無添加パンに試行錯誤。個性あるパン作り目指す - モンテローザ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2001年4月号

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無添加パンに試行錯誤。個性あるパン作り目指す - モンテローザ

モンテローザ外観


沓掛社長(奥)とヒサ子夫人。


胚芽入りロール生地で作る「ジャムコッペ」(150円)
モンテローザ
東京都大田区羽田4-10-4
電話03-3742-6338
営業時間 午前10時30分〜午後10時30分  
日曜、祭日定休

ごくありふれた商店街のパン屋さんーー一見するとそんな印象のモンテローザ。しかし、舞台裏では、沓掛忠幸社長の生き残りをかけた戦いが繰り広げられていた。昨年立て続けにスーパー2店が近くに出店、売上げが2割ほど落ちた。沓掛社長の「売上げ回復大作戦」が始まった。キーワードは「無添加」。

モンテローザは、現在、商品を無添加にするために試行錯誤を繰り返している。
沓掛社長が、最初に取り組んだのは、食パンとパン・ド・ミだ。最近になって、2品目とも無添加で納得のいく製品が完成、さっそく店頭に並べたところ、「2割ほど売上げが伸びた」(同社長)という。
「無添加でパンを作るのは結構難しいんです。ボリュームが出なかったり、内層が貧弱になったりします」と沓掛社長はいう。
いろいろな人に聞きまくって、配合と製法に工夫を重ね、やっとの思いで、「無添加食パン」を完成させた。
「無添加といっても、配合する油脂にすでに食品添加物が入っているので、その辺が悩みなのですが、少々高くても、できる限り添加物の少ない油脂を選びました」と沓掛社長。
食パンとパン・ド・ミの配合、製法については「申し訳ありませんが、企業秘密です」(同社長)。
現在のところ、改良剤とイーストフードを配合しないで作っているのは、食パンとパン・ド・ミだけだが、今後順次、多くの商品を「無添加」に切り替えていきたいという。
沓掛社長は、パンの価格についても試行錯誤を繰り返している。食パンは、1斤190円、パン・ド・ミは1斤230円だが、「スーパーなどで売っている食パンに比べると高いと思います。最近は安売りも盛んですし…」(同社長)。
モンテローザがある地域は、「所得水準があまり高くなく、安い商品が好まれる」(同社長)のだという。
しかし、「原価を考えるといくら頑張っても、価格では大手にかないません。パンの質で勝負するしかありません」と沓掛社長は自分に言い聞かせるように話す。
モンテローザは、場所柄、これまでは、「価格でも顧客に奉仕する」ことを常に念頭に置いてきた。しかし、今後はパンの品質だけで勝負しなければ、生き残っていけない、と踏ん切りをつけたのだ。
沓掛社長は「これまでは、より多くの人に好まれるパンを作ろうと頑張ってきましたが、そうすると商品の個性が薄れてきてしまいます。これからはある程度お客様の的を絞って、より個性的なパンを作っていきたいですね」という。
さしあたって今考えているのは、玄米や胚芽、ゴマなど日本人に馴染みの深い材料でヘルシーなものをどんどん使っていくことだ。最近ロール生地をすべて胚芽入りに切り替えた。



スーパー2店が近くに出店。売上げ減が奮起のきっかけ

モンテローザ店内
沓掛社長をこうした考えに導く2大事件が、最近立て続けに起こった。
昨年6月、近くに食品スーパーができ、昨年11月には、さらにスーパーのマルエツが近くにできたのだ。
最初のスーパー出店の際には、前年の同じ時期に比べておよそ2割売上げが落ちた。それ以降も前年比でマイナスの売上げが続いている。
しかし、沓掛社長は、その強烈なプレッシャーを跳ね除けて、パン作りの原点に立ち返り、すべての生地の配合から徹底的に見直してきた。見直しが完了した商品については、売上げは戻っているという。店全体の売上げについても徐々に前年に近づきつつあるという。

パンの見せ方にも工夫凝らす
モンテローザは、商品の陳列方法にも工夫を凝らす。商品に当てる照明は、温かみのあるEX‐Lと呼ばれる照明を使用。パンがおいしそうに見えるようにしている。「あるベーカリーで、すごくパンがきれいに見えたので、使っている照明を確認したところEX‐Lだったんです」と沓掛社長。
並んでいるパンも、視覚的変化に富んでいる。「ミニドッグクロワッサン」(90円)は、小さいが、高さのある商品。「マカロン風ゴマあんパン」(140円)は、こまあんパンに、ココア味のマカロン風生地をかぶせて焼いた製品。上面にふった粉糖の白が鮮やかだ。
焼き色の濃いパンは、白いトレーに、焼き色の薄いパンは、黒いトレー並べる。
「おいしそう、と感じなければ、お客さんはパンを自分のトレーにのせません。まずは買って食べてもらうことが先決です」と沓掛社長はいう。

