消費者にとっての商品価値はこれまで十分に考えてきたので、これからは生産者にとっての商品価値についてもっと考えよう! - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(84) - ブランスリー電子版


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連載/2024年6月号

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消費者にとっての商品価値はこれまで十分に考えてきたので、これからは生産者にとっての商品価値についてもっと考えよう! - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(84)
 今月号の特集は、「お店拝見特集」と銘打って、ベーカリー3軒を取材しました。いずれのベーカリーも個性豊かで、それぞれの色で輝いているという印象でした。
 そんな中で、「ブーランジェリー ソラ±ハナ」のオーナーシェフ、長尾大さんの言葉が印象に残りました。
 「必要とされている実感はあるので、無理のない形でずっと続けていきたいですね。形は変わっても(店の規模は若干縮小しても)、これからもずっとこの町の人たちの憩いの場であり続けたいと思います。パンを焼き続けたいという思いだけはずっと変わらないですね」
 商売をする人は、商品を購入する客にとって価値の高い商品を生み出さなくてはなりません。客は、商品にその値段に見合った価値を認めなければ、絶対にその商品を購入しません。ですから、パン職人の方々も日々価値の高いパンを作ろうと、腕を振るっているわけです。
 一方で、商品は、それを作る人にとっても価値が高いものでなくてはなりません。商品を提供する人にとっての商品の価値は、それを購入する人にとっての価値とは、当然ながらその判断基準が異なります。
 消費者は、価値の高い商品には、価値の低い商品よりも、より多くのお金を支払います。しかし、一定の価値に対して許容される上限の金額があり、それ以下の範囲で実際の価格が低ければ低いほど、消費者はその商品を価値の高い商品だと認識します。つまり消費者にとっての商品の価値は「購入者が感じる商品の実質的な価値/価格」で表すことができます。
 それでは、生産者にとっての商品の価値はどのように捉えたらいいでしょうか。生産者は販売することを目的に商品を作りますから、当然ながら前述の「購入者が感じる商品の実質的な価値/価格」の値ができる限り大きい商品を作ろうとします。それができる能力の程度が、生産者の競争力を決定します。
 しかし、生産者にとっての商品の価値は、これとは違う観点から捉えることができます。すなわち、ある商品に一定の価値を盛り込もうとするときに、その実現に要する資源をいかに少なくするかという観点です。これは、消費者にとっては重要なことではありませんが、生産者にとっては、大きな意味を持つ事柄になります。
 リテールベーカリーの世界では、パン製造の効率化の話をすると、「手間を惜しんでいては美味しいパンは作れない」などと言って不機嫌になる人たちも少なくありませんが、美味しいパンを作るためにこそ、パン製造の効率化を図らなくてはならないのだと思います。それは、製パンのメカニズムについて、より深く考えるということでもあります。前述の長尾さんの言葉も、こうしたことに関連してくるのだと思います。
 このように考えてくると、消費者にとっての商品の価値が「購入者が感じる商品の実質的な価値/価格」で表されるのに対して、生産者にとっての商品の価値は、「購入者が感じる商品の実質的な価値/製造コスト」で表すことができるでしょう。
 一昔前までは、消費者にとっての商品価値だけを重要視し過ぎた結果、経営者が無理をするだけならまだいいのですが、従業員にも過大な負担をかけ続け、様々な矛盾を生み出してしまったことは否めないと思います。当時の世の中の価値観の中では、そうした矛盾には目を向けずに、身も心も擦り減らして頑張る人達を賛美していた側面もありました。
 世の中の価値観は時代と共に変わります。今は消費者にとっての商品価値よりも、生産者にとっての商品価値を重要視しなければならない時代です。
 昔、栄養ドリンクのCMの中の「24時間戦えますか」というキャッチフレーズが一世を風靡したことがありましたが、今の時代は24時間戦う必要は全くありません。睡眠時間を十分にとって、万全の体調で戦いましょう。(RO)







原価計算女王
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