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特集/2002年2月号

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ベーカリーに徹底アンケート! - 東京のパン屋さんの売れ筋商品は?

東京のベーカリー31軒に、様々な質問をぶつけた。
ハード系のパンを提案していこうというベーカリーが大阪と比べて多いことや生活者の健康志向をうまくとらえてハード系のパンをPRしていることなどがわかった。不況の影響で「来店客数は同じだが、客単価が下がっている」と答えたベーカリーが多かった。

調査の方法
電話帳と購読者リストから東京のベーカリーをなるべく無作為に選び出し、電話でアンケートを依頼した。依頼したベーカリーにFAXがある場合は、FAXでアンケート用紙を送付し、回答してもらった。FAXがない場合は、本誌記者が電話で回答者から直接聞き取った。回答したベーカリーは31軒。
主な質問事項は「定番商品で、よく売れているパンを2つか3つあげてください」「流行の商品(もしくは最近出した商品)で、売れているものを2つか3つあげてください」「(1)食パン類(2)ハード系(3)菓子パン類(4)調理パン類(焼き込み調理パンも含む)(5)デニッシュ類、のうちよく売れる(売上が多い)ものを2つあげてください」など合計11項目。
回答したベーカリーの住所は、すべて東京都。
立地は商店街18軒、住宅街4軒、商店街と住宅街の中間5軒、街道沿い2軒、スーパー内、観光地が各1軒。



定番商品にハード系が多い

「定番商品でよく売れているパンを2つか3つあげてください」(有効回答ベーカリー数31)と聞いたところ、「食パン」が11軒と最多。「カレーパン」の6軒、「ホテルブレッドの」の5軒、「山食」の4軒、「パン・ド・ミ」「クリームパン」「あんパン」の3軒ずつと続く。(グラフ1)



これを、パンのカテゴリー別にみると、「食パン類」が29軒、「ハード系」(ソフトフランスなども含める)が16軒、「調理パン」(焼き込み調理パンも含める)が14軒、「菓子パン類」が9軒の順になる。(同じベーカリーが同一カテゴリーの違う2つのパンをあげた場合は2軒と数える)
ブランスリー1月号の「大阪のベーカリーの売れ筋商品調査」では、菓子パン類が30軒、調理パン類が15軒、食パン類が14軒、デニッシュ・クロワッサン類が7軒、ハード系が6軒の順だった。
大阪は、「菓子パン類」をあげたベーカリーが圧倒的に多かったが、東京では「食パン類」をあげたベーカリーが圧倒的に多かった。大阪と比べて東京は、「ハード系」を上げたベーカリーが16軒と多かったことも特徴的だ。
「ハード系のパンの売上が3〜4割を占める」(世田谷区のベーカリー)、「甘いものが売れない傾向にある。リーンな配合のパンに徐々にシフトしているようだ」(大田区のベーカリー)、「柔らかいパンから、ハード系へお客様の好みが移行しているように感じる。お年寄りの方でも意外とハード系を好んだりする」(世田谷区のベーカリー)などといった声が聞かれた。
また、「最近ハード系のパンの販促に力を入れている。試食提供や食べ方の提案に努めている」(世田谷区のベーカリー)などといった声が聞かれ、ベーカリーの側で、積極的にハード系のパンを普及させていこうという姿勢が感じられた。
ハード系のパンを積極的に提案し、効果を上げているベーカリーで、「顧客に、パン自体の味わいを楽しみたいというグループと、菓子パンなどの甘いパンを好むグループが存在する」と指摘するケースが少なくなかった。



ハード系普及に健康志向が一役

ハード系のパン普及の推進役として、健康志向の着実な浸透がある。「顧客の志向について何か感じることはありますか?」との質問に対して、健康志向をあげたベーカリーは多かった。
「ヘルシー志向は根強く、ゴマやナッツ類、かぼちゃの種などを使ったパンの動きがいい」(町田市のベーカリー)、「以前は『体に悪くないもの』だったが、今は『体にいいもの』だ。保存料とか改良剤を使っているかどうかではなく、健康にいい材料を使っているかどうか、ということだ」(世田谷区のベーカリー)、「ライ麦とか玄米とかグラハムとか体にいいというイメージの材料を使ったパンに対する反応がいい」(世田谷区のベーカリー)といった声が聞かれた。
「定番商品でよく売れているパンを2つか3つあげてください」との質問に対してあがったハード系のパンには、「雑穀入りライ麦パン」「胚芽パン」「パン・ド・フィグ」など、健康志向に対応するような副材料を練り込んだパンが多かった。
このことは、食パンについてもいえる。ハード系のパンほど割合は多くないが、「全粒山食」「雑穀入り食パン」などの名前があがっている。