捨てるなら作るな!
沓掛社長は、食べ物を捨てることに大きな抵抗感を感じる。モンテローザでは、ロス率が極めて少ない。これまでの長い経験から、売り切れる量しか作らない。
どうしても売れ残った場合は、次の日に「3個で300円」などで販売する。もちろん顧客には、前の日に作ったパンだということがわかるようにする。沓掛社長は「『次の日になってもおいしいパン』を作るように心掛けています」と話す。生クリームなどをフィリングに使ったパンは、作った日に売れ切れる量しか作らない。「多少のロスは覚悟で、多めに作った方が売上げは上がるのでしょうが、人手の問題もあり、今はロスをなくして生産性を上げることに主眼を置いています」と沓掛社長はいう。
◇
モンテローザは、京急羽田線・穴守稲荷駅から徒歩5分の距離で、古くからの商店街にある。売り場面積約4坪、製造スペース約8坪。今年1月〜3月までの平均日商は12万円強。
基本的に仕込みから成形までは、沓掛社長が行い、ホイロ、焼成はヒサ子夫人が担当する。午前中はパートが3人つく。2人は主に製造補助。1人は主に販売を担当。午後はパートが1人で、製造と販売を手伝う。
午後4時以降の売上げが日商の6割と多い。



無添加のパン・ド・ミ ついに完成!
パン・ド・ミ
沓掛社長が無添加のパンを作ろうと思って最初に商品化したのが、パン・ド・ミと食パンの2品目だ。「配合と工程にそれなりの工夫をしなくては、無添加のおいしい食パンはできません」と同社長はいう。特に配合に試行錯誤を重ね、ようやく味、食感、外観とも満足のいくパン・ド・ミが完成した。1斤230円。
「これからは、『焼きたて』だけでは売れません。店の個性がはっきりと出たパンを作っていかないと…」。沓掛社長は、自分に言い聞かせるように話す。



カレーフィリングに一工夫

キーマ&ビーフカレー


あんドーナツ
キーマ&ビーフカレー
キーマカレーとビーフカレーを1対1の割合で混ぜ合わせたフィリングを包んで揚げたカレーパン。沓掛社長によると、キーマカレーは友栄食品興行のものが、ビーフカレーは田中食品興業所のものがおいしいそうだ。モンテローザでは、「揚げもの」がよく売れるが、その中でもキーマ&ビーフカレーは特に人気だ。1個130円。
【配合%】
▼強力粉(ヨット)80▼薄力粉(ハート)20▼砂糖15▼塩1・2▼脱脂粉乳3▼生イースト3▼イーストフード0・1▼ベーキングパウダー2
【工程】ミキシングL3分M5分(油脂投入)L2分M5分、捏ね上げ温度28度C、発酵50分〜1時間、分割45グラム、ベンチタイム15分、成型=35グラムのカレーフィリングを包む。ホイロ38度C78%50分後、パン粉をまぶして、185度Cの油で、片面50秒ずつ揚げる。
あんドーナツ
キーマ&ビーフカレーと同じ生地で作る。35グラムのこしあんを包む。1個100円と値段の割にボリューム感がある。
「揚げもの」について沓掛社長が注意しているのは「フィリングはできる限りいいものを使うこと」だ。

胚芽の粉を配合
バターロール
モンテローザでは、つい最近、ロール生地を胚芽入りに切り替えた。ロール生地からは、バターロール(60円)のほか、ジャッムコッペ、ピーナッツコッペなど合計で11品目を作っているが、現在はすべて胚芽入りの生地で製造。見た目に胚芽が入っていることがわかり、好印象だ。「油脂の配合を減らして、少し硬めになりましたが、歯切れはよくなりました。まだ切り替えたばかりなのでわかりませんが、きっといい結果が出ると思います」と沓掛社長は期待を膨らませる。
胚芽入りロール生地の配合(%)は、▼強力粉(ヨット)50▼ジャミーイーグル(ロースト胚芽10%配合のミックス粉)50▼砂糖12▼卵12▼脱脂粉乳3▼フレッシュバター10▼塩2▼生イースト4・5▼イーストフード0・1▼水50。
バターロールの要領で仕込む。

小さくて高さのある商品
ミニドッグクロワッサン
ポークの粗挽きソーセージをクロワッサン生地で巻いて焼成した商品。小さなパウンド型に入れて焼くため、商品の背丈が比較的高くなる。黒いトレーにのせて陳列し、商品を浮き立たせている。1個90円。「利益率の高い商品」(沓掛社長)だという。
 シート状のクロワッサン生地を5センチ×10センチにカットして、中央部にからしマヨネーズを塗り、その上に5センチの長さにカットしたソーセージをのせる。ソーセージを包むようにロールして、小さなパウンド型に2個並べて入れて、ホイロをとり、焼成。

原価計算女王
原価計算女王
簡単に作れて、よく売れる
キャラメルロール
シナモンロールの人気が続いているが、シナモンクリームの代わりにキャラメルクリームを巻き込んだ製品。「シナモンロールミックス」というミックス粉、イースト、卵などを配合して作る。
沓掛社長は「シナモンロールはウチでもよく売れました。最近は少し落ち気味だったのですが、キャラメルロールを出したら、シナモンロールも再び売れるようになりました」と話す。
【配合%】
▼シナモンロールミックス100▼卵10▼イースト8▼水30
 【工程】ミキシングL1分H10〜15分、捏ね上げ温度26度C、発酵30分、大分割1・45キログラム、成型=4ミリ厚に延ばし(60センチ×35センチ)、カラメルフィリングを塗ってロールし、1個が85グラムになるようにカットする。ホイロ38度C78%50分、焼成210度C12〜15分
 ※大分割後、マイマス5度Cのフリーザーに生地を一晩入れてから成形する。


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