カレーパンが客を呼ぶ - ブランスリー電子版


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特集/2023年2月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


カレーパンが客を呼ぶ




店の成長に大きく貢献したカレーパンを客とスタッフが団結して応援した - ピーターパン石窯パン工房店
「ピーターパン」の創業者、横手和彦会長
「カレーパングランプリ2022」で金賞を受賞したことを伝えるポップとともに陳列された「コクうまカレーパン」(税別180円)
「カレーパングランプリ2020」で受けた最高金賞の賞状や楯なども店内に掲示
千葉県船橋市の「ピーターパン石窯パン工房店」
「カレーパングランプリ」で3年連続金賞を受賞した「コクうまカレーパン」
焼きたての「コクうまカレーパン」をスタッフが陳列する様子
応援してくれた顧客が心から喜んでくれた

 「受賞が決まった時は、自分たちが喜ぶ以上にお客様が喜んでくれた事に驚きました。お客様は、自分達が応援したカレーパンが受賞したという事がとても嬉しかったようです」
 千葉県船橋市内の本店を中心に、10店舗を展開するベーカリー「ピーターパン」の横手和彦会長は、日本カレーパン協会が主催する「カレーパングランプリ」で同店の「コクうまカレーパン」(税別180円)が3年連続で金賞を受賞した事についてこう振り返る。
 「コクうまカレーパン」は2020年のカレーパングランプリで、一般消費者からの投票により予選を通過し、本選でのネット投票でも東日本の揚げカレー部門で最も多くの票を集め、最高位である最高金賞を受賞。
 さらに翌年の2021年のカレーパングランプリでも、最高金賞には及ばなかったものの、金賞を受賞した。
 3年目となる2022年の「カレーパングランプリでは、消費者投票によるノミネート制から、出場を希望する店の申し出によるエントリー制に変更され、最高金賞を決める最終段階で試食審査が導入された。「ピーターパン」は、再び最高金賞を目指して参加した。
 そして6月に行われた本選投票と、試食審査の結果、見事3年連続での金賞を受賞。最高金賞には及ばなかったが、上位での金賞受賞となった。

看板商品として長い間育ててきたカレーパン

 「コクうまカレーパン」は同ベーカリーが最初の店を47年前に開店して以来、店の看板商品として長く育ててきた製品だ。創業者である横手会長が調理師免許を持っていた事から、カレー、パスタ、餡は特技を生かして自家製のものを作る事に決めていた。
 長く「本熟カレーパン」の名前で販売していたが、10年前のリニューアルに伴い名前を「コクうまカレーパン」へ変更。社内公募した末に決まったというその名前には、これまで多くの常連客の心を引き付けてきたカレーパンへの様々な思いが込められている。
 「まずフィリングのカレーを作る際には低温で通常の2、3倍の時間をかけて煮込みます。具材は日もちを良くするためじゃがいもを使用せず、フォンドボーで、玉ねぎ、人参、牛肉をしっかり煮込みます。また特徴として、牛肉を可能な限り大きめにすることでゴロゴロとした食感の食べ応えのあるものにしています」(横手会長)
 ただ牛肉はあまり大きくすると生地が破れてしまうので、苦労しながら最適な大きさを考えた結果、一辺が1・5センチのものに統一した。
 またルーも可能な限り高品質なものを採用。味は子供でも食べやすい辛すぎない味だが、夏場は暑さで味覚が変わることを踏まえた上で少々酸味の強い味にするなど、ちょっとした工夫もある。毎日食べても飽きない味で、長く愛され続けてきた理由がそこにもあるのかもしれない。 
 「一番努力して最もこだわったのは、出来る限り『揚げたて』の状態で食べてもらう事です。お客様がトレーにカレーパンをのせて並んでいる最中に新しく揚げたてのカレーパンが出たら、スタッフがその場で揚げたてのものと交換してあげるなど、細かい努力を常に積み重ねてきました」(横手会長)
 同店ではフライヤーはわざと小さめのものを使用。カレーパンを頻繁に揚げることが必要な状況にすることで、客が「揚げたて」のカレーパンに遭遇しやすいようにしている。
 具体的には1回に10個しか揚げられないフライヤーを2つ揃え、時間差をつけて頻繁に揚げている。本店である「ピーターパン石窯パン工房店」の場合、土日を中心に多い時で1日1000個ものカレーパンを出すので、フライヤーひとつで1日50回、2つで合計100回以上揚げることもある。
 カレーパングランプリへの出場にあたっては、消費者からのネット投票が受賞を決めるため、普段からできる限り揚げたてを食べてもらえるようにして、消費者の好感度を上げるように努めたという。
 「販促にもつながったのですが、例えばインスタではカレーパンを揚げている場面の動画や、揚げたてのカレーパンを割って中身がじゅわーと出て来る映像などを流しました」(同社総務部の樋口瑞帆さん)



