ベーカリーとパン教室、子育てと仕事 - トゥルナージュ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2001年8月号

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ベーカリーとパン教室、子育てと仕事 - トゥルナージュ

さり気ないたたずまいのトゥルナージュ
東京・渋谷区のベーカリー、トゥルナージュは、リテールベーカリーとパン教室が同居する店舗。パン作りが好きで、「女性として何かがしたい」という思いを募らせた小山利千さんが、1995年にオープンした。最初は、夫と共に、陶器とパンを販売する店としてスタートさせたが、小山さんの作るパンが予想以上に人気を博し、現在はパンのみを販売する。
パン教室も好評で、在籍生徒数500人の規模になった。小山さんの作るパンを多くの人が買い求め、その作り方を多くの人が学んでいる。

東京都渋谷区神宮前2‐15‐15
電話03‐5474‐1083
営業時間 午前9時30分〜午後7時
日曜、祭日定休



小ぶりだが、存在感のあるパン。製造スペースが教室に早変わり

店舗のレジ奥の製造スペースでパン教室を開いている
うっかりすると見過ごしてしまいそうなさりげない入り口のドアを開けると、シンプルな木製の陳列棚に、小ぶりだが存在感のあるパンが並んでいる。正午を少し過ぎた頃で、昼食用にパンを買い求める客の出入りが絶えない。ほとんどは、若い女性だ。
レジの奥では、5〜6人の男女が熱心にパンを作っている。よく見ると手つきがややぎこちない。その中の女性1人だけが、妙に慣れた様子で、大きな声で何か話している。
東京・渋谷区のベーカリー、トゥルナージュでの光景だ。同店は、パン教室とリテールベーカリーが、ひとつ屋根の下に同居するユニークなベーカリー。レジの奥で繰り広げられているのは、パンの教室なのだ。
店頭で販売するパンは、午前6時に作り始め、午前11時にはすべて焼き上げる。製造スペースは、10時30分ごろからパン教室に変わるのだ。
「パンを買いに来たお客様が、奥でパン教室を開いているのを見て興味を持ち、教室に入るケースもあります」とトゥルナージュ製造スタッフの中村篤子さんはいう。



基本的に内麦粉を使用。「ひじきフランス」などが好評

天然酵母クロワッサン(左)と天然酵母チョコクロワッサン(右)


コーヒーメロンパン


木製のシンプルな陳列棚にパンが並ぶ。棚の下には小麦粉の袋が置いてある。
店で販売するパンも教室で教えるパンも、基本的に国内産小麦粉、自然培養酵母(ホシノ酵母)を使用。その他の材料もオーガニックレーズンやオーガニッククルミなど、「より安全性が高い」とされるものを使っている。
店頭販売の商品はおよそ50アイテム。そのうち約3割が毎日作る定番商品で、残りは日ごとに入れ替わる。
人気商品は、ひじきの煮物をフランスパン生地で包んで焼き上げた「ひじきフランス」(170円)や、ブルーベリージャムとクリームチーズを混ぜ合わせたフィリングを包んだ「ブルーベリークリームチーズ」(180円)など。このほか、切干大根をデニッシュ生地で包んだ「きりぼし大根」(200円)、ビスケット生地にコーヒーを練り込んだ「コーヒーメロンパン」(200円)、「天然酵母クロワッサン(プレーン)」(150円)、「天然酵母チョコクロワッサン」(180円)なども好評だ。
ほとんどの商品は小ぶりで、上品な感じ。「ひじきフランス」や「きりぼし大根」は焼き込み調理パンだが、一般的なものとは作り手の感性が違う、といった感じ。



