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| 特集/2025年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 台湾スイーツが面白い! | |
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台湾スイーツが静かな人気を集めている。南国ならではの果実や豆類を活かした素朴でやさしい甘さに加え、現地の文化や物語が込められた背景も魅力だ。タピオカミルクティーのブームをきっかけに、日本でもそのバリエーション豊かな味わいが注目され、定着しつつある。今回は、東京都内を中心に店舗展開する5つの店を取材し、パイナップルケーキ、豆花、仙草ゼリー、台湾茶、台湾カステラといった個性豊かなスイーツの魅力を探った。それぞれが本場台湾の味と技術を大切にしながら、日本でも親しまれるよう工夫を凝らしている。
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台湾の奉茶精神を伝えていく
東京・南青山にあるサニーヒルズの店舗は檜の木材を使った大胆な木組みのデザインが目を引く建物で、建築に造詣がある人からも注目を集めている事で有名だ。 建築家、隈研吾氏の素材にこだわる姿勢とサニーヒルズの素材にこだわる気持ちが一致したことから隈氏へ依頼し、デザインと設計を引き受けてもらったという。 「地獄組み」と呼ばれる手法の木組みをベースに設計されたこの建物は、台湾の田舎にあった懐かしい森林をイメージしたもので、森の入り口を連想させるような場所から中に進むと、木漏れ日が刺しているようなほの明るい空間に入り込む。 すぐ傍に2階に上がる階段があり、手前にはパイナップルケーキや烏龍茶などの商品が置かれているスペースもある。 その中から購入したい商品を選んで受付で会計をすると、スタッフが上の階に案内してくれる。上がったフロアにはテーブルと椅子が置かれ、台湾茶とここで販売されているパイナップルケーキなどのお菓子が一つ無料で振る舞われる。 落ち着いた空間だが、いわゆるカフェスペースではないという。 「ここで提供しているサービスは『奉茶』と呼ばれる台湾の伝統的な習慣を再現したものです。来たお客様を丁寧に歓迎してお茶やお菓子を出すという風習ですが、弊社はこういったサービスを通じて古き良き台湾の姿も知ってもらいたいと考えています」(堂園さん) 「奉茶」のサービスは台湾のサニーヒルズの店舗でも行なっている。こうしたサービスを取り入れていく事で、結果的に同社製品の認知度を高めていった。 「イメージするのは台湾の地方で、田畑が広がる場所の真ん中に木が一本立っていて、その木の下に『奉茶』と書かれたやかんが置いてある様子です。通りかかった旅人が木陰で休みながらやかんのお茶を飲んで休めるように『奉茶』をすすめている場面をイメージしています」(堂園さん) 農業の企業経営を実現したい 「この建物も森をイメージしたものですが、森でゆっくり奉茶できるような空間を提供したいという思いが込められていますね」(堂園さん) サニーヒルズの日本進出にあたっては売り上げより、どれだけ優れたブランド体験が提供できているかを重要視している。台湾の事業の売上には、日本での売上規模は遠く及ばないが、日本でのブランディングに成功したことについては、台湾本社も高く評価しているという。 また許銘仁氏は自分たちがパイナップルケーキを売ることで農業の企業経営を実現したいとも考えている。実際台湾では直接農家と契約し、商品の原材料となるパイナップルを生産してもらう一方で、その売り上げを用い農作業で必要な機材や土地を買ったりすることをすすめている。 「企業が農家の経営に関わってお互い助け合うことで潤うウィンウィンの関係を築いていくことが最終目標です」(堂園さん) その手法は日本でも活用され、2018年には、日本法人のための商品として、青森の農家と契約して開発した「りんごケーキ」を発売。紅玉りんごを使用して作った素材感溢れるりんごの餡を、パイナップルケーキとほぼ同様の四角い生地に入れ込んだ製品だ。アップルパイのようなりんごの味がしっかりしたフィリングで、台湾でも発売され、今ではサニーヒルズ全体の売り上げの2割を「りんごケーキ」が占めるという。 「台湾と日本は味覚も文化も似ている部分があると思うのですが、台湾には『共好(ガンホー)』と呼ばれる日本での『三方良し』に近いような意味の言葉があります。