コロナ過でパン業界に起こった様々な変化の根底にあるキーワードのひとつは「冷凍技術」 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(61) - ブランスリー電子版

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連載/2022年7月号

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コロナ過でパン業界に起こった様々な変化の根底にあるキーワードのひとつは「冷凍技術」 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(61)
 コロナ禍によって、日本のパン業界にも多くの変化が起こったと思います。そうした変化の中で比較的多くのものに共通するキーワードが「パンの冷凍技術」だったような気がします。リモートワークが深く浸透し、人の流れが大きく変わったことにより、人の分布が増えた場所にあるベーカリーは売上を伸ばし、人の分布が減った場所にあるベーカリーは売上を減らしました。
 売上を伸ばしたベーカリーでは需要増に対応するための方策のひとつの選択肢として、生地を冷凍する工程を組み入れるケースが見られたようです。低温長時間発酵によるパン作りが一般的になり、パン生地を冷やすことが多くなったことで、その延長線上で、生地玉を冷凍保存したり、具を包んだりトッピングしたりした後に冷凍保存して、焼きたての製品を機動的に店に出すオペレーションを展開するケースが増えています。
 ある原材料メーカーは、冷凍生地用の改良剤を使わなくてもできるホイロ後冷凍生地をベーカリーの厨房で作って利用するオペレーションを提案しています。
 また、別の材料メーカーは、ベーカリーにパンの冷凍生地を納入することが増えたと言っています。特に、ベーカリーが指定する配合のパン生地を仕込んで、それを生地玉やホイロ後など様々な形態の冷凍生地に仕上げて納入するいわゆる「留め型」と呼ばれる取り引きが増えているそうです。
 さらにある機械メーカーは、焼きたての熱を持ったパンを、その鮮度ごと凍結させる技術を開発し、ベーカリーの店頭での焼きたてパン提供の方法に大きな進歩をもたらしつつあるといいます。
 一方、売上を減らしたベーカリーの中には、売上減を補うためにパンの通販を始めるところが目立ちました。
 大阪のあるベーカリーでは、コロナ禍による売上減を補うために、インターネット通販を始めたのですが、この際のポイントとなったのが、焼成冷凍や生地冷凍の用途で、特殊な冷凍庫を導入したことだったといいます。この冷凍庫はパンが劣化しないように離水を防ぐという特徴があり、パンの風味や食感が、店頭で購入したときと同等の品質を保つことができるといいます。
 また、コロナ禍の中で、パンの冷凍技術がポイントとなって、業績を伸ばした会社も多いようです。
 あるベンチャー企業が手掛けるパンの定期購入サービスも、コロナ禍で大きくユーザー数を伸ばしました。このサービスも冷凍するタイミングを工夫した独自の冷凍技術を駆使していて、高級食材用として一部流通していたという特別な袋を用いて冷凍パン一つ一つを包装して配送していることがポイントになっているといいます。これにより澱粉の老化を抑えることで、焼成の後に1日常温でおいたパンより高い品質の冷凍パンを提供できるのだそうです。
 また、ある包材素材メーカーは、パン専用の鮮度保持用の袋を開発し、パン業界に積極的に提案しています。このパン保存袋は、中に入れたパンの風味を、焼き上がりの状態よりも向上させるとメーカーは話しています。また、焼成冷凍や成形冷凍、ホイロ後冷凍などのパン生地の鮮度保持効果も大きいといいます。
 これまで述べてきたパンの冷凍に関する様々な技術は、コロナ禍によってその発展が加速され、その注目度が高まったことは間違いないと思います。
 独自性を重視するリテールベーカリーは、こうした新しいパンの冷凍技術を、それぞれ独自に解釈して消化し、自らの独自性をさらに高めていくために、積極的に取り入れていくことでしょう。(RO)








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