記事の閲覧
| <<戻る |
| 特集/2004年8月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| リテールベーカリー・オーナーの労働条件 オーナーは夜も寝ないで働くのが当たり前?
店が繁盛すれば見返りも十分ある? 今回はリテールベーカリー・オーナー、もしくは それに近い立場のパン職人3人に、 自身の労働環境について聞いてみた。 進むべき大きな方向を見据えながら、 日々の仕事に励んでいる姿が印象的だった。 |

| 頑張れば頑張っただけ報酬も増えるのでやりがいがある。
KURIYA(東京・板橋区)・西口貴さん
定休日なしで、週休2日が目標。 雇われて店長として働いていたときは、たとえ頑張って、売上を伸ばしても、他の店舗の売上が下がって全体として売上が不調だと、頑張った分を待遇面に反映してもらうことが難しかったのですが、自分での店なら、頑張れば頑張っただけ報酬も増えるのでやりがいがあります。 今は午前4時半から午後7時か8時ぐらいまで働いています。睡眠時間は4時間から5時間ぐらいです。雇われて働いていたときより、2時間ぐらい多いと思います。 オープンから約8カ月ですが、体力的には問題ありません。精神的にもまったく苦になりません。 問題は、やはり従業員の労働条件だと思います。ある人から「パン屋は労働時間が長いのは仕方がないが、従業員を12時間以上働かせると、続かなくなるからそれ以内にしなさい」といわれ、それを守っています。 また週1回の定休日以外に月に2日休みをとってもらうようにしています。 実は定休日があっても、次の日の準備などで、私は休めないんですよ。つまり私は休日がありません。オーナーで開業後間もないわけですから仕方がないのですが、ゆくゆくは、私も含めて交代で休めるようにしたいと思っています。 それには、やはり店を任せられる人材を育てなくてはなりません。 理想は、「店の定休日がなくて、しかも完全週休2日制」です。 それと、もうひとつ、個人事業主ということで、仕事とプライベートの区別があまりつかない状態になってしまっているので、そのためにも、シフト制で交代できちんと休めるようにしたいですね。 |

| 厨房にいる間は、一瞬たりとも気が抜けない。
ゾンネンシャイン(東京・大田区)・竹田薫さん
8種類の生地の仕込みから始まる。 ゾンネンシャインの竹田薫さんは、窯以外の製造の仕事をほぼ1人で担当。 窯を担当する父親の忍さんとともにパンの製造をてきぱきとこなしている。 朝4時に起床。4時半に厨房に入る。 まず、取り掛かるのはフランス生地や、食パン生地など当日仕込みの8種類の生地の仕込だ。 ミキサーが2台あって、同時に2種類ずつ仕込んでいく。生地によって、仕込み方が違うので大変だ。 仕込みが終了するのが午前6時前ぐらい。ミキサーをまわしている間も、材料を計量したり、番重に油を塗ったりと、準備作業がたくさんあるので、手はほとんど休まることがない。そんな中から時間を見つけて、洗物なども行う。 朝起きて間もないが、これで頭は一気にフル回転モードに入る。仕込みがひと段落すると、アンパンやクリームパンなど菓子パン類の成形に入る。前日仕込んで、生地玉冷蔵しておいたものを使用する。 「全部で10種類で、すべて包みものです」(竹田さん) これを終わらせるのは、午前6時半が目標。この間も、最初に仕込んだ生地のすべてについて、常にその状態を頭に入れておいて、パンチを入れる生地にはパンチを入れる。 窯も手伝う。頭はフル回転 午前6時半に、食パンの分割が始まる。朝一番で仕込んだものだ。 すでに6時には忍さんが、調理パンとデニッシュの窯入れを始めている。前日成形して、ドウコンに入れておいたものだ。店のオープンは午前7時半。オープン時には、サンドイッチ、焼き込み調理、バターロールなど約30種類のパンが並んでいる。 竹田さんは、朝一番で仕込んだ8種類の生地の分割、成形、ホイロ入れなどに専念。極度の緊張が続く。6時から10時まで窯もフル回転。息つく暇もない。窯は6取り天板2枚差し3段と同4枚差し2段の2台。 この間、竹田さんは品出しもする。窯を手伝ったりもする。頭はさらにフル回転だ。 「生地の発酵具合に窯が追いつかなくこともあります。待てる生地、待てない生地がありますから、その場その場で瞬時に判断していきます」 午前10時近くなると、窯前までの工程の竹田さんの作業はほぼ終了。 だが、ほっとはできない。竹田さんが得意とするライ麦を使ったドイツパン類の仕込みが始まるのだ。ドイツパンの生地は全部で5種類。品目数は7。およそ12時ぐらいには焼き上がる。 次の日用の菓子パンや調理パンの仕込み、分割なども順次行っていく。クロワッサンやデニッシュなどの仕込がある日はさらに忙しい。 材料を問屋に発注するのも竹田さんの仕事だ。平均すると1日の仕事が終了するのは7時ぐらいだ。 突発的に時間をとられるようなことがあると、仕事がかなりきつくなる。年末や特注が入った火日は、午後10時くらいになってしまうこともある。 「ちょっと気が入っていなかったりすると、仕事の段取りがくるってきてしまうので、厨房にいる間は一瞬も気が抜けません」 そんな竹田さんにとって、休日に街にでて、色々なもの見たり食べたりするのが、貴重な生き抜きになっているそうだ。 |

| 息子とのチームワークでパンが次々と焼き上がっていく。
個性パン創造アルル(東京・豊島区)・林春二さん
厨房に午前6時半に入る。 個性パン創造アルルの林春二オーナーは、午前6時半に厨房に入る。製造担当は林さんと、息子の太郎さんの2人。 太郎さんも午前6時半に出勤する。 林春二さんの朝一の仕事は、生地玉冷蔵の生地を成形し、天板に並べることだ。開店までにホイロをとって焼き上げるためのものだ。 また、前日成形まで済ませ、ドウコンに入れておいた生地を焼成する準備などに追われる。こちらも開店までに焼き上がる。 林さんは午前8時半の開店までにおよそ20品目の菓子パンを焼き上げる。 太郎さんは仕込みの担当だ。まず食パンの仕込みにかかる。これが午前7時半ごろ。 食パンも入れて5〜6種類の生地を約1時間で仕込む。 仕込み終えた時点で午前8時半の開店。林さんが焼き上げた菓子パン類がすでに店頭に並んでいる。 息子が入って楽になった。 開店後は、林さんは、朝仕込んだ生地の発酵管理や分割・成形、ホイロ管理などに追われる。最初に仕込んだ食パンが窯に入るのが、午前10時ごろ。窯はこのあと12時までフル稼働。林さんと太郎さんのチームワークで、生地が順次ホイロから出て、パンが次々と焼き上がっていく。この間に、太郎さんは、フランスパンなど数種類の生地をさらに仕込む。 午後から林さんはカステラの製造にとりかかかる。焼き上がるのは午後2時ぐらいだ。 同時に、その日のパンの売れ行きを見ながら、必要な場合は、追加でパンを焼き上げる準備をする。追加用のパンは冷蔵生地玉か冷凍生地玉を使う。急に追加が必要になった場合は、冷蔵生地玉、比較的余裕がある場合は、冷凍生地玉を使う。 午後からは、次の日の開店と同時に店頭に並ぶ主に菓子パン類の仕込みも行う。製造の仕事が終了するのは、大体午後7時ごろだ。 林さんは「息子が一緒にやるようになって、仕事がだいぶ楽になりました。任せる部分をどんどん増やしていきたいと思っています」と話した。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。






