記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| お店拝見/2001年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| パン物語上演中。「わざわざ買い」のベーカリー - パンステージ プロローグ | |
|
神奈川県横浜市青葉区にあるパンステージプロローグは、ベーカリーという劇場で演じる
役者たちの集団でありたい、と願うベーカリーだ。四方を畑などに囲まれ、 飛び込み客は一切ない。「生活者の日常のニーズを大切にしたい」との思いから、 「食卓パン」の品揃えを充実させ、多くの固定客を獲得している。 レジ横に設置された「溶岩オーブン」で次々とパンが焼き上がり、陳列棚に並べられる。 パンステージプロローグの「パン物語」は、今日も好評上演中だ。 神奈川県横浜市青葉区美しが丘西1‐3‐10 電話045-902-7879 営業時間 午前7時〜午後8時 月曜定休 |

| ついで買いは一切なし。「食卓パン」の品揃えがかなり充実 | |
|
東急・田園都市線たまプラーザ駅からバスに10分ほど乗ると、住宅街から一変してのどかな田園風景に変わる場所がある。パンステージプロローグは四方を畑などに囲まれたベーカリーだ。
「ここはついで買いは一切ありません。お客様はパンを買うためにわざわざ車で来てくれるんです」 同ベーカリーの山本敬三社長はこう話す。 日商は平日がおよそ40万円、土日が約65万円だ。 入店すると、大きな平台2つに所狭しと並べられた様々な「食卓パン」(山本社長)が目に飛び込んでくる。パイナップルとカシューナッツを練り込んだ「パインナッツル」(ホール400円、ハーフカット200円)、湯捏ね法を採用した「パン・ド・ミ」、ハードトースト系の生地玉を5つ並べて焼成する「サンクカンパーニュ」(180円)、クランベリーをたっぷりと練り込んだ「クランベリーボンマルシェ」(ホール600円、ハーフカット300円)などが、来店客に向かって微笑みかける。 「お客様の日常を大切にする」との観点から同ベーカリーは、食事系のパンに力を注ぎ、品揃えがかなり豊富だ。 菓子パンや調理パン、デニッシュなどももちろん充実。同ベーカリーの品揃えはおよそ120アイテム。「子供から年配者まですべての年齢層の人たちにとって、好きなパンの品揃えが豊富であること」を目指している。 客単価は1000円から1200円とかなり高い。トレーのほかに、グラシン紙をしいた籠も置いてあり、買う量が多い顧客は、選んだパンをこの籠に入れる。「たくさん入るし、落ちないし、持ち安いと考えました」(山本社長)。 四方を畑などに囲まれているといっても、畑などが見渡す限り続くというわけではない。その向こう側には住宅街が広がる。「比較的収入の高い人たちが多く住んでいるように感じます。食べ物についても、比較的こだわる人たちが多いのではないでしょうか」と山本社長は話す。 |

| 定番商品こそより個性的に!油脂は7種類を使い分ける | |
|
同ベーカリーは、「あんパンやコッペパンなど、どこのベーカリーでも売っている超定番商品」(山本社長)の差別化に力を入れる。コッペパンの生地には生クリームや全卵、2種類の油脂などを練り込み「独特のリッチな感じ」を出している。「お客様にとって定番商品は、他店と比較しやすい商品です。だからウチ独自のものに仕上げないと」と山本社長は意気込む。
オリジナリティーを追求しているのは、定番商品だけではない。すべての商品について材料をひとつひとつ吟味する。小麦粉はパンの品目ごとに様々なものをブレンドして使用。砂糖はグラニュー糖、塩は粗塩を使う。生地に練り込む油脂は、オリーブオイル、サラダ油、ラード、無塩バターなど合計で7種類を、パンの種類によって使い分ける。 仕込み水は、すべて浄水器を通したものを使っている。必然的に仕込む生地数は18と多くなる。「作りたい商品の味や食感、色、質感などのイメージがはっきりとあり、それを実現するために、材料と製法はどうしたらいいかについて細かな検討を重ねていくんです。例えば水を浄水器にかけたところで、それだけでパンの味や食感が劇的に変わることはありません。しかし、ひとつひとつの細かなことを積み重ねて、初めて目的とするパンに近づくのです」と山本社長はいう。 |

| 「溶岩オーブン」でじっくりと焼き込む。アンダーミキシングで発酵を長く | |
|
