実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識 / - ブランスリー電子版


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実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識/2004年4月号

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実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識



文・折井英雅
昭和30年に東京農工大学農芸化学科を卒業し、(株)東急フーズ(現サンジェルマン)入社、サンジェルマン開発部長、海外事業部長として国内外約120店舗のインストアベーカリー、レストランベーカリーの企画から開店までをプロデュース。平成3年ハワイ・ディーライトベーカリーでの2年間の社長職の後退社。平成4年から11年まで食糧学院・東京ホテルレストランカレッジ製菓喫茶店経営科(現在、東京栄養食糧専門学校に移管)科長として専門学校の教育に従事。現在はベーカリー会社顧問のほか、名古屋文化短大食生活専攻科講師として製菓製パン理論、フードマネージメント論を講義。所属団体としてはRC・アミカル会副会長、フードシステム研究所主任研究員として「食文化から食マーケティングヘ」の視点から、同研究所の江戸を学ぶ会、新発想開発塾に研究員として参画。



高度な製パン技術のほかに、マネジメントセンスが要求される

●序章
月刊ブランスリーの購読者の多くは、高度な技術で高品質の商品を作り出し、お客様にとって魅力のある個性派ベーカリーを経営しておられると思います。
しかしお店は適正な利益を得て永続していかなければなりません。
技術のほかに、経営に対する認識が必要となりましょう。
企業経営の目的である社会的使命の遂行と適正利益の確保で企業を永続させていくためには、マネージメントセンス(経営感覚)が重要となります。ベーカリーマネージメントの基本的知識と、それを活用するテクニックを体得することが必要となりましょう。
これは、1人ですべてをこなすような個人ベーカリーの経営者でも、大手のチェーンベーカリーの経営者でも同じです。
これからお話ししていくことは、私の経験と今までに得た知識の範囲内でのことです。
経営感覚に優れた皆さんにとっては、異論のある点もあるかと思いますが、お互いに議論することで向上していける、ということで、ご容赦願った上で進めてまいります。
また「Aベーカリー」を例にとりながら、実態の動向や、具体的な数字を入れてなるべく解りやすく述べていきたいと思います。
それと蛇足とは思いますが、今までの私の経験から、知っていればより理解が深まると思われる関連の重要事項について、コラムで説明していきます。



経営の全体像を理解する - 理念、長期方針、年度方針

●第1章 経営系統図
経営についての専門用語は、なんとなくはわかっていても、的確には把握していないことが多いような気がします。
そこで経営系統図(図1)を用いて説明させていただきたいと思います。そうすることによって、専門用語どおしの関係がよくわかりますし、経営の全体像が浮かび上がってくると思います。図1の経営系統図をご覧ください。

先ず「理念」につきましては、「企業を経営していくにあたっての経営者の信念」ということができます。そして、その理念に基づいて長期の基本戦略である「長期方針」をたてます。
「長期方針」は、カネをどう使うかを決める「財務戦略」、ヒトをどう配置するかを決める「組織戦略」、モノをどう作るかを決める「商品戦略」の3つで構成されます。
一方、「長期方針」に対して、「年度方針」があります。これは「長期方針」に基づいて、各年度に何をすべきかについてたてる方針のことです。「年度方針」は、「計数管理戦術」、「人事管理戦術」、「商品管理戦術」、および「施設管理戦術」の4つで構成されます。こうした戦術に基づいて、実際に生産や販売の営業活動が行われることになります。そしてその結果を計数管理によって数字に表し、戦術通りか、違ったかをチェックし、次の年の年度方針に反映させます。
経営系統図を見ていただきますと、「財務戦略」(長期方針)は「計数管理戦術」(年度方針)に、「組織戦略」(長期方針)は「人事管理戦術」(年度方針)に、「商品戦略」(長期方針)は「商品管理戦術」(年度方針)と「施設管理戦術」(年度方針)に、それぞれ対応していることがわかります。
企業を継続させていくためには、ヒト、モノ、カネの経営3資源のほかに、情報が重要だといわれます。これがマーケティング戦略です。マーケティング戦略には「マーケットリサーチ」「メニュープランニング」「セールスプロモーション」「クォリティーコントロール」の4つの活動があり、各戦略、各戦術、さらに実際の生産・販売の営業活動をサポートしていきます。
企業を永続発展させるには個店を守りきって続けるという方法もありましょうが、環境の変化や客の動向についていくためには、新規出店をしない場合でも、業態開発とか、品態発想で改良していく必要があります。
この連載では、出店戦略の項目も設け、新店の企画から開店までを詳しく述べます。
次回から今回述べた各項目について「Aベーカリー」を例にとりながらわかりやすく述べていきます。



コラム

戦略発想と戦術発想
戦略発想とは前提条件について根こそぎ考えること。戦術発想とは与えられた条件、環境は動かし難いものとして、その下で考えることです。
このことから戦略とは長期方針の計画になり、戦術とは年度方針の個々の施策になります。
ベーカリー経営に当てはめて考えると、例えば10年後に10店舗にしたい、というようなことが戦略であり、次年度の店の売上を7500万円にするためのいろいろな施策が戦術となります。

図式表現の効果
物事を理解するのに、そのシーンを頭に描き、そのストーリーを組み立てられるセンスを持つことが良いといわれます。
シーンとは、光景、風景、かたち、図、であり、ストーリーとは物語、流れ、系統的順序といったものです。
今回ご紹介しました経営系統図も、経営を理解するのに、先ず全体の形を頭に描き、つぎに矢印の方向で、系統的にそれぞれの用語の関係がわかるようになっています。
後述しますが、このシーンとストーリーはマーケティングセンスとしても重要です。



原価計算女王
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