「コクうまカレーパン」の3年連続金賞受賞を知らせる掲示
インスタグラムでは、揚げたてのカレーパンの様子などを伝えている
3年連続で金賞受賞となった時はインスタでも結果を報告し、感謝セールの告知もした
「ピーターパン石窯パン工房店」の店内の様子
店内に掲示されていた人気商品のランキング
3年連続での受賞が大きなPR効果を発揮

 日本カレーパン協会はカレーパン好きが集まった任意団体として2013年4月に設立。カレーパンを、日本人ならではの精神から生まれたジャパニーズ・カルチャーの象徴の一つととらえ、「カレーパン文化を盛り上げたい」との思いから、2016年から「カレーパングランプリ」を毎年開催している。
 同グランプリは、2021年までは、消費者が自分の好きなカレーパンをネット上で投票して推薦し、その結果から本選出場店を決めていたが、2022年の大会からは、カレーパンを販売する店が自主的に参加を申し出るエントリー方式に変更された。
 2020年のカレーパングランプリでは、消費者の人気投票で、「ピーターパン」の「コクうまカレーパン」が選ばれ、その後、協会から「ピーターパン」へ参加依頼の連絡がきたという。
 「協会から予選を通過したという連絡があるまで『カレーパングランプリ』や『日本カレーパン協会』の存在すら知りませんでした。我々が知らないうちに『コクうまカレーパン』の多くのファンの方々が、投票してくれて、予選通過となっていたのです」(横手会長)
 本選でも一般消費者によるネット投票が行われた結果、ピーターパンの「コクうまカレーパン」は最高金賞を受賞した。2022年からは店が自分で応募するエントリー制となったが、「コクうまカレーパン」を愛する根強いファンの期待を感じエントリーすることを決めた。
 ただ2022年からは、冷凍で店から送ってもらった商品をリベイクして試食する審査が、新たに最高金賞を決めるための最終審査として追加されたため、「揚げたて」を商品の最大の魅力として伝えている同店としては少し難しさも感じたという。
 「『試食時には揚げたての状態になるべく近い形でリベイクして下さい』と必死で訴える手紙を、商品と一緒に送りました」(樋口さん)
 残念ながら2022年は、2021年同様、金賞は受賞したものの、目指していた最高金賞にはならなかった。
 「2021年、2022年とも最高金賞は逃しましたが、結果的に3年連続で金賞を受賞したことで、大きなPR効果が得られました。通年で販売しているとどうしても停滞期があるのですが、そんな時にも販促をテコ入れする起爆剤になっています」(横手会長)
 横手会長は、カレーパングランプリに参加したことで、スタッフの商品に対する愛情や誇りも高まったと感じている。
 「受賞を通じ改めて『コクうまカレーパン』の魅力をスタッフ全員が再認識しました。お客様とも一致団結して盛り上げることができましたし、今年も金賞を受賞できて、とても嬉しく思っています」(横手会長)

ピーターパン石窯パン工房店
住所:〒273‐0021千葉県船橋市海神3‐24‐14
電話番号:047‐410‐1021
営業時間:午前7時〜午後6時
定休日:木曜
品揃え:約100品目
スタッフ:平日製造常時13人、販売常時5人、土日製造常時19人、販売常時8人
店舗面積:厨房46坪、売場20坪、テラス約25席
日商:平日80万円、土日160万円



