に嫌だなと思ったことは、スタッフに対して絶対にしません。昔、されて嬉しかったことをスタッフに対してするようにしています。
問 例えばどんなことですか?
田島 あいさつです。現場で必死に仕事をしているときに、偉い人があいさつもせずに黙って入ってきて、いきなり「こうしろ、ああしろ」と指示されても、素直に聞く気にはなれませんでした。そういう上司に何かで怒られたときなどは、反発するばかりでした。
逆に、「ご苦労様」「頑張ってる?」などと言って入ってきて、みんなに声をかけてくれれば、「こうしろ、ああしろ」と指示されても、「頑張ろう」という気になったものです。
ベーカリーの現場では、あとから現場に出てきた人が、すでに現場で仕事をしている人に最初に声をかけるのがルールだと思います。それには上下関係は関係ありません。ですから、私は店に入るときは、必ず大きな声であいさつして、スタッフ一人一人の近くまで行って、声をかけるようにしています。近くまでいけない場合でも、視線やジェスチャーで、「ご苦労様」という私の気持ちが伝わるように努めています。



●リュスティック - キー・レシピ
液種を配合。ミキシングをアンダーにして、パンチで生地を作っていく。もちっとした食感と深い味わいが特徴。
【液種配合%】
フランスパン用粉…………100
インスタントイースト………0・15
水…………………………100
モルト………………………0・2
【液種工程】ミキシング→手捏ね、捏ね上げ温度26度C、発酵26度C18時間(発酵終了生地温度26度C)
【本捏配合%】
フランスパン専用粉………100
ゲランドの塩………………2・6
液種………………………60
水…………………………68
モルト………………………0・2
【本捏工程】ミキシングL3分、捏ね上げ温度23度C、フロアタイム30分(パンチ)1時間(パンチ)1時間(パンチ)30分、分割約150グラム、成形→切りっぱなし(分割したまま)、ホイロ28度C75%30分、焼成上火230度C下火215度C20分(スチーム注入)
※分割の際は、重量をあまり気にせずに、1回で切り分けるようにする。
※ミキシング前に、モルト、水、液種をよく混ぜ合わせる。



●じゅうじゅう焼き - キー・レシピ
製法は途中までベーコンエピと同じ。成形の最後でカットする際に斜めに4、5本、ベーコンが見えるまで切れ目を入れる。
ホイロを出した後▼たれを切れ目を中心に塗り、焼成する。
焼き上がったら、お客の前でもう一度たれを塗って、じゅうじゅうと音を出すのが、ポイント。
▼たれ
【作り方】
3倍濃縮麺つゆ3に対して1のごま油を入れる。ごま油の量は好みにより調整する。



●パン・オ・ゴルゴンゾーラ - キー・レシピ
ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ)とくるみを練り込んだパン。ブルーチーズは、熟成が進んだものを使用する。
【液種配合%】
ライ麦粉(細引き) …………30
インスタントイースト………0・15
水…………………………30
モルト………………………0・1
【液種工程】ミキシング→手捏ね、捏ね上げ温度26度C、発酵26度C18時間(発酵終了生地温度26度C)
【本捏配合%】
フランスパン用粉…………70
ゲランドの塩…………………2
蜂蜜…………………………4
水…………………………40
インスタントイースト………0・2
発酵バター…………………4
ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ)……………………………12
くるみ………………………18
【本捏工程】ミキシングL3分M6分、捏ね上げ温度23度C、フロアタイム1時間30分(パンチ)30分、分割180グラム、ベンチタイム25分、成形→バゲット形、ホイロ28度C75%1時間、焼成上火230度C下火215度C18分(スチーム注入)
※生地が90%ぐらいできたらブルーチーズとくるみを入れる。

THE SHOP

パン工房クーロンヌつくば店(茨城県つくば市松野木字中山152-40、電話0298-60-2636)は、2002年11月にオープン。敷地面積は駐車場も入れておよそ320坪、建坪はおよそ50坪。全体に「パンの屋敷」といった趣き。
現在の平日の平均日商はおよそ60万円。休日には100万円を売り上げる。品揃えはおよそ90品目。製造スタッフは常時14〜16人、販売スタッフは常時5〜8人の体勢。売り場面積約13坪。厨房が約24坪。ベーカーズチーフの倉持和臣さんは「とにかく焼きたてを提供することに努めています。お客様は、パンの種類ではなく、焼きたてかどうかで買う商品を決める傾向があります」という。

外観はコテージ風。写真右手が門になっていて、売り場入り口は、写真中央にある。木の柵の向こう側は、子供用の遊具なども設置したオープンカフェ風のスペースになっている。来店客は、門を入って、オープンカフェ風のスペースを通り、パンの売り場へ入るレイアウトだ。手前は駐車場。
門を入って、オープンカフェ風のスペースを通り抜けると、パンの売り場の入り口がある。入り口の横では、焼きそばを焼いていた。
売り場は約13坪。天井が高く、奥には中二階があって、ドライフラワーや麦の穂などが飾られている。「お客様からディズニーランドみたいな雰囲気ですね、と言われることもあります」とベーカーズチーフの倉持和臣さんは嬉しそう。
天井には、年代を感じさせる太い柱が縦横に張り巡らされていて、趣がある。


売り場に入って、左手に厨房がある。売り場と厨房の境目の位置に大きなスペイン製の石窯がある。石窯の向こうの厨房は、売り場からよく見えるようになっている。売り場と厨房の仕切りはない。石窯で焼き上げたパンは、製造スタッフの元気な声と共に、石窯の前の平台に並べられる。「パン焼きショー」を見ているような感じだ。取材の途中で「じゅうじゅう焼き」という商品が焼き上がってきたが、本当に「じゅうじゅう」と音を立てていた。
売り場に入ってすぐ右手には、サンドイッチや調理パンを作るスペースがある。顧客の目の前で作ることにより、新鮮さをアピールしている。


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謹賀新年