記事の閲覧
| <<戻る |
| 実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識(3)/2004年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識(3)
文・折井英雅
昭和30年に東京農工大学農芸化学科を卒業し、(株)東急フーズ(現サンジェルマン)入社、サンジェルマン開発部長、海外事業部長として国内外約120店舗のインストアベーカリー、レストランベーカリーの企画から開店までをプロデュース。平成3年ハワイ・ディーライトベーカリーでの2年間の社長職の後退社。平成4年から11年まで食糧学院・東京ホテルレストランカレッジ製菓喫茶店経営科(現在、東京栄養食糧専門学校に移管)科長として専門学校の教育に従事。現在はベーカリー会社顧問のほか、名古屋文化短大食生活専攻科講師として製菓製パン理論、フードマネージメント論を講義。所属団体としてはRC・アミカル会副会長、フードシステム研究所主任研究員として「食文化から食マーケティングヘ」の視点から、同研究所の江戸を学ぶ会、新発想開発塾に研究員として参画。 |

| 損益計算書の作成手順、材料費と人件費の節減は、利益に関係する
第3節 財務戦略―計数管理(続)
前回のAベーカリーの貸借対照表の説明に続きまして、今回は平成15年度の損益計算書の説明から入ります。 【損益計算書手順】 (1)売上粗利益を計上します。 ▼売上高を記載します その期間の売上額です。Aベーカリーの15年度における実際の売上額は7000万円でした。25年度は10店舗の売上を予想し10億円としました。 企業は売上を上げる事が重要で、そのための向上策については営業活動の項で説明します。 ▼売上原価を計算して記載します この場合の原価は仕入材料や仕入商品の購入価格で、次のように計算します。 売上原価=期首在庫高 + 当期仕入高 ‐ 期未在庫高 ここで注意が必要なことは、この原価に材料費のほかに製造にかかわる直接の人件費、経費が入っている場合があることです。大手製パン会社がそうであり、Aベーカリーは材料費のみで34・3%ですが、前回掲載した某大手製パン会社の損益計算書では65・9%も計上されています。そのうち材料費は、別の添付資料の製造原価明細書から42・4%です。 これは大手企業では工場も多くあり、そこから卸を含めて販売が多岐にわたりますので、販売部門と製造部門の管理をはっきりさせるためだと思います。 この連載では製造販売が一体のベーカリーや、カフェのような飲食店が主体ですので、売上原価は材料費のみ(今後明確化のため損益計算書では材料費とします)とし、人件費、経費は営業経費でみます。 これで他社との比較が同一条件で客観的に見られるようになります。 材料費をどう管理して節減を図るかは、利益にも大きく関係します。 勿論材料費については経営者の考え方や商品政策で大きく変わり、ブランスリー誌2003年11月号で見ても25%から40%近くまでの幅があります。Aベーカリーは34・3%で若干高いので節減を図るよう考えています。この施策や管理については営業活動の章で説明いたします。ここでは2400万円になりました。 ▼売上粗利益を計算します 売上粗利益=売上 - 売上原価 Aベーカリーの場合は、4600万円の粗利益になりました。 (2)営業利益を計上します ▼営業経費の各項目の計算をします [人件費項目] 役員報酬 給料手当 法定福利費 福利厚生費 (退職引当金) 雑給 人件費というと、支払給与だけでなくこれだけのものがかかるということです。 従業員の人件費については、社員では給料に賞与も入り、その他にいろいろの手当(役付手当、通勤手当、残業手当等)がつき、会社によって相当内容や支給額が変わります。 また社員には法定福利費、厚生費が必要で、これらを合わせて基本給の1・4倍が、社員に対する人件費となるといわれます。今後の収支計算ではこの数値で考えます。 パート、アルバイトは雑給に入れますが、これに通勤費とユニフォームの貸与など厚生費があれば加わることになります。 人件費は材料費と同じように大きく利益に影響します。Aベーカリーは35%と比較的高く(一般的には30%を切っているようです)、これは将来の多店舗化をにらんでの人材投資の面もあります。 いずれにしましても人件費や人員構成については、営業活動の章で説明いたします。 ここでは2450万円となりました。 [経費項目](カッコ内は標準的インストアベーカリーの、売上に対する割合=%) 水道光熱費(4・0) 備品消耗品費(1・0) 包装品費(1・5) 装飾費(0・5) 修繕費(0・5) 広告宣伝募集費(0・5) 接待交際費・各種会費(0・5) 教育研究費(1・0) 交通通信費(1・0) 保険料、租税公課(0・5) 共益費(0・5) その他雑費(0・5) 経費は日常的に細かく出費がなされますので常に注意が必要です。管理しやすく節減の大きいものから順に並べてあります。経費についても、店舗の性格や経営者の意志で重点的にかけるものもあり変わりますが、今までの私の経験からインストアベーカリーの標準的な経費率(前述の経費項目のカッコ内の数字)を付けておきましたので、管理の目安にしてください。売上の12%となり840万円となりました。 [賃貸料] テナント出店で店舗を借りた時の家賃です。商圏の大小、立地の善し悪しや、契約上での保証金との関係、建物引渡条件等で変わってきますので、詳しくは出店戦略の章で説明します。 このAベーカリーはJR山手線の駅前商店街の集合ビルの1階で好立地でしたので、やや高く、賃借面積20坪で月坪2万円でした。月額40万円、年間480万円となりました。なお保証金は、坪70万円で1400万円払いました。 [償却] 設備や機械はだんだん老朽化し、価値が毎年減ってきます。これを何年で見るか、定額で見ていくか定率で見ていくかで数字も変わってきますが、この連載では定額で5年償却を基本にしています。 これは会計法上というより利益体質かどうかをみる管理計算だからです。なお償却の詳しい説明はこれも出店戦略の章で致します。 このAベーカリーの例では初期投資として設備、内装、機械等に3000万円かけました。5年均等償却をしましたので、年間600万円の計上となります。 以上の営業経費を合計し売上粗利益から引いて営業利益を出します。営業利益とは、この期間の営業活動の結果得られた利益で230万円となりました。 (3)経常利益を計上します [営業外収入] 受取利息 雑収入 [営業外費用] 支払利息 雑支出 ここでは銀行の借入額1800万円(前回の貸借対照表の流動負債の短期借入金と固定負債の合計)の借入利子(4%)の72万円を計上しました。 したがって経常利益は営業利益230万円から72万円をひいて158万円となりました。 これが毎期恒常的に出る利益で、利益体質を見るのに重要な利益です。経常利益の百分比は2・3%ですが、10年後の目標は約2倍の5%にしています。 (4)当期利益を計上します ▼特別損失 当期にだけ例外的に出るもので固定資産の売却損等です。ここでは支出はなくゼロです。 ▼税引前当期利益 したがって税引前当期利益は、経常利益と同じ158万円です。 ▼法人税及び住民税 これは税理士等、税の専門家の範囲でそちらに任せるとして、ここでは一般的にいわれる40%で計算して63万円としました。 ▼当期利益は95万円となり、貸借対照表の資本の部の利益金につながっていきます。 |

