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| お店拝見/2002年2月号 |
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| 伝統と新しい感性 - ナカヤ | |
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東京・江東区のナカヤは、創業70年の老舗。自家製のこしあんや粒あんなどを包んだあんパンは不動の定番商品で、多くの常連客に支持されている。
そんなナカヤに、3代目の中山栄一さんが、新風を吹き込もうと、頑張っている。 2代目で栄一さんの父親である隆さんも「伝統と新しい感性が共存することは好ましい」とまんざらでもない。 東京都江東区東砂6-20-8 電話03-3644-3573 営業時間 午前6時30分〜午後7時 水曜日定休 |

| あんパンが1日1000個以上。多くの常連客が支持する | |
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あんパン5品目で、1日700個は売れる。多い日は1000個以上。「この界隈で『あんパンのナカヤ』を知らない人はもぐり」とまでいわれるほど、深く根付いた商品だ。
ナカヤは昭和8年創業の老舗。現在は、2代目の中山隆さんと3代目の栄一さんが、パンを作る。 「あんぱん」(こしあん)、「小倉あんぱん」(粒あん)、「うぐいすあんぱん」「栗あんぱん」「しろあんぱん」の5品目で、価格はいずれも130円。フィリングのこしあん、粒あん、しろあんは、隆さんが手塩にかけて作る自家製だ。 「製法は創業以来ほとんど変えていない」と隆さんはいう。 今から10年程前、甘さ控えめのあんこを2回だけ炊いたことがあった。2日間、砂糖を減らしたあんを包んだパンが店頭に並んだが、多くの顧客から「ナカヤのあんパンじゃない」と指摘された。3日目には、元の味に戻した。それほどまでに「ナカヤのあんパン」は顧客の舌に馴染んでいたのだ。 あんパンを5個以上買った顧客には、箱に入れて渡す。「せっかく買ってもらったのに、形が変わってしまったら申し訳ない」と20年前から続けている。「あんぱんのナカヤ」を自負するようになったのは、箱詰めを始めた頃からだったと思います」と隆さんの妻、光子さんは振り返る。 「焼きたてのぬくもりがある方がいい」と気軽に話し掛けてくる常連客もいる。光子さんら販売スタッフは、「今、粒あんぱんがあったかいですよ」などと笑顔で応対する。「長い付き合い」が一目瞭然でわかる光景が、店内で頻繁に繰り広げられる。 調理パン類もナカヤの屋台骨だ。「カツバーガー」(220円)や「コロッケバーガー」(180円)、「テリヤキチキンバーガー」(230円)などが、売り場中央に据えられた陳列棚に並ぶ。この陳列棚の最下段が冷蔵ショーケースになっていて、「一口サンド」(430円)などのサンドイッチが並ぶ。いかにも東京の下町のベーカリーといった風情だ。 調理パンの具材の製造は、光子さんが担当。トンカツ、ポテトサラダ、ツナサラダなどは自家製だ。 食パンは、「食パン」(180円)、「ロイヤルブレッド」(230円)など3品目を製造販売している。 |

| 70年の伝統との葛藤の日々。自分の感性も生かしたい! | |
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3代目の中山栄一さん(31)は、東京の製菓学校を卒業後、あるベーカリーでの4年間の修業などを経て、5年前にナカヤで働くようになった。