作る人も売る人も買う人も皆にとって良いことがあるような商売をしていきたいですね」(堂園さん) 今後は日本独自の商品を他にも開発していきたいと考えていて、台湾スイーツのブームを作ることは第一の目的ではないという。 「コロナ禍ではオンラインでの売り上げを伸ばしましたが、求められているのであれば店舗に拘らず色々な形で商品を届けていきたいですね。『100年ブランド』という言葉がありますが、『台湾スイーツ』という枠組みから脱却して、日本市場へ定着できる菓子を育てていきたいと思いますね」(堂園さん) SHOP DATA 店名:サニーヒルズ(Sunny Hills) 住所:〒107‐0062 東京都港区南青山3丁目10‐20 電話:03‐3408−7778 営業時間:午前11時〜午後7時 定休日:なし 品揃え:約13品目 スタッフ:3〜4人 店舗面積:約89坪(延べ床面積) |

| 台湾スイーツが面白い! | |
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タピオカミルクティーのブーム以降は成熟期に入った日本の台湾スイーツ市場。日本と台湾は、食の嗜好が似ていると言われるが、健康志向の豆花や仙草ゼリー、独特の食感や柔らかさで人気の台湾カステラなどが、じわじわと広まってきている。
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| 騒豆花 | |
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つるんとした食感が心地よい
豆花は、豆乳を凝固剤で固めてプリンのようなつるんとした食感にしたものに、シロップや砂糖を入れて甘くし、芋団子や豆、ピーナッツ、フルーツなどの食材を組み合わせて盛り付けた中国・台湾の伝統的スイーツ。 日本ではあまり知られていなかったが、タピオカミルクティーのブームや健康志向の流れとともに、豆花の専門店も増え、今では日本各地で豆花が食べられるようになってきている。 東京、神奈川、大阪、福岡に5店舗を展開する「騒豆花」(サオドウファ)は、劉(りゅう)親子三代で続く台湾の老舗豆花専門店で、日本には2018年に進出。 「対象は普段旅行する事もなく台湾へ行く機会がないような人。まだ豆花の事を全く知らない人達にも広く、台湾現地と全く同じ味の豆花を食べて欲しい」(同店広報)という店側の想いを軸に、原料の大豆とにがりは必ず台湾現地のものを仕入れ、毎日大豆を絞り、機材も台湾から直輸入。台湾本店の直伝の製法にのっとった伝統の豆花の味を徹底的に再現している。 メニューは、店で仕込んだモチモチ食感のさつま芋と紅芋の団子が入った伝統的な「芋圓(ユーエン)豆花」などの定番メニューのほか、苺に練乳をたっぷりかけて盛り付けた「いちご豆花」や「マンゴープリン豆花」などの鮮やかなフルーツをたっぷり取り入れたメニューも女性を中心に反響を得ている。 ただ日本での豆花の主な顧客層は40〜60代位の落ち着いた年齢層だという。「台湾は親日で食の嗜好も日本人と似ているところがあるので、ブームではなく安定した需要がある台湾スイーツとして広げていきたいですね」(同店広報) ▽騒豆花(サオドウファ)エキュート上野店 東京都台東区、電話03‐5830‐3508 |
| 黒工号 | |
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ほろ苦さを抑えた優しい甘さ
シソ科の植物で漢方食材としてもお馴染みの仙草。この仙草を乾燥して煮詰め固めた仙草ゼリーは、台湾や中国では定番のデザートだが、日本でも、解毒・解熱作用、デトックス効果、便秘改善、ダイエット効果などが注目を集めている。 台湾・台南で人気の仙草ゼリー専門店「黒工号」は日本でも上野、錦糸町、川崎などに出店し、スイーツの人気メニュー「黒工1号」「黒工2号」「黒工3号」などを提供。これらは仙草ゼリーに、イモボール、イモエン(イモ団子)、黒米、タピオカ、小豆、ハトムギなどの食材と組み合わせた3種類のメニューで、ほろ苦さを抑えた口当たりの良い仙草ゼリーと他の食材が融合した甘さが絶妙で人気を集めている。 「日本での台湾スイーツのブームにともない、仙草ゼリーの認知度もだいぶ上がってきました。