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| 特集/2001年7月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ベーカリーは人材確保・育成にどう取り組んでいるか? - 人材確保・育成の方法は、店舗数、オペレーション、目指すベーカリー像などによって様々
「ベーカリーは人材確保・育成にどう取り組んでいるか」のテーマで、ベーカリー3軒を取材した。「パンへの思いをスタッフと共有することが大事」「勘と経験を数字で裏づけすることが大切」「社員の貢献度を給料に反映させるべき」など、様々なポイントが浮かび上がった。
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| 一方的に指示を出すのではなく、スタッフ自身に考えさせる - パンステージ プロローグ | |
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神奈川県横浜市青葉区のベーカリー「パンステージプロローグ」の山本敬三社長は、人をうまく使う秘訣について「スタッフに精神的ストレスを溜めさせないことにつきます」と言い切る。
同ベーカリーは、製造スタッフが山本社長を含めて6人。平均日商が約40万円で、仕事はかなりきついが、これまで辞めた製造スタッフはひとりもいないという。 採用に当たっては、親にも必ず合う 同ベーカリーが、スタッフを採用する際の基準は、▼ベーカリーで働いた経験がないこと▼将来独立したいと考えていること、の2点だ。 「パン職人にとって最初に働いたベーカリーの影響はかなり大きなものがあります。ウチ流のやり方に馴染んでもらうには、その経験が邪魔をしてしまいます」と山本社長は話す。 また、「将来自分の店を持ちたいと本気で考えている人は、パン作りに取り組む姿勢が違います」ともいう。 山本社長は、これまで製造スタッフを5人採用したが、本人のパンに対する「本気度」を確認した上で、親にも会うことを怠らなかった。親にも山本社長の方針や、労働条件などについて詳しく伝え、納得してもらった上で採用してきたのだ。 「パン職人の世界は、一般のサラリーマンの感覚からすると、信じられない世界なので、きちんと納得した上で働いてもらいたいですから」と山本社長はいう。 各スタッフの能力を正確に把握する 山本社長は、製パンの各作業を、各スタッフの経験の度合いによって振り分ける。基本的に経験の浅いスタッフには、次の日に出すパンの製造を担当させる。具体的には、低温長時間発酵で作るパンの成形作業などだ。 「ゆっくりと丁寧にやるようにいっています。商品として店に出すのは、次の日なので、たとえ失敗しても、ベテランのスタッフがフォローできますから」(山本社長)。 当日店頭に並べる時間が決まっている、待ったなしのパンの製造は、経験を積んだスタッフが担当する。 入社して間もないスタッフには、「あんパンの包あん作業をこれだけの時間で、何個やりなさい」と指示し、入社2年目のスタッフには、曜日や天候によって仕込む生地量は自分で判断しなさい」と指導する。 「大切なのは各スタッフがどのレベルにいるかをきちんと把握することです」(山本社長) スタッフにストレスを溜めさせない きつい仕事にも喜びを持って取り組むスタッフを育てる秘訣は、「スタッフの自主性を活かしてやること」(山本社長)だという。 例えば、ある商品のできがよくないことが判明した場合、判明したその日のうちに、スタッフ全員で、原因について徹底的に話し合う。 「私が一方的に指示を出すのではなく、スタッフに原因を考えさせるようにしています。みんなの話し合いで解決策を探し出すのです」と山本社長。 オーナーの考えを一方的に押し付けずに、各スタッフがそれぞれ考えていることを発表する機会を作ってやることが、各スタッフの精神的ストレスを蓄積させない秘訣のひとつなのだそうだ。 山本社長は、常に5人の製造スタッフと仕事をしている。「いっしょに仕事をしていく中で、自分のパンに対する思いがスタッフに伝われば」と考えている。 「パンの製造については、パンへの思いが深ければ、いつのまにか習得します。むしろ、仕事以外のことでスタッフとコミュニケーションをとることの方が大事だと思いますね」。 山本社長は、パンの作り方の細かなことについては、聞かれない限り説明しない。「私自身がやっていることを感じ取ってほしいのです」。 同ベーカリーでは、すべての製造スタッフが、販売も担当する。 「製造にかかわったパンは、店に並んでいる状態を必ずチェックするようにということだけは、口をすっぱくして言っています」(山本社長)。 各スタッフとも、作ったパンがどのように店に並び、どんな人が買っていくのかについては、かなり気になっている様子で、製造スタッフ全員が、興味を持って売場に立つそうだ。 |

