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講習会/2019年11月号

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2019年星天会夏期講習会 - 星天会
 ホシノ酵母を使ってパンを作るベーカリーなどの団体、星天会(土田耕正会長)は9月10日、東京・渋谷区の日本製粉東部技術センターで、「2019年星天会夏季講習会」を開催した。講師には、埼玉県狭山市のベーカリー、サンセリテの高田知明社長とパン教室のMORI森公房の森下敦美氏を迎えた。高田社長は、全粒粉をうまく使った「大地の旨味食パン」と、抹茶と黒ごまのハーモニーをフィーチャーしたデザート感覚の食パン「和」の2製品の製造実演を行い、森下講師は、ホシノ酵母を使ったクッキー「薔薇酵母のチーズクッキー」と、ロールパンや食パンを、黒糖蜜などに漬けこんで焼成する「黒糖とチーズのしとしとトースト」「しとしとフルーツトースト」の製造実演を行った。

大地の旨味食パン
黒糖とチーズのしとしとトースト(左)としとしとフルーツトースト
講師を務めた高田知明氏
講師を務めた森下敦美氏
星天会の土田耕正会長
高田講師の講演会の様子


ホシノ酵母の特徴を活かしたパンの数々
講師を務めた高田知明氏
講師を務めた森下敦美氏
 講習会では、高田知明講師が、「第4回ベーカリー・ジャパン・カップ」の食パン部門で優勝を勝ち取った「大地の旨味食パン」と「和」の2製品の製造実演を行い、森下敦美講師が、ホシノ酵母を使ったクッキー「薔薇酵母のチーズクッキー」と、ロールパンや食パンを、黒糖蜜などに漬けこんで焼成する「黒糖とチーズのしとしとトースト」「しとしとフルーツトースト」の製造実演を行った。高田講師は、自身の店を繁盛店に育て上げた経緯についての講演も行った。



高田講師の実演

大地の旨味食パン
大地の旨味食パン
大地の旨味食パンの断面
写真1(これからまわす状態)
写真2
 2月20日から23日までの4日間、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された2019モバックショウの会場で行われた「第4回ベーカリー・ジャパン・カップ」の食パン部門で優勝した製品。

【旨味種配合%】
FH全粒粉(食物繊維などが豊富な全粒粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥15
グリストミル(石臼挽き強力粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15
天日塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30
【工程】
全材料を手で混ぜ合わせ、5度Cの冷蔵庫で3日間置く
【湯種配合%】
北極星(国産小麦粉)‥‥‥‥‥20
甜菜糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4
熱湯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30
【工程】
①だまにならないように、北極星と甜菜糖を混ぜておく
②ボウルに沸騰したお湯を入れ、(1)を入れて一気に混ぜる
③5度Cの冷蔵庫に入れて半日冷やす
【本捏配合%】
ゆめちから(国産小麦粉)‥‥‥25
北極星(国産小麦粉)‥‥‥‥‥25
ホシノ丹沢酵母パン種生種‥‥5
旨味種‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥全量
湯種‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥全量
甜菜糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6
バター‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6
水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15〜
【工程】
ミキシング‥‥‥L3分M8分(バター投入)L1分M5分(写真1
捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥23度C
発酵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20度C14〜16時間(生地の状態や環境を考慮して時間や温度を調整する)
分割‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥240グラム×24個(12斤分、分割の際に丸めないようにする、写真2
ベンチタイム‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥1時間(生地の状態によってはベンチタイムをとらない時もある)
成形‥‥‥‥生地を綿棒でのばし、ロールしてまとめたものを2斤型に4個並べて入れる(くるま詰め)
ホイロ‥‥‥‥‥‥‥1時間30分
焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火200度C下火250度C35〜40分
 高田講師のコメント 小麦粉は、きめの細かさと口溶けの良さを出すのに適したものを選定している。材料はすべて「日本」を意識したもを選んでいる。酵母はホシノ丹沢酵母だ。日本の国菌である麹を使って育てられたもので、ゆっくりと発酵が進み、小麦の旨味を最大限に引き出してくれる。旨味種は、全粒粉に近い粉と同量の水と塩を混ぜて3日間ねかせた。全粒粉などの灰分の高い粉は旨味もあるが、同時に臭みもあるので、ただ使うだけだと臭みの強い食べづらいパンになってしまう。旨味種は、臭みを出さずに旨味だけを引き出すためのものだ。塩を入れるのはカビの発生を防ぐためだ。分割の時は丸めないようにする。丸めると戻るのに時間がかる。目がきれいな食感のなめらかな食パンにするには、ガスをしっかりと抜いて成形しなければならないが、国産小麦粉は、カナダ産の小麦粉と比べると、グルテンの量が同じでも、その力がより強いので、ガスが入った状態でグルテンが締まってしまうと、成形の時にガスが抜きづらくなる。