栄一さんの頭の中には、ハード系のハースブレッドやデニッシュなどがあった。「若者に支持されるようなファッション性の高いベーカリー」が理想だった。 栄一さんは70年の伝統の重みと自分が志向するベーカリー像の大きなギャップに押しつぶされそうになった。 栄一さんは、伝統との葛藤の中で、ハード系の食事パンやデニッシュ類などを作り、多くの顧客から圧倒的な支持を集めるあんぱんなどとともに店頭に並べた。 「サツマイモデニッシュ」はサツマイモダイスをたっぷりとトッピングした製品。サツマイモがかなりの迫力で迫ってくる。「ポワール」(260円、レシピを26ページに掲載)は、洋梨をまるごと入れて、カラメルがけしたアーモンドスライスをトッピングしたデニッシュで、これもかなりのボリュー感だ。 栄一さんは「例えばサツマイモを使った製品だったら、サツマイモがたくさん入っているという感じを出さないとだめですね。ウチのお客さんはそんな感じです」と話す。ブルーベリーをトッピングしたデニッシュの「ミルティーユ」(160円)もブルーベリーがこぼれ落ちそうだ。 栄一さんは、様々なハード系のパンも商品化した。「トマト」(130円)は、ドライトマトを練り込んだハード系のパン。「パン・オ・ルヴァン」(300円)は自家製のルヴァン種を使ったパンで、栄一さんの自信作のひとつ。「マロン・ノア」(大250円、小130円)は栗とくるみを練り込んだハード系のパン。もちろんバゲット(180円)やバタール(180円)などもある。 |

| 3代目のパンも看板商品に。2代目も「新しい感性は必要」 | |
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しかし、栄一さんの自信作はなかなか売れなかった。
「例えば、サツマイモデニッシュは最初7個作って1日4個しか売れなかった」という。特に夏場は栄一さんにとって憂鬱な季節だ。夏場の売上減から、栄一さんが力を入れるデニッシュやハード系のパンは、製造中止になることもあるのだという。 しかし、栄一さんのハード系のパンやデニッシュなど新しいパンへの情熱が消えることはない。時には父親の隆さんと激しくぶつかり合いながらも、地道に「新しいパン」を作り続ける。 栄一さんが導入したパンですでにナカヤの看板商品になったものもある。「さつま芋デニッシュブレッド」(440円、ハーフカット220円、レシピを26ページに掲載)だ。さつまいものダイスカットを折り込み、黒ゴマをたっぷりとトッピングした製品で、母親の光子さんも「予約も多く入り、よく売れています」と嬉しさを隠せない。 栄一さんの「新しい感性」について、実は隆さんもまんざらではないふしがある。「若い人から支持されるようなパンも作っていかなくてはならないと考えていました。伝統と新しさが共存することはいいことだと思っているんですよ」といい、口元をほころばせるのだ。現在はあんパン以外のほとんどのパンを、栄一さんが作るまでになっている。 ただ、「ナカヤのあんパンには多くのお客様がついています。新しい商品は、1からお客様を集めなければなりません。それは大変なことなんです」ともいう。 栄一さんは、1から顧客を開拓する苦労をまさに今、味わっているのかもしれない。 |

| パンの詰め合わせが人気に個々の顧客の要望に応じる | |
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ナカヤでは、パンの詰め合わせがよく売れる。詰め合わせといっても、すでに用意されたものが店頭に並んでいるわけではなく、常連客の「友達が集まるのでパンがほしい」などという注文にその都度応えるというものだ。
常連客の1人は「息子の学校の保護者会の集まりがこれからあるんです」といい、白い箱にパンを詰めてもらっていた。 昨年暮れは、お歳暮用にあんパンの詰め合わせがよく売れたという。 ◇ ナカヤは、営団地下鉄東西線・南砂町駅からバスでおよそ10分の距離。まわりには古くからの住宅街が広がる。 販売スペースがおよそ7坪の広さ。製造スペースは約20坪。 パンの製造は、2代目の隆さんと3代目の栄一さんを含めて3人の体制。隆さんの妻、光子さんは、サンドイッチや調理パンなどの加工を担当するほか、販売も手がける。販売スタッフは、光子さんも含めて常時3人の体制だ。 パンの品揃えはおよそ60アイテムで、下町独特の菓子パンや調理パンのほかにも、栄一さんが提案するハード系のパンやデニッシュなどが並んでいる。 親子2代の違った感性が、今後どのような形で、展開していくかが楽しみだ。 |
| 洋梨をまるごとトッピングしたデニッシュ | |
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ポワール
