油断せず、新展開目指す - ベーカリーハンスローゼンの馬渕邦之社長 - ブランスリー電子版


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インタビュー/2018年7月号

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油断せず、新展開目指す - ベーカリーハンスローゼンの馬渕邦之社長
経営に専念する馬渕邦之社長
 神奈川県川崎市内の東急田園都市線・宮前平駅近くに本店のあるベーカリーハンスローゼンは、1974年(昭和49年)創業の老舗ベーカリーだ。店舗販売の他、移動販売も運営する。創業当初はドイツパンに力を入れていたが、取り上げる時期が早すぎたのか、シェアは徐々に縮小し、現在の形に落ち着いた。バターロールを毎日1000個販売するとともに、食パン類をラックオーブンを使用して20種類以上焼き上げる。2年前の店舗移転による影響を受けながらも、迎賓館赤坂離宮での商品販売を呼び込んだ3代目社長、馬渕邦之さん(50歳)の話を聞いた。

こじんまりしたベーカリーハンスローゼン本店の外観
ハンスローゼンの移動販売車。東急沿線を中心に営業する
調理パンなどは対面販売。尋ねると丁寧に商品説明をしてくれる
夕刻、主婦たちが店内に吸い込まれていく
2〜3人でいっぱいになる店内。接客は丁寧だ
迎賓館で新たに商品販売

―――昨年12月に迎賓館赤坂離宮でシュトーレンを販売したそうですね。
馬渕 友人の弟さんが迎賓館内の庭園で、キッチンカーを使って商売をしていたんです。迎賓館は2016年から一般公開しています。日本が観光立国を目指していることと関係があるんでしょうね。その彼から昨年10月に、サンドイッチを出せないかと声を掛けてもらいました。そこでフォカッチャのサンドを提供しました。
―――提供した結果はどうでしたか。
馬渕 良い結果と言えます。迎賓館側から、12月にシュトーレンを用意できないかとの話が持ち込まれたので。シュトーレンはネット販売も含めて600〜650個毎年用意しています。迎賓館には当初50個用意しましたが、結果として150個を販売できました。
―――販売したのはシュトーレンだけですか。
馬渕 ラスクやイチジクのパンケーキも販売しましたが、評判が良かったですね。
―――これからも催事などがあれば、例えば季節感のある焼き菓子を販売することもありますか。
馬渕 それが、この4月から通年で焼き菓子の販売を始めています。
―――迎賓館の評価は高かったんですね。
馬渕 販売を続けられるのは嬉しいことです。6月からはアフタヌーンティー用にスコーンも提供します。紹介者の方は大手ホテルのソムリエでした。その方と一緒に仕事ができるのを楽しんでいます。人とのつながりとは面白いものですね。

創業時はドイツパン中心

―――これまで築いてきたことの表れではないですか。
馬渕 そうですね。1974年3月に叔父が創業したので、今年で44年を迎えました。当時、リテールベーカリーは珍しかったと思います。私は理由を聞いていないのですが、叔父はドイツパン中心の店づくりをしたのです。しかし、需要という点では時期が早かったのでしょうね。思惑通りには進まなかったようです。
―――今の形になったのはいつ頃からですか。
馬渕 意識して現在の形にしたのではありません。ドイツパンを縮小していく中で、他の商品が増えていきましたので、自然に今の形になったということです。
―――創業当初から宮前平ですか。
馬渕 創業はここから2つ先のたまプラーザ駅です。田園都市線沿線の開発の波に乗って、オープンしたようです。その後、宮前平駅地下街のデリカガーデン内に移転オープンしました。
―――現在の店舗展開はどんな感じですか? 東急大井町線・九品仏駅近くの商店街に路面店がありますよね。また、同じ路線の等々力駅ホーム上に販売店もあります。東急との関係が深いようですが。
馬渕 東急ストア6店舗に卸しています。長くお付き合いさせてもらっています。ところで、等々力店は昨年11月に閉店しました。東急からの依頼で3年間営業しました。閉店は、駅上に転落防止用のホームドア設置工事が始まるからです。お客様からは、ホームドアは要らないから営業を続けて欲しいとの要望もありました。再オープンも考えています。
―――今の本店の宮前平店は、2年前に宮前平駅地下街のデリカガーデン内の店舗から移転したのですね。
馬渕 実はデリカガーデンは現在改装中なんです。この店は今は仮店舗の認識です。
―――デリカガーデンが改装オープンすれば、再出店するのですね。
馬渕 来年の3月頃になる予定です。
―――店の前にお客さんが並んでいましたが、いつもですか。
馬渕 売り場はお客様が2〜3人も入れば一杯ですから。それでも日に400人前後のお客様が来店してくださいます。
―――デリカガーデン改装による移転の影響は少ないのでは。
馬渕 デリカガーデン内のスペースは広かったんです。思わぬ形で移転を余儀なくされたので影響がないとは言えません。ただ、同時期に移転した九品仏店の売り上げは向上しています。