| 会社の経営規模、方針に適合した長期的な組織図をつくる。
第4節 組織戦略―人事管理
会社の経営規模、方針に適合した長期的な組織図をつくり、それにあてはめた要員をきめ、将来的に人材の確保を図っていきます。 現在の組織は1店舗でライン組織(図1)ですが、10年目はライン―スタッフ組織(図2)を想定し各年度方針で拡充していきます。 現在は一番単純な組織ですが、長期方針に基き、10年目までに企画、研究機関のスタッフの充実を図っていくため、社長直轄の3室を設けていくことにしました。 またラインの人員も10店舗で80名ほど擁することになるので、店毎責任態勢をはかった営業部のライン組織の確立をめざした組織を考えました。 人事管理としては採用、教育訓練、給与条件、職務適性配置、などに施策を施し、実際の営業活動を実施していきます。その勤務管理、即ちヒトの管理の結果として、費用項目の人件費に数字で表れてきます。 この人件費をいかに節減していくかが、利益に大きく影響してきます。この辺のことは営業活動の項で触れることにします。 |

| 長期的な商品戦略を視野に工場、売り場の施設を考える
第5節 商品戦略―商品材料、施設管理
企業として長期的に新商品の方向を基礎研究開発しており、そのための将来の施設の姿も研究しております。 その中から具体的にこの年度に提供する商品、メニューを試作決定し、従来の商品とともにそれらを生産するための材料仕入管理、工程管理等の生産管理を行います。 営業は年間の販促計画を立て、それも含めて日常、販売する商品の発注管理、返品管理等の販売管理をおこないます。 モノの管理の結果として計数管理上のカネとしては売上額と費用項目の材料費として出てきます。 工場は効率よく明るく働けるように整備し、安全衛生に気を配ります。 売場は客に喜ばれるように楽しい雰囲気作りと、清潔な環境作りを心がけます。 これら施設というモノにかかったカネは、貸借対照表の固定資産として財産になり、損益収支表上は償却として費用に計上されていきます。 商品開発や販促計画は次章のマーケティング活動で、生産管理や販売管理は、営業活動の章で、工場、売場の計画は出店戦略の章で説明します。 |

| コラム
組織の3角形原理
ある一つの目標を達成するため共通の認識で人が集まって仕事をする形を組織といいます。 その最小単位として3人の3角形が考えられます。AがリーターでBとCの2人の部下がいます(図3)。 (1)AがBとCに具体的かつ的確な指示をだ出します―リーダーシップ (2)BとCはAから指示された役割を分担し実行し、報告をします―フォロアーシップ (3)BとCはお互いに協力し合って自分たちの仕事を遂行します―パートナーシップ この三つのシップがバランス良く機能して大きな成果を上げる事ができます。 部下の人数が多くなった場合3角形は多くなりますがリーターは1人です。(図4) 組織が大きくなっても係員は係長との間に、係長は課長との間に、課長は部長との間にそれぞれの三角形原理が形成されます.(図5) |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。