ホールの洋梨を使ったボリューム感あふれるデニッシュ。アーモンドスライスとチャービルがアクセントになっている。1個260円 【配合%】 強力粉……………………………………30 中力粉……………………………………70 砂糖………………………………………15 塩……………………………………………2 イースト…………………4 BBJ…………………0・05 全卵……………………………粉1キロに対して5個分 バター……………………3 脱脂粉乳………………3 水………………………25 【工程】ミキシングL3分、捏ね上げ温度20度C、発酵1時間30分、大分割1750グラム、3つ折り3回(3つ折り2回後、冷蔵庫で一晩休ませてから、3つ折り1回)、折り込みバター500グラム、最終生地厚2ミリ、成形→生地を9・5センチ四方にカットして、星型に入れる。ホイロ30度C80%1時間、焼成200度C15〜20分 ※ホイロ後、カスタードクリームを絞って、ホールの洋梨(缶詰)を入れる。 ※焼成後、杏ジャムを塗る。さらにアーモンドのキャラメルがけを散らし、アクセントとしてチャービルをのせる。アーモンドのキャラメルがけは、スライスアーモンドを砕いて、シロップと混ぜ合わせたものを加熱して作る。 |
| さつまいもを折り込んだデニッシュブレッド | |
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さつま芋デニッシュブレッド
さつまいものダイスカットを折り込んだデニッシュブレッド。黒ゴマをたっぷりとトッピングして焼成する。ナカヤの看板商品のひとつ。1つ440円。ハーフカット220円。 【配合%】 ポワールと同じ 【工程】ミキシングから発酵までは、ポワールと同じ。大分割1750グラム、3つ折り3回(3つ折り2回後、冷蔵庫で一晩休ませてから、3つ折り1回=このとき、サツマイモのダイスカットを折り込む)、折り込みバター500グラム、最終生地厚5ミリ、成形→(1)幅約40センチ、長さ約80センチ、厚さ5ミリにのばした生地をのり巻きの要領でロールし、約5・5センチ幅にカットする(2)カットした渦巻状の面を上にして、ワンローフ型に2つ並べて入れる。ホイロ30度C80%2時間30分、焼成200度C30分 ※ホイロ後、塗り卵をして、黒ゴマをたっぷりとトッピングする。 |
| 自家製のルヴァン種で作るハード系のパン | |
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パン・オ・ルヴァン
自家製ルヴァン種で作る3代目栄一さんの自信作。 【配合%】 リスドウル(フランスパン用粉)……40 スワッソン(フランス産小麦粉)……35 全粒粉……………………………15 ライ麦粉(細挽き)…………………5 ライ麦粉(荒挽き)…………………5 塩………………………………2・4 ルヴァン種………………………40 水…………………………………64 【工程】ミキシング(オートリーズ法)→(1)粉と水だけを投入してL2分(2)[1]の生地を冷蔵庫で30分休ませる(3)[2]に▼ルヴァン種とモルトを入れてL2分(4)[3]に塩を入れてL7分、捏ね上げ温度24度C、発酵3時間30分、分割300グラム、成形→ブール、ホイロ30度C80%1時間30分〜2時間、焼成210〜220度C30分(スチーム注入) ※ホイロ後、クープを入れる。 ▼ルヴァン種 【作り方】(1)水100%、レーズン50%、砂糖25%、モルト1%(水の重量を100としたときの割合)を混ぜ合わせ、25度C前後で5〜6日(レーズンが浮いてきて泡が出てくるまで)発酵させる(1日1回攪拌する)(2)[1]をガーゼで絞り、エキスをだけをとり出す(3)[2]のエキス54%、リスドウル100%を混ぜ合わせ(捏ね上げ温度24度C)、27度C前後で1日発酵させる(4)[3]の工程を4〜5日繰り返す(5)[4]の種50%、リスドウル100%、水48%、塩1%をミキシングし、27度C前後で6〜8時間発酵させる(この状態で、使える) ※ルヴァン種を継ぐ場合は、ルヴァン種50%、リスドウル100%、水48%、塩1%、モルト0・5%をミキシングし、冷蔵庫で保存する。この状態で1週間まで使える。 |
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