充電期間後にパン教室開く。「子育てしながら何かをしたかった」

トゥルナージュ責任者の小山利千さん


壁にはベーグルが飾られていた
トゥルナージュは1995年にオープン。最初は小山さんの夫が陶器を、小山さんがパンを販売する店舗だった。パンが予想以上の好評を博し、徐々に製造量が増えていった。現在は陶器は販売していない。
「店でパンを製造販売するようになる前から、パンの教室に通ったり、ベーカリーで製造の手伝いなどをしていました。子育てにしっかりとかかわった上で、何かをしたいという強い欲求がありました」と小山さんは振り返る。
小山さんは子供を出産した直後から、パンの製造販売を始めた。午前3時に作業を開始し、いったん帰宅して、子供を保育園に連れて行ってから、また仕事場に戻る、という生活を続けた。1日の睡眠時間は3〜4時間だった。
「体をこわしました。一緒にやっていた人に任せて、休養をとらざるを得なくなりました」(小山さん)
体の具合がよくなって、小山さんは考えた。「また体をこわすのはいやだ。家事をこなし、子供としっかりとかかわりながら、極端な無理をすることなく、充実した仕事がしたい」
ベーカリーの運営については、スタッフが成長し、任せられる状態になっていた。小山さんが選んだのはパン教室だった。
店舗の製造スペースを教室もできるように模様替えして、天然酵母パン教室「イン・ザ・クラス」がスタートした。

「何もなくなる」「仲間意識を感じる」
 小山さんは、最初教室で教えるのが重荷だった。「ずっと作ることに夢中だったし、苦労して考えた自分のレシピを人に教えることにも抵抗がありました。何もなくなるという感じがあって…」と打ち明ける。 
しかし、「新しいレシピはいくらでも考えられる」と思った時、楽になった。加えて、多くの人に教えていくうちに、小山さんと同じように「何かをしたい女性」が多いことがわかった。
 小山さんの教室でパン作りを習得して、ベーカリーやパン教室を開く人も少なくないという。
 「仲間意識みたいなものを感じます。みんなでいっしょに同じ目標に向かって頑張っているっていう感じですね」
 現在は生徒数がおよそ500人に増えた。近くのマンションに教室専用のスペースを新たに設け、小山さんは、この教室専用のスペースで教えている。ベーカリーでは、小山さんが育てたスタッフが指導している。

嫌いだったクロワッサンをぺろり
トゥルナージュは、自然培養の酵母(ホシノ酵母)を使う。「パンを製造販売するようになってからほどなくホシノ酵母を使い始めました」と小山さんはいう。
ベーカリーを始める前にパン作りを習っていた頃は、イーストを使っていた。「イーストのパンは作るのはとても面白いんですが、何か味が軽い感じがしていました。ある人に勧められて、代官山のあるベーカリーのクロワッサンを食べてみたんです。ピンときました。それまでクロワッサンは嫌いだったのですが、1個ぺろりと食べてしまいました」(小山さん)

クリームチーズなど包む。愛くるしい表情が印象的
ブルーベリークリームチーズ
名前の通り、ブルーベリージャムとクリームチーズを包んで焼き上げた商品。1つ180円。「爽やかで上品な味」と好評。ホイロ後に表面にはさみで小さなカットを入れて焼成。「愛くるしい表情」のパンだ。
小山さんは「ブルーベリージャムとクリームチーズを混ぜ合わせることでパン生地で包むのにちょうどいい硬さになります」と話す。
【配合%】
ホロシリ(内麦粉) 50
ハルエゾ(内麦粉) 50
三温糖 6
ホシノ酵母生種 8
塩 1・5
ミネラルウォーター 52

【工程】ミキシングL8分、捏ね上げ温度28度C、発酵28度C3時間30分6度C12時間以上、分割50グラム、ベンチタイム30分、成形→ブルーベリージャムとクリームチーズを混ぜ合わせたフィリング50グラムを包む。ホイロ32度C1時間、焼成200度C11分
 ※ホイロ後、上面はさみで小さな切り込みを入れる。

ひじきの煮物を、フランスパン生地で包む
ひじきフランス
フランスパン生地でひじきの煮物を包んで焼き上げた商品。170円。
【配合%】
フランスパン専用粉 100
ホシノ酵母生種 8
天塩 1・5
ミネラルウォーター 54

【工程】ミキシングL10分、捏ね上げ温度28度C、発酵28度C3時間30分6度C12時間以上、分割60グラム、ベンチタイム30分、成形→ひじきの煮物40グラムを包む。ホイロ30度C80%1時間10分〜1時間20分、焼成210度C12分(スチーム注入)
※ひじきの煮物は、ひじきのほか、にんじん、油揚げ、豆をいれた和風の煮物。
※ホイロ後に上面にカットを入れる。

原価計算女王
原価計算女王

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