本格ホテルの和洋中を戦隊ヒーローのような5色のパンが包み込んだ - ホテルグランヴィア広島
「カレーパングランプリ2022」西日本焼きカレーパン部門の金賞を受賞した「グランヴィアGREEN(グリーン)」(税込350円)
授賞式で賞状を手にする村上雅昭シェフ(右)と日本カレーパン協会のやすひさてっぺい理事長
焼きカレーパン「グランヴィアFive5(ファイブ)」のコンプリートBOX(税込1750円)
ホテルグランヴィア広島の2階パティスリー「ディッシュ パレード」
カラフルでインスタ映えするカレーパン

 「コロナ禍でホテル利用が減る中でも、ホテルの味を忘れて欲しくなくて、皆が一丸となって作りました。見た目だけではなく中味も自信を持っておすすめします」
 広島市の「ホテルグランヴィア広島」で製菓製パンを担当する村上雅昭シェフは、特撮テレビドラマのスーパー戦隊シリーズを意識して5色5種類を揃えたという焼きカレーパン「グランヴィアFive5(ファイブ)」についてこう話す。
 その5種類のカレーパンの一つ「グランヴィアGREEN(グリーン)」が、「カレーパングランプリ2022」西日本焼きカレーパン部門の金賞を受賞。
 同製品は、レモン風味の広島熟成どりと、バイマックル(こぶみかんの葉)が爽やかに香るタイのグリーンカレーのフィリングをほうれん草を使用した緑色の生地で包んで焼成したもので、昨年のカレーパングランプリでも同じ部門で金賞を受賞している。
 「料理部門のシェフに作ってもらったカレールーとのバランスを考え、パン生地はふっくらもっちりとしたものにしました。『グランヴィアFive5』の中でも『グランヴィアGREEN』はすっきりとした辛さが女性から好まれ、最も人気が高いようです」(村上シェフ)
 「日本カレーパン協会はカレーパンのトレンドとして『カラバリ』『ご当地』『シーン』の3つのキーワードをあげましたが、このうちカラフルでインスタ映えすることを意味する『カラバリ』を具体化した製品であったことも金賞受賞の理由だと考えています」(同ホテル企画部)

ホテルレストランの和洋中を再現

 同シリーズは「グランヴィアGREEN」の他に、「グランヴィアBLACK」「グランヴィアYELLOW」「グランヴィアRED」「グランヴィアWHITE」があり、合計5色のカレーパンが揃う。5色の生地の色は天然の素材を使って出し、中味は生地に合わせて和洋中の食材を使って開発したものだ。
 「グランヴィアBLACK」は、焦がしタマネギに数種類のスパイスを加えたコクのあるスパイシーな黒ビーフカレーを使用。
 「グランヴィアYELLOW」は、キーマカレーに黒豚のソテーとナッツを加えたゴロゴロとした食感が特徴の製品。2021年のカレーパングランプリキーマカレー部門で金賞を受賞している。
 「グランヴィアRED」は、同ホテルの中華レストラン「煌蘭苑」のエビチリに、フレンチのソース「アメリケーヌ」を絡めた具材を使用。
 「グランヴィアWHITE」は、同ホテル日本料理店「瀬戸内」のすきやき風煮込みに広島のソウルフード、牛のコウネを入れた具材の和風カレーパン。
 これらのカレーパンは、2021年3月から順次発売され、現在でも同ホテル2階にあるパティスリー「ディッシュ パレード」で単品でひとつ税込350円で販売しているほか、5種類が入った「コンプリートBOX」(税込1750円)も販売。
 見た目のカラフルさや可愛さだけでなく、中味も同ホテルのシェフ達が和洋中の食材と生地を組み合わせて本格的なホテルレストランの味を再現したものになっている。

ホテルグランヴィア広島ディッシュ パレード
住所:〒732‐0822 広島県広島市南区松原町1‐5
電話番号:082‐262‐1132
営業時間:午前10時〜午後1時(商品がなくなった場合はその時点で終了)
定休日:年中無休
品揃え:カレーパン5品目、食事パン4品目
スタッフ:製造常時2人、販売常時3人

タイ料理店での経験を生かした商品地元沖縄からの応援が原動力に - グッドモーニングベーカリー
「カレーパングランプリ2022」西日本揚げカレーパン部門で最高金賞を受賞した「グッドモーニンググリーンカレーパン」(税込270円)
授賞式で賞状を手にする店長の大嶺昂秀(たかひで)さん
沖縄県豊見城市の「Good Morning Bakery」
液状のグリーンカレーをパン生地で包むのに苦心

