100年近く愛され続ける老舗の自家製サンドイッチ - マルキパン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2025年7月号

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100年近く愛され続ける老舗の自家製サンドイッチ - マルキパン
2代目として40年ほどパンを作り続けてきた荒井憲一さん
京成立石駅から300メートルほど歩いた場所にある「マルキパン」
約15坪の広さの売り場には約100種類のパンが並ぶ
冷蔵ケースに並ぶのは、サンドイッチに使用しているサラダ各種や、「ハムカツハムタマゴ」(税込450円)、「ハムタマゴポテト」(税込450円)などの各サンドイッチ(サムネイルは、「ヒレカツミックス(小)」)
「野菜サラダドッグ」(税込200円)や「タマゴサラダドッグ」(税込200円)が並ぶ陳列棚
右上から時計回りに「ロースカツドッグ」「野菜サラダドッグ」「ツナドッグ」「タマゴサラダドッグ」 の各商品
自家製サラダのサンドイッチが人気

 東京・葛飾区の京成立石駅から300メートルほどの場所で1931年から営業している「マルキパン」。駅周辺には下町情緒溢れる店が連なる7つの商店街が広がり、同店はその内の一つ、立石大通り商店会に属している。
 同商店会会長と町内会長を77歳の今も務める荒井憲一さんは、1974年に創業者である父から2代目として同店を継いだ。現在は憲一さんの息子の重富さんが3代目工場長として製造の中心を担っている。憲一さんも厨房に立ち、製造はパートスタッフを含めて2〜3人で行っている。
 店舗の入り口は全面ガラスの自動ドア。約15坪の売り場は入って右側に3段の陳列棚、左側にサンドイッチが並ぶ冷蔵ケース、中央に陳列台が一台ある。正面奥にレジがあり、レジの向こうに厨房がある。
 開店は朝7時で、最初に並ぶのはサンドイッチ。食パンを使用した「ハムカツハムタマゴ」(税込450円)や「ハムタマゴポテト」(税込450円)などのサンドイッチの詰め合わせが冷蔵ケースに並び、コッペパンを使用した「野菜サラダドッグ」(税込200円)、「タマゴサラダドッグ」(税込200円)、「ロースカツドッグ」(税込300円)などが陳列棚に並ぶ。
 続いて8時頃に「クリームパン」(税込180円)などの菓子パン、9時頃に「クロワッサン」(税込180円)やデニッシュ、10時頃に「ハイトースト」(税込380円)などの食パン、そして午後1時過ぎ、最後に並ぶのは、「バゲット」(税込320円)や「イチジククリームチーズ」(税込330円)などのハード系約8種類と、「カレーナン」(税込240円)などの焼き込み調理パン。

自家製サラダが支えるサンドイッチ

 「創業から40年ほどは、あんこを炊いて、和菓子も一緒に作って販売していました。パン専門にしてから、ずっと100種類以上は作り続けていますね。うちはサンドイッチなど調理系の割合が半分くらいあると思います」(憲一さん)
 同店のロングセラーの代表格「野菜サラダドッグ」は、長さ15センチほどのコッペパンに人参、キュウリ、キャベツなどで作ったサラダをたっぷりサンドした商品。このサラダは「刻み昆布が隠し味」(憲一さん)で自家製だ。「タマゴサラダドッグ」や「ハムタマゴポテト」に使用するタマゴサラダやポテトサラダも自家製で、これらの自家製サラダはそれぞれ1カップ税込250円での販売も行っている。
 「サラダの味付けは時代に合わせて変えていますが、日々ぶれることがないように工場長に一任しています」(憲一さん)
 「ロースカツドッグ」や「ハムカツハムタマゴ」などにサンドしているロースカツとハムカツも、近所の精肉店から仕入れた肉とハム、「食パン」の耳で作る自家製パン粉などを使って手作りしている。
 「パン粉は少し粗目にすると食べた時に食べ応えが感じられていいんですよ」(憲一さん)
 自家製の具と「食パン」を使ったサンドイッチは8種類。具の組み合わせの違いだけでなく、「ハムタマゴ(中)」(税込400円)と「ハムタマゴ(大)」(税込480円)といったように、具は同じだがボリュームが違うという商品もある。
 同店の定番として長く作り続けているこれらのサンドイッチを、憲一さんは昼ご飯としてほぼ毎日食べてきたという。そのことが、同店のサンドイッチが洗練されていった一つの要因になった。
 「サンドイッチを入れるパックも色々試してきましたね。今採用しているパックは少し値が張るのですが、自在に開閉できて、食べるときに便利なんですよ。以前は閉じるのに輪ゴムやホチキスを使っていたこともありましたが、それだと間違えて口に入れてしまう可能性もありますからね」(憲一さん)



