小さくて安価なパンがある地域の憩いの場 - 小さなパン屋ちょっぴり - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
お店拝見/2025年10月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


小さくて安価なパンがある地域の憩いの場 - 小さなパン屋ちょっぴり
店主の高村杏太さん
JR武蔵新城駅南口から徒歩5分、住宅街の並びにある「小さなパン屋ちょっぴり」
直径約7センチの「塩バターパン」(左、税込100円)と直径約11センチの「塩バターパン」(右、税込150円)(ワイプ写真は、大小各サイズの「塩バターパン」の断面)
直径約6・5センチの「あんこパン」(左、税込100円)と、直径約5センチの「あんこぱん」(右、税込50円) (ワイプ写真は、大小各サイズの「あんこパン」の断面)
長さ3センチほどのソーセージをデニッシュ生地で巻いた「ウインナーパン」(税込50円)
約10センチ角の「食パンダ」(税込250円)
祖母が食べきれるサイズにこだわる

 神奈川県川崎市のJR南武線・武蔵新城駅南口から徒歩5分、アーケード商店街入口から2つ目の角を曲がった住宅が並ぶ通りにあるベーカリー「小さなパン屋ちょっぴり」。元々駐車場やトイレ、洗い場があった3階建て住宅の1階部分を改装した。
 店舗両脇には「ぱんやちょっぴり」と書かれたのぼりがはためく。ブロック塀にはコック帽を被った同店のキャラクターが黒のペンキで描かれ、入り口上の看板には、木の板に白いペンキで「ちょっぴり」と味のある字で書かれている。手作り感と遊び心を感じる店構えだ。
 営業時間は午前と午後に分かれ、午後1時30分から4時までの2時間半は一旦閉店。「一人で営業しているので、二部制をとることで休憩時間が確保できます」と、店主の高村杏太さんは話す。元々は通しで営業していたが、テレビで同店が取り上げられた直後、品切れが多く発生し、現在の二部制を取るようになり、しばらく検証した結果そのまま二部制を維持することにしたという。
 店に入ると左右にそれぞれ長さ1メートル50センチほどの陳列台があり、右側は菓子系のパン、左側は総菜系のパンと分かれて並んでいる。まず目を見張るのはパンの小ささ。一般的な大きさのパンもあるが、長さ5〜7センチほどの小さいサイズのものがずらりと並ぶ。ミニチュアの世界観を感じるような面白さを覚えると同時に、「ちょっぴり」という店名に納得させられる。
 小ささに合わせて価格も安価。例えば、こしあん入りの「あんこぱん」、ピーナッツバターもしくはチョコクリームをそれぞれサンドした「ちょっぴりコッペ」、長さ約3センチのソーセージをデニッシュ生地で巻いた一口サイズの「ウインナーパン」などは、どれも税込50円だ。
 「祖母がパンを一つ食べきれないから、小さいパンがいいと言っていたんですね。当店の小さいパンは、祖母でも食べきれるサイズが基準となっています。店名は、ちょっぴり食べたいときに来てもらえるようにと、父が考えて看板も作ってくれました」(高村さん)
 パンの品揃えは夏期は減らしており20種類ほど、冬期などは30種類ほど。小さいサイズの商品は全体の半分強を占める。
 大きいサイズの商品も並ぶ。例えば、直径約5センチの「あんこぱん」に対して直径約6・5センチの「あんこパン」(税込100円)や、直径約7センチの「塩バターパン」(税込100円)に対して直径約11センチの「塩バターパン」(税込150円)などで、大きいサイズの商品は一般的な大きさだ。一つの種類につき、大小のサイズ展開をすることで客層を広げている。