近年は麻辣湯などスパイシーな料理が注目されていますが、仙草ゼリーはそういった料理の後にもぴったりな、さっぱりとした食後のデザートとしてもおすすめです」(黒工号広報担当者) 同担当者によると、タピオカミルクティーのブーム以降は成熟期に入った日本での台湾スイーツ市場だが、今後は従来の台湾スイーツの甘さを控えめに調整したものや、植物性食品やグルテンフリーの製品も増える可能性があるという。 「仙草ゼリーの『仙草とスイーツ』、豆花の『豆腐とフルーツ』といった組み合わせが健康意識層に支持されています」(同担当者) 今後はラーメン店など飲食店との相性の良さを生かしたコラボや温かい仙草ゼリーや豆花のメニュー展開にも力を入れていく方針だ。 ▽黒工号 上野店 東京都台東区、電話03‐6875‐1230 |
| 春水堂 | |
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ブームは過ぎても需要は定着
亜熱帯植物キャッサバ由来のデンプンを丸く加工したタピオカ・パールを冷たいミルクティーに入れたタピオカミルクティー。日本から格安で台湾旅行へ行けるようになった事情もあって、2018年頃から大きなブームを生んだ。当時のインスタ映えの素材を探す風潮とも重なって、流行のキーワードとなったタピオカミルクティーを飲める店は日本国内で急激に増えたが、コロナ禍を機にその数は激減。しかし、その他の台湾スイーツの安定した人気とともに需要は定着したかのように思える。 1983年に創業し、台湾で50店舗以上を展開する「お茶専門カフェ」の春水堂は、タピオカミルクティーを台湾での国民的人気ドリンクへ成長させ大ヒットへとつなげたが、日本には2013年に進出し、代官山に1号店をオープン。日本でも台湾から輸入した無添加の茶葉を使用し、スタッフは社内に導入した「お茶マイスター認定制度」のテストに合格した者のみがドリンクを作成しているという。 ブームの枠で括られがちだが、実はタピオカミルクティーは、日本で台湾茶全体の価値を見直すきっかけを作ってくれたとも言われる。 「タピオカブームの時は当店で売れているドリンクの8割がタピオカ入りでしたが、現在のタピオカドリンクの比率は6割くらいで、タピオカ無しのドリンクも人気を博してきています」(春水堂広報) 同店はオリジナルの「フレッシュティー」「特製ラテ」「本格台湾茶」など40種類以上のアレンジティーのほか、豆花や台湾カステラなどのスイーツメニューも展開。「お茶専門カフェ」として台湾茶とスイーツとのペアリングにも力を入れている。 ▽春水堂代官山店 東京都渋谷区、電話03‐6809‐0234 |
| 名東 | |
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シュワっとした泡のような食感
2009年に台湾南部の台南で創業した台湾カステラ専門店の名東。オーナーの郭氏が研究を重ねて生み出した新たな台湾カステラは、その独特のふわふわでシュワッとした食感と、素材を生かした優しい味が評判をよび、現地の人のほか観光客からも人気を集めた。日本には2022年に進出し東京・吉祥寺で1号店をオープン。 きめ細かく柔らかい食感と添加物をほとんど使用しない体に優しい味は日本でも話題を集め、日本進出後3年が経過する今でも吉祥寺店は行列ができる人気店となっている。 「台湾カステラといえば台湾北部の淡水地区のものが一番有名ですが、たっぷりのメレンゲを使い生地の中に気泡を閉じ込めた当店の台湾カステラは、口に含むとどこにもない泡のようなシュワシュワした食感が続き感動します」(同店日本法人広報) 本場台湾の味をそのまま再現するために主要素材は現地から直輸入、職人のレシピに忠実に閉店まで焼きたての味わいを提供できるようにしている。提供方法も大きな台湾カステラを目の前で切り分けて渡す、現地そのままの方法で販売。 定番は新鮮な卵と牛乳で作ったシンプルな「オリジナル」(税込1274円)のほか、「かぼちゃチーズ」(税込1490円)や「エンジェルレモン」(税込1490円)など9種類。「元々、日本にはカステラを食べる文化があるので、若い女性など流行に敏感な層だけを対象にするのではなく、広く全ての人が日常的に楽しめる味として訴求していきたい」(同店広報)という。 ▽名東キラリナ京王吉祥寺店 東京都武蔵野市、電話0422‐24‐9038 |
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