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特集/2001年12月号

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・売り場演出の・秘・策・教えて下さい・

「売り場演出の秘策教えて下さい」のテーマでベーカリーを取材した。
リテールチェーンの老舗、ポンパドウルは、販促担当者の自主性を尊重し、
感性を自由に発揮させることで、売り場の活性化を目指している。
一方、ドイツパンの店、リンデは、オーナーのドイツパンに対する思いに共感するスタッフが
一丸となり、様々な方法で、ドイツのベーカリーの雰囲気を伝える努力をしている。



若い社員の感性を活かす。担当者の自主性を尊重する - ポンパドウル

ポンパドウル元町本店


鳥居本一樹さん


今月の新商品は、入店してすぐの場所に展示。商品の陳列位置の高さなどに変化をつけている。


入り口に掲げられたボードを縮小して作ったポップを商品に添える。


入り口脇に「今月の新商品」を紹介するボードが掲げられている。


大きな丸テーブルには、今月の新商品3品目(4種類)を展示。様々な方法で立体感を出している。
休日の外出時にヒントが多い
神奈川県藤沢市のさいか屋デパートで、月に1度のフェアに力を入れることになった。鳥居本一樹さん(28)は、いろいろと思いを巡らせた。フェア用に準備された商品を、「とにかく目立つようにしなくては」と考えた。斬新なデザインのポップを商品の横に置いた。
鳥居本さんは、ポンパドウル元町本店の販売スタッフだ。今年4月に、藤沢市のさいか屋デパート内にあるポンパドウル藤沢店から、元町本店に配属された。
藤沢店で2年ほど、毎月のフェアの演出を担当した。最初の頃は、目立つポップを作って、パンの横に置くことぐらいしか思いつかなかったが、やっていくうちにいろいろなアイデアが浮かぶようになった。
「休みの日に出かけた時に、何の気なしに入った洋服屋さんなんかに、ヒントがたくさんあるんです。「え!」という感じで、目を引かれてしまうことが結構あるんですよ。例えば、洋服の色の配置とか、利かせ色の使い方とかです」と鳥居本さんは話す。

商品が立体的に見えるように
ある時、藤沢店で、いちごフェアを実施した。鳥居本さんは、高さと大きさの違う2つの丸テーブルを用意した。
入店してすぐのところにそれら2つのテーブルを並べて置いた。背の低い小さなテーブルには、いちごをトッピングしたミニパイを一面にぎっしりと並べた。
テーブルの周りには、緑色の飾りを配して、いちご畑を表現した。いちごの赤と、周りの緑が強く響き合った。もうひとつの背の高い大きなテーブルには、カスタードクリームといちごをあしらった「いちごミルク」と、いちごのデニッシュの「ストロベリー」を並べた。テーブルの天板を4つに仕切り、同じ商品が円の中心でだけ接するように陳列した。
想像した以上の売上があった。「いちごフェアをやっているのね」などの顧客からの声が鳥居本さんの耳に届いた。
「自分で思ったことを実際にやってみて、かなりの効果が実感できました。感動的でした」

パンのある食卓を提案する
藤沢店で、フランスパンフェアも実施した。ワゴンを用意した。「パンの置き方に工夫を凝らして、動きを出そう」と考えた。籠にバゲットなどを縦にさして置いた隣に、色々なフランスパンを、「動き」を考えて、思い思いの方向に並べた。フランスパンと一緒に食べたらおいしいと思われる食材や、一緒に飲んだらおいしいと思われるワインを共に置いた。顧客の視線の動きを考えて立体的に配置した。フランスパンのある食卓を顧客に提案する狙いもあった。
「お客様が、フランスパンを買って帰ってどうやって食べているのかを想像してディスプレイを考えました」と鳥居本さんはいう。

「わかりやすさ」が販促の原点
鳥居本さんは4月から配属された元町本店でも、販売促進に活躍中で、現在は、「イノサンヌオニョン」(オニオン、ベーコンを練り込んだソフトな食感のパン、大360円、小80円)、「カレーKids」(甘口のカレーパン、100円)、「ポテトリーフ」(サツマイモと黒ごまをトッピングしたデニッシュ、120円)など4品目を、11月の新商品として販促中だ。藤沢店で培ったノウハウを活かして、大きさと高さの違う丸テーブル2つを、入店してすぐの場所に配置し、カレーパンを小さなテーブルいっぱいに並べ、大きなテーブルには、高さの違うトレーを4つ配置して、残りの3品目(4種類)を陳列している。「商品を置く高さに変化をつけることで、空間にメリハリがついて、動きが出てくるんです。そうすると、そこに置かれているすべての商品がお客様の印象に残るんです」と鳥居本さんは話す。
ポップにも一工夫を凝らした。ポンパドウルでは、入り口の目立つ場所に掲げるために、毎月の新商品の写真と説明書きが入ったボードが本部から各店に配られるが、鳥居本さんは、その写真と説明書きをそのまま縮小してポップを作り、商品に添えた。「入り口で新商品の写真を見たお客様から、『新商品はどこにあるんですか』とよく聞かれたんです。入り口のポップと、商品に添えられているポップが同じなら、わかりやすいと考えました」と説明する。
「顧客にとってわかりやすいこと」が鳥居本さんの原点なのだ。

