
ポンパドウル元町本店

鳥居本一樹さん

今月の新商品は、入店してすぐの場所に展示。商品の陳列位置の高さなどに変化をつけている。

入り口に掲げられたボードを縮小して作ったポップを商品に添える。

入り口脇に「今月の新商品」を紹介するボードが掲げられている。

大きな丸テーブルには、今月の新商品3品目(4種類)を展示。様々な方法で立体感を出している。
休日の外出時にヒントが多い神奈川県藤沢市のさいか屋デパートで、月に1度のフェアに力を入れることになった。鳥居本一樹さん(28)は、いろいろと思いを巡らせた。フェア用に準備された商品を、「とにかく目立つようにしなくては」と考えた。斬新なデザインのポップを商品の横に置いた。
鳥居本さんは、ポンパドウル元町本店の販売スタッフだ。今年4月に、藤沢市のさいか屋デパート内にあるポンパドウル藤沢店から、元町本店に配属された。
藤沢店で2年ほど、毎月のフェアの演出を担当した。最初の頃は、目立つポップを作って、パンの横に置くことぐらいしか思いつかなかったが、やっていくうちにいろいろなアイデアが浮かぶようになった。
「休みの日に出かけた時に、何の気なしに入った洋服屋さんなんかに、ヒントがたくさんあるんです。「え!」という感じで、目を引かれてしまうことが結構あるんですよ。例えば、洋服の色の配置とか、利かせ色の使い方とかです」と鳥居本さんは話す。
商品が立体的に見えるようにある時、藤沢店で、いちごフェアを実施した。鳥居本さんは、高さと大きさの違う2つの丸テーブルを用意した。
入店してすぐのところにそれら2つのテーブルを並べて置いた。背の低い小さなテーブルには、いちごをトッピングしたミニパイを一面にぎっしりと並べた。
テーブルの周りには、緑色の飾りを配して、いちご畑を表現した。いちごの赤と、周りの緑が強く響き合った。もうひとつの背の高い大きなテーブルには、カスタードクリームといちごをあしらった「いちごミルク」と、いちごのデニッシュの「ストロベリー」を並べた。テーブルの天板を4つに仕切り、同じ商品が円の中心でだけ接するように陳列した。
想像した以上の売上があった。「いちごフェアをやっているのね」などの顧客からの声が鳥居本さんの耳に届いた。
「自分で思ったことを実際にやってみて、かなりの効果が実感できました。感動的でした」
パンのある食卓を提案する藤沢店で、フランスパンフェアも実施した。ワゴンを用意した。「パンの置き方に工夫を凝らして、動きを出そう」と考えた。籠にバゲットなどを縦にさして置いた隣に、色々なフランスパンを、「動き」を考えて、思い思いの方向に並べた。フランスパンと一緒に食べたらおいしいと思われる食材や、一緒に飲んだらおいしいと思われるワインを共に置いた。顧客の視線の動きを考えて立体的に配置した。フランスパンのある食卓を顧客に提案する狙いもあった。
「お客様が、フランスパンを買って帰ってどうやって食べているのかを想像してディスプレイを考えました」と鳥居本さんはいう。
「わかりやすさ」が販促の原点鳥居本さんは4月から配属された元町本店でも、販売促進に活躍中で、現在は、「イノサンヌオニョン」(オニオン、ベーコンを練り込んだソフトな食感のパン、大360円、小80円)、「カレーKids」(甘口のカレーパン、100円)、「ポテトリーフ」(サツマイモと黒ごまをトッピングしたデニッシュ、120円)など4品目を、11月の新商品として販促中だ。藤沢店で培ったノウハウを活かして、大きさと高さの違う丸テーブル2つを、入店してすぐの場所に配置し、カレーパンを小さなテーブルいっぱいに並べ、大きなテーブルには、高さの違うトレーを4つ配置して、残りの3品目(4種類)を陳列している。「商品を置く高さに変化をつけることで、空間にメリハリがついて、動きが出てくるんです。そうすると、そこに置かれているすべての商品がお客様の印象に残るんです」と鳥居本さんは話す。
ポップにも一工夫を凝らした。ポンパドウルでは、入り口の目立つ場所に掲げるために、毎月の新商品の写真と説明書きが入ったボードが本部から各店に配られるが、鳥居本さんは、その写真と説明書きをそのまま縮小してポップを作り、商品に添えた。「入り口で新商品の写真を見たお客様から、『新商品はどこにあるんですか』とよく聞かれたんです。入り口のポップと、商品に添えられているポップが同じなら、わかりやすいと考えました」と説明する。
「顧客にとってわかりやすいこと」が鳥居本さんの原点なのだ。
季節感の演出にも努める季節感も大切にする。元町本店で「秋の味覚フェア」を実施した時は、黄色に紅葉した葉がたくさんついた枝が四方にのびたいちょうの木の飾りを、大きなテーブルの中央に配し、その下にモンブランやマロンケーキなどを置いた。テーブルの周りにもいちょうの葉と枝を飾った。顧客は「いちょうの木の下で、銀杏を拾っている感覚」でパンに手をのばした。
「『また何か違うことをやっている。次は何をやるんだろう』とお客様に思ってもらえるようにといつも考えています」と鳥居本さんは話す。「普段何気なく見ていたものの中に、いろいろなヒントがあふれています。例えば電車に乗っていても、いろいろなものが目に入ってきて、参考になるんです」とも。
ポンパドウル元町本店は、昨年12月にイートインスペースを設けた。鳥居本さんは「ゆくゆくは、モーニングやランチなどで、バイキングができたらいいなと思っています。パンや料理などを用意して、『料理とパン3つと、ドリンク1つでいくら』という設定にするんです。お客様に選ぶ楽しみを味わってもらえたらと考えています」と目を輝かせた。