1日に1000個販売するバターロール
最近人気の「塩ワッサン」。雑穀入りの生地を使用
創業時からの人気商品「モンプルンダー」
ウインザーブレッドの生地を使った「チーズブロート」
油脂にポークラードを使用したウインザーブレッド
バターロール1日1000個

―――移動販売車でも営業をしていますね。
馬渕 いま、営業車は2台です。販売場所は東急沿線が中心です。販売する商品は店舗と同様です。10時30分にフランスパンが焼き上がるのを待って、出発します。1度に持って行く数と1週間のスケジュールは決まっています。歩合制ですので販売場所は営業者自身が選択しています。ただ、いつもは1万円の売り上げが期待できる幼稚園で、急な保護者会で通常通りにはいかないこともあります。計算できない部分もあって、結構大変です。
―――販売方法は、店舗、移動販売、卸しの3形態ですね。これらを支えている商品の一つはバターロールと聞きました。
馬渕 支えの一つではあります。1日1000個を販売します。
―――何故バターロールなのでしょう。
馬渕 私が入社したのは12〜13年前ですので、その辺のいきさつははっきりとは分かりませんが、お客様に毎日パンを食べていただきたいとの思いがあったようです。店舗ではばら売りをしますが、東急ストア内では5個入り280円で販売しています。

角食は1日に140本

―――売り場を見ると食パンが充実しているようですが。
馬渕 食パンは20〜30種類あります。ラックオーブンを使っているので、一度に70本焼き上げられます。角食(1斤税込190円)は2種類ありますが、それぞれ毎日70本焼成します。つまり角食は140本ですね。
―――他の食パンは何本焼き上げるのですか。
馬渕 基本は毎日10本です。通常の食パンにあんやレーズンを入れた商品もありますが、特徴のあるものとしては、天然酵母を使った「ナチュラルカントリーブレッド」、油脂にポークラードを使用した「ウインザーブレッド」などがあります。「ウインザーブレッド」はハムとチーズがよく合いますので、お客様に薦めています。それに、胚芽全粒粉入りの商品や黒糖入りの物もあります。
―――それらを売り切るのですか。
馬渕 ほぼ売り切ります。東急ストアに卸した商品は賞味期限の1日前に引き上げて、自店舗で価格を下げて販売します。無駄にはしたくありませんのでね。

一工夫で人気商品に

―――創業時からの人気商品はありますか。
馬渕 いわゆるロングセラー商品は結構ありますが、中でもお薦めの一つが「モンプルンダー」です。リッチな生地にクルミやチョコがたっぷりと入ります。30年以上前から販売する「ハワイアンスイートブレッド」も人気です。バターや卵をふんだんに使っています。
―――最近の商品では何かありますか。
馬渕 「塩ワッサン」かな。材料メーカーに薦められたのですが、一工夫して雑穀入りの生地を使ってドイツパンぽく作りました。お客様には、バターが多く入るので、温めて食べることを薦めています。
―――お客さんの評判も良さそうですね。
馬渕 嬉しいことです。でも、今年は季節の変化が例年と異なり対応に苦慮しています。実は、2年前のデリカガーデンからの移転には戸惑いもありました。そこでの長い経験があったがために営業的には安心していました。来年には池上線沿線への出店も決まりましたので、デリカガーデン改装オープン再出店後は、2年間の経験を踏まえて、新たな展開を考えなければなりません。





原価計算女王
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