| 勘と経験は、計数管理によって、さらに磨かれていく - ムッターローザ
都内を中心にリテールベーカリー8店を展開するムッターローザは、各店とも社員3人が中心となって、切り盛りする。
同ベーカリーはすべての店舗で、冷凍生地を焼成する「ベークオフ」のシステムを採用している。 製造と販売の両方できる人材求む 同ベーカリーが、社員を採用する際の最も大きなポイントは、▼ベーカリーの経験があること▼社交性があること、の2点だそうだ。 同ベーカリーでは、社員は、製造を一通り覚えると、販売にもまわる。各店で、社員3人がローテーションを組んで、製造と販売の両方を担当するのだ。 最終的には、製造から販売、数字の管理までできて、店舗を総合的に運営できる人材の育成を目指している。 各店の店長は、基本的に「生え抜き」が昇進し、他社から招くことはしない。 同ベーカリー担当者は「『パン職人はパンだけ作っていればいいんだ』という人は雇いません。作った製品をお客様に買ってもらって初めてベーカリーが成り立つわけですから」と話す。 「しかし、販売には向いていないと、面接の時点でわかる人もいます。きちんと販売もできそうな人は、10人面接して3人ぐらいですね」とも。 計数管理で勘と経験をバックアップ ムッターローザは、数字による管理を徹底して行う。 例えば、単品管理。営業時間を5つの時間帯に分け、各時間帯に商品をいくつ売場に投入して、いくつ売れたかを、品揃え120品目のすべてについて記録する。 各時間帯ごとに売場に投入した商品数は、社員がすべてパソコンに打ち込む。いくつ売れたかについては、レジから自動的にパソコンに流れる仕組みになっているという。 「すべてのアイテムについて、欠品状態に陥っている時間帯があればすぐにわかるし、逆に過剰状態になっていても一目瞭然です」と同社の担当者。 また、すべてのパンは、「食事パン」など、7つに分類されており、分類ごとの1日の動きも把握できる。 しかし、社員の経験と勘を否定しているわけではない。1日のオペレーションについての数字は、リアルタイムで出てくるが、集計は、1日の最後にまとめて行われる。 「1日のオペレーションを数字に表すことで、社員の経験と勘で行うオペレーションのどこに問題があるかが見えてくるのです」と同社の担当者はいう。 「例えば、ほとんどの店舗で、よく売れているパンが、ある店舗で売れていないことが判明した場合、それはその店のオペレーションのどこかに問題があるわけです」(同社担当者)。 |

| 会社への貢献度をすぐに給料に反映させる - パン工房クーロンヌ | |
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茨城県内などに3店舗を展開する「パン工房クーロンヌ」では、スタッフのやる気を引き出すために、1カ月ごとに各店舗の純利益を算出して、その3分の1を「業績賞与」として社員に分配しているほか、年2回の昇給を実施している。
店を繁盛させれば、すぐに給料が上がる 業績賞与は、売上げから、材料費、人件費、店舗賃貸料、光熱費など、すべての経費を引いた純利益の3分の1を、会社への貢献度に応じて社員に分配するというものだ。純利益は、1カ月ごとに算出する。 基本的に各店舗の運営は、各店長に任されていて、各店とも利益を多く出せば、スタッフの給料も多くなる仕組みだ。 「1カ月に60万円利益を出すとすれば、その3分の1を社員4人で割ると、5万円になります。掛ける12で年間60万円が、通常のボーナス以外に業績賞与として支給されることになります」と田島浩太社長は説明する。 純利益の3分の1を社員にどう配分するかは、6カ月に1回、店長とスタッフが話し合って決める。店長が各スタッフに課した課題の達成度などによって決定するのだそうだ。店長への配分については、田島社長と店長が話し合って決める。このシステムの下で、社員は目の色を変える。 「急にスタッフが1人欠けた場合などは、新たにスタッフを募集するか、それとも1人欠けた状態で続けるかの判断は店長がスタッフと話し合って決めます。人を募集するには、お金がかかりますから、経費も増えるわけです。かといって少ない人数でやっていくのは大変です。その辺の判断は、店長がくだすのです」と田島社長。 各店のスタッフは、店を経営している感覚で、仕事をしているのだ。 年2回昇給で貢献度を即反映 年2回の昇給額については、1から5までの5段階評価で決める。各店長と田島社長が、各店のスタッフについて、仕込み、麺台、窯などの製パン各工程の習得の度合いなどを評価した上で、決定する。 「ウチは、どんなに経験を積んだ人が入ってきても、最初はまったく同じ待遇です。年齢も関係ありません。年2回の昇給にしているのは、各スタッフの入社してからの実績が、なるべくすぐに待遇に反映できるようにするためなんです」と田島社長は話す。 仕事中心の生活に切り替えられるか… パン工房クーロンヌは、新たにスタッフを募集する時は、新聞の折り込み広告を利用する。電車を使わずに通勤できる人を求めているからだ。 「面接だけで、判断するのはかなりむずかしいので、お互いに条件に納得したら、1カ月はアルバイトとして働いてもらいます。仕事中心の生活に切り替えられるかどうかを見るんです。それでだいたい間違いはありません」(田島社長)。 1カ月たった時点で、「社員として働きたい」と言った新人で、採用を断ったケースはないそうだ。 田島社長によると、最近は新しく入ってくるスタッフも、大学を休学して製パンを覚えたいという人など、かなり様変わりしているという。 「終身雇用制が崩壊して、自分に向いている仕事は何かを真剣に考えて来る人も少なくありません。雇う側からすれば、いい時代になったともいえますね」と田島社長はいう。 |

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