文・高橋秀尚(�螢僖鵐錙璽襯病緝充萃�役、海外情報研究会主宰)
最近の食品販売業は業種の交錯(異なる業種をまとめて同一店舗内に出店させる)が増えつつある。最も分かりやすい例はスーパーマーケットの売り場であろう。
ベーカリーのパン、デリ部門の総菜、青果、精肉、鮮魚などを品揃えして「お客が1箇所で欲しいものを買うことが出来る」というワンストップショッピングの提供である。
タイムヴァリューに目覚める特に昨今は「タイムヴァリュー=時間の重要性」に目覚めた顧客が増加し、ショッピングは短時間に済ませることを望む傾向にある。また異なる店舗で異なる商品を買うというチェーンショッピングを好まない傾向にある。
販売者は顧客が1箇所で、ほとんどの商品を買うことが出来るという便利さ(コンビニエンス)も提供することが求められている。
また人々の就業パターンが複雑化するにつれて、職場での拘束時間帯が従来の9時5時パターンから、夜間就業(ナイトシフト)が増加傾向にある。
ちなみにアメリカでは約45%が早朝、夜間、深夜時間帯に働いているとされる。
ライトミールが出始めるさらに食事と間食の区別がなくなる傾向にあり、いわゆるライトミールなるものが出始めた。
全米スナック協会が主催する展示会では、このようなトレンドに迎合する商品が多くみられる。
例えば食事用のパイやラップなどは、SMやCVSの定番商品である。これらの店は7日間24時間営業であるから、先ほどのような不規則な時間帯就業者に買物の機会を与えている。
参考までに、アメリカにおけるスーパーマーケットの商品群別売上げ構成比率は次の通りである。
▽グローサリー(ビン、カン、箱詰め食品)…………32%
▽調理済食品………14%
▽精肉・鮮魚…………13%
▽青果………………13%
▽乳製品………………8%
▽冷凍食品……………6%
▽デリ…………………6%
▽ベーカリー…………3%
▽非食品………………2%
▽その他………………3%
フレッシュセンターが著しく台頭さて、本題に入るが、ヨーロッパで近年著しく台頭しているのが、生鮮食品の大型販売店舗である「フレッシュセンター」である。
筆者がこの業態に注目したのは、1985年頃であったが、本来はパンはベーカリーで買い、ソーセージは専門店で買うという習慣が長い間続いてドイツで、この業態がスタートしている。
実は時を同じくしてアメリカでもこのようなトレンドが見られた。それはデリベーカリーなる構想の誕生であった。いわゆる「1プラス1は3」という考え方である。
つまり「デリとベーカリーが結束すれば、売上げは3にまで増える」というもので、この考え方は今日のようなミールソルーションの発想の原点といえよう。
鉄道と百貨店の活性化策元来は近所の小売店で買っていた商品を、このような新しいスタイルの店で買うようになったのであるから、変化を好まないドイツ人にしてみれば、これは大変革であったと思う。
実際にはフレッシュセンターの出現は、ドイツ国有鉄道の公社化と、赤字に悩む百貨店の活性化の切り札として、投入された戦略であった。
日本と異なり、ドイツの鉄道駅は、町の中心に作られたので、出店立地としては最良であった。
また、土日曜日も営業できるという特権を活かして、フレッシュセンターはドイツの主要都市に展開することになる。
実際の成功例としては、北ドイツの商業都市ハンブルグ、中部のデュッセルドルフ鉄道駅の店舗が注目されている。
ベーカリーが最大の訴求度持つドイツでは、ベーカリー商品が、顧客に対する最大級の訴求度を持つと考えられている。つまり、ベーカリーの位置は店舗の最前部にある例が多い。
フレッシュセンターは、物販に加えて店内飲食機能を持っているので、ベーカリー商品もその場で食べるサンドイッチ類が充実している。従って、店内には活気が溢れている。
さらにベーカリーの商品開発のヒントとして「種類の絞込み」と「朝・昼・夕の異なる時間帯対応商品」が重要となる。
例えば、昼にはブロイチェンを使ったサンドイッチ類を、夕方にはピザやキッシュ類を品揃え、というように変化を持たせている。
ドイツも日本も個人商店は衰退の傾向にあるが、十分な技術力を持っているのであるから、このような構想の総合店舗を開発することにより、プロ集団の力を発揮することが可能となるのではないだろうか。
