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特集/2018年6月号

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製パン機械の選び方(オーブン、ドウコン)

 感性がものをいうパン作りにおいては、オーブンやドウコンなどの製パン機械は、パン職人の手足となって、パン職人の感性が支持するところに忠実に従って動いてくれなくてはならない。やがてパン職人と製パン機械の間に会話が生まれ、相互理解が生まれ、パン作りはさらなる高みにのぼっていく。今回は、6人のパン職人に、オーブンとドウコンとの関わり方について話を聞いた。



オーブンはパン作りのかなめ - ドゥエトゥレ
店長の川崎泰之さん
6年前に導入したドイツ製のオーブン
[オーブン編]

オーブンの重要性に気付いて買い替えた

 東京・八王子市のベーカリー「ドゥエトゥレ」は6年前、オーブンの買い替えを行った。
 「試行錯誤を繰り返し、かなり行き詰っていたときでした。生地の配合を変えたり、ミキサーを変えたり、色々試していたのですが、なかなか理想のパンが焼けなくて。最終的にオーブンを変えてみたら、うまくいきました」(オーナーシェフの川崎泰之さん)
 購入したのはドイツ製のオーブン。購入前には、パン生地を持参し、試し焼きを行った。
 「オーブンの重要性に気付かされました。工程や生地の配合など、色々試していましたが、オーブンによる違いは歴然としていて、ここまで違うのかと、実感しました。試し焼きは、クロワッサンとフランスパンを焼いたのですが、全然違いましたね。これらは、当店で、そこまで出るアイテムではありませんが、ハード系とクロワッサンのおいしい店でありたいという気持ちがあったので、購入を決めました」(川崎さん)
 「日本製の電気オーブンも考えていて、迷いましたが、構造がデジタル部分などがなく、シンプルであることと、100年使える耐久性がある窯だという点が、決め手となりました。造りが、見ただけで大体わかるようになっていると、調子が悪いとき、自分でもある程度直すことができます。蒸気が詰まってしまうようなときも、自分の手で直せます。耐久性に関しては、これからも店を長く続けていきたいという気持ちがあり、一台のオーブンをずっと使い込んでいきたいと想いと合致しました」(川崎さん)

コンベクションオーブンで小物を焼く

 3年前には、コンベクションオーブンを導入した。同店の看板商品は「でか食」(税込248円)という食パンで、同製品を含め、食パンだけで一日に10回ほど焼く。オーブンの空き不足を補うため、コンベクションを追加したのだ。
 「食パンの卸しもするようになり、生産量が増えていったので、新たにコンベクションを入れました。コンベクションは菓子パンや総菜パンなど小物を焼くのに主に使っています。タイマー設定によって失敗なく焼けるので、昼時など、焼け具合をずっと見ていられないときは、とても助かります。急な温度の上げ下げもできるので、必要なアイテムを必要なときに焼けるのも便利です」(川崎さん)
 コンベクションオーブンの利便性を活かすには、注意点もあるという。
 「失敗なく焼けるのがいいところなのですが、パンの焼き色や窯伸びが今一つなところがあります。ですが、通常のオーブンとは火の入り方が違うので、当然のことです。そこを理解した上で、焼くアイテムを考えていく必要があります。ただ、総菜パンに使う肉などのグリルは、おいしく仕上がる気がします」(川崎さん)

中古から新品への買い替えでよかった

 開業当初揃えた機械は、オーブンも含めすべて中古で、セット売りで購入した。
 「資金がなかったので、安く手に入れられればいいと思いました。でも結果、2年以内で全部壊れてしまいました。壊れて、パンを作れなくなるほどではなかったので、修理しながら、使い続け、少しずつ新品に買い替えていきました」(川崎さん)
 オーブンは中古を6年使用し、新品に買い替えて現在6年になる。
 「オーブンは一番高いものなので、開業して数年経って起動に乗って落ち着いてから、ローンを組んで、新品のいいものを買っていいと思います。自分も今、振り返って、これでよかったと思っています」(川崎さん)

