製パン技術のポイントを解説。現場での課題とその対処法 - 竹谷先生!教えてください(7) - ブランスリー電子版

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連載/2025年9月号

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製パン技術のポイントを解説。現場での課題とその対処法 - 竹谷先生!教えてください(7)
 質問 家庭製パン用テキストの中で、ベルリーナラントブロートにインスタントドライイースト(青)が使われていました。なぜですか?
 竹谷 本来ドイツパンは仕込み後の発酵時間が短いのでパン酵母(生)を使うのが正解です。しかし、ご質問は家庭製パンですからパン酵母(生)が手に入らず、インスタントドライイーストの使用になったと考えます。通常はインスタントドライイースト(赤)を使いますが、あえて(青)と指定しているのは、(赤)に使われているビタミンCを嫌ったためだと思います。インスタントドライイースト(赤)は、キロ当たり約3000ミリグラムのビタミンCがコーティングされています。つまり、粉1キロ仕込みの場合、1%の添加でも30ppmの添加になります。
 質問 蒸気をたっぷり入れて焼いているのですが、ドイツパン型物の表面が割れます。なぜですか?
 竹谷 直焼のドイツパンは窯入れ後、たっぷりの蒸気を入れ、2分後に1分間、ダンパー或いは扉を開けて蒸気を排出し、「60分/生地1キロ」で焼き上げますが、型物はたっぷりの蒸気を入れ、最後までその蒸気を窯内に閉じ込めて焼き上げます。この操作を守ってなお、表面にひび割れが出るのは生地が硬すぎるためだと思われます。型物のドイツパンは手では持てないほどの軟らかい生地です。もう一度吸水を見直してください。
 質問 もち小麦はパンへ何%使えますか?
 竹谷 とても難しい質問です。ご存知のように、生地の時はグルテンが骨格を支えますが、焼成後はグルテンが壊れるために、骨格となるのはα化した澱粉です。しかし、焼きたてのあたたかいパンの中では老化の早いアミロースが骨格を支えることになりますが、アミロースが0%のもち小麦を使い過ぎると焼成後の骨格が不足し、形状を支えることが出来ず潰れてしまいます。もち小麦をどのくらい使えるかはパンによって、配合によって変わりますので明確にお答えすることはできません。
 質問 3種類の発酵種を使っています。同じ発酵室に入れても問題ありませんか?
 竹谷 コンタミをご心配していることと思いますが、乳酸菌が歩いて隣の発酵種に入るわけではありませんので、全く問題は有りません。しかし、ミキサーの清掃が不完全だったり、発酵種を扱った手で不用意に別の発酵種を操作することで簡単にコンタミをさせてしまいます。むしろ、扱う作業者の手順にご注意ください。
 質問 pHメーターを使っていますが、毎回標準液での調整が必要ですか?
 竹谷 もちろん必要です。毎回、標準液での調整を要求しているpHメーターであればその精度は安心して使えるものと思います。
 質問 塗卵はどのように調整していますか?
 竹谷 生卵をそのまま使う方も多いと思いますが、私は全卵100%に水50%を加えて作っています。全卵のみだと焼き色が濃すぎて厚化粧になってしまいます。焼き色は好みですが私は水50%が好きです。その他に牛乳で薄める方もいますし、和菓子では全卵に卵黄を加えてさらに濃い焼き色にする製品もあります。使う直前に塗卵を作るときは、気泡が艶の邪魔をしますので、食塩を加えて消泡します。
 質問 レーズンブレッドの老化が早いような気がします。レーズンはちゃんと水で洗っています。
 竹谷 ご存知のようにレーズンの水分は14・5%です。それに対してパン生地の水分は42%前後あります。水で洗っているとのことですが、しっかり水分管理が出来ていないのではと思われます。私はレーズンを50度Cのお湯に10分間漬けます。ここで10%のお湯を吸います。次にラム酒を4%、焼酎を4%、キルシュリキュールを2%加えます。そうすると「14・5+10+4+4+2=34・5」となり、レーズンの水分が34・5%になります。この状態で、ほぼ仕込み上がった生地に加えます。どうせなら、もう少し水分を高めて42%にして加えた方が老化が遅くなるような気がしますが、そこまで水分を高めると生地中でのレーズンの潰れが多くなります。レーズンのpHは3程度なので、レーズンの添加量50%の配合では生地pHが低くなり過ぎてパン酵母の活性を阻害します。
 加えて、ご注意いただきたいのは添加するレーズンの温度です。冬場、室温に置いたレーズンをそのまま生地に加えては生地温度を下げてしまいますし、真夏だとその逆のことが起こります。添加量が多いですからレーズンの温度にもご注意ください。





この企画は、リテールベーカリーの活性化のための活動を行うアルバネット(竹谷氏が主宰)が行っているオンラインセミナーで、竹谷氏が受講者らからの質問に答えた内容をお伝えするものです。同時に読者の皆様からの質問にもお答えしますので、普段のお仕事の中で疑問に思っていることがありましたら是非ご質問ください。

竹谷光司 1948年北海道生まれ。北海道大学卒業後、山崎製パンに入社。1974年に日清製粉に入社。1986年、ベーカリーフォーラムを設立し、日本のベーカリー発展に貢献。著書の「新しい製パン基礎知識」は、パン職人のバイブルとされる。2010年に「美味しいパンの研究工房・つむぎ」を開店。







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