自由なパン作り。顧客とかかわる楽しさ - トゥラララ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2001年11月号

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自由なパン作り。顧客とかかわる楽しさ - トゥラララ

トゥラララの店内
東京・世田谷区奥沢に3年前にオープンした「トゥラララ」は、「枠にはまらない自由なパン作り」を目指すベーカリーだ。
オーナーの寺田タミヨさんは、商品を顧客にぶつけ、反応を注意深く見ながら、試行錯誤を繰り返してきた。自らの食生活でも「無類のパン好き」で、商品開発への思いは熱い。意気がぴったりと合った女性スタッフと2人で店を切り盛りする。

東京都世田谷区奥沢2-25-14コリーヌ緑ヶ丘102
電話03-3725-7712
営業時間 午前7時30分〜午後7時
日曜、祭日定休



顧客との会話の中で、要望を探り、試行錯誤を繰り返す

コシの強い食感が売りもののホームブレッド


店内にはイートインのスペースもある


オーナーの寺田タミヨさん
トゥラララは、40〜50品目のパンを、対面で販売する。顧客との会話のやりとりが寺田さんの楽しみのひとつだ。「もともと人と話すのが好きで、客と接する仕事がしたかった」と寺田さんはいう。寺田さんのこうした性格は、商品について顧客がどう思っているかを知るのに大いに役立っている。
例えば、メロンパン(160円)。最初、ビスケット生地を、パン生地にかぶせるだけではなく、フィリングとして中に入れて焼き上げた、一風変わったメロンパンを作っていた。その方が面白いと思ったのだ。
しかし、フィリングとして包んだビスケット生地は、外側のビスケット生地のように、熱が加わらず、サクッとした食感にならなかった。「このメロンパンは、中に何が入っているのですか」と怪訝そうに聞いてくる客が出始めた。
寺田さんは「今は、中にクリームなどが入ったメロンパンが多いので、逆に昔ながらの、素朴なメロンパンの方がいい」と思い直し、ビスケット生地のフィリングを包むのはやめた。
人気商品のひとつである、食パンの「ホームブレッド」(1斤240円)は、充分に焼き込み、コシのあるしっかりとした食感を打ち出した商品だが、「もっとソフトな食感だったらいいですね」という声を何人かから聞いた。
寺田さんは、ホームブレッドの焼き方に工夫を加えて、ソフトな食感の製品に作り変えてみた。
ところが…。「『ソフトな食感がいい』と言ったお客様よりはるかに多いお客様から、『作り方を変えたでしょう。あのコシがある感じがよかったのに』という声を聞くようになったんです」と寺田さん。
「フランスパンなんかもそうなんですが、ソフトにしてほしいという声は多く聞きます。しかし、フランスパンをソフトにしてしまっては、フランスパンではなくなってしまうので、そうしたお客様には、本来ソフトな別のパンを勧めるようにしています」。
寺田さんにとってこうした顧客とのやりとりは、苦しくもあるが、それ以上に楽しくもあるのだという。



「自由な発想でパンを作りたい」「笑いが絶えない職場にしたい」

外から見たトゥラララ


ブリオッシュも寺田さんの自信作だ
「枠にはまらずに自由にパンを作りたい。それと、仕事はとにかく楽しくやりたい」
寺田さんは、忌憚なくこう話す。
「工場で黙々とパンを作っているというのはどうも性に合わないんです。友人がくれば、状況が許す限り、楽しく話したいし、いつも笑いが絶えない職場にしたいんです」という。
「そうしたスタンスは、パンを自由な発想で作ることにもつながると思うんです。あんパンのあんこと生地重量の比率の定説に必ずしも従う必要はないし、ケシの実をトッピングしなくてはならないということもありません」。
寺田さんは、スタッフの女性や、店に買いに来てくれる多くの友人たちなどと「フレンドリーな交流」を欠かさない。



食べたいパンがないから自分で作る。色鮮やかな包装の輸入菓子も販売

色鮮やかな包装の輸入菓子も置いている


シチリア産蜂蜜などの輸入食材も販売


成形がユニークなツナフランス
寺田さんは、小さい頃からご飯よりパンが好きで、料理といっしょにパンを食べていた。そんな寺田さんにとって、世間には食事パンが圧倒的に少なかった。
「夕食の料理に合うパンを買おうと思っても、種類が少なくて物足りない、といつも思っていました」
いつの頃からか、自分でベーカリーを開きたいと思うようになった。
トゥラララには、バゲット(240円)などのほかに、生のトマトなどをトッピングして焼いた「トマトチーズ」(150円)、コーンとマヨネーズをのせて焼いた「コーングリル」(140円)、ツナをフランスパン生地で巻き込んだ「ツナフランス」(200円)など、様々に工夫を凝らした食事系のパンが多い。
イタリア・トスカーナ産のジャムやシチリア産の蜂蜜など、様々な輸入食材も販売している。パンがとにかく好きな寺田さんが、顧客にもパンをおいしく食べてほしいという願いが込められている。
スウェーデン産やオーストリア産などの色鮮やかな輸入菓子も店頭に並べている。
「この辺は商店が少ないので、わざわざ渋谷などに行かなくても、ちょっとしたギフトなどが買えるようにと、置いています。店の雰囲気もよくなりますし」と寺田さんはいう。
「孫が来るので、何かいいプレゼントはないかと思っていたら、ちょうどいいものがありました」などと喜ばれているという。