SHOP DATA
住所:〒193‐0835 東京都八王子市千人町2丁目13番8号
電話:042‐682‐5066
営業時間:午前6時30分〜午後7時
定休日:第1、3火曜
品揃え:100品目
スタッフ:製造常時5人、販売常時2人
店舗面積:厨房10坪、売り場6坪
日商:平日25万円、土、日曜35万円



石窯とコンベクションの2台を活用 - ルメルシエ
オーナーシェフの畑中一郎義重さん
人気の「白食パン」をはじめとした各種のパン
[オーブン編]

コンベクションとセットで石窯を購入

 神奈川県横須賀市のベーカリー「ルメルシエ」では、8年前の開業時から、石窯とコンベクションオーブンの2台を使用している。
 オーナーシェフの畑中一郎義重さんは修行時代、石窯は使用したことはなかった。しかし、畑中さんの親戚の中に、石窯の路床部分を製造している人がいたことがきっかけとなり、石窯の導入を決めた。
 「親戚から、今使っている石窯メーカーの紹介を受け、本社でテストベイキングをして気に入りました。日本製というのもメリットだと思いました。過去に外国製の窯を使っていて故障したとき、部品の取り寄せに時間がかかり復旧が大変だった経験があるからです。フランス製で、ハード系がうまく焼けるところはよかったですが、自店に導入するなら、突然のトラブルに強い点を重視しようと考えました」(畑中さん)
 石窯と同じメーカーのコンベクションオーブンも購入した。主に妻の由香さんが焼き菓子を製造するためだが、石窯の補助的な役割も担う。
 「石窯の利点である蓄熱性がデメリットと感じるときがあります。それは急な温度調節ができないということです。例えば、売り切れたアイテムを今すぐ焼いたりということはできません。コンベクションは、焼き菓子のためもありますが、そうした石窯の補助的な役割も持っています。熱の入り方が違うので、コンベクションに向かないアイテムもありますが、デニッシュなどは比較的うまく焼けると思います」(畑中さん)

焼き上がりの違いがまず最初に客に伝わった

 同店の常連客に人気で、予約だけで売り切れてしまうこともある「白食パン」(税込300円)は、石窯ならではの焼き上がりが評価されているという。
 「開業直後、お客様の反応が気になっていたとき、思ってもいなかったことを言われました。『食パンの耳が違う。耳もおいしい』と言うのです。石窯だと短い時間で中まで熱が入るので焼き上がりが早く、耳を薄く食べやすく仕上げられます。材料や仕込みによる味の違いよりも、焼き上げ方の違いが、最初にお客様に伝わったことは意外でした」(畑中さん)
 焼き菓子はコンベクションで焼いているが、マドレーヌだけは、石窯で焼いている。
 「熱の入り方の良さが、マドレーヌには特に活かされます。上がりが良く、ふっくらと焼けます。ボリュームが出るのは、菓子パンなどでも実感しています」(畑中さん)
 また、石窯では総菜パンに使う野菜や肉の調理もでき、便利だ。1〜2分でグリルできるという。

一度に焼ける量を増やしたい

 同店で使用している石窯は2段でフランス天板4枚が入る大きさだ。あと2枚分広ければと思うことがある。
 「一度に焼ける量が少ないと、焼く回数を多くしないといけなくなります。パンの製造は主に自分一人で行っているので、作業回数はできれば少なくしたいのです。窯にとらわれてしまうと、仕込みや成形、具の調理などすべてに手が回らなくなってしまいます。ただ、窯の重量が重く、これ以上の大きさの窯を設置するには、床面の補強が必要だという話でしたので、しょうがないと割り切っています」(畑中さん)
 焼成できる量を増やしていくことについては、コンベクションの活用で対応していきたいという。
 「お客様のピークが昼前なので、そのときに焼き上がるように、タルティーヌをコンベクションで焼いていきたいと思っています。そのタイミングでは、コンベクションは空いているので活用したいと思っています」(畑中さん)