新商品は健康素材の食事パン

一方、「流行の商品(もしくは最近出した商品)で売れている商品を2つか3つあげて下さい」(有効回答ベーカリー数31、「ない」と回答したベーカリーが4軒)との質問に対しては、「プリンパン」の5軒、「アップルパイ」の2軒をのぞいて、すべての回答が1軒で、かなりのばらつきがあった。(グラフ2)



これを、パンのカテゴリー別にみると、多い順に「ハード系、食卓ロールなどの食事パン」と「菓子パン類」が13軒ずつ、「調理パン」(焼き込み調理パンも含める)が8軒、「デニッシュ類」と「食パン類」が5軒ずつとなる。(同じベーカリーが同一カテゴリーの違う2つのパンをあげた場合は2軒と数える)
ブランスリー1月号の「大阪のベーカリーの売れ筋商品調査」では、菓子パン類が28軒、デニッシュ・クロワッサン類が12軒、ハード系の食事パンなどが7軒、食パン類が4軒、調理パン類が1軒、の順だった。
大阪は菓子パンが圧倒的に多いのに対して、東京の場合は、「ハード系、食卓ロールなどの食事パン」の14軒と「菓子パン類」の13件が拮抗している。
回答にかなりばらつきがあり、新商品開発に試行錯誤を繰り返している様子が伺えるのは、東京、大阪とも同じだが、東京の場合は、ヘルシー志向に応える様々な材料を、食事パンに使って新商品を開発する傾向が大阪より強いことがうかがえる。
「新商品は、平均すると月に何品目出しますか?」(有効回答ベーカリー数31)との質問に対する回答の平均値は、2・8品目で、大阪の2・31品目より多い。
新商品の投入数が多いほど売上を伸ばしているケースが多いという緩やかな傾向がみられた。

売上は、ハード系より菓子パン

「(1)食パン類(2)ハード系(3)菓子パン類(4)調理パン類(焼き込み調理も含む)(5)デニッシュ類、のうちよく売れる(売上が多い)ものを2つあげてください」(有効回答ベーカリー数31)と聞いたところ、多い順に「食パン類」が21軒、「菓子パン類」が15軒、「調理パン類」が10軒、「ハード系」「デニッシュ類」が5軒ずつという結果。(グラフ3)



「定番商品でよく売れているパンを2つか3つあげてください」との質問に対しての回答と比較すると、「菓子パン」がかなり多くなり、「ハード系」が少なくなる。
菓子パン類よりハード系の方がが品揃えが少ない可能性が高いこともあるが、「ハード系のパンは作り手の意識の中に常にあり、普及に努めているが、売上の柱としては、まだ弱い」ということが伺われる。
しかし、ベーカリー側のハード系を提案して売っていこうという意思は強く、現在もかなりの度合いで普及が進んでいることは確かなようだ。

客単価上げる努力が大切?
「1年前に比べて売上は、(1)伸びた(2)横ばい(3)落ちた、のいずれですか?」(有効回答ベーカリー数31)と聞いたところ、「横ばい」が13軒、「落ちた」が11軒、「伸びた」が7軒で、不況下で比較的健闘していることがわかった。
客単価と来店客数についても同じ質問をした。
客単価については、「横ばい」が16軒、「落ちた」が9軒、「伸びた」が6軒だった。
来店客数については、「横ばい」が20軒、「落ちた」が6軒、「伸びた」が5軒だった。
「売上が伸びた」と答えたベーカリーは、「客単価」「来店客数」とものばしているケースが多いが、客単価を上げる努力が売上増加のポイントになることが伺えるかすかな傾向がある。
「売上が落ちた」と答えたベーカリーについては、「来店客数は同じだが客単価が落ちた」というケースが比較的多かった。「お客様の財布の紐は固い。最近お金を払うときに財布の中のバラ銭をかき集める人が目に付くようになった」(大田区のベーカリー)などといった声が聞かれた。
「売上が横ばい」と答えたベーカリーはすべて「客単価」「来店客数」とも「横ばい」と答えた。

