第29回レーズンベーカリー新製品開発コンテスト - カリフォルニア・レーズン協会 - ブランスリー電子版


ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
ブランスリー新聞/2021年8月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


第29回レーズンベーカリー新製品開発コンテスト - カリフォルニア・レーズン協会
審査員らと受賞者らが集合しての記念撮影
レーズン大賞の「ぎっしりラムレーズンとふわしゅわフロマージュ」
レーズン大賞の「Splendide raisins」
大賞を受賞した中林ありさ氏(右)と中村剛和氏(左)
審査会場でパン作をするコンテストの参加者たち
 カリフォルニア・レーズン協会(駐日事務所=東京・千代田区、ジェフリー・マクニール駐日代表)は、6月11、12の両日、東京・江戸川区の日本パン技術研究所で、「第29回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト」の最終実技審査を行った。
 カリフォルニア・レーズン大賞は、量販・インダストリーベイク・ベイクオフ製品部門が、フジパン、中林ありさ氏の「ぎっしりラムレーズンとふわしゅわフロマージュ」が、オールスクラッチ製品部門が、神戸屋レストラン、中村剛和氏の「Splendide raisins」がそれぞれ受賞した。
 「ぎっしりラムレーズンとふわしゅわフロマージュ」は、スフレチーズケーキ、ラム酒漬けレーズン、スポンジ、デニッシュが4層になった製品で、各パートの違う食感が醸し出す独特のハーモニーがポイント。レーズンは、チーズケーキに合うようにラム酒漬けにし、チーズケーキは、レーズンの食感を最大限に活かすため、スフレタイプにしている。
 中林ありさ氏は「レーズンはチーズケーキに合うようにラム酒漬けにしていて、レーズンの味がより多く出るような仕立てにしています。チーズケーキは、試作の時に、ベークドタイプ、スフレタイプ、レアチーズタイプを試した結果、レーズンの食感を最も引き立てると思われたスフレタイプにしました。ラム酒漬けレーズンとデニッシュの間にスポンジケーキを入れて、ラム酒漬けレーズンのラム酒を吸わせて、よりラム酒の香りが立つような仕立てにしました。一カ月くらいかけて、たくさん試作しました。上司や同僚、家族にも食べてもらって、意見をもらいました」とコメントしている。
 「Splendide raisins」は、レーズンをたっぷりと使用したハード系のパン。主役であるレーズンを引き立てるために、様々な具材をバランスよく使っている。チョコレートとマカダミアナッツを配合することで、全体の味の一体感を出したという。ベースの生地は、レーズンとの相性を考えて、赤ワインで仕込んでいる。
 中村剛和氏は「作品名はフランス語で、他と被らないように、 パンの名前にはあまり使われていない言葉を選びました。たくさんレーズンを使うことを意識して、初めてレーズンペーストも使い、レーズンが全体に行き渡るイメージで作りました。また、どの方向から食べても、レーズンがチョコレートやナッツ、フランボワーズ、オレンジと仲良くしているイメージになるように、各パートの配置を考えました。ハード系で、かつ甘くておいしい、誰にでも受け入れてもらえるようなパンを目指しました」とコメントした。
 今回のコンテストは、「量販・インダストリーベイク・ベイクオフ製品部門」(工場で生産し、完全包装で販売する製品とベイクオフ・ QBD製法で生産し販売する製品が対象)と「オールスクラッチ製品部門」(店舗や工場でのオールスクラッチ製法で生産し販売するパンが対象)の2部門で製品を募集し、合計124製品の応募があった。その中から、第一次書類審査を通過した21作品の出品者が最終審査に臨んだ。
 審査員は、カリフォルニア・レーズン協会駐日代表のジェフリー・マクニール氏、アメリカ大使館農産物貿易事務所所長のチャンダ・ バーク氏、ベーカリーコンサルタントの西村一雄氏、ベーカリーコンサルタントの目黒誠一氏、辻製菓専門学校の梶原慶春氏、東京製菓学校の伊藤常至氏、服部栄養専門学校の川瀬幸司氏、全国パン専門新聞協会代表の高家正史氏が務めた。
