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| お店拝見/2001年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 社長夫人が奮闘、ネット通販に未来あり! - 隆ちゃんのこだわりパン屋&木村屋 | |
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インターネット上のショッピングモール、楽天市場で、「小さなパン屋さん1軒分」のパンを
販売するベーカリーが、兵庫県神戸市長田区にある。 創業80年の老舗、木村屋だ。長田区内などに4店舗を展開するが、 5店舗目を2年前に、インターネット上に出店したのだ。 名付けて「隆ちゃんのこだわりパン屋」。 兵庫県神戸市長田区蓮宮通2-5 電話078-691-0880 http://www.rakuten.co.jp/ryu/ 営業時間 本店=午前6時〜午後6時30分 日曜日定休 ネット店=24時間年中無休 |

| リアル店で販売するパンを様々に組み合わせたセットをネット通販 | |
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ネット上のバーチャル店舗の名称は「隆ちゃんのこだわりパン屋」。木村屋の社長、川崎隆一郎さんの愛称からつけた。運営を一手に引き受けるのは、川崎社長夫人の洋子さんだ。
ネットで販売するパンは、リアル店4軒で販売する商品と同じ。これらを様々な形で組み合わせた「お試しセット」「人気のベストセット」「隆ちゃんのおすすめセット」などを販売する。パン単品の注文も受ける。 「人気のベストセット」は、「ビール酵母食パン入りベストセット」(2300円)、「スーパーダイヤ食パン入りベストセット」(2300円)など3種類がある。 ビール酵母食パン入りベストセットは、自家製ビール酵母で発酵させる食パン(1斤250円、レシピを12ページに掲載)のほか、甘めの生地にレーズンを巻き込んだ「トルネードレーズン」(210円)、生地に卵を多く配合した特製あんぱん(粒あん2個入り220円、こしあん3個入り180円、レシピを13ページに掲載)、パン・オ・レの生地にくるみを練り込んだ「くるみパン」(150円)などを組み合わせたセットだ。 スーパーダイヤ食パン入りベストセットは、ビール酵母食パンの代わりにスーパーダイヤ食パン(1斤270円、レシピを12ページに掲載)を入れたセット。それ以外のパンは、ビール酵母食パン入りベストセットと同じ。 ネット店の顧客は全国に散らばり、パソコンの画面を見ながら、ほしい商品を買い物かごに入れて、最後に注文ボタンをクリックして注文する。いろいろなパンを見ながら、クリック操作で買い物籠に入れていく行為は、楽しさにあふれている。 |

| 手のひらがパン生地のようになった。ベンチタイムを長くとる
木村屋は、大正12年創業の歴史あるベーカリーだ。現社長の川崎隆一郎さんは3代目。「パン生地を扱い続けているうちに、手のひらがパン生地と同化してしまいました」という根っからの職人だ。確かに、隆一郎さんの手のひらを触ってみるとパン生地のようにやわらかい。
隆一郎さんは「発酵の時間がパンをおいしくするスパイスだと思っています」と目を輝かせる。「ベンチタイムを長くとるのもウチの製法の特徴で、皮が薄く、コシが強くてソフトなパンができます。熟成感が違います」と話す。 隆一郎さんは、自家製のビール酵母を自分の子供のように、毎日細心の注意を払って継いでいる。木村屋の人気食パン「ビール酵母食パン」に配合する種だ。15年以上前に初めてビール酵母のパン生地を触り、焼き上がったパンを食べて、ピンときた。 「生地を触った感じがまったく違い、焼いたパンは独特の軽さがあった」と隆一郎さんは振り返る。それ以来、ビール酵母を継ぎ続けてきた。 隆一郎さんのこうしたパンへの熱い思いは、多くの馴染み客の心を捉えて放さない。 木村屋は、本店のほかに3店舗を展開する。パンの製造は本店ですべて行い、残りの3店舗には、本店で作ったパンを運ぶ。 「自分の目の届くところでパンを作らないと、お客様に申し訳ない」と隆一郎さんはいう。 |

| パソコン未経験の洋子夫人がプログラム言語でページを作る | |
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木村屋に出入りするある業者の担当者がある日、「奥さん、パソコンはできますか」と聞いた。洋子夫人は「ワープロぐらいだったらできますけど」と答えた。パソコンはほとんど使ったことがなかった。