原価計算女王
原価計算女王
VOICED FROM BAKERIES

●ハード系のパンが売上の3〜4割を占める。新商品は1年に1品目出すか出さないか。お客様に合わせるというのではなく、自分でこれだと思ったパンを作ってきた。結果的にそれなりに売れている。オープン当初はデニッシュ類は対面販売で、それ以外はセルフ形式の販売だった。途中からデニッシュ類もセルフに切り替えたが、その方が商品がお客様に近くなり、よかったと思っている。世田谷区、商店街と住宅街の中間
●お客様は「昔ながらのパン」「素朴なパン」に反応するようになってきた。小麦粉の味をかみしめるようなパンが売れるようになった。小平市、商店街
●最近強く感じるのは、パン生地よりも具材を差別化した方が、お客様に伝わりやすいということだ。練り込み油脂をマーガリンからバターに変えても、わからないお客様が多いが、カレーフィリングを市販のものから自家製に変えると、多くのお客様が違いに気づく。あんこは、和菓子用の生あんを仕入れて、自分で炊いている。カスタードクリームも自家製。カレーパンのフィリングは、「カレーそぼろ」という挽肉にカレーをまぶしたものと、カレールーを同割で混ぜ合わせ、炒めたたまねぎを加えたものを使っているが、好評だ。足立区、街道沿い
●ウチは天然酵母を使い、値段の高いいい材料を使い、こだわったパンを作っている。お客様はフィリングなどが入っていないプレーンなパンをほしがる人たちのグループと、あんこなどのフィリングが入ったパンをほしがる人たちのグループに分かれるようだ。天然酵母パンのよさを地道に伝えていこうと思っている。府中市、住宅街
●日替わりで1品を「本日のお勧め」として、2割引きで販売しているが、買うきっかけになっていると思う。甘いものが敬遠される傾向があるようだ。板橋区、商店街と住宅街の中間
●甘いものが売れない傾向にある。リーンな配合のパンに徐々にシフトしているようだ。一所懸命やっているという姿勢を出すように心がけている。いつ来ても新商品がある、という感じをお客様に持ってもらうために、月に10品目は新商品を出すようにしている。また、お客様の反応を肌で感じるために、できる限り売り場にも出て、お客様と接するようにしている。やはりお客様の財布の紐は固い。最近お金を払うときに、財布の中のバラ銭をかき集める人が目に付くようになった。1万円で支払うお客様が多いときは売上が上がらない。以前は10人のうち6〜7人が好むパンを作ろうと心がけていたが、最近、10人のうち2〜3人が好むパンを作った方が売上が上がるということがわかった。大田区、商店街
●甘さ控えめの傾向がある。ヘルシー志向は根強く、ゴマやナッツ類、かぼちゃの種などを使ったパンの動きがいい。レジ前を活用するようにしている。トレーにパンをのせて並んでいる間に、思わず「これも買おう」と思わせるような商品を置いている。それなりの効果はあるようだ。町田市、住宅街
●ウチは若い世代から年配者まで客層が幅広い。それぞれの世代が好みそうなパンを置くようにしている。パンのフィリングやトッピングについて、業者が持ってくる出来合いのものより、自家製のものがよく売れる。この傾向は最近特にはっきりしてきた。無添加のパンもよく売れる。杉並区、商店街
●スイート系がよく売れる。甘いものは甘く、シンプルなものはシンプルに作るのがいい。メリハリをつけた方がいい。足立区、商店街
●柔らかくてもちもちした食感のパンが好まれるようだ。人気トップ3の商品の前に「当店の人気No.1」「No.2」「No.3」と書いたポップを添えてアピールしているが、効果的だ。午前の部と午後の部があり、合計で6品目だ。景気はこれ以上悪くならないと思えるぐらい悪いので、いまやっていければ、何があっても大丈夫。我慢のしどきだと思う。町田市、街道沿い