SHOP DATA
住所:〒179‐0081 神奈川県横須賀市安浦3‐3‐7
電話:046‐825‐5392
営業時間:午前8時〜午後7時(なくなり次第閉店)
定休日:日曜、第2、第4月曜
品揃え:60品目
スタッフ:製造常時1人、販売常時1人
店舗面積:厨房13坪、売り場8坪
日商:平日8万円、土曜10万円



使いこなすために機械の性質を知る - ブーランジェリー ソルカノルカ
オーナーシェフの杉本雄一さん
同店の一押し商品の「完熟バゲット」
[オーブン編]

展示会などで情報収集を欠かさない

 「いつでも買い替えができるように、情報収集は怠りません」
 東京・練馬区の「ブーランジェリー ソルカノルカ」のオーナーシェフ、杉本雄一さんは、7年前に開業してからずっと、製造を一人で行っている。それがかなうのは、厨房設備の充実を図っているからだ。
 オーブンは、開業時に中古の電気式のタイプを購入し、現在もそれを使い続けている。しかし、すでに新調することを考えており、情報収集のために厨房機器の展示会には必ず出向いていると考えている。
 「オーブンに限らないのですが、機械は必ず壊れますので、次どれにするか決めておく必要があります。また、新商品のチェックも欠かせません。これまで、ガスオーブンでは、電気式オーブンのように、細かな調整ができないと思っていたのですが、少し前に行った展示会で、そのガスの弱点が克服されているオーブンが開発されていることがわかったんです。しかも、国産であるというところも気に入りました。長年、電気式でなければだめだと思っていたのですが、これを機に、ガスも検討するようになりました」(杉本さん)

使い方を熟知すれば不足感はなくなる

 杉本さんは、開業前に働いていた店舗のオーブンと同じメーカーの電気式オーブンを入れた。そして、できるだけ大きな容量が欲しかったため、店舗入り口から入る最大の大きさのものにした。
 ガスオーブンと比較した場合の、電気式オーブンの欠点は、火力の弱さということだが、杉本さんは、使い方を熟知していれば電気式でも満足いく商品が焼けるという。
 「電気式オーブンが苦手とされるハード系でも、余熱とその後の温度調整ができれば問題ありません。例えばバゲットは、先に280度Cに上げておいて、バゲットを入れてから、230度Cに設定し直して、温度を落としながら焼いています。そうすると、気泡が大きな、自分が理想とするバゲットを焼くことができます」(杉本さん)
 「完熟バゲット」(税抜200円)は、クラムがもっちりとして、気泡が隅々まであり、オリジナル性の高い同店の人気商品だ。
 商品作りの面では不足はないが、作業性などの点で、電気式よりガスの方が惹かれる部分があるという。
 「総菜系や菓子系などソフトなパンはもちろん、ハード系も焼けて、幅広いジャンルのパンを焼けるのが電気式の良いところですが、電気代が高くつきます。ランニングコストや、火力の強さによる立ち上がりの早さの点では、ガスがいいと思っています」(杉本さん)

弱点を知れば使い方もわかってくる

 オーブン選びについて、杉本さんは、数々の職場で働いてきたことが役立ったという。
 「開業前15年間で、9つの店で働かせてもらいました。その中で、ガス、電気式、フランス製やドイツ製のオーブンなど、様々なオーブンを使いました。開業を目指している人は、どのオーブンを購入するか意識しながら、様々なタイプのオーブンを、実際使ってみるのがいいと思います」(杉本さん)
 また、使っていく中で、必ず調子が悪くなる箇所が、メーカーを問わず、わかってくるという。
 「オーブンはスチーム部分がよく詰まって調子が悪くなっていたので、自店では、浄水器を通した水を使うようにしました」(杉本さん)
 開業前に得た知識から、できるだけ故障しないようにする対策が打てる。どのオーブンにするかということと合わせて、使い方も考えていく必要があるようだ。