母が開業した店を引き継ぐ形で継続

 同店は約半年後10周年を迎える。当初は高村さんの母、秀子さんが店主を務めていた。
 「開業は、インストアベーカリーで約30年製造部門で働いてきた母が、ずっと温めてきた夢でした。はじめは、製造を母が一人で行い、私はそのサポートとして販売や厨房の片付けをするという二人体制で運営していました」(高村さん)
 3年経った頃、状況が一変した。秀子さんが倒れて働けなくなり、秀子さんの代わりを高村さんが一手に引き受けて、営業を継続していくことになったのだ。
 「突然のことでしたから引継ぎが全くできておらず、現在も意思の疎通がとれない状態なので、訊いて教えてもらうこともできないんですね。ただ、母の夢だった店ですから、母がいつでも戻れるようにという思いで、私一人で何とか、続けることにしたんです。2カ月ほど休業してから再開しました」(高村さん)
 秀子さんは季節の行事を意識した商品開発が好きだったという。また、イラストを描くのが得意で、チョコペンでイラストを描いたパンは、子どもたちに好評だった。
 「ハロウィンのときはメロンパンを四角に成形して焼き上げた後、チョコペンでミイラのように仕立てたりして、楽しんで作っていましたね。約3年間で300種類位は作っていました」(高村さん)
 秀子さんが働けなくなる少し前、高村さんは同店に専念するために掛け持ちでしていた仕事を辞めた。
 「少しずつパンの製造についても教えてもらっていて、これからというときに教えてもらることが叶わなくなってしまいました。この先も母が作っていたときの味に少しでも近付けていけるように頑張っていきたいです」(高村さん)



売り場は左右にそれぞれ陳列台があり、右側は菓子系のパン、左側は総菜系のパンが並んでいる
菓子系のパンが並ぶ陳列台。長さ5〜7センチの税込50の小さなパンが目を引く
菓子系のパンの対面に総菜系のパンが並ぶ陳列台がある
地域の子供たちに好評なパン

 同店のパンはメーカーから仕入れた生地から、高村さんが成形、発酵、焼成などして作っている。使用する主な生地は、食パン生地、菓子パン生地、デニッシュ生地。食パン生地は、「塩バターパン」や「ベーコンピザ」(税込200円)など総菜系にも使う。デニッシュ生地は2種類あり、「クロワッサン」(税込50円)と「チョコデニッシュ」(税込50円)を作る生地と、「アップルパイ」(税込100円)を作る生地で使い分けている。
 「重視しているのは、かたくなくソフトで食べやすい食感と、塩分や甘さが控え目であることです。2年前に他界した祖母が必ず試作品を食べてくれていたのですが、食感が食べやすいかどうかという点を一番気にかけていました。祖母がおいしく食べられるパンは、食感やサイズ感などが、お年寄りだけでなく小さい子どもにも好評です」(高村さん)
 3年前から毎週火曜日、地域の保育園にランチボックスを納品している。同ランチボックスは、コロッケパンなどと、3〜4種類の小さいサイズのパン、野菜の副菜という内容。幼児でも複数の種類を楽しんで食べられると好評だ。地域の学童保育にも週に2〜3回、子どもたちが一人税込50円のパンを一つずつ食べられる数を納品している。子どもがおつかいに来ることもよくある。
 「私も小学生から住んでいるこの場所で、地域の人たちの憩いの場のような店にしていけたらと思っています。母もお客様とよく話をしていましたし、ただ日常会話をするためだけに、ふらっと気軽に寄ってもらえたらいいですね」(高村さん)

SHOP DATA
店名:小さなパン屋ちょっぴり
住所:〒211-0044神奈川県川崎市中原区新城3-15-8
電話:044-766-9223
営業時間:午前10時〜午後1時30分、午後4時〜午後7時
定休日:火曜、日曜、祝日
品揃え:約20品目
スタッフ:製造常時1人、販売常時1人
店舗面積:売り場約5・4坪、厨房約10坪



この記事の読みどころ

●二部制で繁忙時の品切れを抑制し運営継続を安定化。
●食べきりサイズと低価格で高齢者と子供に配慮。
●同一商品の大小各サイズ展開で選択肢を増やし、客層と単価の幅を拡大する。
●幼稚園への継続納品で安定需要と認知度向上を実現。





原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら