記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| お店拝見/2002年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| アンセンへの思い - アンセン | |
|
昨年5月、東京・西荻窪にある小さなベーカリーがオープンした。並んでいるパンはどれもどことなく懐かしい感じがする。オーナーの渡辺孝夫さんの妻で、販売を担当する佐智子さんは「35年前から作り続けているパンも多いんですよ」という。実はこのベーカリー、25年前までの10年間、同じ西荻窪で多くの人に親しまれていた「アンセン」という店なのだ。
住所 東京都杉並区西荻北3‐25‐1 電話03-5382-8660 営業時間 午前9時〜午後8時 定休日年中無休 |

| どこか懐かしい感じがする。35年来のロングセラーも多い | |
|
入店すると、5坪ほどの小さな売り場に渡辺孝夫さんが丹精込めて作ったパンがさりげなく並んでいる。どれもしっかりと焼き込まれ、どこか懐かしい感じがする。佐智子夫人の親しげな笑顔が売り場に華をそえる。
「メレンゲ」(150円、レシピを22ページに掲載)は、モカ味の特性メレンゲ生地を、トヨ型に敷き詰めたデニッシュ生地に流し込んで焼き上げた製品。カットして、カット面にホワイトチョコレートをかける。どことなく駄菓子のような雰囲気を持っている。 食パンの定番は「大型食パン」(1斤250円、レシピを23ページに掲載)という商品。中種法で72時間かけて作る。同製品を常食としている固定客もかなり多い。しっかりと焼き込んであってクラムが厚い。 「ハニー」(100円、レシピを22ページに掲載)はハチミツを練り込んだ生地にそぼろをトッピングして焼成するロングセラー。コーヒークリームをかけた「コーヒーサンド」(130円)もある。 「ポピー」(130円、レシピを23ページに掲載)は、最近発売した商品。ケシの実を巻き込んだデニッシュだ。 佐智子夫人は「メレンゲやハニーは、35年来のロングセラーなんです」と口元をほころばせる。 実はアンセンは35年の歴史を持つベーカリーなのだ。昨年5月のオープンまでには長い物語があった。 |

| 訳あって、西荻窪から藤沢へ。アンセンの灯を消したくなかった | |
|
アンセンは今から35年前、ある不動産会社がオープンした。そこでパン職人として腕を振るっていたのが渡辺孝夫さんだった。
しかし、事情があって経営母体の不動産会社はアンセンの閉店を決定。 渡辺さんは、「どうしてもアンセンの灯を消したくない」という思いを募らせた。アンセンの商号を不動産会社から譲り受け、上司だった大島邦夫店長との共同出資で、神奈川県藤沢市に新生アンセンをオープンした。 「本来なら同じ西荻窪にオープンしたかったのですが、何しろ物件が高くて手が出ませんでした」と渡辺さんは振り返る。 まったく新しい場所でのベーカリーの切り盛りは、容易ではなかった。 「自分としては価格を下げたつもりだったのですが、それでもまだ高かったようです」と渡辺さんはいう。 西荻窪ではよく売れた製品が、新天地ではなかなか根付かなかった。「藤沢の人たちに受け入れてもらわなくては」と、数多くの新商品を開発して店頭に並べた。徐々に固定客がつき始めた。それと同時に従来からのアンセンのパンも売れるようになっていった。 一方で、西荻窪で常連客だった人たちから、「アンセンのパンが食べられなくて困っている」といった趣旨の手紙が届くようになった。「藤沢の店の住所を調べて手紙をくれるんです。最初はパンを宅配便で送っていたのですが、藤沢に移ってから3年後に、週に1回車にパンを積んで西荻窪まで出向くことにしました」と渡辺さんはいう。 1回に10〜12万円分のパンを積んだ。 「車にぎっしりという感じでした。特に食パンは人気が高く1回に270斤は積みましたね」 |

| 古巣の西荻窪で再スタート。みんな覚えていてくれた
2000年、西荻窪のあるビルのオーナーから、「ウチのビルでベーカリーをやらないか」と誘われた。そのオーナーはアンセンが藤沢市に移転した後も、アンセンのパンを買い続けた人だった。
渡辺さんは最初、藤沢の店はそのままにして、2号店を西荻窪に出そうと考えた。しかし、2号店を任せようと思っていた信頼できる同志が高齢だったため、藤沢の店は閉めて、古巣の西荻窪で再スタートを切ることにした。 昨年5月オープン。「宣伝をまったくしなかったためか、移動販売のパンを買っていた人以外は、アンセンが西荻窪に戻ってきたことを知らなかったと思います」と渡辺さんはいう。 しかし、昨年11月、地元のタウン紙に紹介されると、多くの「元ファン」が来店した。「『戻ってきていたなんて知らなかった』と多くに人から言われました」と佐智子夫人は笑う。 最近は「昔のアンセンを知らない若い人たち」の来店が目立って増えている。 アンセンのパンはどれもどこか懐かしい感じがする。しっかりと焼き込み、クラストの色はかなり濃い。しかし、口に入れて噛むと、香ばしさとともに心地よくくずれていく。 渡辺さんは「小麦粉本来の香りを少しでも多く引き出したい。じっくりと発酵させたパン生地を、石窯のように蓄熱性の高いオーブンで焼き上げるんです」と目を輝かせる。 35年間、同じオーブンと付き合ってきた。「モンスーン」というドイツ製のものだという。 「焼成はパンの最後の仕上げです。すべてを知り尽くしたオーブンでないと安心できません」 |

| ハチミツを練り込んでそぼろをトッピング | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ハニー
上面にそぼろをトッピングしてホイロをとり、焼き上げる。35年来のロングセラーのひとつ。ひとつ100円。 【配合%】
【工程】
※成形後、上面にそぼろをトッピングする。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 駄菓子のような雰囲気。デニッシュ生地にメレンゲ生地を流し込む | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
メレンゲ
デニッシュ生地をトヨ型に敷き詰めて、メレンゲ生地を流し込んで、焼成する。どこか駄菓子のような雰囲気のパン。150円。 【配合%】
【工程】
※焼成後適当な大きさにカットして、一方の切り口にホワイトチョコをコーティングする。 ※イーストは活性の低いものを使用。 ▼メレンゲ生地 【配合グラム(トヨ型9本分)】
【作り方】 (1)卵白とグラニュー糖をあわせて立てる (2)立てながら液体状の材料(コーヒーエッセンス、サラダオイル、コーヒーアロマ、カラメル)を加える (3)[2]に残りの材料を合わせる | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ポピーシードフィリングを巻き込んだデニッシュ | ||||||||||
|
ポピー
今話題のポピーシードフィリングを巻き込んだデニッシュ。ひとつ130円。 【配合%】 メレンゲのデニッシュ生地と同じ 【工程】
| ||||||||||
| 「極上の米をうまく炊いた味」と評判! | ||||||||||||||||||||||||||||||
|
大型食パン
アンセンの定番中の定番。「極上の米をうまく炊いた味」と評判。72時間かけて作る。「小麦粉本来の味を引き出すように常に努力しています」という渡辺オーナーの自信作。1斤250円。 【中種配合%】
【工程】 (1)材料をボウルに入れて手で混ぜ合わせる (2)発酵44時間(最初は冷蔵庫に入れておいて、途中から常温で発酵させる) ※中種はどろっとした状態。 【本捏ね配合】
【工程】
| ||||||||||||||||||||||||||||||
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


