SHOP DATA
住所:〒179‐0081 東京都練馬区北町2‐13‐11
電話:03‐5922‐3833
営業時間:午前9時〜午後8時
定休日:火曜(不定休あり)
品揃え:75品目
スタッフ:製造1人、販売1〜3人
店舗面積:厨房16坪、売り場5坪、バックヤード2坪
日商:平日7万円、土日12〜13万円

新品のホイロを15年間使用 - リトル・ブレッズ・トゥ・ゴー
店長の古宮義和さん
「リトル・ブレッズ・トゥ・ゴー」の厨房の様子
千葉県船橋市のベーカリー「リトル・ブレッズ・トゥ・ゴー」
[ドウコン・ホイロ編]

ホイロでできる事を突き詰めた

 オープンから15年経つ千葉県船橋市のベーカリー「リトル・ブレッズ・トゥ・ゴー」は店のオープン時に購入したホイロをそのまま使用している。パンの製造は店長の古宮義和さんがほぼ一人で行っている小規模店だが、ドウコンディショナーはなく、ホイロのみでここまできたという。
 「修行時代からずっと、冷蔵・冷凍、ホイロでの発酵、その日のうちに焼成するという手順を続けてきたので、そこまで不便さを感じる事はありませんでした。朝9時から開店なので早朝に焼成する必要がないというのもあるのですが」と古宮さんは話す。
 開業当時、ホイロは相場で80万円位ドウコンより安く買えたので、まずは最低限の設備のみを揃えてオープンしたかった古宮さんにはちょうどよかった。
 「確かに夏場などにたまにドウコンが欲しくなる事はありますね。一度上がった温度を下げる事ができないし、低温で何日もかけて熟成できるのが羨ましく思う事もあります。ホイロだけですと、夏場はブリオッシュ系が増やせないとか、多少商品の幅が制限されてしまうのも事実です」(古宮さん)
 ただ夏場は、店の休みも多くなるし、逆にその季節で出しやすい商品を出す事で季節感を出せるので、「限られた設備の中でできる事をつきつめていくのも、それはそれで楽しいかなと今は感じています。要は自分がどういうパンを作りたいかによるのではないでしょうか」(古宮さん)。

必要な設備を慎重に選んで揃えた

 古宮さんは開業前、機械一つ一つを買うにも情報をしっかり集め、慎重に考えて何を買うか決めたという。
 約7坪の土地を活用して店舗を建てたため、限られたスペースを有効利用するために、機械は最低限の設備のみで必要なものを絞る必要があったが、その分、じっくり考えて選ぶことができた。
 実は情報収集そのものは独立する何年も前からちょっとずつ行っていて、評判の良い機械に関する情報を聞いたらメモし、実際に使う機会があれば「自分の店を出す時はこれを使いたい」など考える事もあった。先輩の話も色々聞いて回った。
 メーカーのテストキッチンも何度も足を運んで「同じような性能でも値段が違う場合は何が違うかとか、担当者の人にしっかり聞きましたね」(古宮さん)
 また、メーカーの人が中古をすすめてくれる事もあった。
 「中古については、幅があると思いました。どれ位使われた中古かわからず、当たりはずれがあると思います。新古品だとか、展示会でしか使われていない型落ちだけどほぼ新品のものを購入させてもらうなども良いかもしれません」(古宮さん)
 結局新品を購入したが、ホイロに関しては特に、先輩から聞いて壊れやすいと聞いたタイプのものは避け、新品でなるべく最新式のものを購入した。また、ドウコンより温度管理の手間がかかる事を考えて、合わせて使う冷蔵・冷凍庫は小さすぎず、ある程度大きさがあるものにした。
 その結果、15年たっても当時買ったホイロを問題なく使えているので、大きな不満はないという。

SHOP DATA
住所:〒273-0005 千葉県船橋市本町1-21-16
電話:047-437-8733
営業時間:午前9時〜午後7時
定休日:火曜
品揃え:約55品目
スタッフ:製造1人、販売1〜2人
店舗面積:売場2坪、厨房(1階)4坪、厨房(2階)4坪
月商:100万円

