オーナーから引継ぎ請われ独立へ - ラ・ベルコリーヌ - ブランスリー電子版


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お店拝見/2012年11月号

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オーナーから引継ぎ請われ独立へ - ラ・ベルコリーヌ
広々とした空間を感じさせる
「ラ・ベルコリーヌ」の外観
3種類のバゲット。左から「バゲット」「バゲット べルコリーヌ」「バゲット クラシック」。見た目にも違いがわかるように、クープの入れ方を変えている
1999年に「東日本ナンバー1」と評価された「クロワッサン」。
小麦粉のおいしさを味わえる「ノア」
オーナーシェフの澤田利明さん
 「パン屋は好きですね。一生パン屋でいますよ」と語るのは、「ラ・ベルコリーヌ」のオーナーシェフ、澤田利明さん(45歳)。今年で27年目を迎えた経験豊かな製パン技術者だ。確かな腕から生み出される50種類の商品は、近隣の人々の胃袋を日々刺激する。
 今はベーカーとして活躍する澤田さんだが、最初は本気でパン屋になろうとは考えていなかった。実家が飲食店を経営しており、いずれはあとを継ぐつもりでいた。その前に、別の世界を覗いてみようと思い、高校卒業と同時にポンパドウルに就職した。高校で見つけた同社の求人欄にあった「手作り」という言葉にひかれたという。同社には3年間在籍。修業中、仕込みから窯までのパン作りの工程が身体の中で一つにつながっていくのが嬉しかった。仕事が楽しくなり、他のベーカリーを積極的に見て回るようになったというから、仕事の魅力とは不思議なものだ。
 その後、ルノートルやトロアグロで修業を重ね、1997年に「ラ・ベルコリーヌ」の前身である「パンペルデュ」にシェフとして入社。1999年には、フランス人ジャーナリストが、日本の雑誌に「同店の『クロワッサン』が東日本で一番おいしい」との記事を掲載した。澤田さんとしても大いに自信になった。翌年、「パンペルデュ」のオーナーから「店を引き継いでほしい」と請われ、2000年4月に「ラ・ベルコリーヌ」の店名のもと独立した。



納得のクロワッサンとこだわりの人気商品
山ぶどうのおいしさが生かされている「レザン」
「ラ・ベルコリーヌ」は店の名前がついた食パン
30席あるカフェコーナー。フレンチトーストや季節のスープセットが楽しめる
カフェコーナーから見たパン売り場
日替わりで実施しているサービスのお知らせを店の前に掲げる
カフェメニューの案内。単品でもセットでも楽しめる
 独立して13年目を迎えた今でも「クロワッサン」(180円)は人気ナンバー1の商品だ。食感をパイとパンを合わせたように出来ないかと工夫した結果、パリパリ感だけではなく、食パンのようなソフトな食べ口も得られた。しっかりした油分と若干の甘みも、クロワッサン全体の味を引き立てる。
 店舗販売だけではなく、レストランへの卸売りでも好評なのが「バゲット」(260円)。10軒のレストランに卸している。ほかに、「バゲット クラシック」(270円)、「バゲット ベルコリーヌ」(300円)もあり、バゲットは全部で3種類だ。「もっとおいしいバゲットを作れないかと考えていたら、3種類になりました」と澤田さん。「バゲット」はほどよい甘みと、内相にもっちり感がある。癖がないのでどんな料理にも合うという。「バゲット クラシック」はフランス産小麦粉にライ麦粉を10%加える。一晩寝かせた酵母を使うと、カンパーニュのようなバゲットに仕上がった。「バゲット ベルコリーヌ」には山ぶどうから起こした自家製自然酵母を使う。風味もよくクリーミーな味わいだ。これら3種類を平日には70本、土曜や日曜には合計で100本焼き上げる。それぞれにファンがついており、お気に入りのバゲットが売り切れていると買わずに帰る客もいるらしい。
 自家製自然酵母を使用した商品はいくつかあるが、中でも評判なのが「ノア」(300円)。もちっとした食感で、噛み締めていると生地の甘みとクルミの香ばしさが、口一杯に広がる。食べ応え十分な商品。
 食物繊維が豊富なのは「レザン」(450円)。たっぷり入る山ぶどうの形を最後まで崩さない作り方は独特のもの。果物と小麦粉、20%のライ麦粉の風味が存分に味わえる。
 「ラ・ベルコリーヌ」(1斤260円)という店の名前をつけた食パンには、カナダ産小麦粉を100%使用。生クリーム入りで、しっとりした口当たりが嬉しい。

SHOP DATA
店名:ラ・ベルコリーヌ
住所:神奈川県横浜市青葉区美しが丘1‐9‐1
電話:045−901−4142
営業時間:平日午前10時〜午後6時、土曜・日曜午前10時〜午後7時
定休日:火曜、第3月曜
品揃え:50品目
店舗面積:厨房15坪、売り場(カフェ含む)15坪
スタッフ:製造2人、販売1〜2人
日商:平日10万円、土・日15万円



大切な生地作りこそベーカーの力と信じる

 東急田園都市線・たまプラーザ駅からおよそ5分の美しが丘の地でパンを作り続けて16年目となる澤田さんを支えるのは、毎日店に通ってくれる客。シェフとしてパン作りを始めた当初は、リテールベーカリーなどの数も多くない場所だったが、現在では、立派なベーカリー激戦地区だという。それだけに、平日10万円、土日で15万円を売り上げるのは骨の折れるところだ。そんな中、中高年の人々や妊婦さんも「ラ・ベルコリーヌ」を訪れる。客単価は600円ほどだが、散歩がてら、パン好きの人たちが、香ばしい匂いに誘われてやってくる。
 毎朝4時から仕込みを始める澤田さんを支えるのは9人の従業員。全員アルバイトで、そのほとんどが主婦。長い人だと8〜10年の経験がある。7時から製造に携わる人もいる。長期間働いているので、パン作りや店舗運営も熟知している上に、一所懸命に仕事をするので、安心して任せている。なくてはならない存在だ。
 そして、澤田さん自身のパン作りへの思いこそが、当然ながら一番の支えだ。現在焼き上げる50種類の商品を増やすのは可能だという。「でも、生地作りをもっと考えるべきなんです」と澤田さんは話す。「リテールベーカリーで使う小麦粉に大差はないはず。特徴をよく捉えた上で、自然酵母の特性を生かせればと考えています。おいしいパン作りはベーカーの力だと思います」とも。
 「ラ・ベルコリーヌ」という店名の由来は、ここの地名の「美しが丘」にある。フランス語で「belle(美しい)、colline(丘)」と書くそうだ。オープンして丸12年が過ぎた。これからも「美しい丘」から、美味しいパンを提供し続けていくに違いない。




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