団地内の商店街の一角でハード系のパンを焼く - パンオピエドラ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2025年11月号

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団地内の商店街の一角でハード系のパンを焼く - パンオピエドラ
店主の鈴木健太さん
横浜市内でも有数の大規模団地の中にある商店街の一角にあるベーカリー「パンオピエドラ」
九州産小麦100%と酒種使用の「カンパーニュ」(税込740円)
セミハードよりの食感に仕上げた「全粒粉カンパーニュ」(税込880円)
高加水のハードパン「ピエドラ」(1グラムあたり税込2・4円)
ロブロの生地にひまわりの種とかぼちゃの種を練り込んだ「ロブロ シード」(税込1050円)
高齢化率の高い場所で開業

 神奈川県横浜市のJR横浜線中山駅からバスで20分弱、市内でも有数の大規模団地の中にある商店街の一角に2023年3月、ベーカリー「パンオピエドラ」は開業した。1960年代後半に建設された団地は、人口減少と高齢化が進んでいる。
 「『なんでこんなところで』と訊かれることはありますね。確かに開業準備中に商店街のスーパーが閉店してしまったときは心配になりましたが、店舗の広さを重視して決めた場所なので、立地の良し悪しはそこまで気にしていないです」
 こう話すのは全国展開のベーカリーで8年間修業し、その後個人店に勤務するなどして「パンオピエドラ」を開業した鈴木健太さん。同店のある場所は元々鈴木さんの自宅の近くで、ジョギングのコースだったため土地勘があった。
 「実際に開業してみると高齢化率の高さは想像以上に感じました。でも、ここは将来の日本の縮図だと思っているので、どこに店を構えたとしてもいずれ直面する問題だと思っています。これから先求められるパンは変わっていくだろうと考えながら商品開発をしています。3年弱で、ハードより食べやすい食感のセミハードよりの商品が増えてきました」(鈴木さん)
 店内は、コンクリートの壁面にドライフラワーや流木、かごなどが飾られ、一台の大きな木製の台にパンが並ぶ。その奥にあるスチールラックには、「カンパーニュ」(税込740円)や「全粒粉カンパーニュ」(税込880円)、高加水のハードパン「ピエドラ」(1グラムあたり税込2・4円)、「リュスティック」(税込800円)などカット売り対応の大型のパンや食パンが並ぶ。
 「カンパーニュは種類が増え、現在3種類あります。『カンパーニュ』をかたいと感じる方向けに開発したのが『全粒粉カンパーニュ』で、食パン生地からアプローチしました。食感や口溶けを良くするために、きび糖とバターを使っています」(鈴木さん)
 「ピエドラ」は中はもっちり、口に入れると溶けるような食感で喉越しが良い。全粒粉、ライ麦入りの湯種、ルヴァンを使用しており、皮部分は噛むたびに味わい深さが楽しめる。
 食パンは「柔らか食パン」(税込460円)、「しっとり食パン」(税込500円)など食感の違いを強調した製品が3〜4種類揃う。
 木製の台に並ぶのは、「柔らか食パン」や「カンパーニュ」など大型のパンに使用している主に4種類の生地を使い分けて作る、菓子系や総菜系のパン30〜40種類。
 「2年目までは、お客様の好みを探ろうと色々なタイプのパンを作ってきました。それで今は種類が増えすぎ、厳選して絞っていく必要性を感じています。欠かせないのは食べやすい食感であることで、焼成の加減で調整しています」(鈴木さん)
 秋冬限定の「さつまいもとクリームチーズ」(税込240円)は下火で焼き上げ、白パン風の見た目でもっちりソフトな食感に仕上げている。菓子系で人気なのは「シナモンロール」(税込400円)や「石臼餡パン」(税込240円)など。総菜系はリュスティック生地に具を練り込んだ「セミドライトマトオリーブチーズ」(税込1000円)や「スパイスカレー&チーズ」(税込360円)など。フィリングはほとんどが自家製だ。

ロブロがパン作りを変えた

 今年からライ麦を100%使用した「ロブロ プレーン」(税込770円)を作るようになった。それから小麦など材料に対する意識に変化が起きたという。
 「ロブロ(北欧の日常的なライ麦パン)は以前から興味があり、3年目になって気持ちに余裕ができたからか、いよいよ作ってみようということにないました。それで出向いた講習会で、ロブロを作って食べることが、小麦の健全な循環に繋がっていくという話を聞いて、パン作りの意味が少し変わった気がしました」(鈴木さん)
 ロブロで使う国産ライ麦の仕入れのため、愛知県の製粉会社が新たな取引先となった。現在はライ麦だけでなく「ミナミノカオリ」などの小麦も仕入れている。また、同店は開業時から小麦はすべて国産を使用している。
 「ロブロを作ることが、製粉会社さんを訪問したり、小麦栽培について学んだりするきっかけになって、国産小麦を使う意義を深く考えられるようになりました。それまでは、国産小麦をただ、使う材料の一つとして選んできただけだった気がしますね。そしてパン屋と消費者も小麦の循環の一部なんだということを実感できるようになってきました」(鈴木さん)
 「ロブロ プレーン」のほか、具を練り込んだものもあり、ひまわりの種とかぼちゃの種入りの「ロブロ シード」(税込1050円)、プルーンやレーズン、アプリコットなどが入った「ロブロ フルーツ」(税込1050円)がある。生地に使用するライ麦は、製粉せず砕いた状態のものも使っているので、こりこりとした食感が楽しめる。



「スパイスカレー&チーズ」(税込360円、サークルカットは、「スパイスカレー&チーズ」の断面)
石臼挽き全粒粉使用の生地で自家製粒餡を包んだ「石臼餡パン」(税込240円、サークルカットは、「石臼餡パン」の断面)
様々なパンが並んだ陳列台
開業前から販路拡大を決めていた

 土日は平日の2〜3倍の客足があり、遠方からの客も多く、商店街にある20台弱の提携駐車場が活躍する。客単価も高く、大型のパンをホールで買う客の割合も高い。
 「土日はパンの種類を増やすようにしています。動物園や大きな公園が近くにあるので、外での食べやすさを考えた商品を作ったりします。サンドイッチも増やしますが、製造は自分一人なので、パートさんが補助で作れるような、少ない手順でできるものにしています」(鈴木さん)
 立地を考慮し、販路は店舗とネット販売以外にも広げていこうと開業前から考えていたという。現在は5カ所ほど販売箇所があり、場所は地域で開催するマーケットやイベント、クライミングジム、カフェなどで、毎月販売スケジュールをSNSで発信している。
 「各販売箇所でリピーターの方がついてくれるようになってきました。クライミングジムでの販売は平日、店舗営業を終えてからなので、ロスの削減にもなっています」(鈴木さん)

SHOP DATA
店名:パンオピエドラ
住所:〒241-0001神奈川県横浜市旭区上白根町891西ひかりが丘団地18-2-101
電話:045-444-8049
営業時間:午前10時〜午後6時
定休日:水曜、木曜
品揃え:約40〜60品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約5坪、厨房約11坪
日商:平日約4万円、土曜、日曜、祝日約12万円



この記事の読みどころ

●高齢化地域でもその需要を読み取り、商品や販売方法に工夫を凝らす。
●食べやすさを重視した商品開発で幅広い年代の顧客にアピール。
●原材料の生産背景を理解し、生産者とのつながりを大切にする。
●店舗販売に加えイベントでの販売や出張販売なども確保し、販路を多角化して安定経営を図る。





原価計算女王
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