必ず先が見えてくる。当たり前の生活が見えてくる - 私の販売集大成ノート(19) - ブランスリー電子版

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連載/2022年4月号

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必ず先が見えてくる。当たり前の生活が見えてくる - 私の販売集大成ノート(19)
長期に亘る困難な事態で経済状況が悪化

 2020年1月20日、横浜港を出港したクルーズ船「ダイアモンド・プリンセス号」の80代男性乗客がコロナウイルスに感染した。2月1日に感染が確認されてから早くも3年目になるが、ウイルスは様々に変異して未だ終息をみない。世界中を巻き込んだ長期に亘る困難な事態は経済事情を圧迫して、多くの業種が多大な打撃を受けている。ベーカリー業界も様々な影響を受け続けている。
  創業以来手作り製法を続けて「一店舗一工房」体制を掲げた「ベルべ」の倒産のニュースや、「北欧トーキョウ」の閉店と一部店舗の譲渡のニュースに接して、ここまで来たかという思いだ。何れもコロナによる客数の減少が経営悪化の一要因と報道されている。他にも閉店したベーカリーの話をいくつか聞くようになった。

閉店という歴然とした事実に圧倒された

 ポンパドウルの販売課長時代に経営上の問題で担当店舗の閉店を経験した事がある。営業最終日に立合った時には、店舗従業員の無念さや行き場のない憤りが手に取るように伝わり、それは差すような眼差しにはっきりと表れていた。言い訳も慰めも通用しない閉店という歴然とした事実だけが目の前にあった。二度と味わいたくない辛い経験である。
 今このコロナ禍で、入って来るものが少なく出て行くものが多ければ滅びる経過を辿るという、経営の原理原則に直面している。コロナ終息を願うばかりだが、誰もが想像すらしなかった現状の中で、コロナ以前の価値基準を現状に当てはめるのではなく、厳しい状況でも知恵を出し合い工夫を重ねて忍耐強く現実を見つめて対応する事が求められている。

単一製品販売の専門店の難しさを実感

 40年前から東京の町田市に住んでいるが、最近様々な業種の店舗が閉店しているのに出合う。その中にはブームの「食パン専門店」と称した個人店の閉店も含まれる。「あんぱん専門店」がブームになった時、ポンパドウルも「あんぱん専門店」を出したことがある。しかし営業は長く続くことはなかった。売上げがダウンして別の種類の製品も売り始めた。一時的に持ち直したが続かなかった。ただ「あんぱん」が売れていないことを露呈しただけだった。ブームとはこういうものだと実体験して単一製品の販売の難しさを痛感した。
 ブームに乗って学んだ事は短期間での勝負である事と、営業を開始するタイミングと撤退するタイミングの見極めを適格に判断する事が重要であるということだ。その判断を誤ると致命的な損失に結びついてしまう。ブームは長く続かないものである事を前提として戦略を練る必要があるのかも知れない。

食べ方や食べ合わせの提案を今まで以上に

 「食パン専門店」へ提言したい。クリスマスイブにフランスパンが一年で一番の売上げとなったことがあり、何故イブにフランスパンを買うのか、お客様に聞いたことがある。「イブはハレの日だから『何時もの食パン』ではなくフランスパンにする」とのことだった。食パンは奥のショーケースに飾られるより、身近に何時もある方が似合う製品だ。食べ方、食べ合わせのバリエーションが実に豊かである。手間が掛からないし、後片付けも簡単に出来る。しかも幅広い年代層が利用する。これらの食パンがもつ特性を考慮した上で「食パン専門店」から食べ方や食べ合わせの提案を今まで以上に積極的に実施して貰いたい。何時も傍にあって何時でもどの様にしても食べられる製品の提案をお客様は期待しているのではないだろうか。目新しさや奇抜さを追うことなく、何時までも飽きられることのない味を作り、様々な提案をして売り続ける事を切に期待したい。
 暫くコロナの終息はないだろう。しかし悪い事ばかりが続くはずがない。必ず先が見えてくる。当たり前の生活が見えてくる。

 望月 康男 販売アドバイザー。1946年神奈川県川崎市生まれ。東京都町田市在住。趣味は、ドライブ、登山、ビデオ撮影、映画鑑賞。1978年9月、株式会社ポンパドウル入社後、町田店、六本木店、伊勢佐木町店の販売マネージャー。1985年1月販売課長。1989年6月販売部長。1996年12月取締役販売促進部長。2001年10月取締役広報宣伝部長。2007年2月〜2010年1月顧問。全店の接客、品質、クレンリネス、品揃えの改善点をアドバイス。株式会社ポンパドウルの成長期、成熟期に販売関連業務に携わる。








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