フランスでの経験 - ブーランジェリールボワ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2002年1月号

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フランスでの経験 - ブーランジェリールボワ

ブーランジェリールボワの外観
ブーランジェリーワボワが2001年10月31日、
東京・中野区にオープンした。
「しっかりと焼き込んだパンが好き」というオーナーの森朝春さんは、フランス・パリでおよそ3年間、パン職人として働いた経験を持つ。
帰国後は、東京・代官山のパティスリーMaduの立ち上げメンバーとして活躍した。そんな森さんが焼き上げるパンは、当然フランスの香りがする。
しかし「フランスにこだわっているわけではありません。肩肘張らずにいいパンを作っていきたいだけです」。

東京都中野区弥生町2‐52‐4
電話03-3229-8015
営業時間 午後9時〜午後7時
日曜・祭日定休



木に囲まれたほっとする空間。フランスの田舎町をイメージ

ショーケースや壁面などには木を使っている


顧客の注文を聞きながらパンをトレーにのせていく


しっかりと焼き込んだ「カレンツ」と「プチカレンツ」。試食提供にも積極的だ。
入店して正面にショーケースがあり、森さんが丹精込めて作った様々なパンが並ぶ。しっかりと焼き込んだ「パン・オ・ルヴァン」(300円)や「カレンツ」(480円)などのハード系、洋梨などをトッピングして彩り豊かな「ラ・フルール」(160円)などのヴィエノワズリーなどが好印象だ。あんパン(120円)とクリームパン(100円)もある。
店舗は、外装、内装とも木材を使用して心温まる感じを演出した。店舗のデザインは美大卒の葵(あおい)夫人が担当。「フランスの田舎町のイメージでデザインしました」と話す。イメージカラーは緑で、表に掲げた「ブーランジェリールボワ」の文字や入り口上のテントなど、ポイントとなる部分に効果的に使用している。
対面で販売。葵夫人ら販売スタッフが笑顔で顧客の注文を聞き、トレーにパンをのせていく。注文を聞き終え、すべてのパンをトレーにのせると、顧客にトレーを見せて、「これで注文はよろしいですか」とていねいに確認する。レジでも「このパンはビニールの袋に入れますか」などと笑顔で確認しながらていねいにパンを包装していく。四方を温かい木で囲まれた5坪ほどの狭い売り場が、その狭さゆえに「ほっとする空間」になっている。


レジで接客する葵夫人。笑顔を絶やさない。



フランスのベーカリーで3年間修業。バゲットの製造量が半端ではない

ブーランジェリールボワの森朝春オーナー
森さんは19歳から約5年間、東京のベーカリーで修業したあと、妊娠中の妻、葵さんとともにフランスに渡った。
「何かが違うと感じていました。今しかないと思いました」
フランスで最初に頼った同国在住の友人宅で食べたクロワッサンが強烈に印象に残った。噛むとさくさくと崩れていく感じは、それまで経験したことがなかった。
卒業した製パン学校の紹介で、パリ16区のデグランジェというベーカリーなどでパン職人として働くことになった。人手がなかったせいもあり、即戦力として扱われた。フランスパンの作る量の多さにまず驚いた。仕込む量が違う。森さんは午前10時から午後8時まで、デグランジェのパンの製造を基本的に1人で担当した。
「早番の人が仕込んだ大量のフランスパン生地を焼き上げるんです。とにかく量が半端ではないんです。2時間で400本は焼き上げなくては間に合いません」
午後から出すフランスパンの仕込みも量が半端ではなかった。100キロ仕込みは当たり前。130キロで仕込むこともあった。成形はモルダーで行い、最後に手で形を整える。スピードが命だ。
森さんは、フランス人とフランスパンのかかわり方を肌で感じとった。「フランス人は、焼き上がりの形がそろっていることはそんなに重要視しない」と思った。
あるときモルダーが故障してしまった。森さんはデグランジェのオーナーと2人で、400本のバゲットを手で短時間のうちに成形した。フランスでの経験は、森さんのパン職人としての原点だ。
「フランスのベーカリーは、ベーシックなパンだけを作り、パンの種類も日本ほど多くありません。バゲットはフランス人にとって最も身近な食べものという当たり前のことを、体で実感しました」と森さんは振り返る。



顧客の声を聞いた上で自分を主張していきたい

ブロッコリーなどをトッピングした「キッシュ」


見るからにかわいい感じのバターロール
オープンして約1カ月。初日は20万円の売上があった。森さんは「ハード系の食事パンが思っていたより売れる」と思った。しかし、すぐに日商8万円にまで落ちた。出店した場所は、多くの人から「ハード系を中心に据えるのは難しい立地」といわれたことが頭をよぎった。「お客様が一回りして飽きられたのか」と思った。
菓子パンや調理パンを求める声が多いことから、あんパン(120円)とクリームパン(100円)を品揃えに加えた。しかし、しっかりと焼き込み、ほかのパンといっしょに並べても、違和感のない製品だ。ブロッコリーなどをトッピングして焼いたキッシュなども商品化した。
子供連れの客が多いことがわかり、小さなバターロール(40円)も品揃えに加えた。
店が面している街道から、ベーカリーとわかるように、パンの籠盛りなどを通りに面したガラス窓の前に置いた。
すこし売上が戻った。
「お客様からパンが固いとよく言われます。お客様の声はきちっと聞いて、消化していきたい。その上で自分がおいしいと思うパンを作っていきたい」
森さんはある材料問屋の社長から励まされた。
「お客さんをリードしていかなくてはだめだ。時間がたてば、君のパンは必ず理解される」
◇
 ブーランジェリールボワは、地下鉄丸の内線・中野富士見町駅下車徒歩5分の距離。
製造は、森さんを含めて男性2人のほか、販売も担当する女性が1人。製造スペースは約12坪の広さ。製造機械は、縦型ミキサー、ホイロ、リバースシーター、3段縦型オーブンが各1台など。
販売は、葵夫人を中心に、女性スタッフがほかに2人。製造も担当する女性を入れると、合計4人。
約5坪の売り場で、対面で販売する。