スタッフの指導にドウコンは必須 - ヒンメル
オーナーシェフの金長暢之さん
「HIMMEL fabrik」の中の様子。ドウコンディショナーは3台設置している
東京都大田区のベーカリー「ヒンメル大岡山本店」
[ドウコン・ホイロ編]

本店と新工房で4台のドウコンを使用

 スカイブルーのイメージカラーを取り入れた外観がインパクトのある東京・大田区のベーカリー「ヒンメル」は、ドイツパンを中心とした80種類以上の商品を展開する。東急目黒線の大岡山駅前から徒歩3分で、根強いリピーターが多い人気店だが、実は昨年12月に、2、3号店となる目黒店と自由が丘店を、それぞれ目黒駅構内と自由が丘駅改札内に新規オープンした。
 その際に、各店舗全てからほど近い目黒区内の某所に製造の拠点となる新しい工房「HIMMEL fabrik」をオープン。機械設備も新しく導入したが、製造の要となるドウコンディショナーに関しては3台揃えた。そのうち1台は大岡山店に2台あったうちの1台、もう1台は昨年10月にクローズした恵比寿店で使用していた1台、残り1台は新品を買い足した格好だ。
 現在は新工房の3台と本店である大岡山の1台と合わせて計4台のドウコンディショナーを「ヒンメル」全体で所有していることになる。
 「長くベーカリー業界にいますが、働いてくれるスタッフの事を考えると、ドウコンは絶対必要だと考えています」とオーナーシェフである金長暢之さんは話す。
 同店が保有するドウコンは全て同じメーカーの同じ機種で、どれも新品で購入したものだが、一番古いものは5年前に購入。それまではオープン時に中古で購入した1台をずっと使っていた。しかし1室タイプで同店にとっては少々不便だったのと、結局数年で故障したため新しいものに買い換えたという。

人と機械のペースを考えて店をまわす

 実は最初のドウコンが故障する前、東北の被災地でパン製造をともなうあるプロジェクトを手伝う機会があり、その際に使っていたドウコンがとても使いやすかったため、買い替えの際はその機種を選んで購入した。新しいドウコンは2室制御タイプで低温発酵と冷蔵・冷凍が同時にできるものだった。「便利ですね。2室制御対応ですと、工房の中に3台揃えれば、同時に6通りの工程で時間をずらしながら進めていけるよう指導ができます」(金長さん)
 さらに買ってからも不具合がなく、湿度管理も自動で安心して任せられる。冷凍生地を解凍した時のトラブルもほぼなくなった。
 操作性も良いのでスタッフにも使い方の指導がしやすく、もはや同店はドウコンなしでは回らないという。
 「人と機械のペースを考えながらまわしていくのが店舗運営のメインとなっていますね」(金長さん)
 ドウコンは同店のほぼ全ての商品で使ってるという。同店の開店時間は朝7時半だが、ドイツで修行した経験もある金長さんは「やっぱりパン屋は朝からパンを提供できないと」という強い思いを持っている。
 「朝の作業のことなどを考えると、ドウコンはあると便利というより、なかったらどうしようという感じですね」と金長さん。
 実は金長さんが最初に修行した店ではホイロしかなかった。20年位前で当時はそれが当たり前と考えていたという。
 「前日夜の仕込みが夜10時位までかかり、朝は4時に出勤で、当時は18時間位働いていました。いま考えると信じられない話ですよね。だから今後3店舗を効率良く運営していくためにも、4台をしっかり使い分けていきたいですね」(金長さん)

SHOP DATA(大岡山店)
住所:〒145—0062東京都大田区北千束3—28−4
電話:03—6431—0970
営業時間:午前7時半〜午後7時半
定休日:火曜
品揃え:約80品目
スタッフ:製造2〜4人、販売1、2人
店舗面積:厨房11坪、売り場8坪