「コッペパン(ジャム)」(税込230円)など菓子系が並ぶ陳列スペース。調理系と菓子系のパンはそれぞれ専用のコッペパンを使用している(サムネイルは「コッペパン(ジャム)」の断面。ジャムはたっぷり入っており、ふわふわのパンによく馴染んでいる)
「クリームパン」(税込180円)などの菓子パンが並ぶ陳列スペース(サムネイルは、「クリームパン」の断面)
「クロワッサン」(税込180円)やデニッシュなどが並ぶ平台(サムネイルは、「クロワッサン」の断面)
「ベーコンエピ」(税込270円)や「イチジククリームチーズ」(税込280円)などのハード系が並ぶ陳列スペース(サムネイルは、「イチジククリームチーズ」の断面)
時代の流れに乗ってできることを追求

 数年後この地で100年を迎える同店は、三代にわたって来店する客も多い。遠方の転居先から懐かしんで来店する人もいる。
 「レシピや品揃えはできるだけ変えないように、値上げもお客様の負担にならないように考えてやっていますね」(憲一さん)
 老舗として変わらないおいしさを守り続ける一方で、憲一さんは常に新しい試みに取り組んでいる。
 「やはり世の中の風向きというのはどんどん変わっていきますから、やれることはその都度やっていかないといけないと思っています」(憲一さん)
 30年前から15年間続けた軽自動車による移動販売もその一つ。一時間で10万円を売り上げるときもあった。
 「駅周辺は便利になっていくのですが、駅から離れた住宅街は、店がなかったり足の便が悪かったりで、買い物に困っている人が増えてきています。人と話すのが好きだし、こうした人たちの助けになれたらと思ってやっていましたね」(憲一さん)
 移動販売時の客の中には、今は同店に買いに来るようになった人もいるという。結果的に認知度を上げ、商圏範囲を広げるのに役立ったのだ。

皆が喜んでくれたらいいなという思い

 10年前から続けているのは、近隣にある保育園向けのパン製造と配達で、現在は10カ所を請け負っている。製造体制の安定化を図るため、店舗販売の定休日を週休1日から2日に増やした。
 「10年前、20年前とは、町の景観はかなり違います。町の流れというか、人々の動きも変わりますから、当店のできることもそれに合わせて変わってきましたね」(憲一さん)
 ハード系のパンを同店で製造販売するようになったのは、まだ扱う店が少かった50年ほど前だ。
 「ハード系のパンを出した当初は、バゲットが食パンに取って代わっていく位の勢いで、ハード系に力を入れていました。世の中の流れに合わせつつ、時には新しいものを提案するなど、お客様を店側がリードしていくことも必要なんですよね」(憲一さん)
 取材中、憲一さんのもとに区内の支援学校から職業体験学習の日程を確認する電話があった。同店は近所の中学校などの職業体験学習の受け入れを毎年行っている。町内会長や商店会会長も勤め、地域に欠かせない多くの役割を担っている憲一さんは、バイタリティーに溢れている。
 「基本にあるのは、皆が喜んでくれたらいいなという思いと、皆が楽しければいいなという考えなんです。ストレスに感じることも、かえってそれがやる気に繋がり、生き甲斐になります。日記を15年以上書いていてよく読み返すのですが、パン屋というのは自分の人生の中の一つの流れなんだと思いますね」(憲一さん)

SHOP DATA
店名:マルキパン
住所:〒124−0013 東京都葛飾区立石3丁目25‐13
電話:03‐3694−3337
営業時間:午前7時〜午後7時
定休日:月曜、火曜
品揃え:約100品目
スタッフ:製造常時2〜3人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約15坪、厨房約15坪
日商:平日約12万円、土曜、日曜約17万円



この記事の読みどころ

●1931年創業の老舗パン店を親子三代で受け継いで営業している。
●自家製のサラダや具材を使ったサンドイッチが長年人気を集めている。
●移動販売や保育園への納品などに、時代の変化に合わせて柔軟に対応。
●地域活動や職業体験の受け入れなどを通じて、地元とのつながりを大切にしている。





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