●お客様には来店頻度が高い人が多いようだ。客単価は低い。多くの人にとって日常のパンを目指している。オーガニックに対して、お客様がどれくらい反応するかに興味があり、最近あんパンのあんこをオーガニックのものに変えてみた。販売価格は従来と同じだ。目に見えて売上が伸びたということはないが、多少は増えているようだ。ウチの場合、朝の需要が多いが、供給しきれていない面があったので、製造体制を変えて、朝の供給量を増やしたところ、当然ながら売上が伸びた。オープンは午前7時。品川区、商店街
●食事系のパンと調理パンがよく売れる。マイバックを持参した人には、袋代として1回10円のポイントを差し上げているが、環境問題に関心のある人が以前と比べて増えてきているようで、利用する人が増加傾向にある。小平市、商店街
●辛いパン(調理系のパン)がよく売れる。マフィンは、日替わりでいろいろな種類のものを出しているが、売れ行きがいい。江東区、商店街
●しっとりとして、もちもち感があるパンの動きがいい。平台に段差をつけて、商品を見やすくしている。客単価は同じだが、来店客数が減っている。練馬区、商店街
●アレルギーの人のために添加物の内容と量を伝えている。店頭ポップに工夫を凝らしている。国分寺市、商店街と住宅街の中間
●変わったものを食べたいという気持ちと、いつもの味、いつもの安心を求める気持ちの両方を感じる。お客様とのコミュニケーションに心掛け、商品の食べ方を、絵などで詳しく説明するようにしている。商品を小さくして買いやすいようにしている。渋谷区、商店街と住宅街の中間
●以前は「体に悪くないもの」だったが、今は「体にいいもの」だ。保存料とか改良剤とかを使っているかどうかではなく、健康にいい材料を使っているかどうか、ということ。最近ハード系のパンの販促に力を入れている。試食提供や食べ方の提案に努めている。菓子パンは、「ボリューム陳列」が効果的だ。世田谷区、商店街と住宅街の中間
●パンの重量当てクイズを実施した。ウサギの形の大きな編みパンを作り、店頭に陳列しておいて、重さを3択で紙に書いて、投票箱に入れてもらうという方法。複数の正解者に、合計で3万円相当の「パン券」をプレゼントした。100人ぐらいから投票があった。こうしたことは、お客様とのコミュニケーションの手段としても有効だ。日野市、観光地
●ウチの場合は、シンプルな配合のパン生地を味わいたいというお客様が多いようだ。ここ2〜3カ月で、高いものに手を出さない傾向が顕著になってきた。世田谷区、商店街
●ライ麦とか玄米とかグラハムとか体にいいというイメージの材料を使ったパンに対する反応がいい。昨年8月にリニューアルして、売上が伸びた。売り場を広げて、工場のスペースを減らした。その分機械のレイアウトなどに工夫を加えた。外から見たときに店内が明るく見えるようにした。世田谷区、商店街
●とにかくパンを焼く回数を多くするようにしている。安くていいものを提供することがモットーだ。いいものとは焼きたてということ。不況だからといって、売っていかなければならないことには変わりはない。世田谷区、商店街
●柔らかいパンからハード系へお客様の好みが移行しているように感じる。お年寄りの方でも意外とハード系を好んだりする。季節商品に力を入れている。世田谷区、商店街
●年配のお客様はライフスタイルをあまり変えないのか、決まったパンを買っていくが、若い人の嗜好はなかなか絞り込めないでいる。2枚のホワイトボードに日替わりパンやお勧めパンを書くだけで、必ずお客様の反応があって効果的だ。昨年11月までは前年同月比2〜4%程度の微増になっていたが、12月ぐらいから落ちているようだ。営業努力だけではカバーしきれないような景気の悪さを感じている。豊島区、商店街
●最近はライ麦や全粒粉入りのパンを求める人が増えた。イートインのスペースを作ったら客数が増えた。世田谷区、住宅街
●安くて大きいものが売れる。なるべく試食を多く提供するようにしている。品川区、商店街
●スイートなパンを求めるお客様と、食事パンタイプを求めるお客様に分かれる。袖看板を変えて、注目度が上がった。品揃えを食事パンタイプへ徐々に移行させている。ホームページによる販促効果は大きい。豊島区、商店街


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