同ベーカリーでは、パンの焼成に「溶岩オーブン」を使っている。各焼成室の床面、天井面、側面に溶岩の板を敷き詰めたオーブンだ。独特の焼き色のパンができるそうだ。「蓄熱性がよく、遠赤外線も多く出るようです。ウチのパンの焼成時間は他のベーカリーのパンより長いと思います」と山本社長はいう。
もちろんオーブンは特注品。ステーキを溶岩の上で焼くとまわりはパリッとして、中にはおいしい肉汁が閉じ込められ、やわらかい、ということにヒントを得たんです」と山本社長。オーブンは、外まわりにレンガをあしらって、レジの横に設置。パンが焼き上がる様子が、店内の顧客から見えるようにし、パンの鮮度を演出している。 すべてのパンについてミキシングはアンダー。ミキシング以降の工程で時間をかけて生地を徐々に作っていく。発酵時間を長くとり、小麦粉が発酵して作り出す香りを最大限に引き出す。イーストの配合量はかなり少なめだ。 この製法は、焼き上がりまでの時間が調節しやすいという利点もある。「それなりの経験が必要ですが、パンチのタイミングや回数などを調節することで、1時間ぐらいは窯入れまでの時間を短くしたり長くしたりできるんです」と山本社長はいう。 「劇場で演じる役者のようでありたい」 売場が約13坪。製造スペースも約13坪。製造スタッフは山本社長を入れて6人。製造補助が2人。販売スタッフは常時3人。 「パンステージプロローグ」の店名には、「ベーカリーは劇場で、そこで働くスタッフは役者のように生き生きと演じてほしい」という山本社長の願いが込められている。「『プロローグ』は序章の意味です。始まりの新鮮な気持ちを持ち続けたいと考えています」と山本社長は目を輝かせた。 |
| ブリオッシュ生地でりんごを丸ごと包む | |
|
アップルカスタード
りんごがまるまる入った商品で、パンステージプロローグの看板商品のひとつ。価格はひとつ220円。原価率はかなり高いという。りんごの中にはカスタードクリームが充填されている。ブリオッシュ生地を使用。1日300個を完売。 【配合%】 強力粉(カメリヤ)………………50 フランスパン用粉(モンブラン)…50 牛乳……………………………35 生イースト………………………1・5 粗塩……………………………1・5 グラニュー糖……………………10 全卵……………………………30 卵黄……………………………10 発酵バター……………………50 【工程】ミキシングL6分M3分(油脂投入)L7分M3分、捏ね上げ温度22〜23度C、発酵1時間30分、分割50グラム、冷蔵マイナス5度C一晩、成形→りんご(ホール)のシロップ漬けを、50グラムに分割した生地で包む。ホイロ35度C80%30分、焼成220度C25分 ※ホイロ後にカスタードクリームをりんごの中(芯を抜いた部分)に充填し、充填することでできた穴をりんごのスライスでふさぐ。 ※ホイロ後に塗り卵をする。 ※中に入れるりんごは、富士。芯を抜いてシロップ漬けにしたものを青森県の業者から仕入れている。それを白ワインとハチミツに漬け込んだものを使用。 |
| コッペパンには生クリームなどを配合し、独自性出す! | |
|
コッペパン
山本社長は「どこでも売っている定番商品ほど、店の個性を打ち出したものにしなければ」と話す。生クリームなどを配合することで、「ここのコッペパンはちょっと違う」と顧客から思われるようにしたかったという。コッペパンを使って、ジャムバター(120円)やつぶピーナッツ(120円)、調理パンのコロッケコッペ(200円)、サーモンコッペ(250円)などを作っている。 【配合%】 強力粉(カメリヤ)……90 フランスパン用粉(モンブラン)…………………10 粗塩………………2・1 グラニュー糖…………………………………6 生イースト…………………………………1・5 生クリーム……………………………………10 水……………………………………………60 全卵……………………………………………6 マーガリン………………………………………3 ショートニング…………3 【工程】ミキシングL5分M3分(油脂投入)L5分M3分、捏ね上げ温度25度C以下、発酵1時間30分、分割80グラム、冷蔵マイナス5度C一晩、成形→クッペ型、ホイロ38度C80%40分、焼成220度C12〜13分 |
| 山梨県で小麦を契約栽培 | |
|
甲斐小麦スペシャルブレッド