 「地元沖縄のお客様から励ましの言葉を頂き、コミュニケーションをとる機会が増えたので、それだけでも良かったと思っていました。結果はまさかの最高金賞で、自分でも驚きましたが、とても嬉しかったですね」
 沖縄県豊見城市のベーカリー「Good Morning Bakery(グッドモーニングベーカリー)」の店長、大嶺昂秀(たかひで)さんは「グッドモーニンググリーンカレーパン」(税込270円)で「カレーパングランプリ2022」西日本揚げカレーパン部門の最高金賞を受賞したことについて、こう語った。
 同店は2021年5月にオープン。大嶺さんはタイ料理店での勤務を経て、パン職人として3年間の修行後に独立し、同店をオープンした。その翌年の2022年2月頃にカレーパングランプリの存在を初めて知り興味を持ち、そのまま同年4月に思い切ってエントリー。
 元々人気商品だった普通のチキンカレーパンではなく、いつの間にかそれ以上の人気になっていた「グッドモーニンググリーンカレーパン」でエントリーした。
 「タイ料理店での修行経験を生かし、アジアンテイストのパンがあるベーカリーにしたいと考え開発した商品でした」(大嶺さん)
 タイ料理のグリーンカレーを中に入れたカレーパンで、グリーンカレーは、バジルやハーブで香り付けしたルーに大きめに切った鶏肉、玉ねぎ、ココナッツミルクを入れ6時間煮込んで作った。鶏肉やバジルは地元沖縄県産のものを使用し、特に鶏肉は採算を度外視し、コロナ禍で消費量が落ちた沖縄県産若鳥を100%使用。地産地消にも取り組んだ商品となった。
 タイ料理のグリーンカレーは日本のカレーと違い液状のスープなので、パン生地で包める位まで水分を飛ばして固くするのが難しかったという。パンとのバランスを考え、辛さをいかに出していくかにも苦心したそうだ。

軽い食感で朝でも食べやすいカレーパン

 苦労の末に完成し、最高金賞を受賞した「グッドモーニンググリーンカレーパン」は、揚げパンだが軽めの食感。フィリングのグリーンカレーは6時間煮込んだ鶏肉がホロホロの食感で、ルーも重すぎずベタッとしない。エスニックで少しピリ辛の味が癖になる感じだ。
 同店は午前6時半から始まる沖縄で一番朝が早いベーカリーとして知られる。同店のオープン後にまもなく発売し徐々に人気が出るようになった同商品は、朝からペロっと食べられる軽い食感とピリ辛のルーがマッチしたものとなっている。
 カレーパンクランプリでの最高金賞受賞の理由は、日本カレーパン協会が受賞理由などの詳細を公表していないので正確にはわからないが、大嶺さんは「小規模な店だったので、お客様との距離が近く、出場すると話したら応援してくれる人がたくさんいました。沖縄から全国へという思いも伝わったのかもしれません。商品自体はタイ料理のグリーンカレーを取り入れたというのが珍しくてインパクトがあったのかもしれません」と話す。
 来年も挑戦したいと考えているが、次は焼きカレー部門など別の部門での出場を考えている。
 「特に地元豊見城市の特産品であるトマトやバジルを使用した商品には力を入れています。沖縄経済全体が活性化する事に少しでも繋がるように商品を育てていきたいですね」(大嶺さん)

Good Morning Bakery
住所:〒901‐0241 沖縄県豊見城市豊見城139瀬長マンション101
電話番号:098‐851‐4527
営業時間:午前6時30分〜午後6時(土日は午後3時まで)
定休日:水曜
品揃え:約50品目
スタッフ:製造常時1人、製造補助常時1人、販売常時1人
店舗面積:厨房7・5坪、売り場4坪
日商:平日12万円、土日18万円

パン屋とカレー屋のコラボ商品に「サヴァ缶」を取り入れる - パン工房くろしぇっと
「カレーパングランプリ2022」東日本焼きカレーパン部門の金賞を受賞した「恋するサヴァ?カレーパン」(税込270円)
授賞式で賞状を手にする「パン工房くろしぇっと」の鈴木希店長(左)と「ROYALジャマイ館」の石川悦哉店長
岩手県奥州市のベーカリー「パン工房 くろしぇっと」
地元産品を使用した製品で地元を盛り上げる