森下講師の実演

黒糖とチーズのしとしとトースト
黒糖とチーズのしとしとトースト
写真3
 ロールパンを、黒糖蜜と紅花油を混ぜた液に漬けこんで焼成するフレンチトースト風の製品。

【材料%】
黒糖蜜‥‥‥‥‥‥‥‥‥200
紅花油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80
ロールパン‥‥‥‥‥‥‥必要量
【工程】
①ロールパンはあらかじめ切り込みを入れるか、食べやすい大きさにカットしておく
②黒糖蜜、紅花油を混ぜ合わせたものに(1)を漬け込む(写真3
③(2)をベーキングカップなどにのせ、ゴルゴンゾーラピカンテを少量絞る
④200度Cのオーブンで約15分焼成する
 森下講師のコメント 2製品ともフレンチトーストといってもよい製品。使うパンは、ホイロをオーバー気味にして、ちょっとスカスカという感じの方がいい。ひきのあるパンより、少し粗目の内相の方がいい。サムソーチーズは日常的に食べても飽きがこない味だと思う。

しとしとフルーツトースト
しとしとフルーツトースト
 食パンをみかんのポンジュースや卵などを混ぜ合わせた液体に漬けこんで焼成する製品。

【材料%】
みかんのポンジュース‥‥100
全卵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80
紅花油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥90
はちみつ(またはメープルシロップ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適宜
食パン‥‥‥‥‥‥‥‥‥必要量
【工程】
①食パンはあらかじめ食べやすい大きさにカットしておく
②みかんのポンジュース、全卵、べに花油、はちみつを混ぜ合わせたものに(1)を漬け込む
③(2)をベーキングカップなどにのせ、サムソーシュレッドをのせる
④200度Cのオーブンで約15分焼成