山梨県産小麦の全粒粉を使用。複数のベーカリーがグループを作って山梨県の農家と契約、パン用小麦を栽培してもらっている。採れた小麦を必要な量だけ順次、全粒分に挽いてもらう。同製品は1日18斤の限定商品。「日本の小麦で作る日本のパンを作りたい」と山本社長。価格は1斤500円。 【配合%】 甲斐小麦全粒分………………………………………100 粗塩……………………………………………………2・1 グラニュー糖……………………………………………2 モルト…………………………………………………0・5 ドライイースト…………………………………………0・6 水………………………………………………………77 【工程】ミキシングL5分M30秒、捏ね上げ温度25度C以下、発酵4時間(2時間の時点と3時間の時点でパンチ)、分割230グラム×6、ベンチタイム45分、成形→俵型にして3斤棒の食型に6個入れる。ホイロ30度C70%1時間15分、焼成220度C1時間(スチーム) |
| ハードトースト生地で超ソフトな食卓パン! | |
|
サンクカンパーニュ
「サンク」は5つの意味。ハードトースト系の生地玉5つを並べて焼く。「そのまま食べてもおいしいし、何かをつけて食べてもいけます」と山本社長。高温で短時間の間に焼くと同じ生地でもしっとり感がより強く出るのだそう。1つ180円で、同ベーカリーの人気商品のひとつだ。 【配合%】 強力粉(カメリヤ)……………………………………80 フランスパン用粉(モンブラン)……………………20 粗塩………………………………………………2・2 グラニュー糖………………………………………3・5 ドライイースト………………………………………0・6 モルト………………………………………………0・5 ラード…………………………………………………3 水…………………………………………………72 【工程】ミキシングL5分M3分(ラード投入)L2分M4分、捏ね上げ温度25度C以下、発酵3時間30分(2時間30分の時点でパンチ)、分割50グラム×5、ベンチタイム30分、成形→丸め直した生地玉5個を、直径約18センチの円形の天板に並べる。ホイロ30度C75%45分、焼成220度C8分(スチーム) ※天板にのせたまま焼成する。 |
| パイナップルを練り込んだパン | |
|
パインナッツル
ある人から「パイナップルのパンがあったらいいな」といわれて作った商品。「考えてみるとパイナップルのパンは意外とない」と山本社長は思った。表面にはさみで斜めにカットを入れ、パイナップルらしさを表現している。焼き色もやや黄色っぽい。食感は引きが強いようで歯切れがいい。ホールが400円。ハーフカットが200円。 【配合%】 フランスパン用粉(モンブラン)…………………90 強力粉(カメリヤ)………………………………10 粗塩……………………………………………2・1 グラニュー糖……………………………………3 脱脂粉乳………………………………………2・5 ラード……………………………………………3 生イースト……………………………………1・5 水………………………………………………67 ドライパイナップル(キルシュワッサーとラム酒に漬け込む=ダイスカット状)…………………………40 カシューナッツ(炒って刻んだもの)……………15 【工程】ミキシングL5分(ドライパイナップル、カシューナッツ投入)L30秒、捏ね上げ温度23度C、発酵3時間(2時間の時点でパンチ)、分割330グラム、ベンチタイム1時間、成形→半ナマコ型=ナマコ型に成形する最後の段階で両側を絞めずに片側だけ絞める。ホイロ30度C75%70分、焼成220度30分(スチーム) ※ホイロ後はさみで斜めにカットを入れ、パイナップルらしさを表現する。 |
| 丁寧に巻いて成形 | |
|
クランベリーボンマルシェ
生地の配合と工程は、基本的にパインナッツルと同じ。ドライパイナップルとカシューナッツの代わりに、ドライクランベリーを45%練り込む。ドライクランベリーは、ブランデー、ラム酒、キルシュワッサーを同割で混ぜ合わせたものに漬け込む。 分割重量は500グラム。工程で特徴的なのは、成形。1センチ厚程度に延ばして、丁寧に巻く。こうすることでクラムが詰まった感じになる。ホイロ前にけしの実をトッピングする。 「ワインといっしょに食べてほしいパンです。薄くスライスして、クリームチーズなどをのせて食べてもいいし、何ものせないで食べてもおいしいですよ」と山本社長。価格はホールが600円。ハーフカットが300円。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。




