 「地元を盛り上げたいという共通の思いを持つ三者が協力することで足し算ではなく掛け算の効果を得ることができたと感じています」
 焼きカレーパンの「恋するサヴァ?カレーパン」(税込270円)の開発に携わった岩手県奥州市のベーカリー「パン工房 くろしぇっと」の店長、鈴木希さんはこう話す。
 同商品は、3月8日の「サヴァ缶の日」に因んで、「パン工房 くろしぇっと」と同じ奥州市内のカレー店「ROYALジャマイ館」、岩手県産の商品の卸売などを行う会社「岩手県産」の三者がコラボして開発したもので、 「カレーパングランプリ2022」の東日本焼きカレーパン部門で金賞を受賞した。
 国産サバを使用したブラックペッパー味の洋風缶詰「サヴァ缶」と、たっぷりの野菜を使用し、厳選したスパイスでカレーに仕上げ、自家製ルヴァン種と県産牛乳、自家製ヨーグルトなどを使用したパン生地で包み込んで焼き上げた製品。
 2021年のカレーパングランプリでは、「パン工房 くろしぇっと」と「ROYALジャマイ館」がコラボして開発した「恋するカレーパン キーマの誘惑」が、キーマカレー部門で金賞を受賞。開発のきっかけは、東北新幹線水沢江刺駅で故大滝詠一氏のヒット曲「君は天然色」を発車メロディーに取り入れる活動で応援団長だった「ROYALジャマイ館」の店長、石川悦哉さんが、発車メロディーの放送開始記念商品を手掛けたいと、「パン工房 くろしぇっと」の鈴木さんに話を持ちかけたことだった。
 2022年の今回は、「恋するカレーパン キーマの誘惑」に、岩手県産のヒット商品「サヴァ缶」をプラスした新商品を作って欲しいという岩手の物産を扱う会社「岩手県産」の要望で、「恋するサヴァ?カレーパン」が誕生した。

食感が残るよう、サバはほぐしてから投入

 「恋するサヴァ?カレーパン」の開発について「ROYALジャマイ館」の石川さんは「カレーに入れるサバ肉の量と入れ方を決めるのが難しかったですね」と振り返る。
 どうしても水分量が多くなってしまうので、そこを抑え、適度な存在感でサバの食感が残るようにサバの身はほぐして入れるなどの工夫を施したという。
 またパン生地を作った鈴木さんは「パンは裏方に徹しなくてはならない以上、特徴を出しつつシンプルに仕上げました。県産牛乳でもちもち感を出すなどしましたが、食感の強調の仕方には苦労しました」と話す。
 特にカレーを生地と合わせる際に中で爆発して破れてしまわないよう、水分量を抑えるのに苦労したという。そのため最終的には素材メーカーの人に協力してもらって粘度を高める澱粉素材を入れるなどした。
 苦心の末、「恋するサヴァ?カレーパン」は昨年2月に完成し発売された。そして7月にカレーパングランプリで金賞を受賞した。その反響は大きく、「パン工房くろしぇっと」では来店客が倍増した。受賞は、SNSを通じたPRに力を入れたこともあるが、実際に食べてもらった評価も大きかったと感じているという。同商品は「ROYALジャマイ館」でもテイクアウト商品として販売し、両店の絆はさらに深まった。 「地元の人から愛されるような商品にできたのが受賞の決め手になったのかなと思います。流行り廃りもあり大変ですが、それでも引き続き毎日食べてもらえるようなものを作れるよう、アイデアを模索していきたいですね」(石川さん)
 「地元を盛り上げたいとの思いで開発しましたが、その結果、色々な人と出会って繋がり、自分も成長できたので、大変でしたが得るものが多い経験となりました。次は最高金賞を取りたいという思いが強くなっています」(鈴木さん)

パン工房くろしぇっと
住所:〒023‐1104 岩手県奥州市江刺豊田町2‐1‐5
電話番号:0197‐35‐4556
営業時間:午前10時からパンがなくなるまで
定休日:水曜、第2、4木曜
品揃え:約50品目
スタッフ:製造常時2人、販売常時3人
店舗面積:厨房7坪、売り場14坪


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