業者の担当者は「インターネットで店舗が持てるんですよ」といった。 洋子夫人は、パソコンを買って、自分でつないだ。 楽天市場に出店するには、月5万円のテナント料などが必要だ。しかし、洋子夫人は「実際の店をもう一軒出して、運営していくことを考えたら、月5万円はかなり安い」と考えた。 楽天市場から、ネット店舗の運営についての資料一式が届いた。楽天市場の担当者は「ワープロができれば大丈夫ですよ」といった。 楽天市場のテナント料は、同市場内のアドレスをもらった時点から発生する。洋子夫人は「早くネット店のページを作らなくてはと必死になりました」と振り返る。 ネット店のページは、基本的骨組みは準備されていたが、各ページは白紙の状態だった。 洋子夫人は、自分の思う通りのページを作ろうと考えた。ホームページを作るプログラム言語であるhtmlについての本を購入した。およそ20ページから成るネット店を、4週間かけて、すべてhtml言語で書き上げた。 洋子夫人は「スペルが1字でも違っていると駄目だし、かなり大変でした。とにかく早く立ち上げなくてはという一心でした」。 1999年12月、インターネット上に「隆ちゃんのこだわりパン屋」がついにオープンした。 2週間たった時点で、パンのオークションを実施した。パンのセットを3つ用意し、30人から入札があった。楽天市場の担当者から、「初めてのオークションとしては成功ですね」といわれた。 年末の比較的に売れる時期だったこともあり、徐々に注文が増えだした。 |

| 「隆ちゃん」の人柄を伝える。頻繁に内容を更新することが大事 | |
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インターネット上の「隆ちゃんのこだわりパン屋」では、隆一郎さんの人柄が伝わる努力をしている。隆一郎さんは製パン技能士1級の資格を持つが、その資格がどんなものかを、わかりやすく説明するページや、「隆ちゃん日記」と題して、隆一郎さんを取り巻く日常の出来事を楽しく紹介するページなどを設けている。
洋子夫人は「インターネットの店の場合は、買う人に安心感を与えることが大事なんです。パンの作り手の人柄がわかるようにしなくてはなりません」と話す。 神戸についての様々な話題を頻繁に掲載することも怠らない。「10月5日、神戸ではまもなくジャズフェスティバルが始まります。神戸とジャズ、似合うでしょ! さつまいも、かぼちゃ、リンゴ、栗、新者が出揃いました。まもなくデニッシュの新商品ができます。おいしいイタリアならパネトーネ。お待ちしております」といった具合だ。 洋子夫人によると、ネットベーカリーの運営で大切なことのひとつは、専属の担当者を置くことだという。「メールの返事がとても大事なんですが、お客さんはメールでコミュニケーションも楽しみますから、同じ人が対応した方がいいんです。お客さん一人ひとりと友達関係にあるんです。注文や問い合わせのメールには、ちょっとしたメッセージも添えてすぐに返事を出すことが鉄則です」と話す。さらに「頻繁にページの内容を更新することが大切ですね。毎日何かしら新しい内容が加わっているようにしなければなりません。1週間放っておいたら、もうそのホームページは廃れてしまいます」。 |
| パンのオークションも実施。常連客の集まり「頒布会」も | |
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「隆ちゃんのこだわりパン屋」では、パンのオークションも実施する。人気のパンを組み合わせたオークション用のセットを用意し、顧客に入札してもらうのだ。最近実施した第39回オークションでは、食パンが中心の「甘くないパンのセット」とデニッシュや菓子パンが中心の「甘いパンのセット」を合計で40セット用意して、入札を呼びかけた。97人から入札があった。最高入札価格は、1850円だった。落札ボーダーラインの1600円に22人が並ぶ激戦になった。
「普通にネットで買うのとは違う楽しみがあるし、固定客候補の人のメールアドレスをゲットできるという利点もあります」と洋子夫人はいう。 100人程度の会員からなる「頒布会」も組織している。そのつどパソコンの画面からパンを注文するのが面倒という人のために、「1週間に1回水曜日」などとあらかじめ決めてもらい、定期的にパンを発送するのだ。送るパンは、「ビール酵母食パンを1つ入れて、あとはお任せで3000円分」などと顧客ごとに決めておくのだそうだ。「頒布会の会員は、当社のパンについて知り尽くした常連の人たちなんです」と洋子夫人はいう。 頒布会会員の意見で新商品ができることもある。例えば、「カマンベール」(100円)という商品。カマンベールチーズを包んで焼き上げたシンプルな商品だが、インターネットでの顧客の「こんなパンが食べたい」という声に応えて開発した商品なのだ。「『どこどこでこんなパンを食べましたが、とてもおいしかったので作ってほしい』などという声を寄せてくるお客様も多いですよ」と洋子夫人は口元をほころばせる。 頒布会の会員にパンを発送する際に、意見を聞く目的で試作段階の新商品をおまけとして入れることもある。「頒布会の人たちとは共同でおいしいパンを作っているという感じですね」と洋子夫人は笑う。 決済システムは充実 「隆ちゃんのこだわりパン屋」の顧客は、パソコン画面でほしいパンを買い物かごに入れ、「注文者情報」のページで氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを入力し、メールで注文する。注文者以外の人に届けることもできる。支払い方法は、銀行振込み、郵便振替、クレジットカード決済、運送業者の代金引換のいずれかを注文主が選ぶ。店側は、すぐに注文内容確認のメールを出す。 「楽天市場は、お金の決済については、システムがしっかりしているので、安心できます」と洋子夫人は話す。 |
