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お店拝見/2015年12月号

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1人でも多くの人に食べてほしい - ブーランジェリーベルドール
店舗は間口が広く、正面に厨房が見える造りになっている。「ボリュームがあって、リーズナブルな価格」がモットーだ
オーナーシェフの奥裕樹さん
正面の大きな平台には、その時々の焼き上がったパンが並ぶ
オーナーシェフの奥裕樹さんと販売を担当する葉子夫人
定番のパンがおいしい店は、他のパンもおいしい

 大阪府堺市のショッピングセンター、おおとりウイングス内に9月18日、「ブーランジェリーベルドール」がオープンした。オーナーシェフの奥裕樹さんは、5年前に結婚し、妻と子供3人の5人家族で、「一家の生活がかかっていますから、何をするにも力が入ります」と真剣そのものだ。
 おおとりウイングスは、食品や生活雑貨、ファッションなどの専門店が集まった商業施設で、「ブーランジェリーベルドール」はその中に売り場8坪、製造スペース12坪の店舗を構える。製造は奥さん1人で、週2日だけアルバイトの製造補助が入る。
 「今の日商は、13万ぐらいです。曜日ごとの増減はあまりありません。設備が整っていることもあり、製造量は1人で作っているにしては、多いと思います。月400万ぐらいは売らないときついのではないかという計算はしていました」と奥さんはいう。
 オープン直後は、ハード系のパンなど、奥さんが客に食べてほしいパンを多く出していたが、「私らこんなパン食べられない」「もっと柔らかいパンはないの」などの声が相次ぎ、オープン後1カ月もたたないうちに、客の要望に沿う形で商品構成をがらりと変えたという。
 「『定番のパンだけどおいしいよね』と言って頂くのがまずは大事なのではないかと思うようになりました。『このクリームパン、おいしいよね』と言ってもらえればしめたものです。まずはお客さんの好みのパンを出していかないと受け入れてもらえません。そんな中で、全体の1割ぐらいは、バゲットやカンパーニュなど、「こんなパンもいかがですか」と勧めているパンもあります。そうしないと自分の楽しみがなくなってしまいますからね。ちょっとは自分がこういうパンを作りたいという部分がありつつ、でも商売なので、お客さんの『こういったものがほしい』という声には、柔軟に対応していきたいですね。『普通の何気ないパンがおいしい店は、ほかのパンもおいしいはずだ』と信頼してもらうことが先決だと思います」
 奥さんは1年経って次の年にどうするかが重要だと考えている。2年目に入る時点で、人員も充実させ、店から客への提案の割合もどんどん増やしていこうと考えているという。
 「1年じっくりとお客様と向き合って、2年目の展開を考えたいですね。売上の前年比増は絶対に実現したいと考えています」(奥さん)




「クリームパン」(税込120円)。ボリュームがあって、値ごろ感がある
「カレーパン」(税込120円)はボリューム感たっぷり
「メープルフラワー」(税込120円)は、食パン生地を使用
「Vバゲット」(税込220円)は仏産小麦粉を使用し、低温長時間発酵させて作る
「ブーランジェリーベルドール」があるおおとりウイングスは、専門店の集合体だ
父親のベーカリーと同じ名前で独立

 「ブーランジェリーベルドール」というベーカリーはもう1軒ある。店のロゴマークも同じだ。オーナーは奥さんの父親の光義さん。実は奥さんは、父親が経営するベーカリーで、10年間修業した上での独立だったのだ。
 「独立という形なのですが、店の名前とロゴは引き継いでやっているので、店は別々ですが、同じ店という感覚もあります。自分でお金を出して、自分で一から苦労してやった方がいいと思いました。すでにうまくまわっている店を引き継ぐだけでは、独立する大変さが分からないままの部分が出てきてしまいます。あとは、自分ならもう1人でもできるのでは、という自信もありましたね」(奥さん)
 2年ほど前から店舗物件を探し始めた。最初は、売り場と厨房で12〜13坪、家賃7〜8万円の条件で探した。日商5〜6万でやっていこうと考えていた。奥さんと葉子夫人の2人で無理なくやっていければいいと考えていた。しかし、その条件では、いい物件がなかなか見つからなかった。
 そんなときに舞い込んできたのが、現在の店舗の話だった。居抜きで、機械一式は揃っていたので、機械への初期投資を押さえるこができ、その分、内装にお金をかけることができた。
 「商業施設内の立地だと、テナントということになるので、店の独自性が薄れる可能性があるというデメリットがあります。でも路面店で出すよりは、お客さんが沢山来てくれて、単価は低いかも知れませんが、自分のパンをより多くの人に食べてもらえる可能性が高いと思いました。父が、同じく商業施設内の立地で成功していることもありました。あとは、路面店で、朝7時とかに店を開けるとなると、妻に朝6時に店に出てもらわなくてはなりません。そうなると、まだ小さな子供たちがほったらかしにされてしまいます。ここだと、オープンが午前10時なので、妻は9時に入ればよく、子供を学校に出してから出勤できます。それも、ここに決めた理由のひとつでした」(奥さん)

父親のパンがおいしいと言われるのが嬉しかった

 今回の独立で、奥さんが身に染みて分かったことがあった。それは父親の偉大さだった。
 「いざ、自分ひとりでやってみると、一人で作る大変さが、身に染みて分かりました。そして、父が独立したときにどれだけ大変だったかということが理解できました。父は大阪の富田林という場所で、『ベルドール』という名前で、27年間ベーカリーをやっているのですが、そのすごさがいま痛いほどわかります。これまでは、父と一緒にパンを作っていたので、『ベルドール』というパン屋のすごさが実感できなかったんですね。こうやって離れてやってみて、改めて父と父の店を見たときに、そのすごさを思い知らされます」
 奥さんは、子供の頃、生まれ育った大阪の富田林市のいろいろな人から「おまえのとこのお父さんのパンはおいしいな」と言われるのがとても嬉しかった。小学校の時の夢は、「ベルドールを世界一のパン屋にすること」だった。
 奥さんは今、大阪の和泉市に自宅を構えているが、将来の夢は、和泉市でパン屋をやって、自分の子供が、友達から「おまえの父ちゃんのパンはうまいな」と言われるようになることだという。

SHOP DATA
店名:ブーランジェリーベルドール
住所:〒593‐8324大阪府堺市西区鳳東町7-733おおとりウイングス1F
電話:072‐274‐2025
営業時間:午前10時〜午後8時
定休日:無休
品揃え:80〜90品目
スタッフ:販売常時3人、製造常1人
店舗面積:厨房12坪、売り場8坪
日商:13万円



この記事の読みどころ

●自分のパンを1人でも多くの人に食べてほしいというはっきりとした動機があった。
●どこにでもあるありきたりのパンこそ、おいしく作ることが大事。
●自分が父親に対して抱いていた思いを、子供にも自分に対して抱いてほしい。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。




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