高田講師の講演

長時間発酵が、こまめな焼きたて提供を可能にした
講演する高田講師
 売上がじり貧になっていた時期にある新聞で、船井総研がベーカリーについての講演会をやるのを知り、それを聞きに行った。講演終了後に、A4のアンケート用紙1枚に感想をびっしり書いて渡したら、船井総研の人が、電話してきてくれた。そして、近くに来た時にうちの店に寄ってくれた。店を見てもらって、そして説教が始まった。涙ぐむぐらいに怒られてしまい、そこで目が覚めた。
 そこから、その先生の本を買って繁盛店とは何かを勉強した。パートさんたちを呼んで会議をして、忌憚のない意見を聞きたいと頼んだ。すると、私の悪いところを指摘する意見が、よくそこまで言ってくれるな、というぐらいたくさん出てきた。それではどうしようかということになり、皆で話し合って、当時の私の自信作であった「天熟食パン」の販促をしようということになった。その食パンは、味には自信があった。私は、さぼっていたわけではなく、売れない中でもパンの研究はしていたのだ。しかし、今考えると、いくら美味しいパンを作っても、売り方が的を得ていなければ売れないということだったのだ。
 「天熟食パン」のチラシを1万枚作った。そして団地でポスティングをした。1階の集合ポストに入れたのでは誰も見ないから、各階のドアポストに入れなくては駄目だという話を聞いていたので、午前の仕事が一段落したあと、午後は団地をまわって上の階まで上がってチラシのポスティングを行った。エレベーターがなかったので、5偕まで階段で上り、足をぱんぱんにしながら、ひたすらポスティングをした。パートさん達にもまわってもらった。
 チラシには、「ホシノ天然酵母を使ってじっくりと熟成させたパンを焼いている」と書いた。それまでは、食パンは1回に10キロ仕込んで、1日1回の焼成だったのを、本を読んで、焼きたてが大事だと思い、1回の仕込み量を3キロにして1日4回仕込み、4回焼き上げるようにした。焼き上がり時間も表示した。そうしたら、瞬く間に売れ出した。それまでは、「食パンは焼きたてが美味しいわけではないし、焼きたてを食べるわけではないので、焼きたてを提供する必要はない」と思っていたが、それでも、お客さんはやっぱり焼きたてがいいんだ、ということを実感した。食パンの売上がどんどん上がっていって、1年後には店全体の売上が2倍以上になっていた。食パンに引きづられるようにして、ほかのパンも売上が上昇した。
 ちょうどその頃、ある別のベーカリーコンサルタントの講演を聞く機会があり、そのコンサルタントが主宰する勉強会に入った。その勉強会で感じたのも、やはり焼きたての大切さだった。そのコンサルタントからは、天然酵母のパンは焼きたてが出しづらいのでやめた方がいいと言われたが、せっかく美味しいパンをホシノ酵母で作れるようになっているのだから、どうやったら、長時間発酵のホシノ酵母のパンを、お客さんに合わせて、焼きたてで出せるかを考えた。
 その結果、例えば、カレーパンは、朝一に大量に成形して、自然発酵をとって、発酵が終わった状態で冷蔵庫に入れてしまうようにした。冷蔵庫の隙間にあっちこっち入れていって、お客さんが2〜3人入ってきたら3個出して揚げ、もっと入ってきたら10個出して揚げるというように、お客さんの入ってくる数に応じて冷蔵庫から生地を出して揚げるようにした。とにかく揚げたてが常に並んでいるようにした。それは、ホシノ酵母のパンの発酵が遅いからこそできたことだった。
 そして、今は、食パンは1回に50キロ仕込むようになった。ほかのパンも1回の仕込み量はかなり多い。しかし、捏ね上げて同じ20度Cのところに置いておいても、分割に入れるタイミングはかなり長くなるので、お客さんに合わせて、こまめに品出しできる。同じ生地を午前7時に分割しても、午前11時に分割しても、パンの焼き上がりはほぼ同じだ。それだけ時間の融通がきくのがホシノ酵母で作るパンなのだ。それをうまく利用して、いろいろな場面で、少しずつ時間をずらしていけば、1回に大量に仕込んでも、こまめに焼き上げられる。生地玉冷蔵にしたり、成形冷蔵にしたりしなくても、何の苦労もせずに、こまめに焼きたてが提供できる。発酵が遅いことが大きな利点なのだ。
 同じ効率を考えるのでも、今までは発酵時間を短くできないかとか、すぐ膨らんですぐ焼けないかとか、そういうことばかりを考えてきたが、違う角度から見れば、発酵時間が長いパンの方が、効率化には有利なのだと思っている。

星天会の土田会長の話
挨拶する星天会の土田会長
 高田社長は今月末に、新しい店をオープンされる予定で、その準備でご多忙の中、講師をお引き受けいただいて、本当に有難く思っている。いろいろな準備も万端で今日の講習会に臨んでいただいていることに、心から感謝している。
 本日は、そのほか、多くの材料メーカーに協賛していただいていて、いろいろな食材や包材などもご提案できると思っている。
 毎年日本製粉の会場をお借りして、このように大勢の方にお集まりいただいて、星天会の講習会をさせていただいている。日本製粉の方々には、今日も朝7時前から出勤して、準備をしていただいている。この場をお借りして心からの謝意を表したい。


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