| 震災で甚大な被害を被る。「復興の起爆剤にしたかった」
1995年、震災が神戸を襲った。8軒あった木村屋の店舗すべてが、甚大な被害を受けた。必死の思いで4店舗を再興させた。神戸を離れた馴染み客もいた。神戸にとどまった馴染み客もいた。
インターネット上への「隆ちゃんのこだわりパン屋」の出店は、震災からの復興の起爆剤になれば、との思いも込められているのだそうだ。 |
| 自家製ビール酵母で作る山型食パン | |
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ビール酵母食パン
自家製ビール酵母で発酵させる山型食パンで、「隆ちゃんのこだわりパン屋」でも木村屋でも人気が高い。独特の食感と風味がある。1斤250円。 ▽中種 【配合%】 スーパーキング(強力粉)…………………………………70 ビール種………………50 塩………………………少々 【工程】ミキシングL3分M2分、捏ね上げ温度28〜29度C、発酵28度C4時間30分 ▽本捏ね 【配合%】 スーパーキング(強力粉)…………………………………30 砂糖………………………5 塩………………………1・8 CPマイルド(乳化油脂)……6 水…………………………20 【工程】ミキシングL3分M3分(乳化油脂投入)L2分M3〜4分、捏ね上げ温度28〜30度C、発酵28度C1時間、分割210グラム×6、ベンチタイム40分、成形→丸め直して、3斤棒型に6つ並べて入れる。ホイロ38度C80%1時間30分〜1時間40分、焼成200度C40分(リールオーブン使用) ※ホイロは型と同じ高さぐらいまで出す。 ※ビール酵母は、ビール、水、ジャガイモ、砂糖、塩、元種などから作る。「製法は企業秘密」(隆一郎さん)だ。 |
| しっとり感ともちもち感が特徴の高級食パン | |
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スーパーダイヤ食パン
しっとり感ともちもち感が特徴の角食パン。「いい材料を使った高級食パンです」と隆一郎さん。1斤270円。 【配合%】 スーパーキング(強力粉)………………100 砂糖…………………6 塩……………………2 生イースト…………2・2 ビタミンC(粉末)…0・1 ジェニュイン(コンパウンドマーガリン)…………6 水…………………72 【工程】ミキシングL3分M3分(コンパウンドマーガリン投入)L3分M3分H2分、捏ね上げ温度27度C、発酵28度C2時間30分、分割210グラム×6、ベンチタイム30分、成形→モルダーに通し、2つ折りにして6個並べてプルマン型に入れる。ホイロ38度C80%50分、焼成200度C36分(リールオーブン使用) |
| 生地に卵を多く配合し、独特の食感と風味を出す | |
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特製あんぱん
全卵を20%配合。黄色っぽいパンのクラムが印象的。香りもいい。70%中種法で作る。「粒あん」(2個入り220円)と「こしあん」(3個入り180円)がある。こしあんには、レーズンをトッピングする。 ▽中種 【配合%】 カメリヤ(強力粉)……………70 生イースト………………3〜3・5 砂糖…………………………10 全卵…………………………40 【工程】ミキシングL3分M5分、捏ね上げ温度28度C、発酵28度C3時間30分 ▽本捏ね 【配合%】 カメリヤ(強力粉)……………30 砂糖…………………………20 塩………………………………1 ジェニュイン(コンパウンドマーガリン)……………………………10 全卵…………………………20 【工程】ミキシングL3分M3分(コンパウンドマーガリン投入)L3分M3分H2分、捏ね上げ温度28〜30度C、発酵28度C1時間、分割30グラム、25グラム、ベンチタイム30分、成形→30グラム分割の生地は、粒あん35グラムを包み、25グラムの生地は、30グラムのこしあんを包む。ホイロ38度C80%1時間〜1時間10分、焼成210度C10分 ※焼成後、溶かしバターを塗る。粒あんぱんには成形後、レーズンをトッピングする。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。






