 審査の結果、カリフォルニア・レーズン大賞が2人に授与されたほか、カリフォルニア・レーズン金賞が3人に、カリフォルニア・レーズン特別賞が6人に授与された。合計で11人の受賞者らには入賞楯と、副賞としてカリフォルニア・レーズンの産地であるカリフォルニア州フレズノへの研修旅行が贈られた。
 第一次書類審査の審査員、渡邉睦氏の総評 一次審査は、作品のレシピのみで現物がない中、審査員の想像力と知見で判断するわけですが、やはり 最初に見る写真の印象は大きく、そこでアピールすることがとても大事です。次に、成形など作り方が具体的に書かれているかどうかもポイントです。文章だけでは難しいようであれば絵や写真を入れてもいいと思います。ご自身の作った作品をどのように紙一枚で伝えるかというのが、非常に大事で、また難しいことだと思います。審査する我々も、そこから、どんな味がするのだろうかとか、こういう組み合わせだったら食べてみたいとか、そういった判断で選ぶわけです。今回については、あまりぶつかる意見がなくスムーズに決まり、優秀な方が多かったという印象です。私も様々なコンテストの審査員を務めている中で、最終的には、味の評価についてのポイントが一番高いと思います。色々な方法や凝った配合で作ったとしても、最後には、その味や食感で評価が分かれます。今後も皆さんは、コンテストや実際のお仕事の中で作品や商品を作られると思いますが、その中で一番大事にしていただきたいのは、味です。どんな人に食べていただくかを想像しながら、食べる人の顔を思い浮かべながら作っていただきたいと思います。
 審査員の梶原慶春氏の総評 このコンテストの審査員を務めるようになって10年近く経ちますが、今回ほど、審査員から「美味しい」という言葉を多く聞いたことはありません。どの作品も美味しかったのですが、 その中でも、ほんのちょっとの差で受賞されたり、惜しくも受賞を逃されたり、ということで決まりました。ここ数年、技術的にはもうほとんど差がありません。どの方も、 本当に上手なパン作りをされますし、美味しいパンを作ると思います。ただ、レーズンのコンテストであるということをしっかり覚えておいてほしいと思います。様々な素材との組み合わせがあり、また、レーズンの味を引き出すため、レーズンを漬け込みにする場合、漬け込む時間とか使用するお酒とか、そのちょっとした違いによって、レーズンの食感などに差が出てくると思います。レーズンの機能性や保湿性を活かした作品もあれば、原点に返ったようなシンプルな作品もありました。どちらも審査員からは高評価だったと思います。味の良さだけではなく、やはり、レーズンの持つ様々な機能性、他の素材との相性、そういったこともしっかりと表現できた作品が、今回受賞したと思います。
   ◇
 各賞受賞者は次の通り。
 【量販・インダストリーベイク・ベイクオフ製品部門】
▼カリフォルニア・レーズン大賞▽フジパン、中林ありささんの「ぎっしりラムレーズンとふわしゅわフロマージュ」
▼カリフォルニア・レーズン金賞▽J‐オイルミルズ、江嵜豪さんの「トロピカル・レザン・アイランド」
▼カリフォルニア・レーズン特別賞▽フジパン、秋葉美帆さんの「レーズンベイクショコラ」▽神戸屋、鈴木大樹さんの「レザン ピスターシュ」
 【オールスクラッチ製品部門】
▼カリフォルニア・レーズン大賞▽神戸屋レストラン、中村剛和さんの「Splendide raisins」
▼カリフォルニア・レーズン金賞▽Boulangerie Kishimoto、大島茂樹さんの「魅惑のアマンドレザン 〜午後のひととき〜」▽ドンク、上木雅司さんの「ブリオッシュ・オ・レザン 〜アルザスの香りと共に〜」
▼カリフォルニア・レーズン特別賞▽神戸屋レストラン、郄橋翔さんの「ティアラ・レーズン」▽ドンク、佐々木和希さんの「Lingots au raisin」▽ドンク、斉藤豊さんの「La vigne rouge(赤い葡萄畑)」▽グルマンマルセ、小出塁さんの「botanical stollen 〜ローズヒップの香り〜」








2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら

読んでほしい記事

  1. コロナ禍を経て辿り着いた会話を楽しむ対面販売 - hnn
  2. 消費者はパン屋選びにSNSをどう使っているか? - 消費者アンケート
  3. ベーカリーの販促はSNSで決まり