ハチミツ、牛乳などを配合した素朴な印象のパン
ミエレ
食べやすい食事パンといった感じ。ハチミツ、牛乳を配合する。リュスティックのように、切りっぱなしでホイロをとり、焼成。1個60円。同じ生地から作る食パンのパン・オ・ミエレ(1斤460円)も人気だ。
【配合%】
強力粉(ビリオン)………90
薄力粉…………………10
塩……………………2・1
生イースト……………2・5
バター……………………3
ショートニング……………3
ハチミツ…………………6
牛乳……………………20
水………………………47
【工程】ミキシングL2分M5分(バター、ショートニング投入)M3分、捏ね上げ温度26度C、発酵1時間、分割約80グラム(パン・オ・ミエレは180グラム×3)、ベンチタイム30分、成形→分割したまま(パン・オ・ミエレは、俵型にして、大きめのワンローフ型に3つ入れる)。ホイロ27度C40分(パン・オ・ミエレは27度C1時間30分)、焼成235度C6分=スチーム注入(パン・オ・ミエレは上火200度C下火220度C30分)
※パン・オ・ミエレは、蒸気を注入しないで焼成し、焼成後すましバターを塗る。

自家製のルヴァン種を配合し、しっかりと焼き込んだ自信作!
パン・オ・ルヴァン
レーズンから起こした種を配合した生地で作る。同じ生地で、カンパーニュ(500円)、プチルヴァン(120円)も作っている。濃い焼き色がとても美しいパンだ。パン・オ・ルヴァンは1個300円。
【配合グラム】
フランスパン用粉………………2250
内麦粉……………………………250
▼ルヴァン種……………………1250
モルト…………………………………6
塩(シママース)…………………62・5
水………………………………1450
【工程】ミキシングL6分、捏ね上げ温度30度C、発酵2時間(1時間の時点でパンチ)、分割=パン・オ・ルヴァン→300グラム、カンパーニュ→550グラム、プチルヴァン→100グラム、ベンチタイム30分、成形=パン・オ・ルヴァン→両端を尖らせたバタール形、カンパーニュ→ブール形(籠どり)、プチルヴァン→両端を尖らせた小さなバタール形、ホイロ30度C1時間前後、焼成235度Cパン・オ・ルヴァン→23〜26分、カンパーニュ→40分、プチルヴァン→15〜18分(いずれもスチーム注入)
※ホイロ後、小麦粉をふって、クープを入れる。
▼ルヴァン種
☆1番種
【配合グラム】
レーズン……………………………500
ハチミツ……………………………30
水………………………………1000
【工程】(1)全材料を混ぜ合わせ、煮沸消毒した容器に入れて密封する(2)[1]を27度Cの場所に1週間置く(1日1回容器内の空気を入れ替える)
☆2番種
【配合グラム】
1番種……………………………300
フランスパン用粉…………………450
内麦シリアル………………………50
【工程】(1)ミキシングL5分(2)27度Cの場所に1日置く
☆3番種
【配合グラム】
2番種……………………………800
フランスパン用粉…………………450
内麦シリアル………………………50
水…………………………………200
塩……………………………………5
【工程】(1)ミキシングL5分(2)27度Cの場所に1日置く
☆4番種(本捏ねに配合)
【配合グラム】
3番種……………………………1505
フランスパン用粉…………………900
内麦シリアル………………………100
水…………………………………300
塩……………………………………10
【工程】(1)ミキシングL5分(2)27〜30度Cの場所に1日置く

原価計算女王
原価計算女王
フランスで食べたクロワッサンが忘れられない!
クロワッサン
森さんが、フランスに渡って初めて食べたのが、クロワッサンだった。「口の中でさくさくと崩れる感じが忘れられない」といい、その思い出を込めて作る製品だ。1個130円。
【配合%】
フランパン用粉……………………100
脱脂粉乳……………………………3
生イースト…………………………3・5
グラニュー糖………………………10
塩……………………………………2
水……………………………………47
【工程】ミキシングL5分、捏ね上げ温度20度C前後、大分割1600グラム、3つ折り3回、折込みバター対粉60%、最終生地厚3ミリ、成形→3角形にカットして巻く(引っ張らないで、ころがすだけ)、ホイロ25〜27度C3時間、焼成235度C13分(一気に持ち上げる感じ)
※発酵(フロアタイム)はとらない。

焼き色が濃く、表面に艶があるあんパン

あんぽん(左) 右はクリームパン
あんパン
焼き色が濃く、表面に艶があって滑らかなのが印象的。あんは、和菓子用のこしあんを使っている。「あんこがおいしいといって買いに来てくれる年配の人が多い」と森さんはいう。1つ120円。
【配合%】
強力粉……………………………80
薄力粉……………………………20
上白糖……………………………13
塩……………………………………2
生イースト…………………………3
バター……………………………15
脱脂粉乳……………………………6
全卵……20(粉1キロに対して4個分)
水…………………………………39
【工程】ミキシングL1〜2分M7分(バター投入)L3〜4分、捏ね上げ温度24度C、発酵1時間、分割30グラム(分割後冷凍庫で保存し、3〜4時間常温で置いた後成形)、成形→こしあん40グラムを包む。ホイロ27度C1時間30分〜2時間、焼成230度C7分
※ホイロ前に指で中央にくぼみを作る。
※ホイロ後に卵を塗る。


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