季節感の演出にも努める
季節感も大切にする。元町本店で「秋の味覚フェア」を実施した時は、黄色に紅葉した葉がたくさんついた枝が四方にのびたいちょうの木の飾りを、大きなテーブルの中央に配し、その下にモンブランやマロンケーキなどを置いた。テーブルの周りにもいちょうの葉と枝を飾った。顧客は「いちょうの木の下で、銀杏を拾っている感覚」でパンに手をのばした。
「『また何か違うことをやっている。次は何をやるんだろう』とお客様に思ってもらえるようにといつも考えています」と鳥居本さんは話す。「普段何気なく見ていたものの中に、いろいろなヒントがあふれています。例えば電車に乗っていても、いろいろなものが目に入ってきて、参考になるんです」とも。
ポンパドウル元町本店は、昨年12月にイートインスペースを設けた。鳥居本さんは「ゆくゆくは、モーニングやランチなどで、バイキングができたらいいなと思っています。パンや料理などを用意して、『料理とパン3つと、ドリンク1つでいくら』という設定にするんです。お客様に選ぶ楽しみを味わってもらえたらと考えています」と目を輝かせた。



ドイツのベーカリーのパンと雰囲気を日本人にも味わってほしい - リンデ

リンデの外観


ギフト用の商品などには、ドイツの国旗をイメージしたリボンをかける


販売スタッフは、ドイツの民族衣装を着て接客。


価格改定を知らせるポスターが店内各所に
掲げられている


リンデの製造責任者のマーチン・ハウベン・エステルさんの写真を掲げる。
ドイツからパン職人を招聘
「年に1回ドイツに視察旅行に行きます。いろいろなベーカリーを見て発見したことの中から、日本でも受け入れられると思われることをとり入れています」
東京・吉祥寺にあるドイツパンの店、リンデのショップスタッフ、増田純子さんはこう話す。同店は、ドイツパンに魅せられたオーナーの藤本賢二さんが開いたベーカリー。藤本さんは、全ドイツクリスチャン製パン協会のゲルハルト・ワーナー会長に出会い、レシピの提供を受けた。本店のほかに2店舗を構え、ドイツから招聘したパン職人、マーチン・ハウベン・エステルさんが陣頭指揮をとって、パンを作っている。

ドイツの民族衣装で顧客をもてなす
販売についても、オーナーの、ドイツのパン食文化に対する思いを顧客にわかってもらうことを第一に考え、様々な工夫が凝らされている。
まず、販売スタッフが着ている仕事服が印象的だ。ドイツの民族衣装を、オーダーメイドで作り、販売スタッフ全員が着用している。ユニフォームというより、ドイツの普段着で仕事をしている、といった感じだ。
陳列棚の奥の壁面には鏡を取り付けて、パンがたくさんあって、立体的に見えるようにしている。「ドイツでは、多くのパン屋さんが同じようにしているんです。視察旅行に行った時にこの目でみて、とても印象的でした」と増田さんは話す。
レジでパンを包装する際には、ブレッツェルやカイザーなど水分を吸うと好ましくないパンについては、紙の袋で個包装するようにしている。
ドイツのベーカリーでは、パンはみんな紙の袋に入れるのだそうだ。
「ドイツのパン屋さんは、とてもフレンドリーで温かみがあります。私たちのような旅行者に対しても、親しみを込めて話しかけてくれるんです」と増田さんは笑う。
シュトーレンなどにかけるリボンは、赤、黄色などの3色のストライプのリボンをかけ、ドイツの雰囲気をさりげなく表現する。
人形や版画など、店内のそこここにさりげなく飾られた小物も、ほとんどがドイツに視察旅行に行った時に購入したものだ。
店内に流す音楽は、ドイツの聖歌。ドイツでしか手に入らないCDを10枚ほど用意し、BGMとして流している。2階の山小屋風に作られたカフェに飾られた調度品などもドイツで購入したものだ。

価格改定を徹底的に訴求
リンデでは、8月にパンの価格を全面改定した。120円と480円の商品の数を増やしたのだ。
「原材料を厳選していることもあって、価格もそれなりになってしまいます。以前は、低価格のパンは、180円と200円が多かったのですが、お客様にいろいろなパンを味わってもらおうということで、サイズを小さくした120円のパンをかなり増やしました」と増田さんはいう。
これは、デパートの催事に出店した際に、買いに来た客から聞いた「小さくていいから、もっと安くしてほしい」という声に応える形で実施したものだ。
価格改定後は、若い来店客がかなり増えたという。
リンデでは、価格改定を伝える赤いポスターを店内のいたるところに貼り、顧客への告知に努めた。入り口の外にも価格改定を伝えるポスターを掲げた。

顧客アンケートにも積極的に取り組む
顧客の要望を知らなくてはとアンケートにも積極的だ。「サラダが置いてあったら嬉しい」という声に応えて、サラダを置くようにした。基本的に顧客の要望にはすべて応える、という姿勢で臨んでいる。
こうした様々な試みの根底には、ドイツのパン屋さんの雰囲気を日本人にも味わってもらいたい、という深い思いがある。



原価計算女王
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