前の職場と同じものを新品で購入 - スタンダードベーカリー
店長の岡田義高さん
ドウコンやオーブンが設置された厨房
埼玉県越谷市のベーカリー「スタンダードベーカリー」
[ドウコン・ホイロ編]

馴染んだ機械は使いやすい

 昨年5月にオープンした埼玉県越谷市の「スタンダードベーカリー」は、店長の岡田義高さんと妻の絵里さんのみで運営する小規模ベーカリーだ。製造は岡田さん一人が行うため、一台で多彩な使用が可能なドウコンディショナーは欠かせないものになっている。
 「独立前の職場で使っていた機種と同じものを新品で購入したのですが、かれこれ10年位同じメーカーのものを使っているので馴染みがあり使いやすいですね」(岡田さん)
 その職場では冷凍生地の解凍をする事から始まり、ドウコンをずっと使い続けてきた。使っているのは2室制御タイプで、保冷・低温発酵、冷蔵・冷凍などの機能を使い分けられる、そのメーカーの商品の中では最も人気が高いものの中の一つだ。準備段階で購入するにあたっては、ベーカリー関係の機械を扱うある商社に話を聞き、オーブンやミキサーなどを含め同一メーカーで一式購入したという。値段は少々高くてもあえて新品を買った。
 「中古でも良いものがあったかもしれませんが、やはり修理で店を閉めなくてはならないリスクを考えたら、小規模の個人店は新品の方が良いと考えました。ずっと長く使い続ける事を考えると必要経費で後悔はしていません」と岡田さんは話す。
 実際、購入したドウコンディショナーには、これまで小さな故障もなく安定した動きをみせているので満足している。稀に、排水溝が下水とつながっているため、下段で作業していた生地のみ少し臭いがついてしまう事があったが、滅多に起きる事ではないので、深刻な問題にはなっていない。

さらに効率的な使い方を模索中

 実はオープンから約1年が経ち、最近になって、地元自治体の産業支援課とタイアップ。主力品を見直し、現在、菓子パン、惣菜パンなどでそれぞれ目玉商品と言えるような強い商品を育てていこうと、試行錯誤しながら新商品開発を行っている最中だ。
 「そういったより引き合いの強い商品ができたら、製造の作業量は増えますが、お客様の事を考えると品切れなどのトラブルは避けたいので、効率化できるところは効率化してくれる機械にさらに助けられる事になりますね」(岡田さん)。
 ドウコン使用の1日の流れは、まず前日にミキシングした生地の塊を冷蔵庫に入れておく。そして、早朝2時頃来て冷蔵庫から取り出し、分割し成形。それから手動でドウコンをホイロモードにして稼働を開始させ、その中に成形した生地を入れて発酵をとり、朝10時の開店までに1度目の焼成を終えられるようにする。朝集中して作業したい岡田さんにとってはこの流れが合っているそうだ。
 さらに並行して追加分の分割、成形、発酵を進め、昼12時頃には2回目の焼成を終え、その日の分の製造が終了すると同時にドウコンの稼働も終了。この直後に軽くフィルターなどを拭く形でドウコン内部の掃除を行う。多少面倒でも必要なメンテナンスだ。そしてドウコンは電源をオフにせず、中を空にしたまま保冷モードで翌日までおいておく。その方が故障しにくいと聞いたからだ。
 ドウコンのホイロモードと冷蔵庫をタイミング良く使い分ける事で、余力を他に割けるので、徐々に商品数も増やしていけるようになった。ただ、この機種の全ての機能を使いこなしているわけではなく、本当に効率の良い使い方はまだ模索が必要かもしれないという。

SHOP DATA
住所:〒343-0807埼玉県越谷市赤山町3−11−2
電話:048−940−8962
営業時間:午前10時〜午後6時
定休日:日曜、祝日
品揃え:35品目
スタッフ:製造1人、販売1人
店舗面積:売場7坪、厨房7坪


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