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| 連載/2025年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 小麦粉の種類と製パン適性を科学的に分析する - 竹谷先生!教えてください(8) | |
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質問 「きたほなみ」が湯種の小麦粉に良いと聞きましたがなぜですか?
竹谷 日本パン技術研究所(パン学校)の湯種に関する卒業実験で「国内産小麦のめん用粉が良い」という結論が出ています。私はパン学校の実験結果を信頼しています。加えて、低アミロース系国産小麦がさらに良いという報告も聞いています。その結論から類推すると、モチコムギの使用が「もち感の付与」という点では、最も効果が期待できるかも知れません。 質問 薄力粉を湯種用の小麦粉として使うのは良くないでしょうか? 竹谷 小麦粉中の澱粉量ということであれば薄力粉の方が期待できそうですが、α化した時のもち感という点では国産めん用粉の方が優れていると考えます。その理由としてはアミロペクチンの質と比率でしょうか? 質問 「ゆめちから」を使うときは発酵時間を長くするのはなぜですか? 竹谷 エクステンソグラフを見ていただくと解りますが、薄力粉は足が短く、強力粉・高たんぱく粉は足が長くなっています。その足に見合った腰を出すには酸化が必要でありその一つが発酵時間になります。 質問 現在、菓子パンは強力粉に薄力粉を20%加えていますが、薄力粉を中力粉に替えた方が良いですか? 竹谷 使用する小麦粉のタンパク量を減らして、サクミを出したいということであれば、薄力粉の使用で十分ですが、サクミと同時にしっとり感、老化の遅さを期待するときは低アミロース系国産めん用粉(きたほなみ等)の方が良いと考えます。 質問 小麦は地域により、栽培する品種が違うのですか? 竹谷 小麦は植物ですから、その品質は同じ品種でも土地と気候に大きく依存します。ですから、各県でその土地で作りやすい小麦品種を奨励品種として指定しています。世界で最も製パン適性の高い、カナダの1CWを北海道に植えても製パン適性の高い小麦粉は得られません。北海道の「ゆめちから」を兵庫県でも栽培していますが、パン用粉としてよりも、高たんぱくの醤油醸造用としての利用と聞いています。 質問 「ゆめちから」に合わせる小麦粉(めん用粉)は地元産の小麦粉を使った方が良いというのはなぜですか? 竹谷 フードマイレージという言葉があります。「食べ物がどれだけの距離を運ばれてきたかを表す考え方」です。エネルギー消費の点からも出来るだけ移動距離を少なくした方が地球にも人にも優しいと考えます。「ゆめちから」は品質維持に必要な小麦ですから、この考え方には当てはまりませんが、合わせる小麦粉(めん用粉)は地元産の小麦粉を使うことで、地球環境に優しいと考えます。 質問 「野生小麦」「栽培小麦」という言葉を聞きますが、今の小麦と何処が違うのですか? 竹谷 とても基本的な良い質問です。約8000年前、人類が穀物を栽培し定住するようになると、野生小麦の中から ①穂軸の折れにくいもの②休眠性の弱い、一斉に発芽するものを選んで栽培するようになります(種の保存の観点からは、穂軸が折れやすく休眠性の高いものの方が向いています。休眠中の種子は災害に耐える力が強く、簡単に死滅しません)。野生植物には必要でも、栽培農業上不利な遺伝子が多くある野生型から、収穫に便利な現在の栽培型小麦に移行したと言えます。 質問 最近急に、優秀なパン用小麦が沢山登場しているように感じますが、なぜですか? 竹谷 イギリスの小麦タンパク質研究者、Payne等が開発した、高分子量グルテニンサブユニットのタイプを調べる方法だけで、「製パン適性スコアー」が60%程度分かるようになりました。残り40%の部分も低分子量グルテニンサブユニット、タンパク含量、αアミラーゼ活性、グリアジン組成、1R染色体の有無等を調べることで、判断できます。これまでのように実際にパンを焼いて調べなくても、ごく少量の小麦の試料を使っての成分分析だけで、製パン適性をある程度知ることが出来るようになったことで、小麦の品種改良が効率化されたため、優秀なパン用小麦が沢山登場しているのだと思われます。 |

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この企画は、リテールベーカリーの活性化のための活動を行うアルバネット(竹谷氏が主宰)が行っているオンラインセミナーで、竹谷氏が受講者らからの質問に答えた内容をお伝えするものです。同時に読者の皆様からの質問にもお答えしますので、普段のお仕事の中で疑問に思っていることがありましたら是非ご質問ください。
竹谷光司 1948年北海道生まれ。北海道大学卒業後、山崎製パンに入社。1974年に日清製粉に入社。1986年、ベーカリーフォーラムを設立し、日本のベーカリー発展に貢献。著書の「新しい製パン基礎知識」は、パン職人のバイブルとされる。2010年に「美味しいパンの研究工房・つむぎ」を開店。 |


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