2人で製造販売
トゥラララは、東急大井町線・緑ヶ丘駅改札の目の前にある。売り場面積は約5坪。製造スペースはおよそ7坪。製パン機械は、縦型ミキサー、リバースシーター、ドウコン、ホイロ、2段の固定オーブンが1台ずつなど。
製造、販売とも、寺田さんと女性スタッフの2人でこなす。
「結果に全責任を負わなくてはなりませんが、自分の思ったことを自由にできるので毎日が楽しい」と寺田さんは笑う。



ラムレーズンとりんごを巻き込む。成形が面白い!
アップルレーズン
リッチな生地でラムレーズンとリンゴの砂糖煮を巻き込んで焼き上げた製品。成形に工夫を凝らし、形状にもインパクトを与えた。秋から冬にかけての季節限定商品で、1つ180円。
【配合%】
強力粉…………………………85
薄力粉…………………………15
生イースト…………………………4
砂糖……………………………20
塩…………………………………1
脱脂粉乳…………………………3
全卵……………………………15
マーガリン………………………12
水……………………………50弱
【工程】ミキシングL2分M6分(マーガリン投入)L2分M4分、捏ね上げ温度28度C、発酵32度C1時間、分割300グラム、ベンチタイム15分、成形→(1)300グラム生地をおよそ30センチ×25センチに麺棒でのばす(2)[1]の長辺の沿った半分の面積に、▼アップルフィリングをのせる(3)アップルフィリングをのせた側の長辺が中心にくるようにロールする(4)[3]の上面に、ロールした生地が6等分になる位置に切れ込みを5つ入れる(5)[4]の生地を、切れ込みが外側にくるように、リング状にする(切れ込みを入れた部分が開くので、ちょうど花のような形になる)。ホイロ35度C75%1時間、焼成220度C18〜20分
※焼成後、切れ込みを入れた部分と中心部を結ぶ線に沿ってカットし(6等分)、粉糖をふって仕上げる。
▼アップルフィリング
(1)サルタナレーズンをラム酒に1週間程度漬け込む(2)皮をむいたリンゴを薄くスライスしたものを、砂糖とシナモンパウダーを加えて、弱火で40〜50分煮込む(3)[1]と[2]を混ぜ合わせる

ローズマリーの香りのグラハムブレッド
プレプレ
全粒粉が40%入った製品。全粒粉独特の食感が心地いい、といった感じ。かすかなローズマリーの香りもこのパンを引き立てている。100円。
【配合%】
強力粉………………………………………60
全粒粉………………………………………40
インスタントイースト…………………………1・6
塩…………………………………………1・6
砂糖………………………………………4・5
マーガリン…………………………………6・5
水……………………………………65〜70
【工程】ミキシングL2分M3分(マーガリン投入)L2分M3分、捏ね上げ温度28度C、発酵32度C1時間、分割70グラム、ベンチタイム10分、成形→丸め直す、ホイロ35度C75%50分、焼成220度C12分
※ホイロ後、ローズマリーの茎の部分を、上面中央に刺す。

原価計算女王
原価計算女王
バターロールより、面白い!?
ミルクパン
トゥラララが力を入れる「食卓パン」のひとつ。「そのまま食べてもいけるし、料理と一緒に食べてもおいしい」(寺田さん)。最初は、バラで売っていたが、3〜4個まとめて買う客が多いので、4個入り袋で店頭に並べている。「ウチはバターロールを作っていないので、代わりに買っていくお客さんが多いようです」と寺田さん。4個入り300円。
【配合%】
強力粉………………………75
薄力粉…………………………………25
インスタントイースト…………………1・5
バター…………………………………10
砂糖……………………………………5
塩………………………………………2
脱脂粉乳………………………………6
水……………………………………60強
【工程】ミキシングL4分(バター投入)M3分H2分、捏ね上げ温度27度C、発酵32度C50分、分割50グラム、ベンチタイム30分、成形→丸め直す、ホイロ35度C75%40分、焼成210度C8分
※ホイロ後、上面にはさみで十文字にカットを入れる。


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