ソフトなパンが主流の場所で、ハード系で勝負 - ラパンラパン - ブランスリー電子版


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お店拝見/2013年11月号

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ソフトなパンが主流の場所で、ハード系で勝負 - ラパンラパン
店主の宮本さんを中心に、右が製造経験10年の松本さん。オープン時から働いている。左が販売の柳田さん
「ロマンチックな雰囲気」を醸し出す「ラパンラパン」の外観
店内は、スペースに余裕を持ったレイアウトが施され、ゆったりと商品を選ぶことができる
レジでの会計時に、会話が弾むことも多い
 うさぎをシンボルマークにしたベーカリーが東京・足立区綾瀬にある。店名は「ラパンラパン」。名前の由来について店主の宮本康晴さん(38歳)は「私の干支がうさぎなんです。それに、店をオープンした2011年が丁度うさぎ年でした」。それで、うさぎのパン屋さん。
 東京メトロ・千代田線綾瀬駅の東口から歩いて5分ほどの場所にある同店は、宮本さんの一つの理想の表れでもある。ベーカリー出店の立地条件として、宮本さんは「住宅街で近くに公園があること」と考えていた。人通りが見込めるからだ。最初は地元である墨田区の亀有に落ち着きそうだったが、東日本大震災の影響を受け、店舗物件のオーナーが一時保留としたため、その後数カ月間、墨田区内全域をまわり、店舗探しに汗をかいた。靴を一足つぶしたそうだ。その結果、現在地への出店となった。店の前の通り道には東綾瀬公園があり、この場所ならいい仕事ができると感じたという。
 オープンしたのは、2011年の8月。周囲のリサーチを行ない、柔らかなパンが主流になり得るとの結果を導き出した。しかし、敢えて、ハード系のパンを店のカラーとした。その理由は宮本さんの修業先にある。東京製菓学校卒業後、目黒区内のベーカリーで最初の修業を開始した。そこで、ハード系のパンの存在を知った。「初めてめぐり合ったパンの美味しかったこと。しっかり学んで身に付けたいと思いました」と宮本さん。
 独立までには、それから14年の歳月が必要だった。憧れのジョエル・ロブションで研鑽を重ね、最終的には、ソフト系のパン作りの技術を習得するために職を得たリテールベーカリーで店長を任された。そこでは技術だけでなく、店舗運営にかかわる経費の出し方などの経営ノウハウも獲得できた。今は自分が学んできたハード系のパンを綾瀬で広められたらと考えている。



客数は2年前の約1・8倍に
夕方に向けてもうひと踏ん張りの宮本さん
人気のフランスパン3種類。左から「バタール」「長時間発酵バゲット」「バゲットナチュール」
北海道産小麦粉にライ麦粉35%が入った「パン・ド・カンパーニュ」。サンドイッチ用として提案している
左が「さつまいものブリオッシュ」。右が「栗のブリオッシュ」。両方とも季節商品だ
 オープンして丸2年が過ぎた。来店客数はこの間徐々に増えて、当初よりおよそ1・8倍になっているのではとの実感があるそうだ。その実感を支えるのは、商品の売れ行きだろう。同店が綾瀬で広めたいハード系のパンの人気商品というと、フランスパンがある。低温で一晩熟成させて、小麦粉の旨みを引き出した長時間発酵バゲット(260円)、スタンダードな製法で焼き上げたバタール(235円)、ルヴァン種を使い、15%のライ麦粉を混入させた「バゲットナチュール」(260円)の3種類だ。1日に3回焼き上げるが、毎日ほぼ完売する。焼き上がり時間を目指して来る客もいる。中には、これらの商品のみを求める人もいて、売り切れと知らされると何も買わずに帰るという。
 天然酵母を使用したライ麦パンも人気商品の一つ。北海道産小麦粉にライ麦粉を35%混ぜ、サンドイッチ用にも提案している「パン・ド・カンパーニュ」(大440円)、これをベースにした季節商品としての「栗のカンパーニュ」(270円)、オレンジピールなどを入れた「フィグ・オランジェ」(250円)などカンパーニュ各種のほか、ライ麦粉を85%使用した「パン・ド・セーグル」(大260円)、同じ生地にレーズンとクルミを練りこんだ「セーグル・ノア・レザン」(大380円)、アプリコットやいちじくなど4種のフルーツを入れた「セーグル・フリュイ」(大420円)も好調だ。ただ、ライ麦粉85%の商品は、製造2人の現状では毎日焼き上げるのは難しいそうだが、フランスパン同様にファンもいて「どうして毎日作らないのですか」と問われることもある。申し訳ないと思いながらも、反面嬉しい問いではある。ハード系を前面に出したことが成功しつつあるようだ。 



求められる商品作りを目指して
左が季節商品の「ぶどうデニッシュ」で、2種類のぶどうをトッピング
前列左から「セーグル・ノア・レザン」「セーグル・フリュイ」「パン・ド・セーグル」「リュスティック」
 「ラパンラパン」を訪れる客のほとんどが「ご近所さん」。平日は主婦が中心になるが、忙しい時間帯である朝、昼、夕方では売れる商品が異なるという。朝は綾瀬駅に向かうサラリーマンたちが、朝食用にとサンドイッチや菓子パンなどを1つ2つと購入していく。昼は、近くの企業のサラリーマンらと主婦らに、いわゆる調理パン類が売れる。夕方は、近くのスポーツ施設で運動を楽しんでいた子供たちを迎えに来た母親らが、好みのパンを求めて立ち寄っていくという。
 宮本さんはこの2年間で「お客様の嗜好に変化が出てきたように思います」と語る。そして「硬いパンが思った以上に売れている」という。「それも年配のお客様が購入されるんです」とも。しかも、若者たちよりも年配者の方が客数が多いという。また、宮本さんは「『ラパンラパン』のパンが食べたいと言われるような商品作りを続けたい」と話す。
 これまでも、フランスパンやカンパーニュなどについては、それらを使った調理パンの提案をしたり、フルーツなどを練り込んだ製品を作ったりと、より美味しく食べてもらう工夫を重ねてきた。ブリオッシュやデニッシュについても、季節商品として、サツマイモ、栗、ブドウなどをあしらったものを提案し、客の食欲を刺激する。これからも新たな跳躍に向けた努力が続きそうだ。

SHOP DATA
店名:ラパンラパン
住所:東京都足立区綾瀬3−26−2
電話:03−5856−0984
営業時間:午前7時30分〜午後7時30分
定休日:木曜、隔週水曜
品揃え:60〜70品目
スタッフ:製造2人、販売2人
店舗面積:厨房11坪、売り場7坪
日商:12万〜15万円



原価計算女王
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